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介護給付費等実態統計とは オープンデータの特徴や活用方法を解説

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2025年になると800万人以上の団塊の世代が後期高齢者 となり、要介護者も増えることが想定されます。介護需要の高まりに備えて、実態を把握し、適切な介護サービスの提供体制を整えることが急務です。

介護サービスの利用者情報を元に厚労省が実施する「介護給付費等実態統計」は、日本の介護の実態が把握できる統計データです。

今回は「介護給付費等実態統計」におけるオープンデータの特徴や活用方法を解説します。介護を必要とする人が、希望通りの介護サービスを受けられる世の中になるよう、ぜひ役立ててみてください。

介護給付費等実態統計とは


 
介護給付費等実態統計(旧:介護給付費等実態調査)とは、厚生労働省が平成13年度から毎年実施している統計の1つです。平成30年5月審査分からは、介護DBから提供された介護給付費明細書等の情報を用いた集計が可能になったため、一般統計調査から公的統計へと変更されました。

介護サービスに関連する給付費等の状況を把握し、介護報酬の改定など、介護保険制度のスムーズな運営及び政策の立案に必要な基礎資料を得ることを目的としています。

介護給付費等実態統計が実際に活用されている基礎資料は、以下のとおりです。

資料名 内容
社会保障審議会介護給付費分科会資料 厚生労働省が定期的に開催する社会保障審議会介護給付費分科会における説明資料
介護報酬改定に係る基礎資料 3年に1度開催される介護給付の改定のための基礎資料
社会保障・税一体改革に係る基礎資料 社会保障制度を安定化させるための改革「社会保障と税の一体改革」のための基礎資料

 

介護給付費等実態統計の集計対象

介護給付費明細書等の情報は、市区町村から国への提出が義務付けられており、提出された情報は「介護保険総合データベース(以下「介護DB」とする)に集積されます。介護給付費等実態統計における集計対象は、介護DBに蓄積された下記情報です。

集計対象 項目※
介護給付費明細書 性別、年齢、要介護(要支援)状態区分、サービス種類別単位数・回数等
介護予防・日常生活支援総合事業費明細書
給付管理票 性別、年齢、要介護(要支援)状態区分、サービス種類別計画単位数等

※福祉用具購入費、住宅改修費など市区町村が直接支払う費用は含みません。

また、年度単位の集計では、国民健康保険団体連合会による5月審査分から翌年4月審査分までが集計されます。

介護給付費等実態統計の統計項目


 
集計データでは、都道府県別や前年比といった統計方法を用いることで、より詳細な統計結果が得られます。介護給付費等実態統計における統計項目は以下の通りです。

分類 統計項目
受給者の状況 ・年間受給者数
・要介護(要支援)状態区分の変化
・性・年齢階級別にみた受給者の状況
受給者一人当たりの費用額 ・サービス種類別にみた受給者一人当たり費用額
・都道府県別にみた受給者一人当たり費用額
居宅サービスの状況 ・訪問介護
・通所介護・通所リハビリテーション
地域密着型サービスの状況 ・地域密着型サービスの状況
施設サービスの状況 ・施設サービスの状況

 

年間受給者数

介護予防サービス又は介護サービスの受給者数の直近4年間における年次推移を示しています。当集計における各サービスの定義は以下のとおりです。

用語 定義
介護予防サービス 要支援から要介護の状態に進行するのを予防するためのサービス
介護サービス 要介護の方が必要な介護を受けられるサービス

 

要介護(要支援)状態区分の変化

1年間継続して介護予防サービス又は介護サービスを受給した者について、直近2年間における要介護(要支援)状態区分の変化別割合をデータ化しています。また変化別割合を「軽度化」「維持」「重度化」に分けて棒グラフで示しています。

要介護(要支援)状態区分とは、厚生労働省が定める介護の度合いをあらわす指標です。介護にかかる時間に基づき、7段階に分類されます。各区分 の定義は以下のとおりです。

要介護(要支援)状態区分 定義
要支援1 身の回りの世話の一部に何らかの見守りや手助けを必要とする
要支援2 要支援1の状態から、日常生活を行う能力がわずかに低下し、何らかの支援を必要とする
要介護1 思考力や理解力の低下がみられる
要介護2 要介護1よりも運動機能、思考力、理解力のさらなる低下がみられる
要介護3 基本動作だけでなく全面的な介助が必要となる
思考力や理解力も低下し、問題行動がみられる
要介護4 要介護3よりも思考力や理解力の低下がみられ、それに伴う問題行動が顕著に表れる
要介護5 運動機能だけではなく、思考力や理解力が要介護4と比較して著しく低下するため、意思の疎通が非常に困難になる

 

性・年齢階級別にみた受給者の状況

性別にみた認定者数・受給者数及び認定者数に占める受給者数の割合をデータ化しています。男女の人数差、割合の内訳が確認できます。

また65歳以上については、性・年齢階級別に受給者数及び人口に占める受給者数の割合をグラフで示しています。

サービス種類別にみた受給者一人当たり費用額

受給者一人当たりの費用額及び費用額累計について、直近5年間における年次推移をデータ化しています。受給者一人当たりの費用額を導き出す計算式は、下記のとおりです。

受給者一人当たり費用額 = 費用額 ÷ 受給者数

また、詳細なサービス種類別の受給者一人当たりの費用額及び費用額累計は、直近2年間で増減比較して示しています。

都道府県別にみた受給者一人当たり費用額

都道府県別にみたサービス別受給者一人当たりの費用額をグラフで示しています。

訪問介護

居宅サービスにおいて、要介護者の居宅を訪問し、サービスを提供するのが「訪問介護」です。訪問介護は、行為に応じて3つに分類されます。各類型の定義は以下のとおりです。

類型 定義
身体介護 要介護者の身体に直接接触して行われるサービス
生活援助 「身体介護」以外で、要介護者が日常生活を送ることを支援するサービス
通院等乗降介助 通院等による乗車又は降車の介助を行うサービス

 
要介護状態区分別にみた各類型が占める受給者数の割合を示しています。

通所介護・通所リハビリテーション

通所介護又は通所リハビリテーションにおける要介護状態区分別の受給者数と各要介護状態区分が占める受給者数の割合を示しています。各サービスの定義は下記のとおりです。

用語 定義
通所介護 老人デイサービスセンター等の施設に通って受ける日常生活上の世話及び機能訓練
通所リハビリテーション 介護老人保健施設や介護医療院、病院・診療所に通って受ける日常生活の自立を助けるための理学療法並びに作業療法等のリハビリテーション

 

地域密着型サービスの状況

高齢者が中重度の要介護状態になったとしても、住み慣れた自宅又は地域で生活が送れるよう、平成18年4月1日から「地域密着型サービス」の提供が開始されました。地域密着型サービスには、豊富な種類が存在するのが特徴です。

地域密着型サービスにおける各種類別の各要介護(要支援)状態区分が占める受給者数の割合を示しています。

施設サービスの状況

要介護者が施設において、24時間体制で見守られて受けられる介護サービスが「施設サービス」です。施設サービスの種類別にみた各要介護状態区分が占める受給者数の割合や受給者一人当たりの費用額が示されています。

介護給付費等実態統計の活用資料


 
介護給付費等実態統計が実際に活用されている基礎資料は、以下のとおりです。

資料名 内容
社会保障審議会介護給付費分科会資料 厚生労働省が定期的に開催する社会保障審議会介護給付費分科会における説明資料
介護報酬改定に係る基礎資料 3年に1度開催される介護給付の改定のための基礎資料
社会保障・税一体改革に係る基礎資料 社会保障制度を安定化させるための改革「社会保障と税の一体改革」のための基礎資料

 

介護給付費等実態統計の活用方法


 
介護サービスには「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」の3種類が存在し、さらにその中でも複数の種類に分かれます。介護給付費等実態統計を分析することで、介護サービスの種類ごと又は都道府県ごとの介護需要を把握できるでしょう。

介護給付費等実態統計の主な活用方法は、次のとおりです。

介護関連商品のターゲットとなる都道府県を選定する

例えば、令和4年度 介護給付費等実態統計の概況【厚労省ホームページより】によると、令和4年における都道府県別にみた介護予防サービスの受給者一人当たりの費用額が最も高いのは佐賀県です。ついで長崎県、鹿児島の順で費用額が高くなっています。

一人当たりの費用額の高さが示すのは、その都道府県民が持つ購買力の高さです。購買力が高いということは、介護予防サービスに関連した製品に設備投資しやすいと言えます。そのため、佐賀県は、介護予防サービスに関連した製品を営業する上でのターゲットにすべき都道府県であるという判断ができるでしょう。

また、長崎、鹿児島も費用額が高いことから九州圏内は介護予防サービスの需要が高いと思われます。さらに、日本医師会総合政策研究機構が提供する「都道府県別・二次医療圏別データ集」では、市区町村別の介護サービス利用者数が集計されており、両調査を組み合わせることで市区町村にまで的を絞った介護サービスの種類ごとの需要分析も可能です。

介護給付費等実態統計を分析し、需要と供給をマッチさせることでビジネスが成功しやすくなります。

注力すべき商材を選定する

例えば、令和4年度 介護給付費等実態統計の概況【厚労省ホームページより】によると、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護において、介護に膨大な時間を要する「要介護4」並びに「要介護5」の受給者数の割合が多くなっていることが分かります。

それ以外にも、要介護状態区分別にみた訪問介護内容類型別受給者数の利用割合を見ると、特に身体介護においては介護スタッフの負荷がかなり掛かっていることが分かります。

つまり、介護負荷が高い「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護」や「身体介護」において、介護負荷を削減できる介護ソフトの需要が必然的に生まれるわけです。働き方改革の重要性が叫ばれる昨今、業務効率化が見込まれる商材の需要は途絶えることはありません。

まとめ

介護給付費等実態統計のオープンデータは、厚生労働省が公開している全国の介護サービス利用者に関する情報です。オープンデータを活用することによって、介護に関連する商品のターゲットとすべき都道府県や、需要の高い介護形態に沿った商材が見えてきます。

介護業界では受給者数が年々増加している一方で、人手が足りておらず、対応に苦慮している施設が多く存在します。そのため、いかに負荷を軽減させるかを課題として捉えている介護施設の経営層が多いのです。

そういった施設に対し、業務効率化できる商材が提案できればビジネスチャンスが多く生まれることでしょう。なによりスタッフの皆様のお困りごとを解決できれば、スタッフ様から信頼され、継続的なお付き合いがしやすくなります。

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