正しく理解していますか?KPI・KGIとは?OKRとの違い
目次
経営やマネジメントでは、どのような目標を達成したいのか具体化することが大切です。
そして効率的にその目標を達成するためには、目標達成へのプロセスを具体化する必要があります。
目標達成度の定量的な計測指標となるのが、「KPI」「KGI」です。
また、最近では個人と企業の目標を連動させる目標管理手法「OKR」が注目を集めています。今回は「KPI」や「KGI」「OKR」の違いについて解説します。
企業全体の方向性を示す 「KGI」とは
KGIとはKey Goal Indicatorの略であり、「ケージーアイ」と読みます。日本語では「重要目標達成指標」などと訳されます。
KPIとセットで話題になりやすいKGIですが、KPIが業務レベルにおける具体的な目標設定に対し、KGIはより企業全体の戦略的な目標設定となります。
1つ1つの商品やサービスで考えるのではなく、企業が今後目指す方向性と目標を決めるものになります。例えば、下記のような方向性、目標がKGIにあたります。
・自社の業界シェア5位の現状から、来年度に業界シェアを2位まで伸ばしたい
・来年度売り上げを今年度比20%伸ばしたい
KGIはいわば企業全体の方向性や目標の決定です。どこへ向かうのか、まずは大まかな目的地を決めます。方向性や目標の決め方は、自社が置かれている環境や社員やスタッフの習熟度を念頭に置く必要があります。
また自社のビジョンや理念に即していることが大切です。自社のビジョンや理念と異なってしまうと、経営者と社員や従業員との目指す考え方や気持ちにズレが生じてしまう可能性があります。
KGIは数多くのKPIにブレイクダウンすることができます。日常的な業務レベルでは、KGIよりKPIの方が重要視される場合も少なくありません。KGIでは設定した方向性や目標が抽象的になりすぎてしまうため、日常的な業務レベルではより具体的な目標設定に落とし込む必要があるのです。
日々の業務目標 「KPI」とは
KPIとはKey Performance Indicatorの略であり、「ケーピーアイ」と読みます。日本語では「重要経営指標」「重要業績指標」などと訳されます。KPIというと、営業利益率や付加価値生産性などといった会社全体での財務指標がイメージされやすいですが、必ずしもそうではありません。
ある商店で1日にいくつの商品が売れたのか、商品1つあたりの利益はいくらだったのか、結果1日にいくらの利益を出すことができたのか、といった日常的な業務レベルでもKPIを設定し目標管理を行うことができます。
先にも説明した通り、KGIで設定した方向性や目標はスケールが大きく抽象的になりすぎてしまいがちです。それはKGIが経営者目線の大局的な視点での目標設定だからです。そのためKGIは日常業務で機能する段階まで数多くのKPIに落とし込む必要があります。
KGIの下部構造として沢山のKPIがツリー状に存在しているとイメージすると分かりやすいでしょう。1つのKGIに対し多くのKPIを設定することにより目標設定値が細分化され、より目標達成が現実的になるでしょう。
小売業で具体的な例をとしてKGIとKPIを設定してみます。まずKGIを以下のように設定しました。
「来年度の売上を20%向上させる」
次に売上の要素を分解していきましょう。小売業によっても扱う商品によって多少の相違はありますが、多く分けると下記の要素で売上は構成されています。
「来客数」×「客単価」
来客数と客単価をそれぞれ10%ずつ引き上げることができれば、売上は21%増になります。そのためKPIは下記のように設定することができます。
1.「来客数」を10%向上させる
2.「客単価」を10%向上させる
従業員の役割などによって来客数や、客単価をもっとブレイクダウンしても良いかもしれません。
KGI・KPI設定の注意点
KGI・KPIを設定するときは、定量的でないものにならないようにしましょう。
定量的なKGI・KPIであれば「売上が10億円を達成する」や「お客様の来店延べ人数を月間1,000人以上にする」など具体的な数値目標となり、自分以外の多くの社員やスタッフなどとも目標を共有することができます。
しかしながら「お客様に満足してもらえるようなサービスを展開しよう」や「新商品を開発しよう」といった定量的でない目標を設定してしまうと、その目標に具体性を持たせることができず、社員やスタッフとも共有することができません。
この目標で社員やスタッフと共有しようとしてしまうと、「経営者層は私たちのサービスがお客様に満足してくれていないと決めつけている!!」や「新商品って具体的になんだよ!?」などと思われてしまう可能性があります。
具体的な数値設定を行うことにより、誰もが同じ基準で考えられる納得がしやすい客観的な目標設定とすることができるのです。
近年話題となっているOKRとは?
OKRとは目標の設定・管理方法のひとつで、Objectives and Key Resultsの略であり、「オーケーアール」と読みます。日本語では「目標と主要な結果」と訳されます。インテル社で誕生し、GoogleやFacebookなどシリコンバレーの有名企業が取り入れていることで、近年注目を集めています。
OKRの主な特徴は従来の計画方法に比べて高い頻度で目標設定、追跡、再評価することにあります。従来の計画方法でよく用いられたPDCAサイクルでは、目標設定を上司が行うことが多く、その結果実際に目標に向け行動する社員やスタッフにやらされ感を与えてしまいがちでした。
また目標設定から追跡・評価されるまでの期間が数カ月以上と長くなりがちであり、その間の経過報告や状況変化の情報共有を疎かにしがちでした。結果として意思決定や問題解決のスピードが致命的に遅くなっていまいました。
しかしながらOKRでは高い頻度で目標設定、追跡、再評価することで、上司と部下との間で頻繁な情報共有を行いますので、社員自身での意思決定の余地を与えることができます。また途中経過や目標達成度合い、状況変化などをしっかり上司に報告できるため、スピード感のある意思決定や問題解決を図り、求められる結果への達成に向け全進することができるのです。
目標を従業員やお客様の視点で設定する
KGIやKPIではその目標値を設定するだけではいけません。その目標値を達成し具体的にどのようになりたいのかを明確にしなければならないのです。
「売上が10億円を達成する」や「お客様の来店のべ人数を月間1,000人以上にする」といった目標があったとしても、それが会社や社員・スタッフ、そしてお客様に対しどのような結果をもたらすのかを具体的にしなければ、目標が形骸化してしまうのです。
「売上が10億円を達成する」という例で考えれば、会社の財務諸表ではその結果を明確に判断することができます。そして経営状況の判断や融資先の銀行などへ業績を説明することができるでしょう。
しかしながら社員やスタッフの視点では「会社の売上が10億円を達成したら、自分たちの生活はどう変わるのか?」と考えるでしょう。特に自分たちの給料や賞与、それを算定する基準となる評価が大切となってくるでしょう。
単純に売上10億円の目標設定だけではスケールが大きすぎてしまい、社員やスタッフのモチベーションは維持できないのです。またお客様視点では、その会社の売上が10億円であっても100億円であってもあまり関心は変わらないでしょう。そもそもその会社の売上には全く関心が無いことの方がほとんどでしょう。
またお客様は充実した新しい商品やサービスを求めるものです。会社としては売上目標を達成したことにより、その資金で新しい商品やサービスを開発しお客様に提供し満足して貰うことが大切となるのです。
このように目標を形骸化させないためにも、目標を設定して終わらせるのではなく、様々なステークスホルダーの求める価値を見極め、その結果を目標とセットで考えることが大切なのです。
最後に
いかがでしたでしょうか?
ビジネスは、必ずしも自分が思い描いたような想定通りに進むとは限りません。横道にそれてしまうことや、途中で継続を断念してしまうこともあるでしょう。
また想定外の追い風により、予想以上の好結果を出すこともできるかもしれません。
このため想定外の事態が起こった際には早期にその問題を察知して、的確な修正・調整を加えていく必要があります。
KGIとKPI、OKRを適切に管理し、状況に応じてその目標値を再設定しビジネスで求められる結果を出していただければと思います。
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