Dreamforce 2026現地速報レポート|Salesforce Health Insightsで実現する継続的な組織健全性の向上
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目次
フロッグウェルのメンバーが、米国サンフランシスコで開催されているDreamforce 2026に参加しています。
今回は、現地で参加した「Implementation Health Insights で組織のパフォーマンスを向上させる」セッションについてご紹介します。
Salesforceを長く運用していると、
「エラーは出ているけれど、どこから直すべきなのか分からない」
「今の設定が本当に良い状態なのか判断しづらい」
と感じる場面は少なくありません。
今回のセッションでは、そうしたSalesforce運用の悩みに対して、
環境の状態を継続的にチェックし、次に何をすべきかまで提示する
「Salesforce Health Insights」が紹介されました。
フロッグウェルでは、Salesforceの新規導入だけではなく、
すでに長く運用されている環境の改修や保守、業務改善にも関わる機会があります。
そのため今回の内容は、単なる新機能の紹介というより、
実際のSalesforce運用をどう良くしていくか
という観点で非常に気になる内容でした。
Salesforce管理者が抱える課題と「Salesforce Standards」
セッションの冒頭では、Salesforce管理者が日々向き合っている課題について説明がありました。
Salesforce管理者には、ビジネス面と技術面の両方からさまざまな要求が寄せられます。
ビジネス側からは、ライセンスをきちんと活用できているのか、
どの機能が使われているのか、
投資に対して十分な効果が出ているのかといった
「Product Adoption(製品の活用状況)」
を把握することが求められます。
一方で、システムを運用する立場では、
設定や自動化が複雑になっていないか、
パフォーマンスに問題がないか、
AgentforceなどのAIを導入できる状態になっているかといった
「Implementation Health(実装の健全性)」
も見ていかなければなりません。
ここで特に共感したのが、
「何をもって良いSalesforce環境と言えるのか分かりづらい」
という点です。
Salesforceは自由度が高い分、同じ要件でもさまざまな実装方法があります。
そのため、今動いているから問題ないのか、
将来的な運用まで考えると見直した方がいいのか、
判断が難しいケースも多くあります。
さらに実際のプロジェクトでは、
「システムとして正しいか」だけではなく、
その設定が実際の業務フローに合っているか
まで確認する必要があります。
たとえば同じ自動化でも、
営業、カスタマーサポート、医療、製造など、
業務によって重要になる処理や許容できる待ち時間は異なります。
フロッグウェルでは、Salesforceの設定だけを見るのではなく、
業務の流れや現場での使われ方まで確認しながら設計・改善を行っています。
そのため、今回紹介された「Salesforce Standards」のような技術的な基準に、
実際の業務要件をどう重ね合わせていくかが重要になると感じました。
Salesforce側が示す「望ましい状態」と、
各企業の業務上の「あるべき状態」の両方を見ることで、
より実践的な改善につなげられそうです。
Salesforce Health Insightsとは
今回紹介された「Salesforce Health Insights」は、
Salesforce環境の状態を継続的に確認するための仕組みです。
従来のように、何か問題が起きたタイミングで診断するだけではなく、
日常的なSalesforce運用の中で
「今、自分たちのOrgがどんな状態なのか」
を確認できるようになります。
説明を聞いていて印象に残ったのは、
Salesforceの画面から離れずに確認できるという点でした。
たとえば、
「今のOrgの状態を教えて」
「セキュリティ上の問題はある?」
といった形でエージェントに自然言語で質問し、
自社Orgの状況に合わせた情報や推奨事項を確認できるという説明がありました。
管理画面や複数の診断ツールを行き来するのではなく、
普段のSalesforceの作業の流れの中で確認できるというのは、
実際の運用を考えるとかなり便利そうです。
Implementation Healthで確認する3つの領域
Implementation Healthでは、主に以下の3つの領域を確認します。
-
Security(セキュリティ)
多数のセキュリティコントロール基準に照らして、
重大なリスクやその推移、対応方法などを確認します。 -
Process Automation(プロセス自動化)
非効率な自動化や、同一レコードへの重複更新、
古い自動化からFlowへの移行などを確認し、改善策を提示します。 -
Agentforce Readiness(Agentforce準備状況)
APIバージョンやオブジェクト、Trigger、データの状態などを確認し、
Agentforceを導入するための環境が整っているかを評価します。
また、見つかった問題や推奨事項については、
「Action Plan(アクションプラン)」
としてタスク化し、その後の対応状況まで追跡できるとのことでした。
ここも、単に
「問題があります」
と表示して終わるのではなく、
実際の改善作業までつなげようとしている
ところが印象的でした。
実際の問題をどう見つけて、どう直すのか
セッションでは、かなり具体的な例も紹介されていました。
例として挙げられていたのが、
「Caseレコードの更新に時間がかかる」
というパフォーマンス問題です。
原因を調べていくと、
以前から使われているProcess BuilderとWorkflow Ruleが
同じレコードを更新しており、
処理が重複することでConcurrency(同時実行)の問題につながっている、
というケースでした。
こうしたケースは、長期間運用しているSalesforce環境では
かなり現実的な話だと感じました。
特に、Salesforceでは長年の運用の中で
Workflow Rule、Process Builder、Flow、Apexなど、
異なる世代の自動化が混在していることがあります。
それぞれ単体では問題なく動いていても、
組み合わせたときに思わぬ処理負荷につながっていることがあります。
今回紹介された例では、複数のSalesforceツールを使いながら、
問題を段階的に絞り込んでいきます。
-
Salesforce Health Insights
Metadata Scanによって、
「Process BuilderをRecord-Triggered Flowへ移行した方がよい」
といった問題領域を発見します。 -
Scale Center
さらに詳しくパフォーマンスを分析し、
問題を引き起こしている具体的なApex Classなどを特定します。 -
Apex Guru
コードレベルまで分析し、
SOQLをループの外に出してBulk化するといった具体的な改善案を提示します。
この流れを見ていて、
「問題を見つけるところから、原因を特定して、改善するところまでつながっている」
のが分かりやすかったです。
Salesforceを運用していると、
エラーや警告そのものよりも、
「結局どこを直せばいいのか」
を調べる時間の方が長くなることがあります。
一方で、実務ではもう一段階考える必要があります。
仮にHealth Insightsが
「このFlowを見直した方がよい」
「この自動化を統合した方がよい」
と示したとしても、
その処理がどの業務で使われ、
誰に影響し、
どのタイミングで変更すべきなのかまでは、
企業ごとに異なります。
フロッグウェルとしては、
診断結果をそのまま修正するのではなく、
実際の業務や利用部門への影響を確認したうえで、
優先順位をつけて改善していく
という使い方が重要になると感じました。
この部分は、
業務理解からSalesforceの設計・実装・運用まで一貫して支援している
フロッグウェルだからこそ活かせるポイントでもあります。
さらに、Signature Success Planで提供される
「Proactive Monitoring」
を組み合わせることで、
問題が発生した際にアラートを受け取り、
Detection(検出) → Diagnosis(診断) → Resolution(解決)
という流れを回していく考え方も紹介されていました。
一度環境を良くするだけではなく、
「Get Healthy(健康になる)」から「Stay Healthy(健康であり続ける)」へ
という考え方は、今回のセッション全体を表しているように感じました。
現地で聞いて感じたこと
今回のセッションを聞いていて特に感じたのは、
「Salesforceの運用で困っていることを、かなり具体的に拾いにきているな」
ということでした。
実際にSalesforceを運用していると、
エラーや警告、パフォーマンスに関する情報が出ていても、
「それで結局、どこから直せばいいのか」
「今すぐ対応すべきものなのか」
まで判断するのは意外と難しいです。
特に既存環境では、
長年使われてきたProcess BuilderやWorkflow Rule、Flow、Apexなどが混在していることもあり、
問題が起きてから原因を追いかけるだけでもかなり大変です。
その点、Health Insightsでは単に問題を見つけるだけではなく、
「ここに問題がありそう」「次にこう対応した方がいい」
というところまで示してくれるという話が印象に残りました。
セッション内で紹介されていた、
Process BuilderやWorkflow Ruleが同じレコードを更新して
パフォーマンス問題につながっている例も、
Salesforceに関わっている人であれば
「こういうの、ありそうだな」
とかなりイメージしやすい内容だったと思います。
ただし、今回の話を聞いていて、
Health InsightsがあればSalesforce運用の課題がすべて自動で解決する、
ということではない
とも感じました。
Salesforce上では問題に見える処理でも、
業務上は重要な理由があって残されていることもあります。
また、改善したいポイントが複数あった場合に、
どこから手をつけるべきかは、
利用している業務や組織によって変わります。
そのため、
Health Insightsによって技術的な問題を早く発見できるようになるほど、
その情報を実際の業務に照らして判断する力が
これまで以上に重要になるのではないかと思います。
フロッグウェルでは、
SalesforceやFlow、Agentforceといった製品単体ではなく、
お客様の業務や業界特性を理解したうえで、
構想から実装、運用まで支援しています。
Health Insightsのような機能を活用しながら、
「技術的に正しい環境」と「現場で使いやすい環境」の両方をどう作るか
という部分は、
今後のSalesforce支援でもより重要になってきそうです。
特に気になった「Agentforce Readiness」
個人的に一番気になったのは、
「Agentforce Readiness」です。
DreamforceではAgentforceやAIに関する話を非常に多く聞きますが、
AIを導入する前に、
そもそも既存のSalesforce環境がきれいな状態になっているのか、
という問題は避けて通れません。
データはきちんと整備されているのか。
古い処理が残っていないか。
複数の自動化が同じレコードに対して動いていないか。
APIやTriggerの設定に問題はないか。
こうした部分に問題がある状態でAIだけを追加しても、
期待していたような効果が出ない可能性があります。
これは、フロッグウェルがAgentforceやAI活用を支援する際にも
非常に重要なポイントだと考えています。
AIのユースケースだけを考えるのではなく、
Salesforceにどのようなデータがあり、
どの業務プロセスが動いていて、
どこまでをAIに任せるべきなのか
を整理した上で設計する必要があります。
そのため、
「Agentforceを使う準備が本当にできているのか」
を事前に確認できるという考え方は、
かなり実務的だと感じました。
AIを入れればすぐに便利になるというよりも、
AIを活用するためにSalesforce環境そのものを整えておく。
今回のセッションを聞いて、
その重要性を改めて感じました。
フロッグウェルの視点で考えるHealth Insightsの活用
今回のセッションを聞きながら、
フロッグウェルとしてHealth Insightsを活用するとしたら、
「診断」そのものより、その後の改善につなげる部分
に大きな価値があると感じました。
Health Insightsによって技術的な問題候補を早く発見できれば、
これまで調査に使っていた時間を短縮できる可能性があります。
そのうえで、
- どの問題が実際の業務に影響しているのか
- どの改善から着手すべきなのか
- 既存業務を止めずにどう移行するのか
- FlowやApex、Agentforceをどう組み合わせるのか
- 将来の運用まで考えると、どの構成が適しているのか
といった部分を整理していくことが、
実際のSalesforce改善では重要になります。
フロッグウェルでは、
特定の製品機能だけを見るのではなく、
業界・業務の理解とSalesforceの技術の両方をつなげながら、
構想から実装・運用まで一気通貫で支援する
ことを重視しています。
Health Insightsのような機能が充実することで、
技術的な診断をSalesforce側に任せられる範囲が広がり、
その分、
「お客様の業務にとって何を改善するべきか」
という本質的な部分に、
より時間を使えるようになるのではないかと思いました。
まとめ
今回のセッションを通して感じたのは、
Salesforce Health Insightsは単なる
「Salesforce環境の診断ツール」
ではなさそうだということです。
問題を見つけるだけではなく、
「何が問題なのか」
「どこから直すべきなのか」
「その後どう改善していくのか」
まで、普段のSalesforce運用の中でつなげていこうとしているのが印象的でした。
また、今回のDreamforceではAIやAgentforceの話を多く聞きますが、
その一方で、
AIを動かすSalesforce環境そのものをどう健全な状態に保つか
という部分も、これまで以上に重要になってきているように感じます。
AgentforceをはじめとするAI活用が広がっていくほど、
既存の設定や自動化、データ品質、パフォーマンスといった
Salesforceの土台部分の重要性は、むしろ高まっていくのだと思います。
そして、Salesforceが技術的な問題をより細かく診断してくれるようになったとしても、
その結果を実際の業務にどう落とし込み、どの順番で改善していくか
という部分は、引き続き重要です。
フロッグウェルとしても、
業界や業務の理解とSalesforceの技術力を組み合わせながら、
Health InsightsやAgentforceといった新しい機能を、
単に導入するだけではなく
実際の業務改善につながる形で活用していきたい
と感じました。
実際の環境でHealth Insightsを使ったときに、
どこまで具体的な問題を見つけられるのか、
どの程度まで改善案を提示してくれるのかは、
個人的にもかなり気になるところです。
普段Salesforceの構築や保守に関わっている立場として、
実際の環境でも触って確かめてみたい
と感じたセッションでした。
※本記事はDreamforce 2026のセッションを現地で聴講した内容をもとに速報として作成しています。
内容には筆者の理解や所感を含みます。
また、発表された製品・サービスの仕様は今後変更される可能性があります。
最新情報についてはSalesforce公式情報をご確認ください。

