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営業は読みのマネジメント!中長期的な競合優位性の仕組化が重要

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「営業は読みのマネジメントであり、詰めのマネジメントではない」

これは、書籍『起業大全』(ダイヤモンド社・田所雅之著)の「セールス」の章でまとめているキーワードです。ここまで数記事に分けてスタートアップのセールスについて、段階ごと解説してきました。全体的にまとめると、「読みのマネジメント」が重要になります。

今回は、セールスの締めくくりとして、クロージングの先の「稟議」におけるリスクと、スタートアップのセールスで競合優位性を向上させるためのマネジメントに焦点をあてて総括します。BtoB製品を扱うスタートアップの営業担当者の参考にしてみてください。

最終的な意思決定で考えられるリスクとは


セールスにおける最終的な意思決定で考えられるリスクとは、クロージングまでのセールスプロセスに関わっていない担当者が介入することです。

商談に介入していない他部署のかかわり

商談医介入していない他部署のかかわりは、クロージングまでのプロセスを理解していないことが考えられます。たとえば、経理部の担当者と接点を持ち、商談を進めてクロージングに到達としましょう。

いざ決済になった場合、他部署である法務部や広報部などが介入してきて、最初からプロセスの説明が必要になることも考えられます。場合によっては、経緯の説明どころか他部署の担当者に向けた課題解決策や競合優位性も打ち出さなければいけません。

稟議に必要な書類の用意

他部署の担当者は、最終的な稟議に必要となる書類を把握していない場合が多くなります。そのため、サービス提供側と顧客側とで共通認識を担保できる書類を用意する必要があるでしょう。

クロージングを成功させる相互クロージングプラン

企業組織を相手にセールスを締結させるには、クロージングを成功に導く「相互クロージングプラン」が必要です。相互クロージングプランとは、サービス提供側と顧客側で共通認識を担保できる契約までに必要なタスクをリスト化した書類となります。相互クロージングプランは、次のような場面で活用可能です。

  • 取締役会の稟議承認時のプレゼン資料
  • 関係部署ごとの承認時に必要なPoC(Proof of Concept:概念実証)の結果資料
  • 法務部に対しては与信管理やリスク管理に必要な資料
  • このように、顧客企業のあらゆる状況に遭遇しても、共通認識で伝えられるケースバイケースの資料を用意しておくことがクロージングを強固にします。

    最終段階:稟議におけるリスク検知のヒント


    スタートアップのセールスプロセスは、クロージングまで到達すると、最終段階として稟議を通過することが重要です。営業担当者は、稟議を迎える前に想定できるリスクを検知することが必要となります。稟議におけるリスク検知のヒントは次のとおりです。

  • 最終決済者の特定
  • 発注書の承認者の特定
  • 稟議決裁の形式(紙面回覧または電子承認、口頭承認)
  • 取締役会の承認の必要性
  • 経営会議での承認の必要性
  • 担当者の決済経験の有無(同規模の決済経験など)
  • 上記にあげたリスク検知のヒントを1つひとつチェックしておくことでクロージングを成果に繋げられます。

    中長期的な競合優位性を仕組化する

    スタートアップのセールスは、中長期的な競合優位性を仕組化することが大事です。いままで解説してきた顧客視点のセールスプロセスでは、実際の顧客企業に対しての活動を通じて深掘りされた顧客インサイトや的確な対処法を獲得できます。すべては、実証されたデータをもとにしたマネジメントです。つまり、営業におけるデータマネジメントになります。

    顧客データをマネジメントすることは、中長期的な競合優位性を仕組化することになるでしょう。

    Salesforceのサクセス・セールス・メソッド

    中長期的な競合優位性を仕組化することは、ビジネスを加速させるためのツールで実現可能です。セールスフォース・ドットコム社が提供するSalesforceでは、サクセス・セールス・メソッドという営業組織の起ち上げの仕組化を活用できます。仕組みづくりでツールを活用すれば、早い段階から高額な取引を成功へ導けるでしょう。

    ブラックボックス化されたセールスプロセスへの対処法


    最後に、セールスのマネジメントにおける問題について解説します。セールスのマネジメントがブラックボックス化されている場合は、セールスプロセスを見直さなければいけません。つまり、ブラックボックス化された状態への対処法が必要です。

    2つのブラックボックス化

    セールスのマネジメントでは、2つのブラックボックス化が考えられます。

  • 行動量にコミットした管理状態
  • ノウハウの蓄積がない管理状態
  • 行動量にコミットした管理状態

    行動量にコミットしたマネジメントでは、一貫して行動量(テレアポ件数や商談件数など)を増やすことを肯定的に受け止めている場合が考えられます。別な言い方をすると、「詰めのマネジメント」です。

    詰めのマネジメントは、根性論にも近い強制的な反復となります。データドリブンで捉えた場合は、属人的な格差を生み出す可能性があるため、成果に結びつかないことが考えられるでしょう。

    ノウハウの蓄積がない管理状態

    ノウハウの蓄積がないマネジメントでは、中長期的にCPA(顧客獲得単価)を下げられなくなります。自社にノウハウが蓄積されていなければ、外部リソースや対処法の調査などコストの掛かる要因を減らせなくなるでしょう。

    対処法:4ループ学習システム

    2つのブラックボックス化への対処方法は、4ループ学習システムにより解決できます。4ループ学習システムは、営業のマネジメントに効果的な学習システムです。効果としては、営業担当者に当事者意識を持たせられるでしょう。

    4ループ学習システムでは、次のようなサイクルでループしていくセールスを実践的に学習できる仕組みです。

    1. ミッション・ビジョン・バリュー(MVV:行動理念)の理解
    2. 戦略・KPI設定・リソース配分の設定
    3. 行動の質の検証
    4. 行動量(実践)
    5. 実践の結果
    6. MVVへループしていく

    4ループ学習システムをくり返すことにより、セールスのノウハウや顧客対応の実証された事例が蓄積されます。蓄積されたノウハウや知見は、別の担当者でも実現可能になれば、中長期的なCPAを下げる要素となるでしょう。4ループ学習システムは、次の成果物をもたらします。

  • 精度の高い見込み客の抽出
  • 手本となるセールス事例の抽出
  • 例外対応へのノウハウ構築
  • これらの蓄積が、セールスプロセスそのものを進化させるでしょう。

    まとめ:詰めのマネジメントから読みのマネジメントへ

    今回は、スタートアップのセールスについて最終段階の稟議でのリスクや営業のマネジメント方法など解説してきました。

    4ループ学習システムによるセールスプロセスの進化は、営業のマネジメントを「行動量ではかるマネジメント」から「行動量+行動の質ではかるマネジメント」への変革です。

    従来の行動のマネジメントが詰めのマネジメントであれば、行動量と行動の質ではかるマネジメントが読みのマネジメントになります。読みのマネジメントは、自社のCPAを下げて、売るべき顧客像を明確にしたうえでLTV(顧客生涯価値)を向上させるでしょう。読みのマネジメントで蓄積したノウハウこそ、持続的競合優位性資産となるスタートアップの目指す成果物です。

    データ参照文献:『起業大全』ダイヤモンド社:著者・田所雅之

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