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TableauとExcelの違いとは メリット・デメリットとともに解説

「DX」などの文脈でデータの活用が近年一層重要になっています。データを使うという意味においては、これまでもエクセルを中心としたデータ活用は行われていました。

一方で、データ活用という観点では、脱エクセルという話も広がっており、エクセル以外のツールの利用を解説した書籍やウェブサイトも多数存在しています。
しかし、エクセルは現在でも広く、様々な現場で使われています。筆者自身もデータアナリストとして業務を行う中で、分析ツールとエクセルを使い分けています。

データの活用を行うためのツールとして、最も広がりを見せているTableauは、現在、情報通信業以外にも製造業や医療においても利用が広がっています。
この記事では、利用の広がりを見せるTableauとエクセルのメリット・デメリットを具体的な使い方を踏まえて解説していきます。

使い方という観点では、Tableauとエクセルの機能の比較も重要ですが、データを分析する側の立場から見たメリット・デメリット、データを受け取り閲覧して使う側から見たメリット・デメリットも踏まえて解説をします。

この記事では、各ツールの利用ケースを想定した機能比較と共に組織に導入する際のメリットデメリットについても触れていきたいと思います。

Tableauとエクセルの成り立ち

まず、Tableauとエクセルのメリット・デメリットを考える上では、それぞれのツールの成り立ちの違いを理解しておくことが重要です。
エクセルとは、表計算を行うためのツールです。表計算とは何をするものかと言えば、「データを入力し、集計することで集計表を作成する」ということです。

一方で、Tableauは、データの可視化を主たる機能としたツールです。

分析ツールの機能比較の概要

Tableauとエクセルの成り立ちが異なるとはいえ、エクセルにおいてもデータの可視化を行うことは出来ます。ここでは、Tableauとエクセルのメリット・デメリットを機能の観点で比較をしていきます。ここで説明するエクセルは、デスクトップ環境で利用できるエクセルです。
まず機能比較を行う上での、それぞれの観点で、Tableau、エクセルの特徴を整理すると下記の表のようになります。

それぞれの特徴を一言でまとめると、Tableauは少ない手順で色々なグラフや集計表を作成することができ、エクセルは可視化や集計は少し手間はかかるが、自分の好きなようにデータを入力してデータ集計を実行できるという特徴があります。

次にそれぞれの比較の観点について詳細を解説します。

データソースの接続の柔軟性

Tableauは、テキストファイル、エクセルファイルをはじめ、RedshiftやBigQueryへの接続も可能です。データを分析し、提供する側の立場からは、データベースに接続した際に、カスタムクエリを作成してデータを抽出することができる点も便利な点と言えます。

エクセルにおいてもテキストファイルを読み込むのはもちろん、BigQuery connector for excelを利用すればBigQueryにクエリを投げてデータを抽出することが可能です。ただし、接続はTableauと比べると手間がかかります。例えば、BigQueryに接続する場合には、クエリ発行に必要なIQYファイルというものをダウンロードしたり、BigQUery connector for excelを使うためのユニークキーを発行する必要があります。このユニークキーは有効期限が設定されているので、定期的に使う場合は再発行を行う必要があります。

データ接続については、テキストファイルだけを扱う組織であれば、Tableauでもエクセルでも大きな違いはありませんが、データベースに接続して定期的に分析集計を行いたい場合には、管理の手間がTableauの方が少ないと言えます。

データ変換の機能

データを変換するということは具体的には、「データを結合する」「データから余計な表記を除く」「新しい列を追加する」ということが必要になります。
Tableauを使うと、グラフィカルな表示でデータの結合作業が行えたり、正規表現を用いたデータのクレンジングも行えます。新しい列の追加も、条件分岐を加えながら設定することも可能です。これは、エクセルでも実行可能ですが、関数をコピー&ペーストする中で、適切に関数が適用されていないセルが発生する危険性もありますので、データの整形作業が多くなるほど、少ない作業で一括してデータの変更ができるTableauの方にメリットがあります。

データの可視化機能

データの可視化という観点では、実務的な観点では作成するべきグラフの種類自体は「線グラフ」「散布図」「集計表」「積み上げ棒グラフ」なので、グラフの作成種類という観点ではTableauもエクセルも大きな違いはありません。違いがあるのは、可視化したグラフや表をより分かりやすく設定する場合、Tableauの方が工数を少なく行うことができます。

例えば、散布図を作成したときに、散布図のデータポイントをグループで色分けすることも、Tableauであれば色分けしたい項目をドラッグ&ドロップするだけで完了します。
また集計表を作成した場合に、合計値を出す以外にも割合を出すための設定を柔軟に行うことができます

ビジネスにおいてはグラフの美しさよりも、最速で見たい視点で分かりやすくデータを分析し提供することが求められますので、データ分析を専門で行う場合には、特にTableauの方がメリットが大きいと言えます。

ファイルの共有・管理

作成した分析用ファイルをどのように管理するべきか、組織で共有するためのデータをどのように管理するべきなのかという視点で、Tableauとエクセルを比較します。
TableauはTableau ServerもしくはTableau Onlineを利用すれば、作成した可視化データをダッシュボードとして組織全体で閲覧できるようにすることが可能です。そのため、全員でみるべきものを一元的に管理することができます。

上記は、Tableau Viewerなどのライセンスを組織全体で保有している場合であり、Tableauのファイルの閲覧機能だけあるTableau Readerを利用している組織では当てはまりません。Tableau Creatorで作成したファイルを配布して、Tableau Readerで閲覧する共有方法をとる場合には、エクセルと比較した場合の大きなメリットはありません。
ファイルをシェアフォルダで共有する方法もありますが運用観点からはおすすめできません。データソースが最新でない場合や、分析項目が発生している場合が、分析担当者、閲覧者のいずれにも負担がかかります。

データの入力

この点が最も大きく異なる点です。Tableauは集計表を見ながら都度セルに数値を追加など編集は、エクセルほどの自由度で行えません。
データを受け取り閲覧する側で、「必要な数値を足したり割ったり、時には必要なカラムを追加したい」というニーズがある場合には、エクセルにメリットがあります。
これはデータを集計して分析したものを提供される立場から見た時のメリットです。

まとめ


データを抽出して整備し、探索するという点で一気通貫してTableauの方が機能的にはメリットが多いです。しかし、データの中身さえ見れればよく、学習コストをあまりかけずにちょっとした計算をしたいという人には、エクセルの方が使いやすいツールです。データにどのような関わり方をしている組織なのか、どのような使い方をしたい人が多いのかという点を考えながら、Tableau、エクセルのそれぞれのメリットを活かした使い方が出来ます。

投稿者プロフィール

杉山 真吾
PowerBI、TableauなどのBIツールの導入を支援するフロッグウェル株式会社のシニアコンサルタント。データ分析基盤設計やデータモデル・レポート設計、運用コンサルティングなど、多岐にわたるサポートを経験。

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