診療報酬改定を医薬品メーカー・卸の視点で深掘りする|長期収載品の今後の在り方④ 製品・販売・移行管理とデータ活用
目次
- 1. 製品方針を「管理できる情報」に置き換える
- 2. 品目・取引先・対応を共通のIDで紐づける
- 2.1 製品を識別する情報
- 2.2 取引先を識別する情報
- 2.3 対応案件を識別する情報
- 3. 製品マスタに制度・方針・実施情報を集約する
- 3.1 製品方針のステータス例
- 4. 医薬品メーカーにおける移行管理
- 4.1 影響する取引先を抽出する
- 4.2 取引先ごとの対応案件を作成する
- 4.3 例外事項を別に管理する
- 5. 医薬品卸における商品・在庫・取引先管理
- 5.1 変更日を一つにまとめない
- 5.2 卸で確認したい主な管理領域
- 5.3 取引先ごとの移行状況を把握する
- 6. CRM・SFAで製品と取引先の対応を管理する
- 6.1 管理構造の例
- 6.2 CRM・SFAで管理したい項目
- 7. BIで製品方針と移行状況を可視化する
- 7.1 ダッシュボードの例
- 7.2 アラートの設定例
- 7.3 可視化の前にデータを整える
- 8. 管理を継続するための運用ルール
- 8.1 情報ごとの管理責任者を決める
- 8.2 更新の基準を統一する
- 8.3 データの不整合を定期的に確認する
- 8.4 重点品目から段階的に始める
- 9. まとめ
- 10. 関連記事
- 11. 参考資料・URL
※本記事の作成・構成整理にはAIツールを使用しています。本記事は公的情報をもとにした一般的な情報提供を目的としており、制度対応の最終判断にあたっては、厚生労働省をはじめとする公的機関の最新情報をご確認ください。
令和8年度診療報酬改定では、長期収載品の選定療養における患者負担の水準が見直され、令和8年6月から、患者の希望により長期収載品を使用する場合の「特別の料金」は、後発医薬品との価格差の2分の1相当となりました。
また、令和8年度薬価制度改革では、後発医薬品上市後5年を置換え期間とし、その後は原則として、置換え率にかかわらずG1を適用する仕組みへ変更されました。
こうした見直しは、長期収載品の需要や薬価、収益性だけでなく、製品ライフサイクルや今後の供給方針にも関係します。
医薬品メーカーには、品目ごとに継続供給、剤形・規格の整理、製造販売承認の承継、販売移管、供給縮小・終了などの方針を決め、実際の製造・販売・供給業務へ反映することが求められます。
医薬品卸にも、メーカーの製品方針を把握し、商品マスタ、仕入れ、在庫、販売、請求、返品、納入先への案内へ反映する役割があります。
ただし、製品方針を決定するだけでは、実務上の対応は完了しません。
例えば、承継や販売移管を決定しても、商品コードや発注先の更新が遅れれば、旧コードでの発注や誤った返品先への返送が発生する可能性があります。供給終了を決定しても、影響する医療機関・薬局を把握できていなければ、案内漏れや代替品への注文集中につながることがあります。
長期収載品への対応を実行へ移すには、製品情報、販売実績、在庫、取引先、担当者、期限、対応状況を紐づけ、複数部門が同じ情報を確認できる状態を整えることが重要です。
本記事では、長期収載品の製品方針と移行対応を、医薬品メーカー・卸が品目単位・取引先単位で管理する方法を解説します。
製品方針を「管理できる情報」に置き換える

長期収載品への対応には、医薬品メーカーでは、製品戦略、制度・薬価、薬事、品質、製造、物流、営業、経営管理などの部門が関係します。
医薬品卸でも、営業、仕入れ、商品管理、在庫管理、物流、契約、請求、返品など、複数の部門が関係します。
各部門が個別の表計算ファイルやメールで情報を管理していると、次のような問題が生じる可能性があります。
- 製品方針の変更が一部の部門へ伝わっていない
- 商品コードや発注先の更新日がシステムごとに異なる
- 案内が必要な医療機関・薬局を把握できていない
- 誰が、いつまでに対応するのかが明確でない
- 対応済みと未対応の区別がつかない
- 方針変更後の需要や在庫の変化を追跡できない
こうした状態を避けるには、長期収載品への対応を、次の3つの管理単位に分けて整理します。
| 管理単位 | 主な内容 | 管理する目的 |
| 製品単位 | 製品名、剤形、規格、制度区分、製品方針、実施日 | どの品目が、いつ、どのように変わるかを管理する |
| 取引先単位 | 医療機関、薬局、卸拠点、販売実績、在庫、切替状況 | どの取引先へ影響があるかを把握する |
| 対応単位 | 対応内容、担当者、期限、進捗、問い合わせ、完了日 | 誰が何を実施するかを管理する |
製品方針を製品マスタに登録するだけでは、取引先への案内や切替対応までは管理できません。
一方、営業担当者が取引先ごとの対応状況だけを記録しても、どの製品方針に基づく対応なのかが分からなければ、商品管理、在庫、物流などの業務と連動できません。
そのため、製品、取引先、対応案件を相互に紐づけることが、長期収載品の移行管理における基本となります。
品目・取引先・対応を共通のIDで紐づける
長期収載品では、選定療養やG1の対象を剤形・規格単位で確認する必要があります。
また、製造販売承認の承継や販売移管によって、製造販売業者、販売元、商品コード、発注先などが変わることもあります。
そのため、製品名や医療機関名などの文字列だけでデータを紐づけるのではなく、共通のIDを基準に管理します。
製品を識別する情報
製品については、次のような情報を組み合わせます。
- 薬価基準収載医薬品コード
- 自社の商品ID
- 統一商品コード等の流通上の商品コード
- 一般名
- 剤形
- 規格
- 製造販売業者
- 販売元
- 旧製品と新製品の対応関係
厚生労働省が公表する長期収載品の選定療養対象医薬品リストには、薬価基準収載医薬品コード、品名、成分名、規格、メーカー名、薬価、後発医薬品の最高価格などが掲載されています。
対象リストは適用時期に応じて更新されるため、社内データへ取り込む際は、取得日や適用開始日も記録しておくことが重要です。
承継や販売移管が行われる場合は、旧製品と新製品を別々に登録するだけでなく、両者の対応関係を保持します。
これにより、旧商品コードに紐づく販売実績や在庫を、新しい商品コードへ引き継いで確認しやすくなります。
取引先を識別する情報
医療機関・薬局については、名称だけで管理すると、法人名や施設名の変更、移転、統合などによって、重複や紐づけ誤りが生じる可能性があります。
次のようなIDを利用します。
- 自社の取引先ID
- CRM・SFAの取引先ID
- 医療機関・薬局マスタの施設ID
- 法人ID
- 支店・営業所・物流拠点のID
名称、住所、電話番号などは変更される可能性があるため、同一施設を継続して識別できるIDを基準にします。
対応案件を識別する情報
同じ取引先でも、複数の長期収載品を採用している場合があります。また、同じ製品でも、取引先ごとに案内内容や切替時期が異なることがあります。
そのため、対応状況は取引先マスタに一つの項目として登録するのではなく、原則として、
製品 × 取引先 × 対応内容
の組み合わせごとに案件を作成します。
例えば、同じ薬局で、製品Aは後発医薬品へ切替済み、製品Bは長期収載品を継続、製品Cは販売移管への対応中という場合でも、それぞれを分けて管理できます。
共通IDを基準にデータを整理すると、厚生労働省の対象品目データ、自社の製品・販売データ、医療機関・薬局マスタを組み合わせ、品目別・取引先別の影響を一つの画面で確認しやすくなります。
製品マスタに制度・方針・実施情報を集約する
製品マスタには、制度情報、社内で決定した方針、実施予定、実施結果をまとめて登録します。
ただし、公表された事実と、社内で決定した内容、実施後の結果を同じ項目で上書きしないことが重要です。
| 情報区分 | 主な管理項目 |
| 製品基本情報 | 製品ID、製品名、一般名、剤形、規格、薬価基準収載医薬品コード |
| 企業・流通情報 | 製造販売業者、販売元、発注先、商品コード |
| 制度情報 | 選定療養対象、G1対象、後発医薬品上市時期、現行薬価 |
| 製品方針 | 継続、剤形・規格整理、承継、販売移管、供給縮小・終了 |
| 移行情報 | 決定日、実施予定日、最終受注日、最終出荷日、切替開始日 |
| 代替情報 | 対応する後発医薬品、その他の代替候補、供給状況 |
| 管理情報 | 担当部門、責任者、判断期限、進捗、最終更新日 |
| 情報源 | 公表資料名、メーカー案内、取得日、資料の版 |
特に、次の情報は分けて管理します。
- 公的な制度区分
- 企業として決定した製品方針
- 予定している実施日
- 実際に実施した日
- 実施後に確認された結果
例えば、販売移管の実施予定日が変更された場合も、当初の予定を削除せず、変更履歴を残しておくことで、商品マスタの更新や取引先への案内が、どの情報に基づいて行われたかを確認できます。
製品方針のステータス例
製品方針は、「継続」「終了」といった結論だけでなく、進捗も管理します。
- 検討中
- 方針決定待ち
- 方針決定済み
- 移行準備中
- 社内周知済み
- 取引先案内中
- 実施済み
- 実施後確認中
- 完了
- 保留・再検討
ステータスの名称は、自社の承認手順や業務フローに合わせて設定します。
医薬品メーカーにおける移行管理

医薬品メーカーでは、製品方針を製品マスタへ登録した後、影響する取引先と、実施が必要な社内業務を特定します。
影響する取引先を抽出する
自社の販売実績と製品方針を紐づけ、対象品目を納入している医療機関・薬局を抽出します。
確認する主な項目は次のとおりです。
- 対象品目の販売数量
- 最終販売日
- 継続的な注文の有無
- 取引先が保有している在庫の見込み
- 対応する後発医薬品の販売状況
- 承継・販売移管後の発注先変更の有無
- 過去の問い合わせ内容
- 案内を担当する支店・営業担当者
自社の取引先情報に、医療機関・薬局マスタの所在地、施設種別、診療科などを付加すると、対象品目を多く使用する可能性がある施設や、地域ごとの影響範囲を整理しやすくなります。
ただし、医療機関・薬局マスタだけで、実際の採用状況や処方数量を判断することはできません。自社の販売実績、採用情報、問い合わせ履歴などと組み合わせて確認します。
すべての取引先へ同じ対応を行うのではなく、影響度に応じて優先順位を設定します。
例えば、販売数量が多い取引先、長期収載品の注文が継続している取引先、代替品への切替が確認できていない取引先などを、優先的な対応対象として整理できます。
取引先ごとの対応案件を作成する
製品と取引先を紐づけたうえで、次のような対応案件を作成します。
| 対応項目 | 管理内容の例 |
| 案内対象 | 医療機関、薬局、卸拠点 |
| 案内内容 | 承継、販売移管、供給終了、商品コード変更等 |
| 担当部門 | 営業、学術、物流、商品管理等 |
| 担当者 | 実際に対応する担当者 |
| 対応期限 | 案内や確認を完了する期限 |
| 対応状況 | 未対応、予定、対応中、完了、再対応 |
| 結果 | 継続、切替予定、切替済み、確認中等 |
| 問い合わせ | 内容、回答者、回答日 |
| 次回対応 | 次回確認日、追加案内の要否 |
案内文書を送付しただけで完了とせず、必要に応じて、取引先が変更内容を認識しているか、切替や発注先変更が行われたかまで確認します。
例外事項を別に管理する
予定どおりに移行できない案件については、通常の進捗とは分けて管理します。
例えば、次のようなケースです。
- 代替品の供給が不安定
- 取引先に旧製品の在庫が多く残っている
- 新しい商品コードがマスタへ登録されていない
- 販売移管後の契約条件が確定していない
- 医療機関・薬局から追加説明を求められている
- 実施日までに切替が完了しない可能性がある
例外事項には、対応責任者、解決期限、次回確認日を設定し、通常の完了件数に埋もれないようにします。
医薬品卸における商品・在庫・取引先管理

医薬品卸では、メーカーから示された製品方針を、商品マスタ、仕入れ、在庫、販売、請求、返品へ反映します。
変更日を一つにまとめない
承継や販売移管では、次の日付が必ずしも同じになるとは限りません。
- メーカーから案内を受けた日
- 社内で変更内容を確定した日
- 商品マスタを更新する日
- 新しい発注先へ切り替える日
- 旧製品の最終受注日
- 旧製品の最終出荷日
- 新製品の販売開始日
- 返品先が変更される日
- 請求条件が変わる日
これらを一つの「変更日」で管理すると、部署ごとに異なる日を参照してしまう可能性があります。
適用日、発注切替日、出荷切替日、返品条件の適用日などを分けて登録します。
卸で確認したい主な管理領域
| 管理領域 | 主な確認内容 |
| 商品マスタ | 製造販売業者、販売元、商品コード、発注先、適用日 |
| 仕入れ | 旧製品の最終発注、新製品の発注開始、仕入条件 |
| 在庫 | 拠点別在庫、在庫月数、使用期限、旧製品の残数 |
| 販売 | 取引先別の注文、切替状況、受注残 |
| 物流 | 出荷拠点、拠点間移動、配送上の変更 |
| 契約・請求 | 販売条件、請求先、価格条件、契約の切替 |
| 返品 | 返品対象、返品期限、返品先、返品受付条件 |
| 取引先対応 | 案内状況、問い合わせ、代替品の案内 |
取引先ごとの移行状況を把握する
同じ製品でも、医療機関・薬局によって移行の状況は異なります。
卸では、例えば次のような区分で管理できます。
- 旧製品を継続注文中
- 新製品へ切替予定
- 新製品へ切替済み
- 代替品を選定中
- 旧製品の在庫消化中
- メーカーからの追加情報待ち
- 商品マスタ更新待ち
- 発注先変更への対応中
- 返品条件を確認中
営業担当者が把握した情報を、仕入れ、商品管理、物流部門と共有することで、過剰発注、在庫滞留、誤出荷を防ぎやすくなります。
CRM・SFAで製品と取引先の対応を管理する
長期収載品への対応では、同じ医療機関・薬局でも、製品ごとに、継続、後発医薬品への切替、承継・販売移管への対応などの状況が異なります。
そのため、CRM・SFAでは、取引先情報だけでなく、製品と取引先の組み合わせに対して対応案件を作成します。
管理構造の例
| 管理対象 | 主な情報 |
| 製品 | 製品名、規格、製品方針、実施日 |
| 取引先 | 医療機関・薬局、所在地、担当営業所 |
| 製品・取引先の関係 | 販売数量、採用品目、切替状況 |
| 対応案件 | 案内内容、担当者、期限、ステータス |
| 活動履歴 | 訪問、電話、メール、問い合わせ、回答 |
| タスク | 次回対応、確認期限、社内部門への依頼 |
取引先マスタへ「切替済み」という項目を一つ設けるだけでは、どの製品について切り替えたのかを区別できません。
製品と取引先を紐づける中間の管理単位を設けることで、取引先ごと、製品ごと、担当者ごとに進捗を確認できます。
CRM・SFAで管理したい項目
- 対象製品
- 剤形・規格
- 製品方針
- 取引先
- 担当部門
- 担当者
- 対応期限
- 対応ステータス
- 案内日
- 切替予定日
- 切替完了日
- 代替品
- 問い合わせ内容
- 次回対応日
- 未完了の理由
- 最終更新日
製品方針が変更された場合は、影響する取引先を抽出し、担当者へ一括してタスクを割り当てる運用も考えられます。
BIで製品方針と移行状況を可視化する
長期収載品対応のBIでは、売上や在庫だけでなく、製品方針、移行予定日、取引先への案内状況、代替品の供給状況を同時に確認できることが重要です。
Power BIなどのBIツールでは、利用者の役割に応じて確認する指標を分けます。
| 利用者 | 主に確認したい内容 |
| 経営・製品戦略 | 方針別の品目数、影響売上、重要案件、期限超過 |
| 製造・供給部門 | 品目別需要、代替品の供給状況、在庫、例外案件 |
| 営業部門 | 未案内先、対応期限、切替状況、問い合わせ |
| 商品管理部門 | 商品コード変更、マスタ更新状況、適用日 |
| 物流部門 | 拠点別在庫、旧製品在庫、返品、出荷状況 |
| 医薬品卸 | 取引先別切替、在庫滞留、受注残、返品対象 |
ダッシュボードの例
- 継続・承継・販売移管・供給終了別の品目数
- 実施日が近い製品の一覧
- 対応が完了していない取引先数
- 期限を超過している案件数
- 取引先への案内完了率
- 製品別・地域別の切替状況
- 旧製品と新製品の販売数量
- 拠点別の旧製品在庫
- 代替品の受注増加と欠品状況
- 問い合わせ件数と主な内容
- 商品マスタが未更新の製品
- 返品期限が近い在庫
重要なのは、グラフを表示すること自体ではなく、確認結果から次の対応を決められることです。
例えば、対応期限を過ぎた案件を表示するだけでなく、担当者へ通知し、次回対応日を設定できる状態にします。
アラートの設定例
- 実施日が近いのに案内が完了していない
- 最終出荷日が近いのに旧製品の在庫が多い
- 新しい商品コードが登録されていない
- 代替品の受注が急増している
- 欠品や受注残が増加している
- 返品期限が近い
- 一定期間、対応状況が更新されていない
- 問い合わせが未回答のまま残っている
- 予定日と実績日に差が生じている
具体的な基準値や通知先は、製品の重要度や社内業務に合わせて設定します。
可視化の前にデータを整える
BIで正しく可視化するには、製品コード、取引先ID、日付、ステータスの定義をそろえ、製品マスタ、販売実績、在庫、CRM・SFAのデータを継続的に更新できる形へ整える必要があります。
例えば、「対応済み」「完了」「案内済み」など、同じ意味のステータスがシステムごとに異なる名称で登録されていると、正確な進捗率を算出できません。
Power BIなどへデータを取り込む前に、管理単位、ID、日付の基準、ステータスの定義を統一しておくことが重要です。
管理を継続するための運用ルール

長期収載品への対応は、制度の適用時や製品方針の決定時に一度だけ確認すればよいものではありません。
販売数量、在庫、代替品の供給状況、取引先の切替状況は、実施後も変化するためです。
データベースやダッシュボードを作成しても、更新責任や完了条件が曖昧であれば、情報は次第に古くなります。
運用開始前に、次のルールを決めます。
情報ごとの管理責任者を決める
| 情報 | 管理を担当する部門の例 |
| 制度・薬価情報 | 薬価・制度担当 |
| 製品方針 | 製品戦略・事業部門 |
| 承継・販売移管情報 | 薬事・製品担当 |
| 製造・供給情報 | 製造・SCM・物流 |
| 商品コード・発注先 | 商品管理・仕入れ |
| 取引先対応 | 営業・マーケティング |
| 進捗・期限 | 案件責任者 |
| 販売・在庫実績 | 販売管理・物流 |
一つの部門ですべてを更新するのではなく、情報の発生元に近い部門が更新し、全体の管理責任者が進捗を確認する方法が考えられます。
更新の基準を統一する
次の点をあらかじめ決めておきます。
- どの資料を正式な情報源とするか
- 社内決定後、何営業日以内に登録するか
- 予定変更時に誰が更新するか
- 対応完了と判断する条件
- 問い合わせを案件へ登録する基準
- 月次・週次で確認する項目
- データを確定する基準日
- 過去の内容を変更履歴として残す方法
「案内済み」を完了とするのか、「取引先の確認が取れた時点」を完了とするのかによって、進捗率は変わります。
部門ごとに完了の定義が異ならないようにします。
データの不整合を定期的に確認する
特に、次のような不整合を確認します。
- 同じ製品に複数の商品IDが設定されている
- 旧商品と新商品の対応関係がない
- 製品方針と実施日が一致していない
- 取引先が重複登録されている
- 担当者の異動後も旧担当者が設定されている
- 完了案件に未回答の問い合わせがある
- CRMと商品マスタで製造販売業者が異なる
- 実施日を過ぎてもステータスが更新されていない
システム間で自動連携できない情報については、定期的な照合やエラーリストの出力を運用へ組み込みます。
重点品目から段階的に始める
すべての長期収載品、すべての取引先を一度に管理しようとすると、運用負荷が大きくなる場合があります。
まずは、次のような品目から管理方法を確立します。
- 承継・販売移管・供給終了の実施日が決まっている
- 対象となる取引先が多い
- 売上や在庫への影響が大きい
- 商品コードや発注先が変更される
- 代替品への需要集中が想定される
- 問い合わせが多い
- 複数部門の対応が必要
重点品目で更新方法、ステータス、ダッシュボードを検証した後、対象を段階的に広げると、実務へ定着させやすくなります。
まとめ
令和8年度診療報酬改定による選定療養の見直しと、令和8年度薬価制度改革によるG1の見直しは、長期収載品の需要や薬価だけでなく、製品方針、供給、在庫、流通、取引先対応にも関係します。
医薬品メーカー・卸が長期収載品への対応を実行するには、製品方針を決定するだけでなく、次の情報を一つの流れとして管理する必要があります。
- 対象となる品目・剤形・規格
- 継続、承継、販売移管、供給終了等の方針
- 実施日、最終出荷日、商品コード、発注先
- 影響する医療機関・薬局
- 担当部門、担当者、期限
- 案内、切替、問い合わせの対応状況
- 実施後の販売、在庫、欠品、返品の変化
医薬品メーカーでは、製品方針と影響する取引先を紐づけ、案内や移行対応を案件として管理します。
医薬品卸では、メーカーの製品方針を商品マスタ、仕入れ、在庫、販売、請求、返品へ反映し、取引先ごとの切替状況を把握します。
CRM・SFAでは、製品、取引先、対応案件を紐づけます。Power BIなどのBIツールでは、未対応先、期限超過、旧製品在庫、代替品への需要集中などを可視化し、次に対応すべき案件を明確にします。
また、自社の販売実績に医療機関・薬局マスタの所在地、施設種別、診療科などを組み合わせることで、長期収載品対応の影響先を品目・施設・地域単位で具体化できます。
データ活用の目的は、情報を集めることやグラフを作ることではありません。
どの品目について、どの取引先へ、誰が、いつまでに、どのような対応を行うのかを明確にし、長期収載品の製品方針を実際の販売・供給・移行対応へ確実に反映することが重要です。
※本記事は公表資料をもとに制度とデータ活用上の論点を整理したものです。個別製品の制度区分、製品方針、製造販売承認の承継、販売移管、供給終了等については、厚生労働省の最新資料、各製造販売業者の公式情報および自社の社内手順をご確認ください。
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参考資料・URL
● 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」
● 厚生労働省「後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について」
● 厚生労働省「令和8年度薬価制度改革について」
● 厚生労働省「令和8年度薬価基準改定の概要」
● 中央社会保険医療協議会「令和8年度薬価制度改革の骨子」
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