Salesforceにおけるレコードタイプとは?使い方や特徴を解説
「Salesforceのレコードタイプには、どのような役割があるの?」
Salesforceには、レコードタイプというデータに対してはたらきかける機能があります。では、レコードタイプがSalesforceのオブジェクトにどのような影響を与えるのでしょうか?この記事では、Salesforceのレコードタイプについて、概念や特徴を解説します。
レコードタイプの特徴や使い方などあわせて紹介するので、オブジェクトレコードの表示をカスタマイズしようとしている営業担当者は、参考にしてみてください。
レコードタイプとは
レコードタイプとは、Salesforceで扱うオブジェクトに対して、タイプ分けする概念です。タイプ分けの基準により画面上の表示項目を変更します。別の言い方をすれば、「レコード(データ項目や値)ごとに表示方法の違うタイプの作成」と言えるでしょうか。
また、レコードタイプにはオブジェクトのデータを分類する役割があります。1つのオブジェクトをレコードタイプごとに分けて表示する役割です。レコードタイプの役割を理解するために、オブジェクトを例にあげてみましょう。
オブジェクトの例
「企業情報」オブジェクトを例にあげます。「企業情報」オブジェクトの項目は、次のとおりです。
「企業情報」オブジェクト
- 項目「所在地」
- 項目「業種」
- 項目「売上規模」
- 項目「決算時期」
- 項目「上場区分」
「企業情報」オブジェクトに対して、2つのレコードタイプを設定します。
レコードタイプ「企業情報A」
- 項目「所在地」
- 項目「業種」
- 項目「売上規模」←表示しない
- 項目「決算時期」←表示しない
- 項目「上場区分」←表示しない
レコードタイプ「企業情報B」
- 項目「所在地」←表示しない
- 項目「業種」←表示しない
- 項目「売上規模」
- 項目「決算時期」
- 項目「上場区分」
レコードタイプ「企業情報A」とレコードタイプ「企業情報B」は、「企業情報」オブジェクトの異なる表示方法で分類されるイメージになります。このように、1つのオブジェクトで表示する項目と非表示にする項目で分類することがレコードタイプの役割です。
レコードタイプの特徴
レコードタイプの特徴は、ある特定のオブジェクトを異なる部署へカスタマイズして表示する仕組みです。1つのオブジェクト内にある項目を部署ごとの特性に合わせて必要な項目だけを表示します。それにより、部署ごとの表示制御されたレコードタイプが設定され、データ共有の効率性が上がるでしょう。
レコードタイプで実現できること
レコードタイプで実現できることは、あらゆる制御が可能です。おもな制御としては、マスタ選択リストの管理があげられます。具体的には、ドロップダウンリストの選択肢からリスト値を指定してレコードタイプごとに反映していくことです。
先述したオブジェクトとレコードタイプの例のように、マスタ選択リストが有効となります。特定の選択リスト項目を、異なる部署に表示項目をカスタマイズして表示することが可能です。たとえば、A ~F までの項目が選択リストにあるとします。
【選択リスト内項目:A、B、C、D、E、F】
- 「営業担当」への表示:レコードタイプ1「A、B、C、F」の項目を表示・その他の項目を非表示
- 「サポート担当」への表示:レコードタイプ2「A、D、E」の項目を表示・そのほかの項目を非表示
このようにレコードタイプは、項目の表示制御の条件により分類することが役割です。社内の異なる部署へ必要な項目を選択して表示内容をカスタマイズできれば、効率の良いデータ共有につながります。
レコードタイプの作成方法
レコードタイプを作成するには、どのような手順で進めればよいのでしょうか。レコードタイプを作る前に準備することがあります。事前にチェックしておくべきことは、ページレイアウトの項目選択リストの値と、レコードタイプで使用するすべての値が入力されていることです。この2つが入力されていることが前提になります。手順は、次のとおりです。
- 「設定」を開く
- 「カスタマイズ」を選択
- 「オブジェクト名」を選択
- 「レコードタイプ」を選択
- 「新規ボタン」をクリック
- 「有効」にチェック(必要に応じて説明を入力)
- 下部のチェックボックスから「プロファイル」を選択
- 「次へ」をクリック
- ページレイアウトを選択して「保存」
- 保存したレコードタイプの選択リスト値を編集するために選択リストの左側の「編集」を選択
- 該当のレコード対応に必要な値だけ選択して「保存」
ここまでの手順で1つのレコードタイプが完成します。ここまでの手順で注意すべきポイントは、「有効」にチェックする際、デフォルトでプロファイルすべてにチェックが入っていることです。新規でレコードタイプを作る場合は、デフォルトですべてのプロファイルが有効になっています。そのため、新規の場合は必要に応じて「有効」のチェックを外すことが必要です。
異なるレコードタイプを作る場合は、同じ手順で進めていくことになります。ただし2つ目以降のレコードタイプを作るときは、先ほど紹介したデフォルトで「有効」にチェックが入っている状態ではありません。逆に「有効」のチェックがすべて外れている状態になります。新規とおなじ手順で進めていく中で、「有効」にチェックを見過ごしてしまうと、2個目以降のレコードタイプに項目が表示されなくなる点に注意しましょう。
レコードタイプの作成や更新時の注意点
Salesforceのレコードタイプの作成や更新では、いくつか考慮すべき点があります。
- レコードタイプ名に「マスタ」を使えない(すでに予約済みのレコードタイプ名のため)
- レコードタイプはオブジェクト作成・編集アクセス権は制御可能だが参照アクセス権は制御できない
- レコードタイプを変更することにより、Lightningページも更新される仕組み
レコードタイプを一括変更する方法
レコードタイプは、一括変更ができます。ただし、変更してしまうと元に戻せません。そのため一括変更を実行する前に小規模なテストが必要です。ここでは、一括変更する方法としてデータローダを使った方法を紹介します。
【更新するレコードタイプのIDを特定(データローダを使う方法)】
- データローダでエクスポートを実行
- 更新対象のレコードIDを抽出
- クエリに条件を追加
- 条件と一致するレコードを選択
- 項目選択では「ID」と「RecordTypeID」を必ず選択
- 抽出先(CSVファイルのエクスポート先)を選択
- 「Finish」をクリック
ここまでの手順でデータローダを使ったレコードタイプの一括変更が可能です。データローダとは、クライアントアプリケーションの1つでデータの一括処理(インポートやエクスポート)に利用します。エクスポートには、CSVファイルの出力を使うことが特徴です。
まとめ
本記事では、Salesforceのレコードタイプについて、概念や特徴など解説してきました。
レコードタイプは、Salesforce特有の社内部署ごとに最適なデータを受け渡す効率的な開示方法です。そのため、プロファイルやオブジェクトが増えていくにつれて、項目も増えてきます。
膨大な項目を持ったオブジェクトを社内全体で共有した場合、部署間の認識ちがいが起きることも考えられるでしょう。
レコードタイプは、マスタとなるデータを充実させた状態で、「表示」と「非表示」の設定を活かした異なる部署に最適な情報の伝達方法です。
多様化する現代では、顧客や取引先の属性データのきめ細かさが求められます。そのような時代に合ったデータ表示の仕組みがレコードタイプです。
まずは、小さなテストの実行で体験してみることから始めてみましょう。
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投稿者プロフィール
- Salesforceの導入を支援するフロッグウェル株式会社のシニアコンサルタント。Salesforce導入前の課題整理や戦略検討から、導入支援、定着化・保守など、多岐にわたるサポートを経験。Salesforce認定SalesCloudコンサルタント、上級アドミニストレーターの資格を保有。