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マーケティングにも使えるオススメのオープンデータまとめ

マーケティングの基本

ビジネスの世界で利益を出すには、需要と供給を調べ、その事業に投資する価値があるかどうかを見極めることが大切です。それがマーケティングです。需要供給がどれくらいあるのかを知るには「ビッグデータ」を利用し、解析していることが多いことは皆さんもよくご存じの事と思います。大きな企業は、ネット上の買い物などからデータを吸い上げてそれをマーケティングに利用していますが、そのようなデータはなかなか入手することは出来ません。それで、公開されているオープンデータからデータを入手、解析することが良いでしょう。

営利企業と病院経営両方のマーケティングに役立つオープンデータ


さて、マーケティングの基本は「お客さんがどれだけ存在するか?」です。まあ今はeコマースが発展してきたので、お店はどこに開店してもグローバルな商売ができるようになってきましたが、それでもどこに広告を打つかなどを考えるのに人口の情報はとても重要です。

医療業界はなおさらです。患者と医療者が直接会う事によって仕事が始まるこの業界は、診療所であれ、病院であれ人口は重要な要素です。
そんな時に役立つのは日本が5年ごとに行っている「国勢調査」です。

総務省はオープンデータとして、この「国勢調査」も公開しています。
https://www.e-stat.go.jp/stat-search?page=1&toukei=00450022

今公開されているのは2010年のものですが、そろそろ2015年のものも後悔されるでしょう。2022年1月現在、最新の国勢調査は2020年ですが、2020年はネットでの調査が組み入れたので総務省のデータ処理も早くなるのではと私は思っています。それによって更に最新のデータが手に入ることになります。

ご存知のように国勢調査は全国の人口から各県の人口、そしてその年齢構成などが網羅されています。これによって患者さんの発生数、必要な診療科が推定できます。高齢化率が高く、15歳未満人口が少ない地域なら、高齢者がよく罹患する疾患を診療する診療科を標榜できるようにして、小児科系には重きを置かないなどの選択ができる訳です。その地域への人口の流入数もわかるので、その地域がどんどん細っていく地域なのか、伸びていく地域なのかも推定することができます。このようにマーケティングをして新規開院の準備をすると良いでしょう。

もちろん新規開院の時のみならず、経営改善や更なる経営発展のために、病院の機能を見直したり、各診療科の人員の検討を行ったりする事もできるでしょう。また、一人世帯の情報も得られます。高齢化地域で一人世帯が多いという事は、見守りシステムや、往診・訪問看護が重要なリソースであることが分かるわけです。反対に、若い世代が多い地域で一人世帯が多いという事は、医療機関はあまり必要ではないという事になります。むしろコンビニを作るほうが良いでしょう。

医療業界に特化したオープンデータ

さて、「患者さん候補」の状態から考えるマーケティングの方法はある程度できることが分かってきたと思います。
さらに、突っ込んだマーケティングにつかえるデータは同じく総務省から出ている「患者調査」があります。
https://www.e-stat.go.jp/stat-search?page=1&toukei=00450022

これには、外来患者、入院患者の数を元にした様々なデータが含まれています。
このデータが医療機関におけるマーケティング非常に有用な点は、各県ごとのデータのみではなく、2次医療圏ごとにデータも提示されていることです。

オープンデータ「患者調査」の外来患者数をマーケティングに使うには

まず、外来患者数のデータの例をお示しします。2次医療圏での外来患者数が診療所、と病院とそれぞれに分けて提示されており、開業医ならばまだそこに開業する余地があるかを検討することができます。病院ならばその外来患者数の診療所対病院比率を見ることにより「病診連携」が出来ている地域なのか、病院が外来患者を多く診ていて大きな病院のいわゆる「患者囲い込み」が行われているのかを判断することができます。

今は「かかりつけ医(診療所の医師)」をしっかり持とうということが一般の方々に周知されており、軽症患者の大病院志向を是正しようとしています。「かかりつけ医」からの紹介状がない患者さんは自己負担が多くなる仕組みにもなっており、大病院の外来が多くなるのを防ぐ仕組みになっています。それ故、外来を多く集めて病院経営をするということが難しくなり、病院は病診連携抜きでは経営が成り立たなくなっています。病院は入院に特化した経営体制を構築しなければなりません。そこで地域の外来患者の傾向を見ることで、入院患者のマーケティングを行う事になります。

「病診連携」がしっかり行われている地域は、診療所へのプロモーションを重点に行わなければならないという事になります。反対に病診連携がしっかりされていないような地域は、自院が「病診連携」をしっかり構築していくことで「囲い込み」をしている病院に対抗して地域の診療所とWin-Winの関係を作ることによって自院の優位性を出すことができる訳です。

また、外来患者の疾患群構成も提示されています。これにより病院が強くて診療所が弱い疾患群が分かり、どのような患者さんを自院で診ていけばいいのかという事もわかってきます。こうして診療連携を構築していきながら、診療所が苦手とする疾患群のバックアップ体制を作ることにより、診療所がその患者を外来で診療することができるようになります。診療所の医師は、バックアップがしっかりしていればやや苦手な疾患群も外来管理をしてくれるものです。それにより、病院勤務医の外来負担が減り、さらに紹介・入院診療に注力できるようになるのです。経営者は外来負担を減らした分、入院患者が増えるようにマーケティングで得られた情報で、自院の収益を伸ばしていくための経営戦略をたてることになります。

オープンデータ「患者調査」の入院患者数をマーケティングに使うには


外来患者のデータをもとに、戦略を立てることをお話ししましたが、実際、その地域にはどのような患者さんが入院しているのかということを把握することも重要です。

この総務省のオープンデータ「患者調査」の入院患者データには、二次医療圏ごとの疾患別の入院患者数が掲載されています。それによって、その地域で多い疾患群の把握ができ、自院で入院機能を強化するべき診療科を検討することができます。同時に、自院で入院患者が少ない診療科が、本当に地域の需要が無いから少ないのか、自院のプロモーションが弱くて患者が集まっていないのかを把握することができます。

このデータは二次医療圏順に並んでいますので、周囲の二次医療圏の状況もわかり、その患者を流入させることにより、さらに集患を行うべき猶予のある診療科も把握できます。
それと施設別のDPCデータを組み合させることにより、さらに戦略を立てやすくなります。施設別のDPCデータも厚生労働省のホームページで公開されています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000196043_00004.html

オープンデータをマーケティングに生かす

このように、病院経営に役立つさまざまなオープンデータがたくさんあります。
これを元に自院の経営戦略に役立ててください。

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