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Salesforceの画面フローが進化 – リアルタイムな画面更新で業務効率向上

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日々のSalesforce業務で、こんな場面に出会ったことはありませんか?

取引先の詳細を確認しながら、関連する商談情報を参照する作業。画面を行ったり来たりしながら、必要な情報を集めていく。その度に「次へ」ボタンをクリックし、画面の更新を待つ。一連の作業に、少しずつ時間がかかってしまう。

この課題に対して、Salesforceは画期的な解決策を用意しました。Spring’23から導入されたReactive Screen Flowです。この機能を使えば、画面上の異なる場所に配置された情報が、クリック一つで即座に更新されるようになります。
たとえば、取引先リストから1件を選択すると、その取引先の詳細情報が画面の別の場所にすぐさま表示される。これまでのような画面遷移や更新待ちの時間は必要ありません。
本記事では、この新機能の活用方法を、実際の業務に即した形で解説していきます。プログラミングの知識がなくても、フロービルダーの操作だけで実装できる手順をお伝えします。

画面フローの新しい可能性

画面フローは、Salesforceの業務を効率化する強力なツールとして、多くの現場で活用されてきました。しかし、これまでの画面フローには、ある制限がありました。

それは、画面上の異なるコンポーネント間でのデータのやり取りです。たとえば、画面の左側で取引先を選択し、その詳細情報を右側に表示したい場合。これまでは「次へ」ボタンをクリックするか、画面を再読み込みする必要がありました。
この制限は、特に以下のような場面で業務の流れを止めてしまいがちでした。

  • 複数の取引先から1件を選び、その詳細情報を確認しながら入力作業を進める場合
  • 商談情報を見ながら、関連する商品を選択していく場合
  • 顧客の連絡先情報を確認しながら、メール文面を作成する場合

Reactive Screen Flowは、このような課題を解決します。画面上の異なる場所に配置された情報が、ユーザの操作に合わせて即座に更新されるようになりました。
具体的な変化を見てみましょう。従来の画面フローでは、次のような流れでした。

  1. 取引先リストから1件を選択する
  2. 「次へ」をクリックする
  3. 画面が更新されるのを待つ
  4. 選択した取引先の詳細が表示される

Reactive Screen Flowでは、この流れが大きく変わります。

  1. 取引先リストから1件を選択する
  2. 即座に詳細情報が表示される

この違いは、一見わずかに思えるかもしれません。しかし、1日の業務の中で何度も繰り返される操作です。数秒の待ち時間が積み重なれば、大きな時間のロスになっていました。
さらに重要なのは、業務の流れが途切れないということです。必要な情報がすぐに目の前に現れることで、ユーザは作業に集中し続けることができます。

また、この機能の導入にあたって、特別なプログラミング知識は必要ありません。これまでフロービルダーを使ってきた管理者であれば、すぐに実装することができます。Spring’23の時点ではベータ版として提供されていますが、基本的な機能は十分に実用的なレベルです。

仕組みを理解する

Reactive Screen Flowの仕組みを理解するために、まずは基本的な要素を見ていきましょう。
この機能の中心となるのは、画面フロー内での「データバインディング」です。これは、画面上の異なるコンポーネント間でデータを直接結びつける仕組みです。たとえば、データテーブルで選択された行の情報を、テキスト表示用のコンポーネントにすぐさま反映させることができます。

設定を始める前に、いくつかの重要な点があります。
まず、この機能を利用するには、組織で[プロセスの自動化設定]から[Opt in to Reactive Screens Beta]を有効にする必要があります。ベータ版の機能のため、本番環境での利用前には必ずサンドボックスでの十分なテストをお勧めします。

次に、画面フローのコンポーネントについてです。Reactive Screen Flowで利用できるコンポーネントには、以下のような特徴があります。

データテーブルコンポーネント: レコードのリストを表示し、ユーザが選択した行のデータを他のコンポーネントに受け渡すことができます。取引先や商談など、標準オブジェクトのレコードを扱うことができます。

テキストコンポーネント: 選択されたレコードの項目値を表示します。データテーブルで行が選択されると、即座に内容が更新されます。

セクションコンポーネント: 画面を分割して、複数のコンポーネントを効果的に配置することができます。たとえば、画面を左右に分けて、左側にデータテーブル、右側に詳細情報を配置するといった使い方が可能です。

 

 
これらのコンポーネントを組み合わせる際の注意点として、データの依存関係を正しく設定することが重要です。たとえば、テキストコンポーネントのデフォルト値には、データテーブルで選択されたレコードの項目を指定します。この設定が正しくないと、リアルタイムな更新が機能しません。
また、現時点で対応しているデータ型には制限があります。主に以下のような項目で利用できます。

  • テキスト型の項目
  • 数値型の項目
  • 日付型の項目
  • 選択リスト型の項目

複雑なデータ型や、カスタムコンポーネントについては、今後のアップデートで対応が広がっていくことが期待されます。
画面フローの設計時には、これらの特徴と制限を踏まえた上で、最適なユーザ体験を提供できるよう考慮する必要があります。

実践!Reactive Screen Flow

それでは、実際にReactive Screen Flowを作成していきましょう。
ここでは、取引先の一覧から1件を選択すると、その詳細情報が即座に表示される画面フローを作成します。

まず、フローの基本設定から始めます。Setup画面から[フロー]に移動し、[新規フロー]ボタンをクリックします。フロータイプは「画面フロー」を選択します。
 

 
次に、取引先データの取得部分を作成します。「取得」要素をキャンバスに配置し、以下の設定を行います。

オブジェクト:取引先
条件:取引先名に「sample」を含む
格納先:取引先コレクション変数(新規作成)

この設定により、条件に合致する取引先のリストを取得できます。
続いて、画面要素の配置に移ります。まず、画面全体を左右に分割するために、セクションコンポーネントを配置します。セクションの幅は左右それぞれ1/2に設定します。
 

 
左側のセクションには、データテーブルコンポーネントを配置します。ここでの重要な設定は以下の通りです。

Source Collection:先ほど作成した取引先コレクション変数を指定
表示する列:取引先名、都道府県(請求先)など、必要な項目を選択
選択行の格納先:新しい変数を作成(この変数が他のコンポーネントとの連携に使用されます)

右側のセクションには、2つのテキストコンポーネントを配置します。それぞれのデフォルト値の設定が、この画面をリアクティブにする重要なポイントです。

1つ目のテキストコンポーネント:デフォルト値:データテーブルの選択行変数から取引先名を参照
2つ目のテキストコンポーネント:デフォルト値:データテーブルの選択行変数から都道府県(請求先)を参照

 

 
この設定により、データテーブルで行を選択すると、その情報が即座にテキストコンポーネントに反映されるようになります。
作成したフローは、デバッグ実行で動作確認をしましょう。APIバージョン57以降であることを確認してから実行します。取引先を選択すると、右側のテキストが即座に更新されることが確認できるはずです。
動作確認時の注意点として、以下の項目があります。

  • データテーブルに表示されるレコードが存在することの確認
  • 選択行の格納変数が正しく設定されているかの確認
  • テキストコンポーネントのデフォルト値の参照設定の確認

これらの設定が正しく行われていない場合、リアクティブな更新が機能しない可能性があります。

まとめ

Reactive Screen Flowが実現する画面上の即時更新は、日々の業務効率を着実に向上させる可能性を秘めています。特に、複数の情報を参照しながら進める作業において、その効果は顕著になるでしょう。

この機能の導入にあたって、特別な開発スキルは必要ありません。フロービルダーの基本的な知識があれば、すぐに実装を始めることができます。まずは、よく使う画面フローの一つを選んで、リアクティブな動作に変更してみてはいかがでしょうか。
現時点ではベータ版として提供されているため、本番環境での利用には慎重な検討が必要です。しかし、今後のアップデートで対応するデータ型が増えていけば、さらに幅広い業務での活用が期待できます。

画面フローは、これまでもSalesforceの業務効率化に大きく貢献してきました。その画面フローが、よりスムーズで直感的な操作性を手に入れたことで、ユーザの作業体験は確実に向上するはずです。

<Salesforce>
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