社会医療診療行為別統計とは オープンデータの特徴や活用方法を解説
今回は「社会医療診療行為別統計」を活用したオープンデータの特徴や活用方法を解説します。
社会医療診療行為別統計とは
社会医療診療行為別統計とは、医療保険制度における医療給付受給者にかかわる以下4つのことを明らかにして、社会医療保険行政に必要な資料を得ることを目的とするものです。
社会医療診療行為別統計の主な内容
社会医療診療行為別統計の内容は様々ありますが、主に以下の内容となっています。
社会医療診療行為別統計の詳細
診療行為の状況
診療行為別で判断する入院の1件当たり点数や1日当たり点数、そして1件当たり日数や診療行為別にみた入院の1日当たり点数の構成割合が確認できます。
それ以外にも診療行為別で判断する入院外の1件当たり点数や1日当たり点数、1件当たり日数そして診療行為別で判断する入院外の1日当たり点数の構成割合をデータ化しています。
一般医療-後期医療・年齢階級別で判断する診療行為の状況
一般医療-後期医療や年齢階級別で判断する入院の診療行為別1件当たり点数、1日当たり点数や1件当たり日数、一般医療 – 後期医療別で判断する入院の診療行為別1日当たり点数の構成割合などが確認できます。それ以外にも、一般医療-後期医療・年齢階級別で判断する入院外の診療行為別の1件当たり点数、1日当たり点数や1件当たり日数、一般医療 – 後期医療別で判断する入院外の診療行為別1日当たり点数の構成割合をデータ化しています。
病院−診療所別で判断する診療行為の状況
病院 – 診療所別で判断する入院の診療行為別1件当たり点数・1日当たり点数・1件当たり日数や療養病床を有する病院-一般病院別で判断する入院の診療行為別1日当たり点数の構成割合 、病院-診療所別で判断する入院外の診療行為別1件当たり点数・1日当たり点数・1件当たり日数、病院 – 診療所別で判断する入院外の診療行為別1日当たり点数の構成割合をデータ化しています。
DPC/PDPSにかかわる明細書-DPC/PDPSにかかわる明細書以外の項目別にみた診療行為の状況
DPC/PDPSにかかわる明細書 – DPC/PDPSにかかわる明細書以外の項目別にみた 入院の診療行為別1件当たり点数・1日当たり点数・1件当たり日数やDPC/PDPSにかかわる明細書 -DPC/PDPSにかかわる明細書以外別にみた入院の診療行為別1日当たり点数の構成割合をデータ化しています。
院外処方率
病院 – 診療所別にみた医科の院外処方率の年次推移をデータ化しています。
診療行為の状況
歯科の診療行為別で判断する1件当たり点数・1日当たり点数・1件当たり日数や歯科の診療行為別にみた1日当たり点数の構成割合をデータ化しています。
一般医療-後期医療・年齢階級別で判断する診療行為の状況
一般医療-後期医療・年齢階級別で判断する歯科の診療行為別に判断する1件当たり点数・1日当たり点数・1件当たり日数や一般医療-後期医療別で判断する歯科の診療行為別1日当たり点数の構成割合をデータ化しています。
調剤行為の状況
調剤行為別で判断する1件当たり点数・受付1回当たり点数・1件当たり受付回数や調剤行為別で判断する受付1回当たり点数の構成割合をデータ化しています。
一般医療-後期医療・年齢階級別で判断する調剤行為の状況
一般医療 – 後期医療・年齢階級別で判断する調剤行為別1件当たり点数・ 受付1回当たり点数・1件当たり受付回数や年齢階級別で判断する調剤行為別受付1回当たり点数をデータ化しています。
薬剤の点数状況
院内処方 – 院外処方・一般医療 – 後期医療別にみた 薬剤点数階級別の件数の構成割合や院内処方 – 院外処方別にみた年齢階級・薬剤点数階級別の件数の構成割合をデータ化しています。
薬剤種類数の状況
院内処方 – 院外処方・一般医療 – 後期医療別にみた 薬剤種類数階級別の件数の構成割合・1件当たり薬剤種類数や院内処方 – 院外処方別にみた年齢階級・薬剤種類数階級別の件数の構成割合をデータ化しています。
薬効分類別にみた薬剤の使用状況
入院 – 院内処方 – 院外処方別にみた主な薬効分類別の薬剤点数の構成割合をデータ化しています。
後発に販売された医薬品の使用状況
入院-院内処方-院外処方別で判断する後発医薬品の使用状況や入院-院内処方-院外処方別にみた後発に販売された医薬品の主な薬効分類別の薬剤点数の構成割合をデータ化しています。
薬剤料の比率
入院 – 入院外別にみた医科・薬局調剤(医科分)の薬剤料の比率の年次推移をデータ化しています。
社会医療診療行為別統計の活用方法
データ提出加算に関するシステムの提案材料に活用する
例えば、令和2年度における社会医療診療行為別統計の概要【厚労省ホームページより】によると、令和2年における診療行為別で判断する入院の1日当たり点数の構成割合が最も多いのは「入院料等」です(全体の4割を占めている)。このことはデータ提出加算の話題に大きく関連しています。
中医協が発表した「データ提出加算に係る届出を要件とする入院料の見直し」によると、データ提出加算に係る届出を行っていることを要件とする入院料について、地域一般基本料、専門病院入院基本料(13対1)障害者施設等入院基本料、特殊疾患入院医療管理料、特殊疾患病棟入院料、緩和ケア病棟入院料及び精神科救急急性期医療入院料に拡大するとの文言が発表されています。
つまり、データ提出加算に係る届出を行っていないと、入院基本料が算定できなくなり、病院の収益が下がってしまう可能性があるのです。診療行為別に見ても入院料等が全体の大部分の点数を占めているわけですから、この話題は病院にとって非常に重要な問題です。
現状、各病院では既存の医事会計システムなどでデータ提出加算を取ろうとしている施設が多く見られる一方で、システム等の電子化に疎い病院では対策がしっかりできていない施設も未だにあります。許可病床数が200床以上の病院にあっては、令和5年3月31日までしか経過措置が取られず、それ以降は要件ルールに則って点数算定がされます。
従って、ここにビジネスチャンスが生まれるわけです。要件化の話題に疎いユーザへ社会医療診療行為別統計のデータを公開し「入院料等」が最も点数化されているという客観的な事実を示した上で、データ提出加算要件化の話題を振ると説得力が増します。時流に沿った提案をすることで、社会医療診療行為別統計の情報価値を高めることができるのです。
まとめ
社会医療診療行為別統計のオープンデータは、現在話題の「データ提出加算に係る届出を要件とする入院料の見直し」と組み合わせて上手く活用するとビジネスチャンスが多く生まれます。
時流に沿った提案こそが、医療スタッフのお困りごと解決に直結するケースは多々ありますので、医療情勢に加えて社会医療診療行為別統計のオープンデータを上手く使うことは非常に有意義であると言えます。ぜひ、ご活用いただきユーザーの信頼を勝ち取ってください。
投稿者プロフィール

- 医療業界に特化した営業支援、顧客管理(SFA/CRM)のコンサルティングを提供するフロッグウェル株式会社のシニアコンサルタント。オープンデータに詳しく、弊社提供の病院マスタ等の作成に携わる。ほかにもデータ活用サポート、CRM Analyticsの導入など、多岐にわたるサポートを経験。
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