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病院報告とは オープンデータの特徴や活用方法を解説

#オープンデータ #病院報告

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病気や怪我を負った時、高額な医療費の負担を軽減してくれるのが国民皆保険制度です。また、医療を効率的に国民に提供できるよう、医療機関の機能分化や連携の推進、療養病床の再編成などを各地方で行っています。

上記のような施策の策定に欠かせない統計資料の一つが「病院報告」です。全国の医療施設の実態を把握でき、医療行政の基盤構築に貢献しています。

今回は「病院報告」におけるオープンデータの特徴や活用方法を解説します。
全国の医療施設の状況からニーズ分析を行いたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

病院報告とは

病院報告とは、厚生労働省が毎月実施している統計調査の1つです。全国の療養病床を有する診療所や病院における患者の利用状況を調査しています。病院報告の目的は、医療行政に関する基礎資料を収集することです。

病院報告で得られた統計結果は、主に以下のような資料作成に活用されています。

  • 医療計画作成指針
  • 最近の医療費の動向-MEDIAS-
  • 社会保障審議会医療部会資料
  • 医政局関係制度の検討

医療施設の構成要素

病院報告の統計資料で用いられる「医療施設」は、病床数と診療内容に応じて「病院」「一般診療所」「歯科診療所」の3種類に分けられます。
また、病院及び病床の種類もさらに細分化されます。病院報告における「医療施設」は以下の要素によって構成されます。

医療施設の種類

病院報告で用いられる医療施設の種類は、以下のとおりです。

医療施設 定義
病院 ・医師又は歯科医師が医業又は歯科医業を行う
・20以上の病床を有するもの
精神科病院 精神病床のみを有する病院
一般病院 上記以外の病院
一般診療所 ・医師又は歯科医師が医業又は歯科医業を行う場所
・歯科医業のみは除外する
・患者の入院施設を有しないもの、又は19以下の病床を有するもの
歯科診療所 ・歯科医師が歯科医業を行う
・患者の入院施設を有しないもの、又は19以下の病床を有するもの

 
尚、病院報告で調査を行っているのは、病院または療養病床を有する診療所のみです。療養病床を有していない診療所は調査の対象には含まれません。

病床の種類

医療施設の種類を定義する病床は、以下の種類に分けられます。

病床 定義
精神病床 精神疾患を持った患者を入院させるための病床のこと。
感染病床 指定感染症や新型インフルエンザ等感染症、新感染症の患者を入院させるための病床のこと。
結核病床 結核患者を入院させるための病床のこと。
療養病床 長期療養が必要と判断された患者を入院させるための病床のこと。
介護療養病床 都道府県知事の指定介護療養型医療施設としての指定に関する病床のこと。
一般病床 精神病床、感染症病床、結核病床並びに療養病床以外の病床のこと。

 

病院報告の統 計項目

全国の病院又は療養病床を有する診療所から報告された患者数や病床数などの情報を元に、統計調査を実施しています。病院報告における統計項目は以下のとおりです。

医療施設の種類 統計項目
病院 (1)1日平均在院患者数
(2)1日平均外来患者数・外来患者延数
(3)月末病床利用率
(4)平均在院日数
(5)在院患者延数
(6)月末在院患者数
(7)病床数
(8)新入院患者数
(9)退院患者数
(10)療養病床における患者数・病床数
(11)介護療養病床における患者数・病床数
診療所 (12)療養病床における患者数・病床数
(13)介護療養病床における患者数・病床数
(14)1日平均在院患者数・病床利用率・平均在院日数

 

また、各統計項目は、以下のような単位で集計されています。

  • 全ての統計項目:都道府県別
  • 入院患者に係る統計項目:病床の種類別
  • 外来患者に係る統計項目:病院の種類別

上記の全14項目からなる調査結果に加えて、調査結果をまとめた資料として「結果の概要」も毎月作成されます。「結果の概要」は下記の3項目でまとめられ、直近3ヶ月分の結果が比較されているのが特徴です。

  • 1日平均患者数
  • 月末病床利用率
  • 平均在院日数

病院報告におけるオープンデータの活用方法


都道府県や医療機関種別、病床ごとの患者数が特定できる病院報告のオープンデータは、地域の医療需要を把握するのに役立ちます。病院報告におけるオープンデータの活用方法は次のとおりです。

営業のターゲットとなる都道府県を選定する

病院報告のオープンデータは、医療機器や医薬品の営業リスト作成に活用できます。

例えば、厚労省ホームページの病院報告(毎月分概数)によると令和5年7月における平均在院患者数が最も多いのは東京都です。

在院患者数が多いということは、患者を管理するための経費が必要になりますので、一定の購買力を持っている医療施設が多いということが分かります。購買力があるということは、医療機器や医薬品に設備投資しやすいため、東京都は営業のターゲットにすべき都道府県であるという判断が可能です。

都道府県ごとで提案すべき商材を選定する

営業をかける都道府県が決まれば、その地域の医療需要を病院報告のオープンデータを用いて分析することで、さらなる営業実績が見込めるでしょう。

療養病床は長期療養が必要と判断された患者が入院する病床ですので、在院患者数が多いということは長期的に療養するための生体情報モニタや療養向けの投薬などが完備されている医療施設が多いことを意味します。

東京都の療養病床を有した医療機関に的を絞り、療養病床向けの医療機器や医薬品を提案することによって効率的な営業活動が可能です。

その他の例として、精神科病院の平均外来患者数が最も多い都道府県は北海道です。そのため、北海道の精神科病院においては、てんかん患者などを診断するための脳波計や認知症の治療薬などのニーズが必然的に増えるだろうという推察がされます。

日本の医療情勢を把握する

病院報告のオープンデータから日本の医療情勢を把握しておくことで、営業の際に医療機関における経営層(院長・理事長・事務長・看護部長など)との会話のネタになります。

また、医療機関が属する都道府県の医療情勢を絡めた営業は説得力が増します。単なる自社の製品情報のみに詳しい営業マンと、自社の製品情報+医療機関が属する地域の医療情勢に詳しい営業マンでは、経営層から見てどちらが信頼されるでしょうか。当然、信頼されるのは後者でしょう。

日々、経営層は病院の経営基盤を安定させるべく、あらゆる観点から経営対策を練っています。いかに経営上のコストを削減できるか、という課題に日々向き合っているのです。そのような経営層に対し、例えば近年、精神病床に在院する患者が増加傾向にあるため、病床機能における精神病床の割合を増やして広告を打ち出さないか提案することで、非常に喜ばれるでしょう。医療情勢を把握することは、経営層の信頼を勝ち取る上で非常に重要な要素となり得るのです。

開業医の病院を設立する地域選びを支援する

医療機関の新たな設立を検討している開業医にとって、地域ごとの需要の高い病床機能を把握することは重要です。病院報告のオープンデータを用いることで、各都道府県の病床機能ごとの病床数と利用率を特定できます。

病床数が多いにも関わらず、利用率が少ない地域は、該当の病床機能の需要は少ないと言えます。反対に、病床数が少なく、利用率が高い地域は、需要が高いと言えるでしょう。

全国の「病床機能ごとの病床数や利用率」をマップ上に表示させ、需要の高さを独自の指標で表すアプリやソフト、Webサイトを開発することで、開業医による医療機関の開設先選びに貢献できます。また、需要の伸び率を分析するために、過去の調査結果と比較を取ることも有効な方法です。

まとめ

病院報告におけるオープンデータでは、患者数、病床利用率、在院日数などが都道府県、医療機関種別、病床種別ごとに分かります。

上手く活用することによって、営業先にすべき都道府県や営業活動で注力すべき商材が見えてきます。また、医療情勢を正確に把握することで効率的な営業活動に繋がるでしょう。

「どのような営業戦略を立てるべきか悩んでいる」という方や「親交を深めたいユーザーがいるが手立てがなく困っている」という方には非常に有益な情報となり得ますので、ぜひ病院報告のオープンデータを活用し、営業活動の糧としてください。

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