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Salesforce Revenue Cloud CPQとERP連携で実現する販売プロセスの一気通貫管理

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前回の記事では、Salesforce Revenue Cloud CPQによる見積プロセスの革新についてご紹介しました。複雑な商品構成や価格設定を伴うビジネスにおいて、CPQは営業担当者の業務効率化と見積精度の向上を実現する強力なソリューションです。
しかし、販売プロセスは見積作成で完結するわけではありません。受注、納品、請求、入金というプロセスが続き、多くの企業ではこれらの業務をSAPやOracleなどのERPパッケージで管理しています。

本記事では、Revenue Cloud CPQとERPシステムを連携させることで、見積から入金まで一気通貫の販売管理を実現する可能性について解説します。

Revenue Cloud CPQの価値

CPQが解決する営業プロセスの課題

従来の課題:

  • 膨大な商品マスタ(数千〜数万件)の管理が属人化
  • 商品構成の複雑性により、最適な提案に時間がかかる
  • 手動計算による価格ミスや、承認プロセスの遅延
  • Excel管理による情報の分散・属人化

CPQによる解決:

  • システムガイドによる商品選択で、専門知識が浅い担当者でも最適提案が可能
  • 商品構成ルール・価格ルールの自動適用により、見積作成時間を60〜80%削減
  • 営業の記憶や勘を、再現可能な仕組みに変換し、組織の資産として蓄積
  • 見積データの一元管理により、分析・改善サイクルの高速化

CPQの本質的な価値は、属人的な営業力に依存せず、誰もが最適な提案ができる環境を構築できることです。

見積以降の販売管理プロセスとERPの役割

見積から入金までの販売プロセス全体像

営業活動における販売プロセスは、以下のように複数のステージで構成されています。

  1. 見積作成:顧客ニーズに基づく商品構成と価格提示
  2. 受注処理:見積承認後の正式注文受付、在庫引当、製造手配
  3. 出荷・納品:商品の出荷準備、物流手配、納品確認
  4. 請求処理:請求書発行、消込処理
  5. 入金管理:入金確認、売掛金管理、債権管理

このうち、見積作成は営業部門が主導しますが、受注以降のプロセスは製造、物流、経理など複数部門が関与する全社横断業務となります。

ERPシステムの役割

多くの企業では、受注以降のプロセスをSAP、Oracle、Microsoft Dynamics等のERPパッケージで管理しています。

ERPが管理する主な領域:

  • 販売管理:受注、出荷、請求、入金の一連のプロセス
  • 在庫管理:在庫引当、入出庫管理、棚卸管理
  • 生産管理:製造オーダー、工程管理、部品所要量計算(MRP)
  • 購買管理:発注、入荷、支払管理
  • 財務会計:仕訳生成、総勘定元帳、財務諸表作成

ERPシステムは、企業の基幹業務を支える重要なインフラであり、正確なデータ管理と業務の標準化を実現します。

CRMとERPの役割分担

営業プロセスにおいて、SalesforceとERPは以下のように役割を分担することが理想的です。

プロセス 主導システム 目的
商談管理 Salesforce CRM 売上機会の最大化
見積作成 Salesforce Revenue Cloud CPQ 効率的かつ正確な見積提示
受注処理 ERPシステム 在庫引当、製造手配の確実性
出荷・納品 ERPシステム 物流プロセスの効率化
請求・入金 ERPシステム 財務会計との整合性確保

Salesforceは「売上を最大化するためのフロント業務」を、ERPは「確実に履行するためのバック業務」を担うという明確な役割分担が、業務全体の最適化につながります。

Revenue Cloud CPQとERPを連携させる必要性

システム間のデータ分断がもたらす課題

CPQとERPが連携していない場合、以下のような課題が発生します。

データの二重入力による非効率性

  • 営業担当者がCPQで作成した見積内容を、手作業でERPに再入力
  • 受注処理の遅延、入力ミスによる納期トラブルの発生

商品マスタ・価格マスタの不整合

  • 営業側(CPQ)と基幹側(ERP)でマスタデータが乖離
  • 見積時の商品コードがERPに存在せず、受注処理が滞る
  • 価格の齟齬により、利益率の低下や顧客とのトラブルが発生

リアルタイムな在庫・納期情報の欠如

  • 見積時点でERPの在庫情報を参照できず、納期回答が不正確に
  • 受注後に在庫不足が判明し、顧客への謝罪と納期調整が必要に

受注ステータスの可視化不足

  • 営業担当者がERPにログインしないと受注状況を確認できない
  • 顧客からの問い合わせに即座に対応できず、顧客満足度が低下

会計処理の遅延

  • 見積・受注データがERPに速やかに連携されず、売上計上が遅れる
  • 月次決算処理に時間がかかり、経営判断の遅れにつながる

システム連携がもたらす期待される価値

Revenue Cloud CPQとERPを連携させることで、以下の価値を実現できる可能性があります。

業務効率の劇的な向上

  • 見積データが自動的にERPへ連携され、受注処理がワンクリックで完了
  • データの二重入力が不要になり、営業担当者は顧客対応に集中可能

データ整合性の確保

  • 商品マスタ・価格マスタをERPから自動同期し、常に最新情報で見積作成
  • 営業と基幹システム間のデータ齟齬を解消

リアルタイムな情報共有

  • 見積作成時にERPの在庫・納期情報を参照し、正確な納期回答が可能
  • 受注ステータスをSalesforce上でリアルタイムに確認

内部統制の強化

  • 見積から受注、請求までのプロセスが一気通貫でトレース可能
  • 監査対応や不正防止の観点からも重要

経営判断の迅速化

  • 営業データと財務データがシームレスに連携し、売上予測の精度が向上
  • ダッシュボードで全社の販売状況をリアルタイムに可視化

Frogwellが考えるRevenue Cloud CPQとERPの連携アプローチ

SAP連携における取り組み

Frogwell Corporationでは現在、SAP導入ベンダー様とプロジェクトチームを組み、Revenue Cloud CPQとSAPの最適な連携方法を模索しています。

プロジェクトで検討している主なテーマ:

  • 商品マスタ・価格マスタの同期方法と頻度
  • 見積データからSAP受注伝票への変換ロジック
  • 在庫・納期情報のリアルタイム参照方式
  • エラーハンドリングと例外処理の設計
  • 段階的な導入ロードマップ

SAP導入ベンダー様の深いERP知見と、FrogwellのSalesforce専門性を組み合わせることで、両システムの長所を最大限に活かした連携設計を目指しています。

連携アーキテクチャの検討パターン

現在検討している主な連携パターンは以下の通りです。

パターン1:リアルタイム連携(API連携)

  • MuleSoftやDell Boomi等のiPaaS(Integration Platform as a Service)を活用
  • 見積承認後、即座にERPへ受注データを連携
  • ERPの在庫・納期情報をCPQ画面にリアルタイム表示

パターン2:バッチ連携(定期同期)

  • 日次・時間単位でのデータ同期
  • 大量データの一括連携に適したアプローチ
  • 商品マスタ・価格マスタの定期更新に活用

パターン3:ハイブリッド連携

  • リアルタイム連携とバッチ連携を組み合わせた最適化
  • 緊急性の高いデータはリアルタイム、マスタデータはバッチで同期

連携対象データの設計検討

ERPからCPQへの連携データ候補:

  • 商品マスタ(商品コード、商品名、仕様、単位、型番等)
  • 価格マスタ(標準価格、顧客別価格、期間限定価格等)
  • 在庫情報(倉庫別在庫数、引当可能数、安全在庫等)
  • 納期情報(標準リードタイム、生産計画に基づく納期等)
  • 顧客マスタ(顧客コード、与信情報、取引条件等)

CPQからERPへの連携データ候補:

  • 見積データ(見積番号、顧客、商品構成、数量、価格、納期等)
  • 受注データ(受注番号、顧客、商品、数量、納期、配送先等)
  • 顧客情報の更新(Salesforceで更新された顧客情報の同期)

データ変換・マッピングルールの設計課題

SalesforceとERPでは、データ構造や項目名が異なるため、適切なデータ変換ルールの設計が重要な検討課題となっています。

主なマッピング設計項目:

  • 商品コード体系の統一(Salesforce側の商品コードとERP側の品番の紐付け)
  • 顧客コードの統一(CRM上の取引先IDとERP上の顧客コードの紐付け)
  • 単位換算ルール(ケース単位⇔個単位、メートル⇔フィート等)
  • 税区分・税率の対応(軽減税率対応、海外取引時の税区分等)
  • 通貨換算ルール(複数通貨対応時の為替レート適用)

エラーハンドリングと例外処理の検討

連携システムでは、必ずエラーや例外が発生します。堅牢なシステムを構築するため、以下の機能を検討しています。

主なエラーハンドリング機能候補:

  • 連携エラーの自動検知とアラート通知
  • リトライ処理の自動実行
  • エラーログの蓄積と分析ダッシュボード
  • 手動での再実行・データ修正機能
  • エスカレーションフローの設計(重大エラー発生時の担当者への通知)

段階的な導入アプローチ

大規模なシステム連携を一度に実施するのはリスクが高いため、段階的な導入が望ましいと考えています。

想定される導入フェーズ:

フェーズ1:マスタデータの同期

  • 商品マスタ・価格マスタのバッチ連携から開始
  • データの整合性を確認し、営業担当者の混乱を最小化

フェーズ2:見積データの連携

  • CPQで作成した見積データをERPへ自動連携
  • 受注処理の効率化を実現

フェーズ3:リアルタイム在庫・納期照会

  • 見積作成時にERPの在庫・納期情報を参照可能に
  • 顧客への正確な納期回答を実現

フェーズ4:受注ステータスの双方向同期

  • ERPでの受注処理状況をSalesforce上でリアルタイム表示
  • 営業担当者の顧客対応力が向上

他のERPパッケージへの知見展開

SAP連携プロジェクトで得られた知見は、他のERPパッケージ(Oracle、Microsoft Dynamics、国産ERPパッケージ等)との連携にも応用可能と考えています。

共通する設計課題:

  • マスタデータの整合性確保
  • データ変換ロジックの設計
  • エラーハンドリングの実装
  • 段階的導入の計画

各ERPパッケージ固有の特性を理解しながら、Salesforceとの最適な連携方法をご提案できるよう、知見の蓄積を進めています。

連携によって期待される業務シナリオ

シナリオ1:見積作成から受注までのシームレスな流れ

従来のプロセス:

  1. 営業担当者が顧客要件をヒアリング
  2. CPQで見積作成
  3. 見積内容をメールやExcelでERPチームに連絡
  4. ERPチーム担当者が手作業で受注データを入力
  5. 在庫不足が判明し、営業担当者に確認依頼
  6. 顧客への再提案と見積修正

連携後の想定プロセス:

  1. 営業担当者が顧客要件をヒアリング
  2. CPQで見積作成時、リアルタイムにERPの在庫・納期情報を確認
  3. 最適な納期で見積を顧客に提示
  4. 顧客承認後、ワンクリックでERPに受注データを自動連携
  5. ERPで自動的に在庫引当・製造手配が実行される

期待される効果:受注リードタイムが数日から数時間に短縮

シナリオ2:顧客からの納期問い合わせへの即座の回答

従来のプロセス:

  1. 顧客から営業担当者に「注文した商品はいつ届きますか?」と問い合わせ
  2. 営業担当者がERPチーム担当者に確認依頼
  3. ERPチーム担当者が出荷予定を確認し、営業担当者に回答
  4. 営業担当者が顧客に回答
  5. 顧客が回答を受け取るまでに数時間〜1日かかる

連携後の想定プロセス:

  1. 顧客から営業担当者に問い合わせ
  2. 営業担当者がSalesforce上で受注ステータスを確認
  3. 即座に顧客に納期を回答

期待される効果:顧客満足度の向上、営業担当者の業務効率化

シナリオ3:月次決算の迅速化

従来のプロセス:

  1. 月末にERPチームが営業部門に見積・受注データの提出を依頼
  2. 営業担当者がExcelで見積・受注リストを作成し、提出
  3. ERPチーム担当者が手作業でデータを照合・修正
  4. 売上計上と請求処理を実施
  5. 決算処理完了まで数日かかる

連携後の想定プロセス:

  1. 月次で自動的にCPQからERPへ見積・受注データが連携済み
  2. ERPで自動的に売上計上・請求処理が実行される
  3. 決算処理が迅速に完了

期待される効果:月次決算処理時間の大幅短縮、経営判断の迅速化

連携を成功させるためのポイント

業務プロセスの標準化

システム連携を成功させるためには、まず業務プロセスを標準化することが重要です。

標準化すべき項目:

  • 見積承認フローの明確化
  • 受注処理の基準(いつ受注とみなすか)
  • 商品コード体系の統一
  • 価格決定ルールの明文化

関係部門間の連携体制

営業部門、情報システム部門、経理部門、製造部門など、複数部門が関与するプロジェクトとなります。

成功のための体制:

  • 各部門の代表者によるプロジェクトチームの組成
  • ERP導入ベンダーとの密接な協力関係の構築
  • 定期的な進捗共有会議の開催
  • 課題の早期発見と迅速な対応

データ品質の確保

システム連携の精度は、マスタデータの品質に大きく依存します。

データ品質確保の施策:

  • 商品マスタの重複・欠損のクレンジング
  • 顧客マスタの統合・名寄せ
  • 価格マスタの整合性チェック
  • 定期的なデータメンテナンス体制の構築

ユーザートレーニングとチェンジマネジメント

新しい業務フローへの移行には、現場の理解と協力が不可欠です。

トレーニング施策:

  • 営業担当者向けのCPQ操作研修
  • ERPチーム向けの連携機能説明会
  • マニュアル・FAQ の整備
  • スーパーユーザーの育成

まとめ

Salesforce Revenue Cloud CPQとERPシステムを連携させることで、見積作成から入金管理まで、販売プロセス全体の効率化と精度向上を実現できる可能性があります。

連携によって期待される主なメリット:

  • データの二重入力を排除し、業務効率を劇的に向上
  • 商品マスタ・価格マスタの整合性を確保し、受注トラブルを削減
  • リアルタイムな在庫・納期情報により、顧客への正確な回答が可能に
  • 受注ステータスの可視化により、顧客満足度が向上
  • 月次決算処理の迅速化により、経営判断のスピードアップ

理想的な役割分担:

  • Salesforce CRM/CPQ:売上機会の最大化、効率的かつ正確な見積作成
  • ERPシステム:確実な受注処理、在庫管理、生産管理、財務会計

Frogwell Corporationでは、Revenue Cloud CPQの導入支援はもちろん、SAP導入ベンダー様との協業を通じて得られた知見を活かし、他のERPパッケージとの連携についても最適なアプローチをご提案してまいります。

見積プロセスのDX化だけでなく、販売プロセス全体の最適化を実現したい企業様、特にERPシステムとの連携を検討されている企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。貴社の業務特性やシステム環境に応じた最適な連携方法を、共に模索させていただきます。

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