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NDBオープンデータとは?考察・分析・改善策・戦略を考えたい方へ

皆さんは、NDBオープンデータについて、一度は耳にしたことがあるでしょうか?

NDBオープンデータとは、厚生労働省がホームページに公表している、日本の医療におけるビックデータを扱った統計資料です。
国民の医療の動向や健康状態を把握出来るため、有用なデータとして研究機関はもちろん、様々な分野で利活用が進められています。

この記事では、ビックデータを扱う数あるオープンデータの中でも、国内の医療の実態について網羅性の高い、NDBオープンデータについて、その中身を簡単にご紹介します。

オープンデータからの考察や分析、改善策や戦略を考えたいという方は、是非参考にしてみて下さい。

そもそもNDBとは?正式名称と意味


NDB(National Database)は、医療機関から保険者に発行しているレセプト(診療報酬明細書)と特定検診及び保健指導の結果から構成されたデータベースです。

保険診療にまつわる様々なデータが含まれており、国民の医療動向を評価するうえで世界でも有数の規模を誇る、信頼性の高い有用なデータであるとされています。

※レセプト(診療報酬請求書)とは

レセプトとは診療報酬明細書と言われ、患者さんが病院やクリニックに受診した際に、診療に要した費用(10割)を、患者さんの自己負担分(3割)を除いた保険負担分(7割)を病院やクリニックが保険者に請求する際に発行する請求書の事です。

ここには一人一人の患者さんの詳しい診療内容が記載されています。

※特定検診・特定保健指導とは

特定検診と特定保健指導は、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の予防及び改善を目的に、40歳から70歳の方を対象に行われます。

特定保健指導は、特定健診の受診者のうち、一定の基準に該当する者に対して特定保健指導が実施され、その際の保健指導に関する情報が元となっています。

NDBオープンデータとは?厚生労働省のHPから閲覧が可能

厚生労働省は、NDB の膨大なデータを国民が共有し、様々な場面で有効活用してもらうため、平成28年に、国民に解りやすく示した統計資料として『第 1 回NDBオープンデータ』を公表しました。

このオープンデータでは、NDBのレセプト情報と特定健診情報から基礎となる集計表を作成し公表しています。
利用者からの要望を受け付け、集計項目、範囲を毎回拡大させ、さらなるデータの充実を目指し、現在では『第4回NDBオープンデータ』を厚生労働省のホームページから見ることができます。

NDBオープンデータの対象と項目、公表形式をより詳しく解説します!


各診療点数の算定実績等のレセプトデータ、特定保健指導及び検診結果が性別・年齢別・都道府県別等に公表されています。

公表NDBオープンデータと項目

①医科診療報酬点数表項目

A基本診療料:(初・再診料、初・再診料(加算)、入院基本料、入院基本料(加算)、入院基本料等加算、入院基本料等加算(加算)、特定入院料、 特定入院料(加算)、短期滞在手術等基本料)

B医学管理料等:(医学管理等、医学管理等(加算))

C在宅医療:(在宅医療、在宅療養指導管理材料加算、在宅医療(加算))

D検査:(検査、検査(加算))

E画像診断:(画像診断、画像診断(加算))

F投薬:(投薬、投薬(加算))

G注射:(注射、注射(加算))

Hリハビリテーション:(リハビリテーション、リハビリテーション(加算))

I精神科専門療法:(精神科専門療法、精神科専門療法(加算))

J処置:(処置、処置医療機器等加算、処置(加算))

K手術:(手術、輸血、手術医療機器等加算、手術(加算))

L麻酔:(麻酔、麻酔(加算))

M放射線治療:(放射線治療、放射線治療(加算))

N病理診断:(病理診断、病理診断(加算))

②歯科診療報酬点数表項目

A 初・再診料
B 医学管理等
C 在宅医療
D 検査
E 画像診断
F 投薬
G 注射
H リハビリテーション
I 処置
J 手術・輸血
K 麻酔
L 放射線治療
M 歯冠修復及び欠損補綴
N 歯科矯正
O 病理診断

③歯科傷病

『う蝕』
『歯周病』
『喪失歯』

④薬剤データ

『内服』
『外用』
『注射』それぞれにつき
『外来院内』
『外来院外』
『入院』
ごとに薬価収載の基準単位に基づき、薬効分類別に処方数の上位100位を紹介

⑤特定保険医療材料

『医科材料(在宅医療)』
『医科材料(検査、画像診断、投薬、注射、処置、手術、麻酔、放射線治療)』
『医科材料(フィルム)』
『歯科(注射)』
『歯科(投薬、処置、手術、麻酔、放射線)』
『歯科(歯冠修復及び欠損補綴)』
『歯科(歯科矯正)
『調剤材料』
『その他材料』

⑥特定健診検査項目

BMI 腹囲 空腹時血糖 HbA1c
収縮期血圧 拡張期血圧 HDLコレステロール LDLコレステロール
中性脂肪 AST ALT γ-GT
貧血検査 眼底検査 尿蛋白 尿糖

⑦特定健診質問票項目

標準的な質問票1~22

NDBオープンデータ公表形式

公表データ①~⑦に対し集計表が作成されており、また一部項目はグラフが作成されています。①~⑤の集計表では『都道府県別』および『性・年齢別』の集計を、⑥、⑦の集計表では『都道府県別/性・年齢別』のクロス集計が行われ、集計対象①の集計表では一部の診療行為に対し『都道府県別/性・年齢別』のクロス集計を行われています。

集計対象①の集計表では一部の診療行為に対し『二次医療圏別』の集計を行います。
グラフでは『都道府県別』が記載されています。

NDBオープンデータ『データ編』と『解説編』の内容とは

厚生労働省ホームページには、『データ編』と『解説編』が公表されており、『データ編』では集計表を『解説編』では、その集計表について、項目や留意事項の解説があります。
また、算定回数の多い項目について、都道府県別でグラフに示され、それぞれの項目について簡単な説明がされていますのでとても参考になります。

膨大なNDBオープンデータをどのように活用したらよいかわからない方へ


NDBオープンデータは、NDBレセプト情報と特定健診情報から基礎的な集計表を作成しています。

レセプト各診療点数の算定実績等のデータや特定検診・保健指導結果が性別、年齢、都道府県別等で公開され、色々と考える材料はそろっています。
しかし、データが多すぎて、どこから、どのように手を付けて良いのか、迷われる方も多いのではないでしょうか。

NDBオープンデータを活用すれば、簡単な情報であればすぐに抽出できます。
例えば、全国の医療機関で入院中の内服薬(先発・後発)で多く使用されるものは何か?数ある医師事務作業補助加算で最も多く算定されているのはどの加算か?血液検査のオーダーでは、何の項目が一番多いのか?といったように簡単な切り口であれば、色々と情報を得ることができます。

ただ、Excelや統計処理等のスキルを駆使しデータ活用、加工、見える化、分析、アウトプットを自分一人ですべて行うのは一苦労だと思います。
それら一連のプロセスを専門とするプロの方にお任せするのも一つかもしれません。

まとめ|まずはNDBオープンデータを触ってみることをおすすめします!

最近では、誰にでも簡単にオープンデータが入手できるようになってきました。
今回、ご紹介したNDBオープンデータについても、『NDBオープンデータ』と検索すると厚生労働省のホームページから簡単に、だれでもアクセスできます。

そこには、大量のデータが公開されており、研究機関や医療関係者はもちろん、一般の方も入手可能なデータで溢れています。
データは豊富ですが、あまりに膨大なデータであるため、自分1人でデータを読み込むのは相当しんどいものです。

しかし、読み方のコツを押さえれば、あらゆる角度から考察ができ、有用な情報を得ることができます。
NDBオープンデータを有効に活用すれば地域の医療提供における課題を抽出し、解決策につなげることができるかもしれません。
また、各医療機関の戦略を考えるうえでの基本情報として強い味方になるでしょう。

まずは一度、厚生労働省のホームページから『NDBオープンデータ』にアクセスし、皆さんが関心のあるテーマについて、実際にデータに触れてみることをお勧めします。

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