医療機器業界の取引先・取引先責任者マスタとは 目的や扱い方・メンテナンス方法をわかりやすく解説
目次
こんにちは。フロッグウェルの大田です。こちらのブログでは、医療機器業界の企業でSalesforceを提案する際の、必要な情報をお伝えしていきます。
今回は顧客マスタについてです。
様々な業界の中で、医療機器業界は顧客マスタについてよく議題に上がり、大きな課題となります。特徴がありますので今回はこちらについて解説をしていきます。
取引先マスタを学習する目的
このブログ内容を理解すると、次の事ができるようになります。
- 医療機器業界顧客と顧客マスタについて議論を進めることができるようになる。
- 顧客マスタについて、大枠の構成を提案できるようになる。
取引先マスタを取り扱う背景
ヘルスケア、特に医薬業界、医療機器業界というのは、SFAという言葉、CRMという言葉が世の中で使われるようになった20数年前からその種のシステムの導入が進んでいた業界です。理由としては、その10年前に主流になったERP(業務基幹ソフトウェア)の導入が終わったということもありますが、一番の理由としては顧客の特性です。医薬業界、医療機器業界の一番の顧客というのは、病院・クリニックなわけですが、これがなかなか大変な施設で日本だと病院・クリニックで10万件程度、歯科医院や薬局をいれると20万を超えます。
この各施設に医師や看護師、その他医療関係者という大勢の人が働いており、企業としてその施設、またそこで働いている人々を把握するのはかなり難易度が高いです。医薬や医療機器メーカー業界を管理するのに、大きな課題になるのが今回扱う取引先マスタ(顧客マスタ)になります。
医薬業界、医療機器業界の取引先マスタとは
今回の対象として病院・クリニックを顧客としている医薬・医療機器メーカー又は販売会社を取り扱います。ヘルスケア業界では、直接利用者(患者)を顧客とする場合や、ドラッグストア、研究施設、他医療関係メーカーを顧客とする場合もありますが、それは別のブログで扱います。
前述のように病院・クリニックというのは多くあります。これがなかなか大変で、神奈川県の佐藤病院はいくつかあり、似た名称、例えば佐藤クリニック、佐藤医院、佐藤etcとなるともう何10もあります。これを企業の中で重複がないよう管理しないといけません。
行政がマスタを提供してくれれば良いのですが、なかなか使いやすいマスタもないこともあり、企業が有料・無料マスタを提供としています。有名なところではアルトマーク社でしょうか。どの会社も月次で更新される各厚生局のエクセルシートを元に独自に整理や項目を付け加えて提供しています。当社でも無料・有料で提供しており300法人ぐらいに提供をしています。
取引先マスタの扱い方について
医薬や医療機器メーカーにSalesforce導入の説明に行く際に聞かれるのがこの持ち方です。導入前にマスタを的確に管理できている会社は少なく、8割ぐらいがSalesforce導入後効果として期待しています。こちらには決まった解答がある訳ではないので、明快にこれだと解答は出来ないのですが、いくつかの質問をして、企業によりベストなマスタの設計を検討します。
顧客への質問
- 医師をどのように管理したいのか?(外部マスタの利用有無含め)
- 現状、社内の他システムで施設・医師をどう管理しているのか?
- メンテナンスに時間をさけれるか?
医師というのは、あたり前のように複数施設で働いていて、あくまで医師を中心に顧客を考えたい会社では、病院・クリニックより医師を追いたいという希望があります。また、出身大学や、所属学会、企業によっては過去の病院又は病院内の診療科の転籍の履歴、家族、趣味等いろいろなことを管理したいようです。
あたり前ではありますが、管理すればするほど、メンテナンスは大変になります。また、社内で基幹システムで同じような(これが全く同じでないところが難しさなのですが)情報を管理していますし、その他修理システムや見積システム等複数システムで管理していたりして、企業全体のマスタの設計をしっかりすることも重要になります。誰がどのシステムから新しい取引先データを追加又は更新して、誰がその確認作業を行い、どの頻度で他システムと同期をとるのか、大きな課題として考えるべきところです。
Salesforce上で取引先マスタと同じレベルで医師、施設を管理し相互に結ぶつける形で設計することもありますが、メンテナンスはかなり大変になることもあり、営業社員が1000人を超える企業でないと難しいと思います。通常は、Salesforceの考え方に近い、取引先=施設、取引先責任者=医師・他医療関係者として管理するのが楽です。Salesforceの考え方に近いというのは大切なことで、今後のシステム拡張でメール配信は、MA(マーケティングオートメーション)、メール配信等、コミュニティサイトの構築等が楽です。企業によっては、医師と複数施設を紐づけたい場合には、ロール機能を使って追えるようにします。
取引先マスタ、取引先責任者のメンテナンスはどうするか
私の持論でもあるのですが、システムは設計が大切なのと同じレベルで運用設計が大切です。(これを忘れる人も多いのですが)設計時にはかならずどんな風にデータを入力しそれをどうメンテナンスするのか、クリアなイメージを持つことが大切です。
- マスタ管理者しか更新しない
- 基本項目はマスタ管理者しか更新できず、営業担当は見るだけ、ただし営業担当が更新できる
- 営業担当が更新できるが、管理者が定期的に確認する
上記の方法が考えられますが、b, cあたりが多いです。製薬大企業はaの場合もあるようです。
なお、当社は前述したマスタの提供と合わせてメンテナンスを引き受けています。どの方法も定期的に担当者が責任をもって確認、修正をすることが大切です。しばらく放置しておくと重複データができ、データがどんどん汚く、システムも使いにくくなっていくものです。その意味ではマスタというのはシステムの中心であり、労力と頭を使う箇所でもあります。
1施設1取引先でない場合
今まで、施設として病院・クリニックを取引先単位として考えていましたが、医薬企業、医療機器メーカーによっては、診療科単位で考える企業もあります。病院というのは医師により採用が異なることも多いのですが、診療科によっても採用は異なります。整形外科でシェアはあっても、救急科や小児科等は別の機器が使われたりすることは多いです。この傾向は製薬より医療機器に多い気がします。薬は院内にも薬剤師がいて一括で管理されていますが、医療機器はそれがないため診療科によって異なっているのが原因のようです。
診療科毎に管理するのはまた、難しいです。病院やクリニックの診療科は独自に名称を決めることもできるので、呼び方が違ったりもします。
また診療科毎だと当然対象数が多くもなり(何倍)それだけ管理及びメンテナンスも大変になります。他システムと同期する場合はそれも考える必要もあり、基幹システムの出荷は施設単位だったりもするので、整合性をとる必要もあります。
初めに何から決めていくか
CRMの中で一番大切な取引先(施設)ですが、外部マスタを中心に考えるのがよさそうです。最初の導入時のクレンジングも、企業内の複数システムでの同期、導入後のメンテナンス等は、まずはどの外部マスタを基準とするかでしょうか? 予算がない場合は、当社マスタの無料版からスタートしても良いと思います。国が指定している医療機関コードを持っていれば後で他マスタに変更することも容易です。現状でマスタ整備ができていない企業の場合は以下のステップになります。
- 外部マスタを決める
- 外部マスタと既存マスタをマッチング(この際に重複チェックも行います)
- Salesforceに投入後、外部マスタの差分を定期的に更新する
注意すべき点として、廃院や名称変更、経営体の変更等がありますが、こちらにはルールを決める必要があります。
医療機関コードは経営者が変更になると変わったりするので、継続性がありません。親族に継承して実際は何も変わっていないのに違う病院・クリニックとして扱われるには不便だったりもするので、その際も外部マスタでは、独自コードで継続したコードを利用可能にしているものもあり便利です。
まとめ
医薬や医療機関メーカー・販売会社でのマスタ管理を説明致しましたが、やはり企業により異なるところも多いです。
そのため企業ごとに、メンテナンスも加味した上でのベストな形の模索が必要になります。お伝えをした情報や決める順番を参考にしていただき、顧客との調整を進めましょう。
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