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KGI・KPIとは 飲食店・レストランで覚えておきたい売上・費用・利益の基本と来店予測をわかりやすく解説

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小売業、飲食業、製造業など、どの業態の店舗でも「目標」の設定はとても大事です。目標を設定せずその時々の感覚や判断だけで店舗運営するのはとても危険です。
具体的な目標設定を行い将来的にどのようになりたいのかを明確にすることにより、しっかりと望む結果に導くことができます。
この目標設定に大きな役目を果たすのがKGIやKPIです。

この記事では、飲食店やレストランの経営で覚えておきたい、目標達成のための重要なKGIやKPIを紹介していきます。

飲食店やレストランの経営はお客様が来店してくれて成立するビジネスモデルです。
どれだけのお客様が来店し食事をしてくれるかでその店舗の売上高が決まってきます。
売上と費用と利益を来店予測からどのようにKPIを設定していくのかなども紹介していきます。

KGI・KPIっていったいどんなもの?


まずは簡単にKGIとKPIの言葉の説明を行います。

KGIとは

KGIとは、Key Goal Indicatorを省略したもので、日本語では「重要目標達成指標」と訳されます。
企業や組織、チーム、個人が目標を目指して活動する際に、企業全体で目指すべき目標をKGIと言います。
飲食店やレストランでは「売上◯◯円を達成し、10年以上の持続的な運営を図っていく」といった目標がKGIとなるでしょう。

KPIとは

KPIとはKey Performance Indicatorを省略したもので、日本語では「重要経営指標」「重要業績指標」などと訳されます。
KGIと比較し、設定される目標が現場や日常業務レベルとなり、一般的な社員やスタッフであればこれらを用いることが多いでしょう。

飲食店やレストランのKPIの例として「店舗の月間売上高を◯◯円達成する」や「1日の来店人数を××人以上にする」などが挙げられます。

KGIとKPIの関係性

KGIとKPIにはそれぞれ役割があります。
KGIは全社的な目標設定であり、KPIはそれに基づく各目標です。
KGIを基準に、数多くのKPIがツリー状に構築されていると考えるとイメージしやすいでしょう。

そして、KGIの目標はKPIの各目標が達成されることにより、目標達成されるものでなければなりません。KGIとKPIの目標が乖離してしまうと経営者層と現場スタッフとの間にスキマが生まれてしまいます。

飲食店・レストランで考えるKGI


飲食店やレストランで考えるKGIとしては以下のようなものが挙げられるでしょう。

  • 「全店舗年間売上高をこの先5年間で◯◯億円達成する」
  • 「この先3年間の全店舗数を××件まで到達する」

自社の設定している経営理念やビジョンに即し、設定することにより各店舗で働く社員やスタッフにも、このKGIが共有されやすくなるでしょう。
ただし、自社のことばかりに気を取られ内部環境だけを考えて設定してはいけません。社会動向や景気状況などの外部環境をしっかりと把握し、現実味のあるKGIにしてください。

飲食店やレストランは特に景気に左右されやすい業界だと言えます。景気が冷え込んできているにも関わらず強気なKGIを設定してしまうと、地に足がつかず的確に目標達成ができなくなってしまいます。

飲食店・レストランで考えるKPI


飲食店やレストランで用いられるKPIには様々なものがあります。このKPIを的確に設定することにより、店舗としてしっかりと利益を出し、継続的な経営を行っていくことができます。
今回は複数店舗をチェーン展開する飲食店・レストランの各店舗からの視点で紹介していきます。

店舗売上高

真っ先に考えなければならないのは「売上」です。
売上はそのビジネスの販売力を表す数値であり、この売上が下がってしまうとそのビジネスの収益力が下がってしまい、事業を継続することができません。財務諸表の損益計算書でも1番上に書かれることから、非常に大切な数値であることが分かります。

店舗売上高のKPIの設定は、全社的に設定されている全社売上高から落とし込んでいきます。仮に10店舗を展開する全社目標年間売上高を10億円とすると、1店舗あたりの目標年間売上高は1億円となります。そして月間目標売上高は約850万円となります。そして1日目標売上高は約30万円となるのです。

整理すると、各KPIは年間1億円、月間850万円、1日30万円の売上高となります。
ただし、毎日必ず同じ売上高で販売することはあり得ません。一般的に飲食店やレストランでは平日に比べ土日に多くのお客さんが来るでしょう。また連休の多い5月や9月なども売上が多くなりやすいでしょう。これに対し2月や8月はなかなか売上が伸びにくいとも言われています。

平均化して売上目標を立てることも目安として大切ですが、お客さんの来店予測を立て日々の売上目標を設定していくことが良いでしょう。

店舗利益高

売上高も大切ですが利益をしっかりと出すこともどのビジネスにおいても大切です。どんなに大きな売上を出していても、費用がかさみ赤字になっていては元も子もありません。コスト管理も徹底し収益化を図っていくことが大切なのです。

利益の算出方法は当然ながら下記の方法で計算することができます。

利益 = 売上 - 費用

 
飲食店やレストラン経営での主な費用は、材料費や人件費、店舗費用、水道光熱費、宣伝費用などが挙げられます。
また、出店時に発生する初期費用もあります。これらのコストをしっかりと管理することにより、収益性が悪化した時に的確な打ち手を導きやすくなるのです。

変動費と固定費とは 費用の種類を分けて考える


費用といっても一律に管理をすると、実態を把握することは難しくなります。ここではどの業界でも良く使われる、変動費と固定費に分けて考える方法をご紹介いたします。

変動費と固定費とは

費用は変動費と固定費に分けることができます。今回は材料費を変動費、人件費、店舗費用、水道光熱費、宣伝費用を固定費と設定します。

変動費は販売に比例して発生する費用のことを指します。仮に売上が0円だとすれば、変動費も0円となります。一般的に飲食店やレストランの食事の材料費の目安は売値に対し30%程度、飲食店の業態により異なりますが、原価率の高いドリンクまで含めると50%程度になると言われています。この数値を下回ってしまうと来店客の満足度は下がり客足は落ちてしまい、この数値を上回ると薄利多売になり利益を出しにくくなってしまいます。材料費の目標値はこの比率を目安とすると良いでしょう。

これに対し固定費は、売上が0円でも必ず発生する費用です。一般的に人件費、店舗費用、水道光熱費、宣伝費用などがこれにあたります(人件費はアルバイトなど売上予測に基づいて配置する場合は変動費として取り扱うこともあります)。
飲食店やレストランの経営では、この固定費を賄えるだけの売上を確保する必要があります。これを損益分岐点売上高と呼びます。
次にこの損益分岐点について説明していきます。

損益分岐点売上高とは 固定費の配賦方法

損益分岐点売上高という言葉を聞いたことがある方もいるでしょう。
損益分岐点売上高とは、固定費をちょうど賄える売上高を損益分岐点と言います。いわゆる利益がトントンの状態です。損益分岐点売上高の算出方法は以下のように計算できます。また、材料費と人件費は費用の大部分を占めることになり、簡易的にFL比率で考えることもできます。

損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ { ( 売上高 − 変動費 ) ÷ 売上高 }
FL比率=(食材費+人件費)/売上高

 
この固定費の各営業日への費用の配布方法は、主に2つに分けられます。
その方法として固定費を単純な日割りで計算する方法と、売上予測に基づきその比率で配賦する方法です。この方法には税務や会計の明確なルールはありませんので、自分たちの経営に即して行っていただければと思います。

「日割り」の方法はその文字通り単純な日割り計算となります。仮に年間の固定費が3650万円であれば1日あたりの固定費は10万円になります。
ただし、飲食店やレストランの売上高は毎日一定ではありませんので、この固定費を賄いやすい土日などの営業日と賄いにくい平日などの営業日が出てしまいます。

このため「売上予測に基づきその比率での配賦」がより経営状況に即していると言えるでしょう。ただし、簡便な日割り計算とは異なり、しっかりと日々の売上予測を元に算出しなければなりませんので、時間と手間がかかってしまうでしょう。ただしどちらにおいても固定費額は変わりませんので、この固定費を賄えるだけの売上を確保することが、最低目標値であると言えるでしょう。

来店予測から考えるKPI


飲食店やレストランの来店客数はそのお店の面積数や座席数に関係します。お店の面積数や座席数が大きければ大きいほど、収容できる客数も多くそれだけ大きな売上を上げることが期待できます。
しかしながら総じて面積数や立地条件などに比例して賃借料が増加します。もちろんお店を運営するために必要なスタッフも増加します。それは固定費である賃借料や人件費が増加するということになり、毎日の最低目標売上高となる損益分岐点売上高も増加するということになるのです。そして、この最低目標売上高を下回ってしまえば、赤字となり経営が苦しくなってしまうことになるのです。

1日の来店客数

1日に何人のお客様が来店してくれるかは、そのお店の売上や利益などの経営状況に大きく影響してくれます。また飲食店やレストランであれば、事前に材料をどれだけ仕入れ仕込みを行うべきかの判断材料になります。

1日の来店客数の上限は「座席数×営業時間/平均滞在時間」で算出できます。あるお店の座席数が50席、営業時間が10時間、平均滞在時間が1時間と仮定すると、1日の来店客数の上限は500人となります。ただしこの人数は、そのお店が常に満席状態で運営されている状態となり、現実はこのようにはいきません。

飲食店やレストランのお客様が来店しやすい時間帯は昼食や夕食の時間です。この時間帯は比較的満席に近い状態で運営を行うことができるでしょう。しかしながら開店時間すぐや閉店時間間際に満席で営業することはなかなか難しいです。もちろん午後の2時から5時の間のアイドルタイムと言われる時間帯も満席にすることは難しいでしょう。一般的にはランチタイムとディナータイムにそれぞれ何人のお客様が来てくれるかを、これまでの営業実績から判断することになるでしょう。

また満席状態でもすべての座席を稼働させることも現実的ではありません。一見すると矛盾したようにも聞こえてしまいます。
しかし、4人掛けのテーブルを3人で利用した場合には、その座席の稼働率は75%となってしまいます。相席のお店や、すべてカウンター席のお店であればこの問題も解決しやすいでしょう。しかし、満席状態を稼働率100%と認識するのは現実的ではないでしょう。理論値で算出するのではなく、営業の実態に即してKPIを設定することがよいでしょう。

平均客単価

平均客単価は来店し食事をしてくれたお客様が1人あたり平均いくらの飲食をしてくれたのかを表しています。「平均客単価×来店客数」がそのお店の売上高となります。
平均客単価はそのお店の立地条件や食事のグレードなどにより変わってきます。

立地条件としては、駅近のレストランなのか郊外型のレストランなのか、人通りの多い立地なのかそうでないのかなど様々な条件があります。また高級食材を扱ったレストランなのかファーストフードなのか、食事のグレートによっても平均客単価は変わってきます。また、ゆったりとした座席を提供すれば平均客単価は上がりますし、限られたスペースに多くのお客様を案内すれば平均客単価は下がるでしょう。

この平均客単価の目安は出店地域の周囲のお店を確認してみると良いでしょう。ぐるなび、たべログ、ホットペッパーグルメなどのサイトなどでも調べることができます。どのくらいの客単価をKPIとして設定するのが良いのか悩んだら、周囲のお店の状況と比較してみると良いかもしれません。

予測と結果の比較分析


KGIやKPIはその目標を設定するだけではいけません。その目標と設定していた数値予測と、実際の営業結果との差を分析する必要があります。ここまで行って初めて目標として設定したKGIやKPIに意味が生まれ、その次に設定するKGIやKPIがより具体的になるのです。

1日の来店客数の予測方法

1日の来店客数の上限は「座席数×営業時間/平均滞在時間」で算出できます。そしてこれはあくまで理論値であり、一般的にはランチタイムとディナータイムにそれぞれ何人のお客様が来てくれるかを予測することが現実的です。

1日の来店客数の予測と結果の比較分析の第1歩として、このランチタイムとディナータイムでそれぞれ目標人数を達しているかを調べます。目標を達成できなかった時に「1日の目標来店人数」という観点だけで考えてしまうと、具体的にどの時間帯で問題が発生しているのかが見えなくなってしまいます。「1日の目標来店人数を30人下回ってしまった」という結果があったとしたら、「ランチタイムで30人下回り、ディナーでは目標をちょうど達成した」という場合もあれば、「ランチタイムで50人上回り、ディナーでは20人下回った」という可能性もあるのです。

来店客数を時間帯を分けて考える

より細かく分析をするのであれば時間単位で調べてみると、より具体的に問題の解決策が見つかるかもしれません。
仮に「ランチタイムで50人上回り、ディナーでは20人下回った」という結果に対し、「ディナーでは20人下回った」という問題を解決したいのであれば、ディナータイムの営業時間帯を細分化して調べることになるでしょう。そこで「19時から20時の間で10人、20時から21時の間で15人下回った」という結果が分かれば、どの時間帯に改善を行っていくのかが見えてくるかもしれません。そして「それ以外の時間帯で5人上回っているのだろう」という仮説も立つのです。

平均客単価の予測方法

平均客単価は来店し食事をしてくれたお客様が1人あたり平均いくらの飲食をしてくれたのかを表しています。この金額には食事はもちろん飲み物代やデザート、サービス料、物販など様々な商品の金額が含まれています。そして平均客単価は常に毎日同じ金額ということはあり得ません。一般的にランチタイムとディナータイムで平均客単価は変わります。この他に休日前には「明日は休日だからお酒を飲んで帰ろう」となり、平均客単価が増加することもあります。この他に給料日前となる月末では来店客の節約志向が高まり、平均客単価は上がりにくくなるでしょう。この他にもボーナス時期の後や入学式や卒業式などのイベントシーズンでは客単価が上がる可能性もあります。

平均客単価の予測と結果の比較

平均客単価の予測と結果の比較分析の第1歩として、食事や飲み物代やデザート、サービス料、物販などどの商品カテゴリーで平均客単価に予測と結果の差が生まれているのかを調べます。休日前にも関わらずアルコール類の飲み物の売上が伸びていないのであれば、飲み物の提供方法を工夫する必要があるかもしれません。家族連れのお客様が増えるイベントシーズンでありながら、デザートが伸びていないのであれば、そのようなお客様に注文してもらえるようなデザートを考える必要があるでしょう。

このように来店してくれるお客様層やニーズを分析し、自然と注文をしてくれるようなサービスを展開すれば、自ずと平均客単価は伸ばすことができるのです。ただしそのお店の展開するサービスによって平均客単価の上限があります。極端な言い方ですが、ファーストフード店で平均客単価1万円を超えることはなかなか無いでしょう。

まとめ

今回は飲食店やレストラン経営で覚えておきたいKGIとKPIを売上と費用、来店予測などを紹介しました。

来店客数や平均客単価の目標設定をし、それを目指して営業活動を行うことにより、売上予測と売上結果を導き出すことができます。そしてその予測に見合ったコストを支払うことにより、収益性を確保していくこともできるのです。
数字を管理することが手間と感じ、避けたくなってしまうこともあるでしょうが、売上とそれに対する費用を正しく分析することにより、しっかりと利益を出せる経営を行うことができるのです。昨今のPOSシステムでは、上記のようなKPIに関わる数値が、簡単に取り出せるものも増えておりますので、そのような機能も十分に使えば、あまり難しいことではないかと思います。

いくら頑張って売上をあげてもなかなか利益が上がらないと悩んでいる方は、まずこの売上・費用・利益の観点から収益構造を確認し、KPIを再設定してみてはいかがでしょうか?

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