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財務分析をするための基本的な考え方

はじめに

経営者のみなさんが高く関心を寄せている事項として、「財務分析」があります。
自社の経営状況の判断のみではなく、得意先や仕入先、外注先など様々な企業の経営状況の判断にとても重要になってきます。

今回はこの財務分析を行うために知っておきたい業界ごとの経営指標の特徴を紹介していきたいと思います。

 

財務分析の3つの観点

財務分析は、「収益性分析」「安全性分析」「効率性分析」3つの観点から分析することができます。
少し財務分析やアカウンティングなどを勉強したことのある方であれば知っていると思います。
アカウンティングなどのテキストには必ず書かれていることといっても良いでしょう。

他のサイトなどでも良く紹介されていますので、ここではそれぞれの代表的な指標をピックアップしながらご紹介します。
また紹介する各指標の数値はあくまで目安ですので、より正確に知りたい方は中小企業庁などで公表されている統計調査を調べると良いでしょう。

 

企業の儲ける力を確認する「収益性分析」とは

「収益性分析」は、企業がどれだけ利益を上げられているかを見るものです。
利益の額はもちろんのことですが、その比率をチェックすることも大切です。
収益性分析は、売上高に対する収益性を見る「取引収益性」と、資本に対する収益性を見る「資本収益性」の2つに分けられます。

 

売上とコストの比較「取引収益性分析」とは

「取引収益性」には売上高総利益率や営業利益率、経常利益率などがあります。
それぞれの指標はその売り上げに対し何%の利益率を出せているのかを表しています。
同じ1,000万円の利益であっても、その母数となる売上の額が異なることにより、その企業や事業の収益性は変わってくるのです。
全産業の利益率の目安は、売上高総利益率25.5%、営業利益率2.9%、経常利益率3.5%程度などと言われています。

 

投下資本との利益率をみる「資本収益性分析」とは

「資本収益性」には自己資本利益率(ROE)や総資本利益率(ROA)などがあります。
取引収益性は売上を基準に分析していましたが、こちらは資本額を基準に分析します。
資本収益性の数値が良いということは、それだけ会社が投じた資本金額を効率的に運用することができていると言えます。
また資本収益性の数値が低い場合は、その企業が保有している固定資産などを適切に運用できていない可能性もあります。
全産業の資本利益率の目安は、自己資本利益率(ROE)9.3%、総資本利益率(ROA)3.1%程度などと言われています。

 

企業の健全性をはかる「安全性分析」とは

安全性分析は、仕入先や外注先への支払いや銀行などの借り入れに対する返済といった、企業の支払い能力を分析するものです。
安全性分析には、貸借対照表から分析する「ストック分析」と、キャッシュフロー計算書から分析する「フロー分析」があります。

 

貸借対照表を用いる「ストック分析」とは

「ストック分析」には流動比率や当座比率、固定比率、自己資本比率などがあります。どの指標も貸借対照表項目を用いています。1つずつみていきましょう。

 

流動比率・当座比率とは

流動比率と当座比率はその企業の短期的な支払い能力をチェックできます。
比率は高いほど資金に余裕があると判断できます。
しかしながら比率が高すぎると余剰資金を沢山抱えているとも判断できるため、資金運用効率は低くなっているとも言えてしまいます。
比率の目安は100%から200%程度といったところでしょう。

 

固定比率とは

固定比率は、自己資産に対する固定資産の比率を表す指標です。
固定資産が自己資本の範囲に収まっているかを確認することができます。固定比率が100%を超えていると、固定資産の購入を自己資本で賄えず他人資本に依存している可能性があります。
過剰な設備投資になっていないか判断する目安になるでしょう。

 

自己資本比率とは

自己資本比率は、総資本に対する自己資本の比率を表す指標です。
どの程度の比率が適正かというのは、その企業ごとの運営方針に影響してしまうので一概には言えませんが、自己資本比率が高ければそれだけ借入金が少なく、健全な経営を行っていると言えるでしょう。

しかしながら他人資本である借入金により現金をより多く現金を確保することにより、より多くのビジネスを行うことができます。いわゆる「レバレッジをかける」といわれるものです。

自己資本比率が高いことは安全な運営を行えていると言えますが、無難で地味な運営を行っているとも言えます。
よってなかなか適正な数値を伝えることが難しいですが、ある時突然その企業の自己資本比率が変化した時は注意が必要でしょう。

 

重要なのは現金!フロー分析とは

そして「フロー分析」はキャッシュフロー計算書を用い、「営業キャッシュフロー」「投資キャッシュフロー」「財務キャッシュフロー」の3つの視点で分析します。

キャッシュフローとは儲け(利益)を示すものではなく、現金の出入りを確認する指標となります。
いくら利益がでていても、売上の回収に時間がかかり、現金がでていくばかりでは、会社はつぶれてしまいます。
そのため、損益計算書や貸借対照表における分析だけではなく、キャッシュフローを確認することも重要になっています。

 

本業からの現金稼ぎを確認する「営業キャッシュフロー」

営業キャッシュフローは、その企業が営業活動でどれだけ現金を稼ぐことができているかを表しています。
もちろん営業キャッシュフローは数値が高いほど、現金を稼いでいると言えます。
しかしながら事業の売掛債権の入金を前倒しにし、買掛債務の支払いを先延ばしにしていると瞬間的に営業キャッシュフローの数値が高くなります。
この反対であれば営業キャッシュフローの数値が低くなることもあります。
営業キャッシュフローの数値の理由を分析し、安易な判断をしないように気をつけましょう。

 

設備投資に関連する「投資キャッシュフロー」

投資キャッシュフローとは、固定資産や株などの取得・売却で発生したキャッシュフローのことです。
投資キャッシュフローがマイナスになっているということは、その企業が積極的に投資活動を行っていると判断できます。これに対し投資キャッシュフローがプラスになっていると、資金を捻出するために資産を売却していると考えられます。
投資キャッシュフローがプラスになり現金を確保できたので良いのではないかとも思えますが、固定資産の売却はその企業の生産能力を手放していると判断でき、将来の営業キャッシュフローに影響を及ぼしてしまうと考えられます。
その企業の身の丈にあった投資活動を行えているか、そしてその投資が継続的に回収できるのかを判断のポイントとすると良いかもしれません。

 

資金調達力に関連する「財務キャッシュフロー」

最後に財務キャッシュフローです。
金融機関からの融資または返済、株式発行による資金調達または配当金の支払いなど、財務に関するキャッシュフローを表す指標です。

財務キャッシュフローがマイナスとなる場合は返済や償還が進んだということになります。
プラスになった場合は金融機関からの融資を受けたり、社債を発行して資金を調達したと判断できます。
ただし財務キャッシュフローがマイナスになった場合は、自己資本比率が上昇し安全性が高まったとも判断できますが、「レバレッジをかけられていない」とも判断できるため、どのステークスホルダーの目線で見るかによって、その良し悪しは変わってくるでしょう。

 

事業の活発性をはかる「効率性分析」とは

効率性分析は、企業経営が活発に行えているかどうかを判断する指標です。
資産を効率的に使い、多くの売上をあげているほど活発に経営ができている可能性が高いといえます。
売上が低いにもかかわらず、資産が多すぎる場合は効率的に資産を運用できていないとも考えられます。

 

効率性分析では「回転率」を用いる

効率性分析には固定資産回転率や棚卸資産回転率、売掛債権・買掛債務回転率などがあります。
どの指標も回転率が低下すると棚卸資産や売掛債権などが滞留し効率的に運営できていないのではないかと考えられます。
特に棚卸資産は仕入製造コストがかかっているにも関わらず仕入製造原価に含まれません。
利益が出ているにも関わらず棚卸資産が滞留してしまうと、余計なコストを払うことになってしまうので、資金繰りや営業キャッシュフローに悪影響を与えてしまうことになります。

 

従業員視点をおいた効率性分析「生産性分析」

またこの効率性分析の似た分析方法に生産性分析があります。
生産性分析は、会社が従業員や設備などを効率よく活用し、どれほどの売上や付加価値の創出に繋がっているかを見るものです。効率性分析を従業員の視点で分析したものと言えるでしょう。

生産性分析には売上高付加価値率や労働分配率、労働生産性があります。
私は特に労働生産性の分析が重要であると考えています。

労働生産性分析は従業員1人あたりがどれほどの付加価値を生み出しているかを確認する指標です。
目安は従業員1人あたりの人件費とその会社の維持費が賄える分だけとなるでしょう。
この指標が低くなってしまうと、従業員を継続的に雇えなくなってしまいます。
従業員の保有するノウハウは簡単に売買できるものではありませんので、この指標は企業運営に非常に重要であると考えています。

 

最後に

いかがでしたか?財務分析をするために必要な基本的な考え方をご紹介しました。

既にビジネスの中にしっかりと取り入れている方もいらっしゃるでしょうが、そうでない方はまずは自社の分析を少しずつ行ってみると良いでしょう。
また上場企業であれば「◯◯株式会社 有価証券報告書」などと検索すると、その企業の財務情報を見ることもできます。
財務分析をしっかり行い、企業運営に役立てていただければと思います。

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