Dreamforce 2026現地速報レポート|Open CTI終了後、SalesforceのVoiceはどう変わる?CTI Voiceセッション参加レポート
投稿日:
更新日:
#Salesforce #Dreamforce2026 #現地速報レポート #Voice #Open CTI終了後
目次
- 1. Open CTI終了のニュースとSalesforceが目指すコンタクトセンターの未来
- 2. Open CTIは2028年2月28日にサポート終了(EOL)
- 3. データモデルの変化:電話が「Task」から「音声通話(Voice Call)」へ
- 3.1 「応答されなかった通話(放棄呼)」も顧客体験データとして残る
- 4. Omni-Channel統合とルーティングの進化(Flowへの移行)
- 4.1 1. 電話もOmni-Channelへ統合
- 4.2 2. JavaScriptからFlowへの移行
- 5. AI×音声通話(Voice)で実現する次世代オペレーション
- 5.1 「録音データ」から「検索・分析可能な会話データ」へ
- 6. フロッグウェルの視点で考えるCTI移行と現場への適用
- 7. まとめ
フロッグウェルのメンバーが米国サンフランシスコで開催されているDreamforce 2026に参加しています。本記事では、現地で参加した「CTI & Voice」セッションについて、発表内容とともに、普段Salesforceの構築や保守に関わっている立場から感じたリアルな所感を速報でお届けします。
Open CTI終了のニュースとSalesforceが目指すコンタクトセンターの未来
DreamforceのCTI/Voiceに関するセッションに参加してきました。
今回のセッションで一番印象に残ったのは、単に「Open CTIが終了するので、新しい製品へ移行してください」というシステムリプレイスの話にとどまらなかった点です。
Salesforceが目指しているのは、電話をSalesforceにつなぐだけの従来のCTIから、電話・メール・ケース・顧客データ・AIまでを一つにつないだコンタクトセンターへの転換でした。日頃からコールセンター業務のシステム支援を行っている私たちにとっても、この進化の方向性は非常に納得感のあるものでした。
Open CTIは2028年2月28日にサポート終了(EOL)
まず大きな発表として、SalesforceのOpen CTIは2028年2月28日にEnd of Life(完全終了)を迎えます。
Open CTIは長年、Salesforceと電話システムをつなぐ仕組みとして使われてきました。
- 電話がかかってきたら顧客画面をポップアップする(Screen Pop)
- Salesforce上の電話番号をクリックして発信する(Click-to-Dial)
- 通話終了後に活動(Task)を作成する
しかし、Open CTIが設計されたのは、生成AIやリアルタイム文字起こし、オムニチャネル対応が前提となる前の時代です。セッションでは「Open CTIは基本的にClick-to-DialやScreen Popを目的として設計されたもの」と説明されていました。今後Salesforceが実現したいAI中心のコンタクトセンターには、従来のアーキテクチャでは限界があるため今回の決定に至っています。
なお、公式情報によるとOpen CTIは現在メンテナンスモードに入っており、新規Agentforce Service orgでは利用不可となっています。
既存のSalesforce環境を長く運用されているお客様にとって、システムのEOLは非常に大きなインパクトを持ちます。現場の混乱を避けつつ、どう次世代の仕組みへ安全に移行していくか、支援する側としても身の引き締まる思いで話を聞きました。
データモデルの変化:電話が「Task」から「音声通話(Voice Call)」へ
今回のセッションで非常に重要なポイントが、データモデルの根本的な変更です。
従来のOpen CTIでは、電話をかけた結果を「Task(活動)」としてSalesforceに残す設計が一般的でした。しかし、新しいVoiceの世界では「電話したという結果」ではなく、「通話そのもの」がSalesforceの標準データになります。その中心となるのが音声通話(Voice Call)オブジェクトです。
音声通話(Voice Call)で保持できる主なデータは以下の通りです。
- 基本情報:発信/着信、電話番号、通話ステータス
- 時間データ:通話開始時間、キューに入った時間、応答時間、通話終了時間
- 応対履歴:保留、転送、通話参加者
- データ・テキスト:リアルタイム文字起こし(Transcript)、会話データ
これまで電話システム(PBX/CTI)側に閉じていたデータがSalesforce上に直接入ってくるため、コールセンターの応対可視化が劇的に進みます。
「応答されなかった通話(放棄呼)」も顧客体験データとして残る
セッション内で興味深かったのが「放棄呼」に関する解説です。
これまで、顧客がコールセンターに電話したものの、混雑により途中で電話を切ってしまった場合、その出来事がSalesforce側では十分に見えていないケースがありました。
音声通話(Voice Call)を中心に据えることで、応答に至らなかった通話自体もデータとして記録されます。「この重要顧客は30分待った後に電話を切っている」といった事実をSalesforce上で把握し、「こちらから優先して折り返そう」といった判断へつなげることが可能になります。こうした細やかなデータ化は、実際の運用現場でも顧客満足度の向上に直結する素晴らしいアプローチだと感じました。
Omni-Channel統合とルーティングの進化(Flowへの移行)
アーキテクチャの観点でも大きな変化が紹介されました。
1. 電話もOmni-Channelへ統合
Open CTIでは、電話とSalesforceのOmni-Channelは別々の仕組みとして動くことが多くありました。新しいVoice環境では、電話もOmni-Channel上のワークアイテムとして統合されます。エージェントは電話・ケース・メール・チャットを同一画面・同一ルーティングで受け取ることができ、スーパーバイザーも全体の状況を一元把握できるようになります。
2. JavaScriptからFlowへの移行
Open CTIでは、JavaScriptのアダプター側に画面ポップやルーティング、Task作成、ステータス変更などのビジネスロジックを記述していました。
新しいアーキテクチャでは、これらをそのままコード移植するのではなく、Salesforce Platformの標準機能へ分散・置き換えを行います。
- ルーティング:Omni-Channel Flow
- レコード更新:Record-Triggered Flow
- UI拡張:Lightning Web Components (LWC) / Voice Toolkit
これにより、開発者だけでなくSalesforce管理者が設定・変更できる範囲が大幅に広がります。一方で、長年運用されて複雑化した既存のJavaScriptロジックを読み解き、Flowでどう再設計するかは、実務において非常に骨の折れる作業になるだろうとも予想しました。
AI×音声通話(Voice)で実現する次世代オペレーション
セッション内のデモでは、実際に電話をかけ、その会話がリアルタイムで文字起こしされる様子が公開されました。
通話内で「プリンターが紙詰まりしていてリセットが必要」とやり取りをすると、通話終了後にAIが会話内容を自動解析し、問題・対応・結果を自動抽出します。さらに会話全体を要約して自動でWrap-up(ACW/後処理)データを作成します。
従来、エージェントが通話終了後に2〜5分かけて手入力していた作業をAIが肩代わりするため、後処理時間を大幅に削減し、次の顧客対応へスムーズに移行できます。
「録音データ」から「検索・分析可能な会話データ」へ
従来のコンタクトセンターでは通話音声を録音・保存することが中心でした。しかし、文字起こしが標準的に蓄積されることで、電話は単なる音声ファイルから「検索・分析可能なテキストデータ」へと変化します。
あらかじめ細かな入力項目を作成しておかなくても、「過去3週間で『動かない』と発言していた顧客を抽出する」といったテキストベースの後追いが可能になります。
フロッグウェルの視点で考えるCTI移行と現場への適用
今回のセッションを聞いて一番感じたのは、Open CTIからSalesforce Voiceへの移行を、単なる「古いCTIシステムの置き換え」として捉えてしまうと本質を見誤るということです。
今後システム側が高度なアーキテクチャやAIによる自動化機能を提供してくれたとしても、「既存の顧客データモデルの中に電話をどう組み込むか」「現場の既存業務への影響をどう最小限に抑えるか」という設計は自動では行えません。
特に、データモデルがTaskからVoice Callに変わることで、既存のレポートやダッシュボード、KPIの集計方法なども見直す必要が出てきます。「どの課題から優先的に移行するか」、そして「既存業務への影響を見ながらどう段階的に再設計するか」という判断には、現場の生きた知見が不可欠です。
私たちフロッグウェルは、単なるSalesforceの設定作業にとどまらず、お客様の実際の業務フローや現場での使われ方まで踏み込んでご支援しています。新規導入だけでなく、長く運用されている既存Salesforce環境の改修や保守に深く関わり、構想・設計から実装・運用までを一気通貫で伴走しているからこそ、こうした大がかりなアーキテクチャの変更も、机上の空論ではなく「現場で確実に回る形」でご提案できると改めて確信しました。
まとめ
本セッションの重要ポイントは以下の5点です。
- Open CTIは2028年2月28日に完全終了(EOL)となる
- Task中心から「音声通話(Voice Call)」オブジェクト中心のデータモデルへ変化する
- 電話もOmni-Channelのワークとして統合処理される
- 通話の文字起こし・要約・後処理(Wrap-up)をAIで自動化できる
- Open CTIのコードを単純移植するのではなく、Flowや音声通話(Voice Call)を活用して再設計する
AgentforceをはじめとするAIを現場で真に活用するためには、前段として「顧客との会話そのものをリアルタイムでデータ化する基盤」が必須となります。SalesforceがOpen CTIを終了し、Voiceへの移行を進める明確な背景を理解できる非常に有意義なセッションでした。
日本に戻り次第、実際の環境でもこの新しいVoiceアーキテクチャの検証を進め、お客様のスムーズな移行とコールセンターの高度化に向けて取り組んでいきたいと思います。
※本記事はDreamforce 2026のセッションを現地で聴講した内容をもとに速報として作成しています。内容には筆者の理解や所感を含みます。また、発表された製品・サービスの仕様は今後変更される可能性があります。最新情報についてはSalesforce公式情報をご確認ください。

