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地域保健・健康増進事業報告とは オープンデータの特徴や活用方法を解説

#オープンデータ #地域保健・健康増進事業報告

人の寿命を測る指標に「平均寿命」と「健康寿命」があります。平均寿命とは、0歳における余命を指し、健康寿命とは、医療・介護に依存することなく自立した生活が送れる期間のことです。日本人の平均寿命と健康寿命は、いずれも年々増加傾向にあります。

国民が健康で長生きするためには、平均寿命と健康寿命の差を縮めるための健康状態を保つ対策が欠かせません。そこで、厚生労働省は地域住民の健康を保持・増進するために、地域保健・健康増進事業報告を実施しています。

本記事では、地域保健・健康増進事業報告の内容について解説します。
地域保健・健康増進事業報告におけるオープンデータの活用方法も掲載しているので、ぜひ参考にしてみてください。

地域保健・保健増進事業報告とは

厚生労働省が実施している地域保健・保健増進事業報告とは、保健所や市区町村が地域住民の健康を保持・増進するために行っている地域保健事業や健康増進事業に関する調査のことです。国・地方公共団体が策定する今後の施策を、効率的・効果的に推進するための基礎資料を得ることを目的としています。

地域保健・保健増進事業報告から得られた結果は「健やか親子21」や「がん対策推進基本計画」などに利用されています。 厚生労働省が集計した調査結果は、厚生労働省のホームページにオープンデータとして公開されているので、誰でも利用 が可能です。

地域保健・保健増進事業報告の調査概要

保健所や市区町村が実施する「地域保健事業」と、市区町村が実施する「健康増進事業」を毎年調査することで、地域住民の健康状態の推移を把握できます。地域保健・保健増進事業報告の調査概要は、以下のとおりです。

報告対象 全国の保健所・市区町村
調査単位 年度ごと
調査時期 調査対象年度の翌年6月末日
報告時期 調査対象年度の翌々年3月
調査事項 ①地域保健事業(母子保健、健康増進、歯科保健 等)
②健康増進事業(健康診査、訪問指導、がん検診 等)
報告方法 都道府県知事、指定都市・中核市の長によるオンライン報告

 

地域保健・保健増進事業報告の公開内容

毎年公開される地域保健・保健増進事業報告のオープンデータは、地域保健編と健康増進編の2部構成です。それぞれの公開内容を詳しく見ていきましょう。

大分類 小分類 内容
地域保健編 母子保健 *妊娠届出の状況
*妊産婦の健康診査の実施状況
*乳幼児の健康診査の実施状況
*妊産婦・乳幼児の保健指導・訪問指導の実施状況
健康増進 *健康増進関係事業の指導内容の年次推移
*健康増進関係事業の指導対象区分別の指導内容
歯科保健 歯科健診・保健指導等の年次推移
精神保健福祉 *精神保健福祉の相談等の年次推移
*精神保健福祉の相談内容の年次推移
エイズ エイズに関する相談・検査の年次推移
予防接種 定期の予防接種の接種者数の年次推移
職員の配置状況 *常勤職員の配置状況
*常勤保健師の配置状況
健康増進編 健康診査 *性別にみた健康診査における受診者数の年次推移
*性別にみた健康診査における検査結果の状況
歯周疾患検診・骨粗鬆症検診 *歯周疾患検診・骨粗鬆症検診の実施状況
*歯周疾患検診・骨粗鬆症検診の実施市区町村数及び検診実施率の年次推移
健康教育 集団健康教育の実施状況
健康相談 健康相談の年次推移
訪問指導 *訪問指導の対象者別にみた被訪問指導実人員の年次推移
*訪問指導の対象者別にみた被訪問指導実人員
がん検診 *がん検診の受診者数及び受診率
*がん検診受診率の状況
*がん検診受診者における要精密検査の受診状況
肝炎ウイルス検診 *肝炎ウイルス検診の実施状況
*肝炎ウイルスに関する健康教育・健康相談の実施状況の年次推移

 

地域保健・健康増進事業報告の活用方法

地域保健・健康増進事業報告では、各種検診や健康教育、指導・相談などの実施状況が、年次別・年代別・男女別等で集計されており、国民の健康状態を多角的に把握できます。

また、全国の保健所・市区町村から集めた膨大なサンプル数を誇るため、精度の高い分析が可能です。地域保健・健康増進事業報告のオープンデータは、ビジネスの発展や病院の経営改善に以下のように活用できます。

  • 精神保健福祉の相談内容に焦点を当てたサービスの展開
  • 受診者数が増加しているがん検診の導入

それぞれの活用方法について、詳しく見ていきましょう。

精神保健福祉の相談内容に焦点を当てたサービスの展開

全国の保健所及び市区町村では、国民からの健康に関する相談を受け付けています。地域保健・健康増進事業報告では、内容別の相談件数が年次推移でまとめられているので、近年悩みを抱えている人が最も多い相談内容を特定できます。

需要の高い相談内容に対して、それを解決できるような新規サービスを展開することで、高い売上が期待できるでしょう。

例えば、令和4年度地域保健・健康増進事業報告の結果をみると「老人精神保健」に関する相談が、近年増加傾向にあることが分かります(表1)。

表1:令和4年度地域保健・健康増進事業報告 精神保健福祉の相談内容の年次推移

これは、高齢化の促進に伴って、精神障害を抱えている高齢者も増えてきていると推測できます。高齢者の精神保健対策として、以下のようなサービスの展開が可能です。

  • 介護者に対する講習の実施
  • 精神科デイケアの開業
  • 家庭訪問サービス事業の立ち上げ

また、相談する手段としては、訪問指導が減少傾向にあるのに対し、メール相談は年々増加傾向にあります。したがって、展開するサービスの窓口として、メール・WEB・LINEなどのオンライン対応を充実させることで、より多くの人に利用してもらえる可能性が高まるでしょう。

地域保健・健康増進事業報告では、各種がん検診ごとに受診者数と受診率がまとめられています。受診者数が多いがん検診は、国民の認知度と需要の高さを意味します。

受診者数が多いがん検診を医療機関に導入することで、受診してくる患者数の増加が期待できるでしょう。さらに「検診受診者における要精密検査の受診状況」からは、がん検診を受けた患者のうち、実際にがんであった患者数も特定可能です。

がん検診受診者数に対するがんであった患者数の割合が高いことを、地域保健・健康増進事業報告の裏付けをもって患者に示せれば、患者ががん検診の受診を決断する上での大きな決め手になります。

ただし、受診者数が多いということは、競合となるがん検診の実施機関が多いことを意味します。競合の医療機関と差別化を図るために、以下のような対策を行うのがおすすめです。

・検査料金を減額する
・オプション検査を充実させる
・土日祝日や深夜の検査を可能にする
・専門性の高い医療機関と連携する

 
また、厚生労働省が実施する全国のがん患者に特化した調査である「全国がん登録罹患数・率報告 」には、詳細な部位ごとの罹患率やがんの発見経緯などの情報も掲載されています。地域保健・健康増進事業報告のオープンデータと組み合わせて、がん検診の導入にぜひ活用してみてください。

まとめ

厚生労働省が毎年実施している地域保健・保健増進事業報告は、全国の保健所や市区町村が行っている「地域保健事業」や「健康増進事業」に関する調査です。精神保健福祉の相談や教育指導、各種検診などの実施状況を把握できます。

地域保健・保健増進事業報告のオープンデータは、厚生労働省のホームページに無料で公開されているため、誰でも利用できます。全国の保健所や市区町村から集めた膨大なサンプル数を誇るので、精度の高い分析が可能です。

オープンデータを活用し、ビジネスの発展や病院経営の改善にぜひ役立ててみてください。

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