TableauとExcelの違いとは 機能別にどちらを利用するべきか徹底比較
目次
「DX」などの文脈でデータの活用が近年一層重要になっています。データを使うという意味においては、これまでもExcelを中心としたデータ活用は行われていました。
一方で、データ活用という観点では、脱Excelという話も広がっており、Excel以外のツールの利用を解説した書籍やウェブサイトも多数存在しています。
データの活用を行うためのツールとして、最も広がりを見せているTableauは、現在、情報通信業以外にも製造業や医療においても利用が広がっています。
この記事では、TableauとExcelの違いについて、機能面に加え、機能面以外の大切な部分について触れていきたいと思います。
TableauとExcelの最大の違いは、「データドリブンな活動」であるかどうかという点です。
企業や組織の目標達成に直結する課題を解決するために、データ分析を活用するような場合、Excelでは限界があり、限界のあるツールを使い続けると、いつまでもデータドリブンな組織にはたどり着けないということになってしまいます。是非、TableauとExcelの機能の違いだけではなく、「そのデータ分析を実施する目的」や「どのように企業の成長に結びつけるのか」という大切な側面にも着目して両者を比較してみてください。
TableauとExcelの成り立ち
まず、TableauとExcelのメリット・デメリットを考える上では、それぞれのツールの成り立ちの違いを理解しておくことが重要です。
Excelとは、表計算を行うためのツールです。表計算とは何をするものかと言えば、「データを入力し、集計することで集計表を作成する」ということです。
一方で、Tableauは、データの可視化を主たる機能としたツールです。
Tableauは、データを可視化するだけではなく、データ分析のプロセス全般をカバーするものとして設計されています。一般的にデータ分析のプロセスとして定義されているものとして、以下の流れが挙げられます。
1)課題の設定
2)データの準備
3)可視化(ビジュアライゼーション)
4)インサイトの発見
5)共有
6)行動を起こし、課題が解決したかの確認
データ分析というと、『2)データの準備』と『3)可視化(ビジュアライゼーション)』が頭に思い浮かびますが、それらを実行しただけでは、実際のビジネスに対する貢献はほとんどなく、その後、データ分析の結果から行動を起こすことが求められます。この部分がTableauとExcelの大きな違いでもあります。
分析ツールの機能比較の概要
TableauとExcelの成り立ちが異なるとはいえ、Excelにおいてもデータの可視化を行うことは出来ます。ここでは、TableauとExcelのメリット・デメリットを機能の観点で比較をしていきます。ここで説明するExcelは、デスクトップ環境で利用できるExcelです。
まず機能比較を行う上での、それぞれの観点で、Tableau、Excelの特徴を整理すると下記の表のようになります。
それぞれの特徴を一言でまとめると、Tableauは少ない手順で色々なグラフや集計表を作成することができ、Excelは可視化や集計は少し手間はかかるが、自分の好きなようにデータを入力してデータ集計を実行できるという特徴があります。
次にそれぞれの比較の観点について詳細を解説します。
データソースの接続の柔軟性
Tableauは、テキストファイル、Excelファイルをはじめ、RedshiftやBigQueryへの接続も可能です。データを分析し、提供する側の立場からは、データベースに接続した際に、カスタムクエリを作成してデータを抽出することができる点も便利な点と言えます。
Excelにおいてもテキストファイルを読み込むのはもちろん、BigQuery connector for excelを利用すればBigQueryにクエリを投げてデータを抽出することが可能です。ただし、接続はTableauと比べると手間がかかります。例えば、BigQueryに接続する場合には、クエリ発行に必要なIQYファイルというものをダウンロードしたり、BigQUery connector for excelを使うためのユニークキーを発行する必要があります。このユニークキーは有効期限が設定されているので、定期的に使う場合は再発行を行う必要があります。
データ接続については、テキストファイルだけを扱う組織であれば、TableauでもExcelでも大きな違いはありませんが、データベースに接続して定期的に分析集計を行いたい場合には、管理の手間がTableauの方が少ないと言えます。
データ変換の機能
データを変換するということは具体的には、「データを結合する」「データから余計な表記を除く」「新しい列を追加する」ということが必要になります。
Tableauを使うと、グラフィカルな表示でデータの結合作業が行えたり、正規表現を用いたデータのクレンジングも行えます。新しい列の追加も、条件分岐を加えながら設定することも可能です。これは、Excelでも実行可能ですが、関数をコピー&ペーストする中で、適切に関数が適用されていないセルが発生する危険性もありますので、データの整形作業が多くなるほど、少ない作業で一括してデータの変更ができるTableauの方にメリットがあります。
データの可視化機能
データの可視化という観点では、実務的な観点では作成するべきグラフの種類自体は「線グラフ」「散布図」「集計表」「積み上げ棒グラフ」なので、グラフの作成種類という観点ではTableauもExcelも大きな違いはありません。違いがあるのは、可視化したグラフや表をより分かりやすく設定する場合、Tableauの方が工数を少なく行うことができます。
例えば、散布図を作成したときに、散布図のデータポイントをグループで色分けすることも、Tableauであれば色分けしたい項目をドラッグ&ドロップするだけで完了します。
また集計表を作成した場合に、合計値を出す以外にも割合を出すための設定を柔軟に行うことができます
ビジネスにおいてはグラフの美しさよりも、最速で見たい視点で分かりやすくデータを分析し提供することが求められますので、データ分析を専門で行う場合には、特にTableauの方がメリットが大きいと言えます。
ファイルの共有・管理
作成した分析用ファイルをどのように管理するべきか、組織で共有するためのデータをどのように管理するべきなのかという視点で、TableauとExcelを比較します。
TableauはTableau ServerもしくはTableau Cloudを利用すれば、作成した可視化データをダッシュボードとして組織全体で閲覧できるようにすることが可能です。そのため、全員でみるべきものを一元的に管理することができます。
上記は、Tableau Viewerなどのライセンスを組織全体で保有している場合であり、Tableauのファイルの閲覧機能だけあるTableau Readerを利用している組織では当てはまりません。Tableau Creatorで作成したファイルを配布して、Tableau Readerで閲覧する共有方法をとる場合には、Excelと比較した場合の大きなメリットはありません。
ファイルをシェアフォルダで共有する方法もありますが運用観点からはおすすめできません。データソースが最新でない場合や、分析項目が発生している場合が、分析担当者、閲覧者のいずれにも負担がかかります。
Tableauを利用する利点としては、ガバナンスの強化が挙げられます。Excelを使った場合、オンライン上でファイルを共有することは可能です。ただし、いったんローカルのパソコンにダウンロードしてしまうと、そのデータは管理できないものになってしまいます。企業における重要なデータや分析レポートは正しく管理されるべきで、Tableauを利用することできめ細やかに、かつ、一元的に管理することが可能です。
データの入力
Tableauは集計表を見ながら都度セルに数値を追加など編集は、Excelほどの自由度で行えません。
データを受け取り閲覧する側で、「必要な数値を足したり割ったり、時には必要なカラムを追加したい」というニーズがある場合には、Excelにメリットがあります。
これはデータを集計して分析したものを提供される立場から見た時のメリットです。
データドリブンを可能にする
TableauとExcelの最も大きく異なる点は、ツールがサポートする対象です。
Excelは他にも様々な用途で利用できますが、その反面、データ分析のプロセスの内、データの準備と可視化部分にしか対応していません。
それに対し、Tableauは分析からインサイトを見つけ、それを共有し、設定していた課題が解決されたのかまで確認するという、データ分析全体をカバーする機能を持っています。
まとめ
データ分析を単発で実行する目的であれば、Excelでも十分かもしれません。また、Excelであれば学習コストをかけずに計算や入力などを手軽に行うことができます。ただ、多くのデータ分析は、企業の成長や経営課題の解決に直結するものであるはずです。
Tableauを利用することで、データ分析の機能面だけではなく、活動全体の最適化を図ることが可能になります。是非、データ分析を通じて、組織風土の改善を図り、今まで成しえなかったような成果をつかみ取ってください。
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