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Tableau OnlineとTableau Serverの違いとは 選ぶ際のポイントをご紹介

Tableau Desktopで個人的な使い方には慣れてきたけど、組織内でも広くTableauを使っていきたいと考えている方もいらっしゃると思います。
その時に候補に挙がるのはServerとOnlineですが、価格が違うけど何が違うの?何を基準に選べばいいの?といった方に向けて選ぶ際のポイントを紹介させて頂きたいと思います。

Tableau OnlineとTableau Server

Tableau OnlineとTableau Serverはどちらの製品も、組織でデータ分析内容を共有して次の施策の意思決定を支援するという同じ目的がありますが、Tableauをインストールする先が異なります。

Tableau Server


Tableau Serverではユーザー自身でオンプレミスもしくはクラウド上のサーバーなどの環境を用意し、製品インストールから管理・保守運用まで行う必要があります。ユーザー自身で様々な管理を行うことができるので、金融機関などのセキュリティ強度が高い企業に選択されることが多いです。

なお、オンプレミスとは、情報システム(サーバーやミドルウェア、ソフトウェアなど)をユーザーが管理している執務室やサーバールームに機器を設置して運用することです。オンプレミスは自社管理下での構築となるので、システムのカスタマイズが容易で自社システムとの連携機能開発も行いやすいというメリットがあります。

また、自社ネットワーク内という閉ざされた環境でシステムを動かすため、関係のない第三者がシステムにアクセスしにくく、セキュリティ上の安全性が高いこともメリットの1つです。その反面、サーバーそのものや諸々の構築費用等すべてを自社で用意する必要があるのでイニシャルコストがかかりますし、構築時間が長くかかるというデメリットもあります。また保守契約のない障害・トラブルの対応については自社で行う必要があることにも注意が必要です。

Tableau Online


Tableau Onlineは、Tableau ServerのSaaS版だと考えてください。もしこれを選んだ場合、Tableau含む全環境のインストールやアップデート、保守・運用・監視等の業務はTableau社責となり、ユーザーは実施不要です。クラウドサービスということもり、データ接続方法についてはTableau Serverと比較して制約がありますが、データ分析機能は同じ機能を有し、より簡単に始めることができます。

なお、「SaaS」は「Software as a Service」の略で、インターネットを通じてクラウド上に作られたアプリケーションやサービスを利用する形態のことです。

Tableau Server とTableau Onlineの違い

それでは具体的な違いを見ていきましょう。

特徴

まず特徴は以下の通りです。

Tableau Server Tableau Online
製品 オンプレミス版 SaaS(クラウド)版
インストール先 自社管理下サーバ
(Azure等のクラウドも可)
Tableau社が用意したサーバ
(自社区画が設定される)
データのやりとり 自社ネットワーク内で完結 全てインターネット経由

データのやりとりについて、Tableau Onlineはインターネット経由となるので、ここがセキュリティポリシーに抵触する企業が多いようです。

メリット・デメリット

続いてメリット・デメリットの比較です。

メリット デメリット
Tableau Online 製品インストール先サーバーの用意が不要 ライセンス料が比較的高い
運用にかかる各種メンテナンス不要 回線ひっ迫状況の影響を受ける
(インターネット使用であるため)
クラウド上のデータソースと直接接続できる セキュリティやガバナンス、メンテナンスにおいて
独自の設定ができない
Tableau Server インターネット回線の影響を受けない
(インストール先がオンプレの場合)
動作用のサーバーの用意が必要
データのやり取りは全て自社内で行える セキュリティやガバナンス、メンテナンスが必要
セキュリティやガバナンス、メンテナンスにおいて独自の設定が可能 サーバー追加の場合は追加費用が高額
比較的ライセンス料が安い

Tableau OnlineとTableau Serverのどちらを選ぶべきか?

みんなで安く使えるからTableau Onlineを使おう、という判断は危険です。この2つの製品の選定については、組織としての製品利用方針とデータ分析推進方針の2つを検討した上で方針に合致する方を選ぶと良いでしょう。
とはいえ、どういう観点を見ていけばいいのか、わからない方が多いかと思います。そこで、確認ポイントをいくつか紹介します。

分析する/したいデータソース

まず、Tableauで分析したいデータソースの格納先と媒体を確認しましょう。自社ネットワーク内の業務用ローカル端末にあるAccessなのか、自社サーバールームにあるOracle DBなのか、AWS(パブリッククラウド)のS3なのかetc..

そして、Tableauでレポートを作成するに際して、データソースの更新頻度はどのくらいなのかを確認しましょう。レポートの内容にもよりますが、webサイト訪問実績速報などでしたらそのソースはリアルタイムで更新されているものが良いでしょうし、営業月次報告レポートでしたら1か月、マスターデータの可視化でしたらソースの更新は不要になります。

Tableau ServerとTableau Onlineでは、接続データ断面の持ち方が異なるので、これらを確認する必要があるのです。Tableau Serverの場合、一部抽出のみのものもありますが、ソース更新をリアルタイムで分析内容に反映する「ライブ」か、ソースをある断面に固定する「抽出」を選べます。

しかし、データソースにもよりますがTableau Onlineでは「ライブ」ができません。この理由により、データソースは何か、その更新頻度はどのくらいかを把握する必要があるのです。

「サイト」を複数用意する必要があるか

情報管理の都合で部署毎にTableauの運用管理していく、といった計画をしていて、区画を意味する「サイト」の追加で対応しようとすると、Tableau Onlineに限り、課金が発生します。
サイトを分け、それらの権限設定を行うことでユーザー毎に見えるビューやダッシュボードを分けることが出来るようになりますが、サイトの追加は追加コストが発生します。


1サイト内でも、パーミッションとユーザーロールの組み合わせで、AさんにはAダッシュボードしかアクセスできない、というアクセス管理は実現できます。ただ、このような設定の理解や実行は、複雑なので管理者側にもある程度の慣れが必要です。もし設定を間違えたら、ユーザーが本来閲覧できないものが見えてしまう可能性があります。

企業によっては情報区分を整理していて、この情報は関係者以外が閲覧してはいけない、といったルールがあることもあります。そのような社内ルールをしっかりと確認しましょう。逆にルールが特に無い場合、存在するが気にする必要が無い場合は、Tableau Onlineを使うと良いでしょう。
Tableau Serverはサイト追加にコストがかかりません。

セキュリティポリシー

前述の通り、Tableau Onlineはユーザー毎に割り当てられた区画をTableau社が貸し出しているサービスですので、インフラ管理をユーザーが行う必要はありません。

Tableau Onlineが、自社のセキュリティポリシーを満たしているかは確認する必要があります。そして、自社の機密情報を他社クラウド上にアップロードしていいのか、といったことを確認しましょう。

セキュリティポリシーに抵触する/しそうと判断されたら、どの程度のデータなら使用可なのか、そもそもSaaSサービスの利用自体が不可なのか、まで確認しましょう。完全に利用NGとなった場合は、Tableau Desktopで頑張るか、セキュリティポリシーに合致することができるサーバー環境を用意した上でTableau Serverを構築するなどの方法が考えられます。

認証方法


Tableau Serverには、ユーザー認証の方法としてローカル認証とActive Directory認証を選択することができます。また、オプションで他の認証等を使用することもできます。

一方、Tableau Onlineは認証方法が限られ、ローカル認証のみとなっており、選択できるオプションはSAMLとGoogleの2つになります。
仮にActive Directory認証が要件にある時はTableau Serverを選択する必要があります。自身の組織の要件を確認すると良いでしょう。

【まとめ】

いかがでしたか?
Tableau ServerかTableau Onlineのどちらかを選ぶ際のポイントを紹介させていただきました。

自分の組織の方向性や要件をTableau製品が満たしているかを見ていくのは大きな労力を伴いますが、乗り越えることが出来ればデータ活用組織に大きく近づくことが出来るようになります。
ぜひご検討ください。

投稿者プロフィール

杉山 真吾
PowerBI、TableauなどのBIツールの導入を支援するフロッグウェル株式会社のシニアコンサルタント。データ分析基盤設計やデータモデル・レポート設計、運用コンサルティングなど、多岐にわたるサポートを経験。

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