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飲食料品小売業で押さえておきたい経営指標

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はじめに

小売業は景気や流行に左右されやすく、安定した経営を実現するのが難しい業種といえます。
特にファッションやコスメ、娯楽品などは生活に必須のアイテムではなく、消費者の財布の紐の硬さに影響をとても受けやすい商材といえます。

しかしながら日々消費する飲食料品は景気や流行に左右されにくい業種と言えるかもしれません。
またコロナウイルスによる巣ごもり需要から、自宅で料理をする人が増えたと言われており、コロナウイルス発生後に業績を伸ばした飲食料品店も多くあるでしょう。

今回はこのような飲食料品小売業で押さえておきたい経営指標を紹介していきます。

飲食料品小売業のコストにかかわる経営指標

どんな業界においても共通ですが、ビジネスで利益をだしていくためには、コストをうまくコントロールすることが非常に重要となります。こちらでは特に飲食料品小売業にて、利用したいコストに関わる経営指標をご紹介します。

原価率

原価率とは商品の売上に占める仕入の金額の割合のことを言います。
例えば仕入値が60円の商品を100円で販売すれば、減価率は60%となります。
一般的に小売店の原価率の目安は、スーパーマーケットで75%程度、百貨店や雑貨店は50~60%程度と言われています。
この原価率は業種ごとの収益構造でおおよそ決まっており、どの企業もこの原価率を元に店舗などの固定費や人件費などを管理しています。

また飲食料品小売業はライバル店との商品単位での差別化が難しい業種です。
消費者の気持ちとしては「同じ商品を買うのであれば、1円でも安いお店で」となりやすく、どうしても低価格競争となりやすいです。
このためそれぞれのお店は品揃えやアクセスのしやすさ、ポイント付与や曜日セールなどによって差別化を図っているのです。

廃棄率

廃棄率は原価率と合わせて大切な経営指標です。
廃棄率とは、商品の廃棄割合を示す経営指標で、主にスーパーマーケットや百貨店の生鮮食品や惣菜売り場で用いる指標です。
商品を10個陳列したうち、1個が売れ残り廃棄処分となった場合、廃棄率は10%になります。

この廃棄率は文字通り「商品を捨てた率」です。
商品の仕入や加工には必ずコストがかかり、この廃棄した商品にも同様にコストがかかっています。
このため「廃棄率の高さ=お金を廃棄している率の高さ」となります。
いくら商品の仕入原価率を改善しても、この廃棄率が高くなっていては業績に良い影響を与えることはできません。
ある程度の廃棄率を見越して仕入れることも大切ですが、可能な限り食品ロスをゼロにしたいものです。

飲食料品小売業の売上にかかわる経営指標

コストに続きまして、売上に関する経営指標をご紹介いたします。
ただ、先月の売上と比較し20%ダウン・・・といっても、何が原因で売上がさがったのかわからず、対策を打つことができません。

下記の要素にわけて、売上アップ・ダウンの要因を探り、具体的な対策に結び付けて頂ければと思います。

来店客数

来店客数とは、商品・サービス購入したお客様の人数のことです。
来店客数はお店全体の売上を増やすために絶対不可欠です。どんなに良質な商品やサービスを提供しようとしても、客が来店せず閑古鳥が鳴いてしまってはもともこもありません。

来店客数を上げるにはサービス精神の良し悪しがポイントになります。
1度来店して頂いたお客様を大切に、良い印象を与えまた来たいと思ってもらえるかどうかが分かれ道になります。
来店客数を上げるには、チラシなどの広告宣伝を行う方法もありますが、スーパーマーケットのような近隣住民に足を運んでもらうようなお店であれば口コミや評判が非常に重要になってきます。
来店客数を伸ばすためには日々の小さな努力の積み重ねが大切になってきます。

客単価

客単価とは、1客あたりの売上のことです。一般的に、売上高÷来店客数で算出します。
客単価を上げることができれば、来店客数を変えずに売上を伸ばすことができます。また客単価が上がることは、ライバル店で買っていた商品を自社で買ってもらえているとも考えられ、競争を勝ち抜くために非常に重要な指標であるといえます。

この客単価は、商品の陳列やレイアウトを工夫しついで買いを誘発することにより上げることができます。また関連商品同士のクロス販売や季節や数量を限定した商品販売も単価を上げる有効策と言えるでしょう。
飲食料品では季節に合わせた調理メニューを提案できるような商品陳列や、子供が手に取りたくなるようなお菓子陳列などを工夫する方法があるでしょう。

来店頻度

来店頻度とは、1人のお客様が1ヶ月間に来店する頻度や回数のことを言います。
一般的な小売店の場合、その地域の住民が来客ターゲットとなるでしょう。駅近の店舗であればその駅の利用者数もターゲットに含まれるでしょう。
そしてそのお店ごとが持っている来店者数(住民数や駅利用者数など)には上限があります。
1人のお客様が1ヶ月間により多く来店してもらうことにより、業績をアップさせることができるのです。

また合わせて把握したい経営指標にリピート率があります。
リピート率とは一定期間内に来店したお客様が再来店する割合です。
リピート客は、新規客の数分の一の獲得コストで済み、新規顧客の数倍の客単価をもたらします。つまり、少ないコストで大きな利益を生み出せるのがリピート顧客の特徴なのです。
しかしリピート客の数値把握はとても難しいと言えるでしょう。
一般的にはポイントカードやスマートフォンアプリなどに顧客情報などを連携させ、来店頻度や利用時間などを集計する方法があるでしょう。

飲食料品小売業の効率性にかかわる経営指標

最後に飲食料品小売業の事業効率性に経営指標をご紹介いたします。
今までご紹介してきたのは飲食料品小売業における、売上と原価に関する経営指標となりますが
こちらでは、間接原価で大きなウェイトを占める、賃料と人件費にかかわる「一坪売上高」、運転資金や廃棄率にかかわる「商品回転率」、「商品回転期間」といった指標を確認していきたいと思います。

一坪売上高

一坪売上とは、店舗の1坪あたりの売上のことをいいます。算出方法は売上高÷店舗面積です。
小売店の店内の陳列棚には限りがあります。またその店舗の不動産価格も広さによって賃貸料や固定資産税額、設置しなければならない什器備品やそれを維持するための水道光熱費が変わってきます。配置しなければならないスタッフの人数も変わってきます。
少ない店舗面積で効率良く商品を販売できれば、それだけコストを抑えられ、業績に良い影響を与えることができるのです。

商品回転率、商品回転期間

商品回転率とは、商品の在庫が売上に対して適性に販売されているかを判断する指標です。また商品回転期間は、商品を仕入れてから販売されるまでにかかる期間を指します。
この期間が短ければ短いほど商品が効率的に流れていると言えます。反対にこの期間が長ければそれだけ商品が効率的に流れていないと判断でき、滞留在庫を抱えているのではないかとも考えることができます。

スーパーマーケットのような小売業では、この商品回転率や商品回転期間は非常に短い場合があります。
なぜならば生鮮食品やお惣菜など消費期限が短い商品を取り扱っているためです。
このような商品では商品回転率よりも廃棄率が問題になりやすいでしょう。しかしながら長期間の保存ができる缶詰やレトルトなどの商品や冷凍食品ではこの商品回転率や商品回転期間が大切になってくるでしょう。
いかに商品ロスを無くし仕入と販売を循環させていくかが重要となるのです。

最後に

飲食料品小売業を始めとする小売業やその他のサービス業などでは、今後どのような取り組みが必要なのでしょうか。

少子高齢化によって労働者の人手不足や購買力の低下などが容易に予測できます。また1人1台はスマートフォンを保有しており、これまで以上にインターネット通販での購入がされやすくなるでしょう。
生鮮食品のような飲食料品はまだまだ通販での販売は難しいでしょうが、日用雑貨や長期保存可能な食品はインターネットでの販売が可能であり、大手通販サイトもこれらの商品の販売を開始しています。

お店の事象を数値化し定量的に把握することは経営判断の第一歩と言えます。
そして問題を定量化することにより、他の人との問題の共有を図りやすくなります。
今回ご紹介した経営指標をもとに定量的な分析を行い、それぞれのお店の経営に役立てていただければ幸いです。

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