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Salesforce Data 360(旧:Data Cloud)とは データ統合・AI活用の実践手順を分かりやすく解説

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企業が保有するデータは、営業・マーケティング・カスタマーサポートなど、部門ごとに異なるシステムで管理されていることが多く、顧客を統一的に把握することが難しいという課題を抱える企業も少なくありません。

こうした課題を解決し、顧客情報を一元化してリアルタイムに活用できるようにするのが「Salesforce Data 360(旧:Data Cloud)」です。
Data 360を活用すれば、Salesforce内外のデータを統合し、AIによる分析やパーソナライズに活かすことができます。

この記事では、Data 360の概要や仕組み、導入手順、導入を成功させるためのポイントを解説します。
マーケティング担当者の方はもちろん、データ活用を強化したい企業担当者の方もぜひ参考にしてください。

※名称変更について
Salesforce Data Cloud は、2025年10月に「Data Cloud」から「Data 360」へ名称変更されました。これは、顧客を360度で把握するプラットフォームという位置づけをより明確にするためです。なお、Salesforceの設定画面や権限セット名は現時点では「Data Cloud」の表記が残っていますが、本記事では最新名称である「Data 360」に統一して解説します。

Data 360とは


Data 360とは、営業・マーケティング・サポートなどに分散した顧客データを一箇所に集約し、リアルタイムで活用できるようにするSalesforceのデータ基盤です。
ここでは、Data 360の概要と、どのように活用できるのかを解説します。

Salesforce Data 360の概要

Salesforce Data 360は、社内外の顧客情報をまとめて管理し、同一顧客に関するデータをひとつに統合できるプラットフォームです。

これまでシステムごとに管理されていた情報を統合することで、顧客の行動・購買・問い合わせなどをまとめて把握できるようになります。
これにより、「営業システムの顧客A」と「マーケティングツールの顧客A」を同じ人物として統合でき、顧客の情報を企業全体で統一して管理することができます。
また、統合された情報はSalesforceのAIとも連携でき、購入確度の高い顧客の抽出や最適な配信タイミングの提案など、マーケティングにも活用できます。

Data 360で実現できること

Data 360を導入することで、分散していたデータを活用可能な形に整理し、次のようなことが実現できます。

  • 営業・マーケティング・サポートにまたがる顧客情報を一元管理できる
  • 行動履歴や購買履歴などを組み合わせ、顧客の現在の状態を把握できる
  • AIで「購入しそうな顧客」や「フォローが必要な顧客」を自動抽出できる
  • 顧客ごとに最適なメッセージや施策を実行してマーケティングの精度を高めることができる

このようにData 360は、点在するデータを整理し、企業のマーケティング・営業活動に活かせる形に整えるための非常に有効なプラットフォームです。

データ統合の仕組みとAI活用


Salesforce Data 360は、顧客データを「集める・整理する・活用する」までを一貫して行えるプラットフォームです。

ここでは、データをどのように統合し、AIでどのようにマーケティングに活かせるのかを紹介します。

データモデルとID統合

Data 360のデータモデルとは、システムごとに異なる形式で管理されている情報を共通の形式に揃え、ひとりの顧客として扱えるように整理する仕組みです。

Data 360で扱えるデータの例は次のとおりです。

  • 顧客情報(氏名、メールアドレスなど)
  • 行動データ(Web閲覧、メール開封)
  • 購買データ(注文履歴、カート情報)
  • サポート履歴(ケース・問い合わせ)
  • マーケティングツールや広告などの外部データ

たとえば、

  • メルマガ登録のメールアドレス
  • ECサイトの会員ID
  • 店舗ポイントカード番号

といった別々のシステムにある情報を、同じ人物として紐づけて整理できます。
このように、データモデルは点在するデータを共通ルールに沿って統合し、顧客の全体像を把握できる状態にするための仕組みです。

Agentforceとの連携

統合したデータは、SalesforceのAI「Agentforce」と組み合わせて活用することで、マーケティングや営業活動を自動化できます。

活用例

  • AIが「購入しそうな商品」を予測
  • フォローが必要なリードの優先順位を提示
  • 最適なメール文面を自動提案
  • 離脱の兆候を早期に察知

Data 360で統合された情報をもとに、Agentforceが「どの顧客に」「どんなアプローチをするべきか」を自動で判断し、実行につなげられるようになります。

Data 360の活用例

Data 360で統合した顧客情報は、分析だけでなく、日々の営業・マーケティング活動にも直結して活用できます。

具体的な活用例は次のとおりです。

  • 顧客の全体像を可視化
  • 複数のシステムから集めた情報をひとつにまとめ、行動・購買・問い合わせ履歴を一覧で確認

  • ターゲティングの精度向上
  • 共通の特徴を持つ顧客グループを抽出
    例:
    ・過去30日以内に資料請求した顧客
    ・3ヶ月以内に2回以上購入した顧客

  • AIによるパーソナライズ
  • AIがメール配信タイミングやフォロー内容を提案するなど、営業・マーケティング活動を自動化

Data 360の導入手順


Data 360を活用するには、まず顧客データを取り込み、用途に合わせて整理し、マーケティングや営業活動に使える状態にする必要があります。
ここでは、Data 360を実際に設定する際の流れを解説します。

Data 360の基本設定

Data 360を利用開始するには、以下の基本設定を済ませておく必要があります。

  1. 権限の割り当て
  2. Salesforce組織の接続(必要な場合のみ)
  3. データソースの接続

 

まず、Data 360を利用するユーザーには、適切な権限セットを割り当てます。「Data Cloud 管理者」や「Data Cloud ユーザー」の権限セットを付与することで、データストリームの作成やデータモデルの設定などの操作が可能になります。

次に、別のSalesforce組織のデータを取り込みたい場合は、接続設定を行います。

外部データを取り込む場合は、利用するデータソースとの接続を追加します。Amazon S3、Marketing Cloud、外部データベースなど、扱いたいデータに応じて必要な接続を設定します。

データストリームの設定

基本設定が完了したら、外部システムやSalesforce内のデータをData 360へ取り込むための「データストリーム」を作成します。

データストリームは、Data 360にデータを流し込むためのデータの入口にあたる機能で、ここで取り込んだデータが後続の分析やAI活用のベースとなります。

データストリーム作成の主な設定ステップは次のとおりです。

  1. Data 360のナビゲーションメニューから「データストリーム」タブを開き、「新規」をクリック
  2. 取り込み元(Salesforceオブジェクト、S3、Marketing Cloudなど)を選択
  3. 取り込む項目を設定
  4. スケジュールを設定して取り込みを開始

データモデルの設定

Data 360にデータを取り込んだら、次に「データモデル」を設定します。
データモデルとは、取り込んだデータ同士の関係性を整理し、統合された顧客情報として扱えるようにするための仕組みです。

データモデルの主な設定手順は次のとおりです。

  1. 作成したデータストリームを開き、データマッピングの「開始」をクリック
  2. データモデルエンティティに対して、項目のマッピングを設定

セグメント作成と有効化

データモデルの設定が完了したら、取り込んだデータをマーケティングに活用するために「セグメント」を作成します。

セグメントとは、特定の条件に合致する顧客を抽出するためのグループのことで、メール配信・広告・キャンペーンなどに利用できます。

セグメント作成の主な設定手順は次のとおりです。

  1. Data 360のナビゲーションメニューから「セグメント」を開き、「新規」をクリック
  2. 抽出したい顧客の条件を設定し、保存
  3. セグメントを保存して、有効化

導入時の注意点と成功のポイント


Data 360を効果的に活用するためには、導入前にいくつか押さえておきたいポイントがあります。中でも「データ品質」「プライバシー対応」「運用体制」の3点は、Data 360を運用する上で重要となるため、導入前に整理しておく必要があります。

データ品質管理の重要性

Data 360の効果は、取り込むデータの品質に大きく左右されます。重複や表記ゆれ、欠損が多いデータのままでは、AI分析や顧客グループ抽出の精度が落ちてしまいます。

対応策の例は次のとおりです。

  • 取り込み前に最低限のクリーニング(重複の除去・表記の統一)を行う
  • 社内でデータの表記ルールを統一する
  • 欠損の多い項目は利用方針を整理する

Data 360の機能を十分に発揮するためには、取り込むデータが一定の品質で整備されていることが重要です。

プライバシー・同意管理への対応

Data 360では、顧客の行動データや属性データを扱うため、企業側にはプライバシーや同意管理への適切な対応が求められます。

主な対応ポイントは次のとおりです。

  • どのデータを取り込み、何に利用するかを明確にする
  • 個人情報保護法などの法規制に沿った運用にする
  • 社内でデータ利用ルールやガイドラインを整備する

 
特にマーケティング用途では、同意を得ていないデータを使わないことが重要です。

なお、Data 360には同意管理機能があり、顧客の同意状況を反映した上でデータを活用できます。これにより、同意に基づいた適切なマーケティング運用が行えます。

Data 360導入を成功させるポイント

Data 360は多機能なため、導入時にすべてを一度に使いこなす必要はありません。まずは目的を明確にし、優先度の高い領域から段階的に進めるのがポイントです。

成功に向けたステップは次のとおりです。

  • 最初に活用目的(例:顧客理解の向上、休眠顧客の掘り起こし)を明確にする
  • 小規模なデータ統合 → 条件抽出 → データ活用の流れでスモールスタートする
  • 運用開始後は、データ品質や抽出条件を定期的に見直す
  • 営業・マーケティング・サポート部門と連携し、チームで運用できる体制を整える

 
Data 360は導入して終わりではなく、使いながら設定やデータの内容を見直していくことで、より効果を発揮できるプラットフォームです。継続して改善できるように、担当部門が連携して運用できる体制を整えておくことも重要です。

まとめ

Salesforce Data 360は、社内外に分散したデータを統合し、顧客をより深く、一貫した形で把握できるようにするためのプラットフォームです。

データストリームによる取り込みから、データモデル構築、セグメントの作成・活用といった手順で、営業・マーケティング活動の質を高めることができます。
Data 360を最大限に活かすためには、データ品質の維持やプライバシー対応、運用体制の整備も大切です。

顧客理解を深め、マーケティングの精度を高めたい企業や担当者の方は、ぜひData 360の活用を検討してみてください。

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