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Power BI導入で営業の負担が大幅ダウン!活用方法と注意点を事例で解説します。

#Power BI

あらゆるビジネスにおいて、顧客データや企業内データを適切に管理し、目的に応じて有効活用していくことが今まで以上に求められています。
一方で、様々なデータが社内に点在しデータを探すことに時間を割かれている、報告用のレポートを作成するにも資料を整理しなおして形にするだけで手一杯、といった社員の声も多く聞きます。

それは現場で常に顧客と接している営業部門においても同様です。いかに効率的に社内のデータを活用し、社員が本来行うべき顧客提案、戦略策定に注力できるかが、ビジネスの成否に大きく関わってきます。

そんな中、企業の規模を問わず注目されているのが、Microsoftが提供するPower BIをはじめとするBI(ビジネス・インテリジェンス)ツールです。

Power BIの活用方法を具体的に解説します。


企業内の様々な場所にあるデータを見える化しレポートを共有する作業をPower BIが担うことで、営業担当者は雑務に追われることなく、本来の業務に集中できます。
ただ営業部門がPower BIをどのように活用できるのか具体的にイメージしづらい方もいるのではないでしょうか。

今回はPower BIを活用することで営業プロセスにもたらす効果について、事例を挙げてご紹介します。

Power BI活用法①:営業進捗を様々なセグメントで見える化

Power BIを使用していないIT企業 営業部はどんな課題を抱えているのか

あるIT企業を例に考えてみましょう。100名前後の社員を抱え、クライアント企業のITシステムの構築・運営を行っているこの企業には30名の営業担当者がいます。
各担当者は新規顧客と既存顧客を担当し、約10名ずつ営業課長のもと3グループに編成されています。担当者に対して、情報共有に関する課題をヒアリングすると以下のような回答が得られました。

<営業課長>

  • 案件別の受注状況のみが報告され、各グループの営業の進捗状況、課題が見えづらい
  • グループ内社員の営業状況について週に1度の報告のみで、各営業担当に状況を個別に確認する必要がある
  • 月1回の営業課内会議に向けて資料の整備のためのデータ収集に時間がかかる
<営業担当者>

  • 毎週末は週明けの営業報告のための資料作成に追われる
  • 各担当が自分の案件しか把握していないので相談がしづらい
  • 各自が独自の案件管理をしているので案件規模や進捗状況が類似している案件を参照できない

課長は案件共有会なるものを定期的に開催、各営業のベストプラクティスを他営業に共有しています。
有益ではあるものの、指名された営業はさらにそのための資料を作成…と泥沼状態に陥ります。こうした状況の打開に向けて営業支援ツール(SFA)の導入も検討されていますが、さらに入力の負担が増えるのでは、と現場は恐々としています。

Power BI導入で変わる業務プロセス

さて、この営業部にPower BIを導入した場合にはどんなメリットがあるでしょうか。

まず、週1回の営業実績報告です。これまではレポートの共通項目としては担当企業と進捗フェーズのみを入力させ、各担当がその後テキストでコメントを報告していましたが、フォーマットのエクセルを導入。
エクセルが苦手な営業担当者でも使えるように、クライアント名、業界、進捗フェーズ、BANTC(※)の各項目について選択式の回答と1行回答欄のみのシンプルな構成でフォーマットを作成し各担当が同じ内容を入力できるようにしました。

また、各項目については、「ヒアリングしていない」「先方担当者も不明」「回答拒否された」など、担当者が何かしらの選択肢を選べるようにして、各項目のステータスが分かるようにしました

※BANTC:顧客にヒアリングすべき5つの基本項目で予算=Budge、決裁者=Authority、課題/要望=Needs、時期=Time frame、競合=Competitorを指します。。
営業担当者が実感するPower BI導入後の効果

担当者に必要な作業は週に1回フォーマットのエクセルに自分の案件状況を更新し、指定の共有フォルダにアップロードするのみ。報告のために文章を考える時間がなくなり作業時間を削減できます。
そして、Power BIによって集計されたレポートが営業課長だけでなく各担当者にも共有されます。全員共通のダッシュボードは以下の4つを表示しました。

  • 業界別の進捗ステータスと受注見込総額

<li今期の月別受注見込

<li受注額ランキング(担当者:上位5名)

<liBANTCのステータスごとに絞り込み可能な各案件の概要・課題一覧

また、担当者用には個別ダッシュボードにアクセスできるようにし、案件全体の進捗グラフや予算達成率を一覧表示させることで自分の進捗を一目で把握できるようにしました。
スマートフォン対応のため、外出先からも参照可能です。他担当者の案件で気になる内容があればPower BI内のレポートを参照することで類似案件を発見できます。
また基本情報と案件状況はレポートを通じて説明(共有)済なので、課長への報告・相談が非常に簡潔に行えるようになりました。

営業課長が実感するPower BI導入後の効果

一方で、課長用には担当者別のBANTC進捗管理表、予算達成状況シートを用意し各担当者がどのステップでつまづいているかを早期に発見、対策を打てるようにしました。

また、業界内の競合、案件規模、受注確度チャートが自動更新されるため、受注見込総額などの基本情報と合わせて月内会議での資料の前準備が予め整うようになりました。あとは個別担当者の状況を確認しPDCAサイクルを回していくことができます。

今回導入したのは「定型フォーマット」による入力負担減と入力情報の充実および均一化、Power BIを活用した集計・レポート作成・データ共有の一元対応です。
一度全員が同様に利用できるようになれば、各担当者が自主的にデータを更新し、集積されたデータを活用していく好循環が生まれます。

今回のケースでは情報リソースはExcelのみなので構成も簡潔ですが、データ入力・即時反映に社員が慣れてきた際には営業支援ツール(SFA)の導入に対してもハードルはかなり下がっているはずです。

営業業界にPower BIは実務にどんな影響があるのか

今後の展開としては集積したデータをより活用した詳細レポート作成、入力フォーマットの改善が挙げられます。
Power BIを利用する担当者・課長自身からのフィードバックを参考に、より使い勝手の良い、カスタマイズされたレポートが作れるようになれば業務はより効率的になり、営業プロセスの改善に役立ちます。

また、Power BIの強みは複数のデータリソースを取り込み集約できる機能にあります。予算計画や社内ERPやSFAがすでにある場合には、Power BIからアクセスしてクロス集計しレポートに反映することができます。
経理・財務をはじめ他部署との連携も可能であるため、業務効率化・経営戦略策定のための情報整理としてPower BIを活用するシーンは多岐に及びます。

Power BI活用法②:営業以外の業界でもクロス集計や分析が可能

複数店舗を抱える小売店の悩みとPower BIを導入しない場合の改善策

小売店におけるPower BIの活用を例に、複数データの活用による営業プロセスの向上についてご案内します。
複数店舗を構える小売店などでは各店舗の店長が売上管理を行っていますが、顧客対応、商品の仕入れ、在庫調整、従業員の管理、店舗内マーケティングと多忙な中で、各商品の売上動向や顧客のクレーム分析等を細かに追う余裕はありません。
毎月の報告は、属人ベースの店長独自の経験に依存した定性的な内容に終始してしまい、店舗によって内容も具体性も全く変わってきます。

また、ヘッドオフィスではPOSデータを通じた売上等の状況、NPSや問い合わせなどの顧客からの反応は取得できていますが、打ち手となる改善策を各店舗ごとに的確に指示するには膨大なデータを確認する必要があり、専属の担当者がいない部署では現実的には全てを対応できません。

Power BIを使って小売店の悩みを解決!有効活用する為の具体的な対策

ここでPower BIを導入した場合を考えてみましょう。店舗POSとデータ連携を行い、必要なパラメーターを設定することでレポート作成の準備を行います。

会員情報による分類と購入単価別に顧客をセグメント化し、売れ筋商品とクロス集計することで、時系列、店舗別の顧客購入層がグラフで把握できるようになります。NPSやコメントはキャンペーン施策や顧客の購入頻度と合わせて分析することで顧客ロイヤリティ別の重点商品や、商品に対する顧客の反応を定量的に把握できます。

テキストマイニング分析を行えば商品、サービスなどに対する顧客の反応を集約した状態で把握できます。
期待していた商品イメージとの相違確認、売上との相関などを比較することでマーケティングや仕入商品の検討の貴重な参考資料になります。

このような定量的な分析を行った上で、店舗ごとに抽出された課題について店長に確認・相談することで、現場の声をより効果的に活用することができます。
以前の月例報告では、10ある事象のうち、店長の記憶やメモを頼りに3,4件抽出できていたものが、事前に事象を提示することでより広く詳細に意見を拾うことができます。
店舗側も顧客の声をまとまった形で確認できるため、具体的な対策をヘッドオフィス側と協力して検討することができます。

ExcelとPower BIの違いは?

これらの集計、分析はExcelを使ってもできないものではありませんが、個別に集計を行うことで時間もかかり精度も下がります。
より鮮度の高い情報を簡潔に伝えるという点、時系列に集積されたデータを比較参照する点において、Power BI導入による効果は顕著に表れます。

また、POSデータなどの膨大なデータはExcelの処理には時間がかかりすぎる、または処理自体ができません。

このようにPower BIを導入することで既に取得しているデータを効率的に見える化、集約でき、これまで見えなかった側面を俯瞰して把握することができます。
また、店舗とヘッドオフィス間でも認識を統一することができ、より客観的な視点から協力して対策を検討することが可能です。何より貴重な時間をレポ―ト作成や詳細な確認に割かれないため、より顧客サービスの向上に注力できます。

Power BIを導入する際の注意点|ユーザー視点は必須!


これまでPower BIを導入することにより営業面でどのような変化が期待できるかをお伝えしてきましたが、導入においては何点か注意することがあります。

1.Power BI導入の目的を明確に!最適な設計をしよう

Power BIを導入することで何を実現したいかを明確にしなければ、求めているレポートは作成できません。

前半の例では、担当者の報告における入力負荷を下げる、各担当者の進捗を見えるようにすることに注力して設計を行いました。
後半の例では既存のリソースを活用し、顧客の抱える課題を発見する、店舗別の売れ筋・注目商品を発見することを目的に設計を行いました。
目的を明確にすることでデータを集計・分析する切り口を決められます。

2.Power BI利用者が負担なく使い続けられる優しいシステムを心掛けよう

Power BIに限らず、新しいシステムを導入する際には利用する現場の方が負担なく続けられることを前提に考えなければいけません。
それには前述の導入目的、利用することでどんなメリットを利用者が得られるかを利用者にしっかり説明した上で、作業を行う手順の説明やサポートを適切に行う必要があります。

利用者が手順を理解し、結果が出た後には利用者自身が当事者の立場でプロジェクトに協力しやすくなります。

3.Power BIを理解した人員体制を整えよう

これらの注意点をクリアするためには、導入を主導する担当者が、現場を熟知していることに加えて、Power BIの仕様を理解していることが求められます。
後者については経験者や別途サポートしてくれる業者を別途アサインして対応することもできます。そして、導入に対して現場だけでなく責任者(決裁者)の理解・フォローが必要不可欠です。

今回はPower BIを活用した営業プロセスの改善例と導入に向けての注意点についてご紹介しました。

導入のハードルがそれほど高くなく、工夫次第で様々な効率化・見える化を推進できる強力なツールですので、有効活用して自社の営業力強化に役立てていきましょう。

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