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医療ビッグデータとは?活用事例や分析方法を解説

#医療ビッグデータ

国は、国や地方自治体などが集めた医療情報や、医療機関が持つ医療情報を有効活用したいと考えています。
例えば次世代医療基盤法第1条には、医療情報を健康・医療に関する先端的研究開発と新産業創出に役立てる、といった方針が書かれています。
医療の発展(=先端的研究開発)だけでなく、ビジネスや経済の成長(=新産業創出)にも医療情報を役立てようとする意図が伝わってきます。
※次世代医療基盤法の正式名称は「医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律」

そして医療情報は今、ビッグデータと呼ばれるほどの規模になりました。
医療機関が医療ビッグデータを活用すると、よりよい医療を患者さんに提供できるようになり、医療関連企業が医療ビッグデータを活用するとビジネスチャンスが生まれます。
この記事では医療ビッグデータの活用方法とその効果を解説します。

医療ビッグデータの概要と種類


医療ビッグデータの活用法を紹介する前に、医療ビッグデータとはどのようなものなのか確認しておきます。

医療ビッグデータとは日本全国の医療機関から集めた情報のこと

医療情報が医療ビッグデータへと進化したのは、医療現場でIT化が進み医療情報を集めやすくなったことに加えて、国や地方自治体が医療機関に情報提供を求めるようになったからです。
国は医療ビッグデータを次のように定義しています。

医療ビッグデータの定義

日本全国の医療機関が持っている医療情報を統合し集約したもの

医療ビッグデータは今、ITが進化して解析性能が向上したことで、新しい治療法や新薬の開発に活用できるようになり、世界中で医療の向上に役立てられています。
一方日本国内では、医療機関ごとに、あるいは健康保険組合ごとに医療情報を保有しているため、医療情報が分散している状態にあります。特に、検査結果の画像や数値の利活用の遅れが指摘されています。
もちろん、かつてよりは医療ビッグデータの規模は大きくなっているのですが、もっと拡大させる必要があるでしょう。

冒頭で紹介した次世代医療基盤法は、医療情報から個人情報などを取り除く匿名加工を施すことで医療情報を集めやすくして、より大きな医療ビッグデータを構築するための法律ということもできます。

医療ビッグデータの種類

医療ビッグデータとは医療情報の集合体なので、医療ビッグデータの種類とは医療情報の種類のことを指します。
それには次のようなものがあります(*3)。

医療情報の種類

● 診療報酬明細書データ(レセプトデータ)
● 電子カルテに記録された診療データ
● 特定の疾患に関する臨床データ
● 薬局における調剤データ
● 健康診断データ
● 診断群分類(DPC)データ
● 機器で人の行動を記録した情報(心拍数、血圧、歩数など)
● 遺伝子情報(ゲノム情報など)
● 国保データベース(KDB)内のデータ(国民健康保険団体連合会が管理・運営する健診、医療、介護の各種データ)

これはほんの一例であり、まだまだ医療情報はあります。
しかしこれらをみただけでもこのなかに重要な知見が眠っていると推測できるでしょう。

国が医療機関に推奨する医療ビッグデータの活用法

医療機関による医療ビッグデータの活用法を紹介します。
ここで紹介するものは国が推奨しているものです。

患者さん1人ひとりに最適な医療を提供できるようになる

例えば、医療機関の医師が特定の病気に使う医薬品に関する医療ビッグデータを分析すれば、症状やステージによって薬の種類と量を使いわけることができるようになるかもしれません。

もしくは、ある病気を手術で治すときに複数の術式があったとします。医師が医療ビッグデータを活用すれば、どの患者さんにどの手術が適しているかがわかるかもしれません。
つまり医療機関が医療ビッグデータを活用すると、患者さん1人ひとりに最適な医療を提供できるようになるわけです。

治療成績が向上するかもしれない

医療機関が医療ビッグデータを活用すると、治療成績が向上するかもしれません。
例えば、糖尿病の発症と歯周病の発症は相関関係があるとされていますが、現在は糖尿病は内科の医師が治療し、歯周病は歯科医師が治療しています。
しかし糖尿病のビッグデータと歯周病のビッグデータを統合すれば、内科と歯科が合同で治療にあたる新しい治療方針を考案できるかもしれません。
もし糖尿病治療と歯周病治療が統合したら、糖尿病を単体で治療する方法や歯周病を単体で治療する方法より、治療成績が向上するかもしれません。

国が医療関連企業に推奨する医療ビッグデータの活用法


国は、医療関連企業による医療ビッグデータの活用も推奨しています。

最先端の画像分析ができるようになる

ビッグデータそのものは単なるデータの巨大な塊(かたまり)なので、それだけでは価値を持ちません。ビッグデータに価値を持たせるには、膨大なデータを解析しなければならないのですが、データ量が増えすぎると通常のコンピュータでは解析しきれません。
そこでビッグデータの利活用ではAI(人工知能)が使われています。この動きは医療ビッグデータの領域でも始まっています。

大量の検査済画像をAIに学習させると、AIが検査済画像のなかから病巣をみつけられるようになります。この機能が診療支援システムに組み込まれ、医師の診療をサポートすることができます。
この診療支援システムが普及すれば、医療ビジネスに新たな市場が生まれます。

医薬品の安全対策が向上する

医療ビッグデータは新しい医療ビジネスをつくるだけでなく、既存の医療の安全性を高めることにも使えます。
例えば、製薬メーカーが医薬品の副作用のビッグデータを分析すれば、どのような患者さんにどのように薬を投与したときに副作用が起きやすくなるのか、あるいは起きにくくなるのかがみえてくるかもしれません。

医療機器メーカーの営業に使うことができる

より具体的な事例として、病床機能報告という情報を、医療機器メーカーの営業に使う方法を紹介します。
病床機能報告とは、都道府県が国に提出する病院個別の病床機能のデータのことで、これにより地域の医療機関の現状の機能がわかります。

医療機器メーカーが病院やクリニックの機能を把握できれば、医療機関が何を求めているのかが推測できるようになるでしょう。
そして医療機関が必要としている医療機器がわかれば、医療機器メーカーの営業担当者は効率よく営業を進めることができます。
つまり「当てずっぽうの飛び込み営業」や「情に訴える古いタイプの営業」を、「エビデンスに基づいた営業活動」に進化させることができます。

まとめ~使わない理由はない

この記事の内容を箇条書きでまとめます。

● 医療ビッグデータとは全国の医療機関などが持っている医療情報を統合して集約したもの
● 国は次世代医療基盤法を制定するなどして、医療ビッグデータの利活用を進めようとしている
● 医療ビッグデータの種類には、レセプトデータ、診療データ、臨床データ、調剤データ、DPCデータ、遺伝子情報などがある
● 医療機関が医療ビッグデータを活用すると患者さん1人ひとりに最適な医療を提供できるようになる
● 医療関連企業が医療ビッグデータを活用すると、新しい医療ビジネスを創出できたり、エビデンスに基づいた営業活動が可能になったりする

医療ビッグデータは医療機関と医療関連企業に「よいこと」をたくさんもたらします。
医療ビッグデータを使わない手はない、といえるのではないでしょうか。

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