スタートアップの営業でビジネス課題の見つけ方!ポイント3つを解説
目次
セールスにおいて購買検討段階の顧客は、どのようなニーズや課題を持っているのでしょうか?スタートアップのセールスにおける商談では、5段階のステージがあります。5段階のステージのうち、ステージ1では見込み客以上の状態で商談前の段階でした。
今回は、ステージ1の状態から、「いかにステージ2の顧客のビジネス課題を明確にするか?」について、解説します。いわば、スタートアップのセールスにおけるビジネス課題の見つけ方です。この記事では、ビジネス課題を認識する3つのポイントに分けて紹介します。ぜひ、参考にしてみてください。
ポイント1:仮説構築
商談の5段階ステージの2段階目は、購買検討段階の顧客が対象です。購買検討段階の顧客に対して、セールス担当者は顧客の課題を事前にリサーチする必要があります。仮説を立てる際のリサーチは、次の顧客情報が対象です。
顧客企業のWebサイト
顧客企業が属する業界団体Webサイト
顧客企業の会社ブログ
顧客企業のオウンドメディア
顧客企業アカウントのSNS(Facebook・Twitter・Instagramなど)
顧客企業開催の講演
顧客企業のインタビュー記事(導入事例記事)
企業データベース
業界マップ
登記簿謄本など
上記の情報源をもとにして、顧客の状態を全体的に把握する必要があります。あらゆる情報源から、顧客企業の抱える課題を抽出して、仮説構築するイメージです。
商談前の解決策の仮説構築:現状と本来あるべき状況の可視化
購買検討段階の顧客には、商談前の解決策を仮説構築する必要があります。仮説構築するには、現状と本来あるべき状況を可視化することが大事です。具体的には、次のような進め方になります。
経営者の願望や使命:顧客の本来あるべき状況・将来の構想
経営者の願望や使命:戦略
経営者の願望や使命:顧客の現状
経営者の願望や使命は、上記の3つに分けて仮説を立てます。戦略面で解決する課題は、次のとおりです。
人的課題
金銭的課題
情報課題
自社製品の課題
競合製品の課題
その他の課題
仮説を構築しない営業は、準備が不足な営業になるため、顧客にとっても大事な時間を無駄にしてしまいます。上記にあげたあらゆる角度からの課題に対して、解決策を用意しておけば、顧客との関係性の構築になるでしょう。
ポイント2:インサイトセールスの実行
購買検討段階の顧客のビジネス課題を明確にするポイントは、インサイトセールスの実行です。
インサイトセールスとは
インサイトセールスとは、顧客の潜在的な課題を見つけ出す洞察型営業になります。インサイトセールスは、顧客の潜在的な課題に最適な提案ができる営業手法です。顧客視点に立った手法となるため、顧客とのタッチポイントを増やして、顧客対象となる企業全体の可能性にはたらきかけます。
インサイトセールスのメリット
スタートアップがインサイトセールスを取り入れるメリットは、次のとおりです。
綿密なヒアリングによる顧客の育成ができる
顧客の課題の本質部分を見抜けば受注率の向上につながる
Webメディアを活用して効率的に顧客獲得を目指せる
インサイトセールスは、顧客の持つ課題の本質部分をヒアリングにより抽出します。また、訴求媒体は、ホワイトペーパーやニュースリリースなどを活用してコンテンツ配信する形式です。
インサイトセールスによるビジネス課題の見つけ方
インサイトセールスでは、顧客のビジネス課題をどのように見つけるのでしょうか?具体的には、次のような手順でインサイトセールスを進めて、顧客のインサイト(洞察)を深く探ります。
ステップ1:マーケティング部門から現状のリード情報(顧客のビジネス課題)をパスされる
ステップ2:顧客企業の価値観から仮説構築する
ステップ3:仮説をもとにして現状の課題をヒアリングする
ステップ4:顧客企業の価値観にたどり着いた理由を明確にヒアリングする(経営トップへ)
ステップ5:企業の理念や使命を達成するための施策を立てる
ステップ6:戦略を実行するための業務や戦術を策定する
上記の手順では、企業理念や価値観の部分で経営トップのヒアリングを必要とする点が特徴です。インサイドセールスでは、顧客のビジネス課題を「どれだけ正確に聞き出せるか?」が大きなポイントになります。正確に聞き出すためには、顧客の潜在意識を掘り起こすような質問が大事です。そのため、インサイトセールス担当者は、1つ目のポイントとなる「仮説構築」の段階で、関連する派生要素までリサーチしておく必要があります。
マジッククエスチョン
顧客に対して正確なビジネス課題を聞き出すには、マジッククエスチョンが効果的です。マジッククエスチョンは、顧客が本当に求めていることを明確化する質問手法となります。マジッククエスチョンは、顧客も気づいていない深層心理のニーズを明確する手法です。具体的には、「なぜ、その製品を必要とするのですか?」または、「その製品を使って何がしたいのですか?」という顧客のビジネス課題に焦点をあてる必要があります。
深掘りにより顧客企業のコンサルタント的存在になる
顧客の潜在的なビジネス課題を深掘りできれば、顧客にとっては“良きアドバイザー”となるでしょう。つまり、セールスを飛び越えてビジネス課題の深掘りにより顧客企業のコンサルタント的存在になれます。顧客企業に対して深掘りすることは、相手のことを気にかけている印象を与えるため、製品の購入に営業担当者の姿勢も含まれるメリットがあるでしょう。
ポイント3:意思決定者の取り込み
購買検討段階の顧客に対して、ビジネス課題を明確化する場合は、顧客企業の意思決定者を取り込むことがポイントです。意思決定者を取り込むには、顧客企業の意思決定プロセスをKPI設定する必要があります。
BtoB製品の場合は、高額による契約が主流です。そのため、経営トップの意思決定が欠かせません。経営層を絡めることが必要であれば、できる限り早い段階で意思決定者を取り込むことが大事です。
意思決定のプロセスをKPI設定する場合は、キーパーソンごとに達成成果が違う点を理解しておきましょう。たとえば、顧客企業の意思決定プロセスは、次のようなKPIの違いがあります。
経営層のKPI:会社全体のPL・会社の節税
IT部門のKPI:インシデント数の削減
人事部門のKPI:離職率の低下
部署管理者のKPI:部署内のPL
営業担当者のKPI:アポ獲得件数
営業担当者のKPI:個人の獲得売上金額
営業担当者のKPI:残業時間の削減
上記にあげたそれぞれのキーパーソンのKPIと、自社製品が解決できるニースをつなぎ合わせて、「誰をキーパーソンにするか」を決める必要があります。キーパーソンを決めるには、次の3つの力を要素となるでしょう。
推奨力:他人に対して推奨する力
威圧力:他人が承認しようとしている状態に威圧をかける力
地位:企業内の地位・絶対的な力
上記3つの力を持ち合わせているのは、経営層になります。できる限り、早い段階で経営層との関係を構築できれば、購買検討段階から次のステージへ上ることが可能です。
データ参照文献:『起業大全』ダイヤモンド社:著者・田所雅之
まとめ
今回は、スタートアップのセールスにおけるビジネス課題の見つけ方について解説してきました。
購買検討段階の顧客の持つビジネス課題を「いかに早く明確化できるか」が大きなポイントになります。そのためには、顧客企業の現状をコンサルティングするイメージで調査することが必要です。
顧客企業のコンサルタント的存在になることは、BtoBビジネスで重要なポイントとなります。顧客企業の信頼を得られなければ、ビジネス課題など聞き出せません。
そのため、顧客の抱える課題を事前に仮説構築して準備しておき、商談の場でつなぎ合わせて解決策を提案する必要があります。