Salesforceのキューとは?使い方や特徴を解説
ITの概念でデータ構造のひとつとなる“キュー(queue)”は、待ち行列のことです。
要素は、入ってきた順番で行列をつくり、先に入ってきた要素から処理されていく仕組みがキューの概念となります。
Salesforceのデータ構造にも、キューの概念があり、特定のオブジェクトで活用される役割になるでしょう。
今回の記事では、Salesforceのキューについて、使い方や特徴などを解説していきます。キューの設定方法や、割り当てルールの作り方の理解を求めている企業担当者のお役に立ててください。
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◆Salesforceのキューとは?基本的な定義と注意点を理解しよう
Salesforceで使われるキューについて
Salesforceで使われるキューとは、待ち行列のことではありません。Salesforceでは、ユーザをグループとしてひとつの集合体にまとめた状態をキューといいます。キューは、定められたオブジェクトで活用できる機能です。
- ケースで活用
- 連絡要求で活用
- リードで活用
- 注文で活用
- カスタムオブジェクトで活用
- サービス契約で活用
- ナレッジ記事で活用
- ToDoで活用
キューで活用できる機能① ケース
ケースは、顧客のアクション結果となる課題やフィードバック、質問などが該当します。企業のサポート担当にとって、将来のサービス向上の検証材料となるでしょう。ケースに反応することで顧客との関係性を強化できます。
キューで活用できる機能② 連絡要求
連絡要求は、フロー項目のひとつのオブジェクトです。AppExchangeパッケージでの連絡要求フローでは、参照権限のあるユーザを指定する必要があります。
キューで活用できる機能③ リード
リードは、購入まで至っていない見込み客のことです。Salesforceでは、リード管理を中心として、見込み客の興味関心を高めるナーチャリング(育成)を実行します。
キューで活用できる機能④ 注文
注文は、システム管理者が取引先や取引責任者と交わす顧客間契約のことです。注文では、商品の数量や価格、注文日などをレコードとして蓄積します。
キューを活用できる機能⑤ カスタムオブジェクト
カスタムオブジェクトは、キューメンバーのユーザが後から作成したオブジェクトです。オブジェクトは、事由にカスタマイズできます。
キューで活用できる機能⑥ サービス契約
Salesforceでは、「サービス契約」によってユーザと顧客間で顧客サポート契約が可能です。サービス契約もひとつのキューとしてグループ化できます。
キューで活用できる機能⑦ ナレッジ記事
ナレッジ記事は、自社の知見を高めるための学習コンテンツの保存手段です。ナレッジ記事では、翻訳や管理、公開などの学習コンテンツを記事化します。
キューで活用できる機能⑧ ToDo
ToDoは、行動スケジュールの「やるべきこと」を明確にする行動です。Salesforceでは、2021年よりキューで活用可能になりました。
キューの特徴
キューは、それぞれのユーザに割り当てるのではありません。キューメンバーとして登録した複数のユーザを割り当てられます。複数のユーザを割り当てる際は、一時的な割り当てが可能です。
キューメンバーは、キューにレコードが割り当てられるたびにメールで通知を受け取れる仕組みになります。キューメンバーとして登録されているユーザは、メールで通知が届くのが通常の状態です。
キューのメリット
キューのメリットは、オブジェクトに所有者未定のレコードがある場合、一時的なキューメンバーとしての割り当てができる点です。また、割り当てルールの活用では、キューで作られたグループメンバー全員にアクセス拡張を適用できます。
キューメンバーを追加する際の注意点
キューメンバーを追加する際は、ゲストユーザをキューのメンバーに追加できないことに注意が必要です。また、キュー内のロール階層メンバーは、「ロール&下位ロール」になりますが、デジタルエクスペリエンスが有効になっていると、次のように変換されます。
ロール&下位ロール→ロール、内部&ポータル下位ロール
Salesforceのキューを使うには
Salesforceのキューを使うには、キューとしてグループ単位でレコードを受け取る設定と割り当てルールが必要です。
設定手順
Salesforceのキューの設定手順は、次のようになります。まず、リストビューからキューにアクセスして設定する流れです。
- 「設定」を選択
- 「ユーザ」を選択
- 「キュー」を選択
- 「新規」を選択
- キューの名前を設定(表示ラベル):キュー名はグループナンバーが割り当てられる
- キューをサポートするオブジェクトの指定:割り当てるオブジェクトの選択
- キューメンバーの指定:追加するユーザの指定
割り当てルールの作り方
キューを設定したら、続いてオブジェクトの「割り当てルール」を作ります。
- 新規の割り当てルールとして、ルール名の設定
- 割り当てルールレコードを選択
- エントリの作成:順番を「1」・ルール条件の設定・割り当てユーザに「キュー」を指定
キューの割り当てにより、運用の幅が広がります。
キューをデータローダで作る場合
キューをデータローダで作ることは、複数のキューが増えてしまったときの対処になるでしょう。キューが増えてくると、設定画面から1つひとつ作成するのでは効率が悪くなります。そのため、データローダから作成することが必要です。手順は、次のようになります。
- キューグループに登録する
- 登録済みのキューに割り振られたIDを取得する
- 取得したキューのIDとオブジェクトの種別に合わせてサポートされるオブジェクトを登録
- 取得したキューのIDでグループメンバーを登録
- ユーザIDと公開グループ、ロールIDでグループメンバーの登録
キューへの追加は割り当てルールが有効
キューは、レコードを手動で追加する場合に、レコードの所有者を変更するだけで実行可能です。キューへの追加は、特定のレコードの条件により実行できます。たとえば、リードやケースなどのオブジェクトの場合は、レコードが所有者に割り当てられるまでキューに溜まっている状態です。
キューでは、未割り当てのレコードが溜まっているため、キューで指定されたメンバーであれば、グループ内に蓄積されたレコードを所有できます。また、指定されたメンバーではなくても、ロール階層で上位にいるメンバーであれば、レコード所有権の獲得が可能です。
承認プロセスをキューへ割り当てる
キューでは、関連するオブジェクトでキューがサポートされている設定であれば、承認プロセスを割り当てられます。承認プロセスとは、申請者が業務遂行の許可を許可権限者から承認を得る一連の流れ(プロセス)です。
承認プロセスは、関連するオブジェクトでキューがサポートされていることが条件となりますが、メール承認は、サポート対象外です。承認プロセスは、すべてのキューメンバーが承認したり、却下したりできます。
キューメンバーや公開グループからゲストユーザを削除する方法
キューメンバーや公開グループメンバー(ゲストユーザ)は、すべてのインターネットユーザ
に該当するため、レコードを参照されてしまう可能性があるでしょう。さらに、キューメンバーがゲストユーザのアクセスを把握できないことも考えられます。レコードの共有範囲のセキュリティを高めるには、ゲストユーザの削除が必要です。
ゲストユーザを含んだキューや公開グループでは、「ゲストユーザアクセス」レポートを活用します。削除方法は、次のとおりです。
- Salesforceの「設定」を開く
- 「クイック検索」ボックスに「キュー」または「公開グループ」と入力
- 「キュー」または「公開グループ」を呼び出す
- メンバーを確認してグループにゲストユーザがいる場合は該当ユーザを削除
- 「保存」する
まとめ
Salesforceのキューについて、特徴や使い方、ルールなど解説してきました。
キューは、グループを作成する役割として、
- レコードの優先付けや配布・割り当てを実行します。
- 制限がなく複数作成できるため、取得したIDによるデータローダから作成することが効率的です。
- キューに追加したメンバーは、メール通知を受けられ、上位ロール階層のメンバーであればレコードの所有権を持てます。
このように、キューは特定のユーザグループをつくるための機能です。リードを持っている担当者から所有者を営業担当へ割り当てたいときに役立ちます。担当者が忙しいときに、他の担当者へ割り当てられるための機能です。
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投稿者プロフィール
- Salesforceの導入を支援するフロッグウェル株式会社のシニアコンサルタント。Salesforce導入前の課題整理や戦略検討から、導入支援、定着化・保守など、多岐にわたるサポートを経験。Salesforce認定SalesCloudコンサルタント、上級アドミニストレーターの資格を保有。