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病院経営におけるオープンデータの使い方

#オープンデータ #病院経営

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病院経営の改善には、計画を立てて行動し、その結果を評価しながら改善を続ける「PDCAサイクル」の活用が不可欠です。しかし、医療業界特有の課題に取り組むためには、効果的なデータ収集とその活用が求められます。昨今、企業がビッグデータを駆使してマーケティング戦略を展開しているように、病院経営においても、患者の動向や病院の機能に関するデータを活用し、収益性を向上させる戦略を構築することが重要です。

この記事では、病院経営を改善するための第一歩として、収集すべきデータの種類とその活用方法について解説します。

病院経営を改善するには

病院経営に限らず、経営を考えるにはまず現状評価を行い、そこから問題点を見つけ、解決方法を検討し、更に効果を評価するというPDCAサイクル(Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善))を回していくことが必要です。

まず、現状把握をし、Planを立てていきます。そこで必要なのが「データ」です。グーグルやアマゾンなどから各業者が収集しているデータは「ビッグデータ」と呼ばれマーケティングに寄与していることは皆さんがご存知のとおりです。病院経営においてもデータを上手く集めて解析し、経営戦略を立てることが必要なのです。

病院経営改善に必要なデータ


日本は諸外国に比して病院と病床が多いのは皆さんご存知のことと思います。それだけに各病院とも経営を安定させるために躍起になっているのも事実です。
キャッシュフロー、月々の損益計算書(P/L)、貸借対照表(B/S)、そして年間の収支予想などは、経営の基本のデータとしてその見方、作り方には精通しておくことが必要です。その上で様々なデータを使ってP/Lの改善を目指します。経営改善には人件費や材料費・経費などの支出も削減しなければならないのですが、今回は収入の増加に的を絞ってお話しします。

病院の収入は、医業収益がほぼ全てです。そしてそれは患者を診療してのみ発生します。すなわち病院の収入は集患が全てなのです。

外来患者は、初診患者・再診患者という分け方と、予約患者・救急患者という分け方の二つがあります。そして、外来患者から入院が発生します。病院の収益は、この入院患者から多くの部分が発生しています。入院が必要な患者をどう集めるかが、病院経営の基本になります。そして、自院にも入院することができる患者が他院にどのくらい流れているかを知ることも必要です。

すなわち、我々が
1.自院の外来・入院患者数と救急患者の入院率
2.自院の入院患者の地域でのシェア
3.他院の入院患者の地域でのシェア
4.他院の機能(人員や院内の設備など)

これらをまず知ることが必要です。そのために、各病院の入院患者データ。各病院の機能のデータが有用となるのです。

データの集め方

まず、各病院の入院患者のデータですが、各病院の年報に掲載されていることが多いです。それを集めてデータ化することも有用ですが、年報はテキストデータですので非常にデータ化するのに手間がかかります。その他に各病院の入院患者の動向がわかるのは、厚労省が公開しているDPC(Diagnosis Procedure Combination)データです。

また、各病院の機能は各病院のホームページや年報に提示されていることが多いのですが、これも厚労省が公開している病床機能報告に詳細なデータがあります。
いわゆる「オープンデータ」です。非常に有益なデータが詰まっています。次項からこの使い方について解説します。

DPCデータとは?


DPCはある疾患に対して支払われる保険点数が規定されている制度です。いわゆる「まるめ」と言われているもので、ほとんどの手技・検査・投薬(手術は除く)は、包括されています。それなので、多くの検査や手技、投薬をすれば収益が増えるのではなく、持ち出しが多くなるというシステムで、かつて「検査漬け・薬漬け」と言われた(医療者としてはそうは思っていない人が大多数でしょうけど)日本の医療にメスを入れたものとして話題となりました。

そのデータを厚労省は集計して公開しています。それが、年度ごとに発表される「DPC導入の影響評価に係る調査「退院患者調査」の結果報告」です。これには各病院の患者構成、在院日数、手術など様々なデータが詰め込まれています。
しかしこのDPC制度、「EFファイル」という「出来高レセプト情報」も一緒に提出ししております。それによって厚労省は、「まるめ」とは言え、医療の質を保つため、どの疾患にどのくらい検査や投薬をしたかを把握できるようになっています。病院群分類決定の指標の一つとしてその数値も利用されているのです。

DPCデータの使い方

まず、自院がどのような患者をどのくらい入院させているのかを把握することができます。

また、二次医療圏の病院のデータを比較し、いろいろな疾患のその地域でのシェアを知ることができます。
これらによって、自院の強み、そして他院の強みを認識し、「攻めどころの」目標ができます。自院と他院で人員がほぼ同数の診療科があったとしてその科が扱う患者数に差があったとしたら、単に技術が無いから人気が無いだけなのか、やる気がないのか、プロモーションが足らないのかを判断し、適切な解決方法を見つけることができます。また、同じ疾患で在院日数に差が出ているときは、「より重症を診ている」のか、「退院支援や、転院の調整がうまく行っていない」のかを考え対処をすることができます。

DPCの導入に伴い、地域の病院のより詳細なデータが手に入るようになりましたが、そのためこのデータは膨大です。これを整理し、使えるようにするには手間も人手もかかります。欲しいデータを迅速に集めてくれる人材を育成するのも大変です。そのため、データ整理をアウトソーシングするのも一つの方法であります。

病床機能報告とは?

「地域医療構想」として、病床を「高度急性期」、「急性期」、「回復期」「慢性期」に分け、各地域の将来の必要病床数が計算され、各地域でその病床数に即するように各病院が話し合って病院の機能を見直しの検討をしています。そして将来、それぞれの病床機能を担う事になると考えられているため、各病院は機能を毎年厚労省に報告しています。
一般に医師もただ単にこの報告は先述した「病床機能」の報告だけと思っている人もおおいのですが、このデータには、病院の人員、詳細な機能など様々なデータが入っており、そして毎年「オープンデータ」として公開されています。まさに病院の姿がこれから読み取ることができるのです。

病床機能報告の使い方


病院経営は戦術です。「患者」という限られたパイを取り合うことです。「○○病院が良い」と言っても、「病気になる人」の数は限られているのでサービスを受ける人を増やすことは出来ません。しかもサービスの値段が「保険点数」というもので決められているので、他の消費物価のように人件費や材料費の「原価」を「売値」に反映することは出来ません。

そのためには他の病院の「戦力」を見極めることが必要で、「病床機能報告」にはそのデータが詰まっています。それを元に自院の機能をどう変えていくか、強化していくか可能となってきます。

オープンデータを使用する時の注意点

このように、DPCデータ、病床機能報告データという公開されている、いわゆる「オープンデータ」にも様々な使い方が出来ることが分かります。しかし、それはある意味「雑多」に公開されており、しっかりと整理されたデータではないと戦略を立てられません。そのためには前述したようにデータの整理をアウトソーシングすることは素早くデータを利用する方法の一つです。

また、公開されているデータはあくまでも調査された時点のデータなので、そこからどう変わっているかは不明な点が注意すべき点です。
注意点はありますが、有用なデータです。これらを利用して病院経営に役立ててください。

まとめ

病院経営の改善には、計画、実行、評価、改善を繰り返す「PDCAサイクル」が不可欠です。特に医療業界では、患者の動向や病院の機能に関するデータを収集し、経営戦略に活用することが重要です。収集すべきデータには、キャッシュフローや損益計算書などの基本データの他、病院の入院患者数や地域シェア、他院の機能データなどがあります。

日本では病院と病床が多いため、経営安定化のために患者集客が鍵となります。特に、外来患者から入院患者を確保することが収益増加に繋がります。データ収集には、厚労省が公開するDPCデータや病床機能報告を活用します。これにより、自院や他院の強みを把握し、目標設定や経営戦略の立案が可能になります。

ただし、公開データは膨大かつ整理が必要であるため、データ整理を外部に委託することも一つの手です。また、これらのデータは調査時点のものであり、変化を踏まえた対応も求められます。データの有効活用が病院経営の改善に重要です。

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