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通信業界のKPIとなるARPUとARPAの関係性と現状課題を克服した事例紹介

サブスクリプション形式のビジネスを主体とする通信業界では、いままでARPUを重要視してきました。ARPUは、通信デバイス端末1台を対象としたKPIになります。そのため、通信事業では、端末利用台数を増やすことがビジネスの目的でした。

しかし通信キャリア事業である大手3社(NTTドコモ、au、SoftBank)に関しては、訴求する契約ユーザーの数に限りも見えてきました。

そのうえ1人のユーザーが、スマートフォンやタブレットなど通信デバイス端末を複数台所有することが増えてきたため、端末を基準にした売上評価がむずかしくなったのです。そのため通信キャリア事業のKPIでは、「端末からユーザー」へKPIをARPUからARPAへ指標を見直すことが必要になります。

今回の記事では、通信業界の重要なKPIとなる、ARPUとARPAの関係性について解説していきます。また通信業界のKPIに影響をおよぼす業務での課題と、その問題点を克服した通信事業者の事例を紹介しましょう。

通信業界のKPI「ARPU」と「ARPA」の関係性について


それでは通信業界の重要なKPIとなる「ARPU」と「ARPA」の関係性について、取り上げていきます。はじめに通信業界の重要な指標の解説をしましょう。

ARPUとは

ARPUとは、通信業界でいままで重要視されてきたKPIです。ARPUは、Average Revenue Per Userの略称として、主に通信キャリア事業において評価されてきた指標になります。

ARPUは、端末1台を対象にした売上高指標として、通信業界の月額課金モデルとなる端末契約ユーザーを基準とした指標です。ARPUは、通信キャリア事業以外でも、スマホアプリやゲームサービス企業において、業績を評価する指標として活用されています。

通信キャリア業界では、NTTドコモやau、SoftBankなど が市場を独占してきました。そのため市場が飽和状態となり、3社においてユーザー数の新規獲得が難しくなってきたのです。

市場規模の変化により、3社の戦略は既存顧客1人あたりの売上を伸ばすことに変更しました。3社の目指すKPIは顧客数の増加ではなく、契約者1人の売上を増加させることになります。

ARPUは、端末1ユーザーあたりの平均的な売上指標として、月額課金システムのKPIとなったのです。

・ARPUの計算式
売上÷ユーザー数(MRR÷契約端末数)=ARPU

たとえば月次売上高が1,000万円で端末利用台数が2,000ユーザーだとします。その場合のARPUは、10,000,000÷2,000=5,000円で、該当する月の平均売上高は、5,000円となるでしょう。

ARPUは、契約数1人を対象にした売上高指標です。通信キャリア事業者の場合は、売上が通話料やデータ通信料で構成されています。

ただし通信キャリア事業では、端末1台を1人の顧客と評価することに限界が見てきました。その理由は、1人のユーザーがスマートフォンやタブレット、パソコンなど複数のデバイスを所有しているためです。

通信業界では、デバイス端末を基準とした指標ではなく、アカウントベースで評価することが必要になったのです。

ARPAとは

アカウントベースで「ひとりの契約者」を対象にしたKPIをARPAといいます。ARPAは、Average Revenue per Accountの頭文字の略称です。ARPAでは、サービス利用をまとめてアカウントベースで捉えた基準となり、契約者単位で売上高を評価します。

現在、スマートフォンをはじめとするモバイル端末の普及とインターネット環境が整いサービスの多様化が進みました。顧客は「モノを所有して購入する」よりも、インターネットを介して「必要な分だけサービスを利用する」行動へ変化しています。そのような理由からも、顧客との関係性を継続していくには、ARPAが重要な指標となるでしょう。

ARPAは、「端末ユーザーからアカウント」への変化が生み出したKPIです。通信業界のKPIは、ARPUからARPAへ平均的な売上を評価することになります。

・APRA 計算式
売上÷アカウント数(MRR÷契約アカウント数)

ARPUとARPAのちがい

ARPUは、1ユーザーあたりの平均売上高であり、ARPAは、1アカウントあたりの平均売上高です。通信業界のKPIは、ARPU(1ユーザー売上)からARPA(1アカウント売上)へと変化が起きています。

さらにSaaS事業の場合においても、サブスクリプション形式による複数の端末で利用する現状から、ARPAで評価することが実態に近い数値となるでしょう。

ARPUの数値を伸ばすにはアップセル

通信業界において、ARPUを伸ばすためにはアップセルが有効的です。端末ユーザーに向けて、アップセルを施すにはユーザーのロイヤリティを高める必要があります。ロイヤリティを高めていくには、端末ユーザーである顧客との関係性を強く維持していくことが必要です。

具体的には、デバイス端末を契約したユーザーの抱える問題をはじめとした「こんな機能があるといい」や「このサービスは人にすすめたい」という意見などを抽出することができるコミュニケーションが必要になります。コミュニケーションをはかるためには、顧客の状態にそったメールでのやり取りが効果的でしょう。結果的に、端末を利用しているユーザーの現状を分析して、最適な提案ができればアップセルにつながります。

ARPUを向上させる施策「NPS」

ARPUを向上させるには、顧客ロイヤリティの数値化となる「NPS」が有効的です。NPSとは、Net Promoter Scoreの頭文字をとった略称になります。

NPSでは、対象となる顧客のセグメントを明確にして、効果的な訴求ができるように優先度の高いニーズを抽出可能です。具体的には、次のような計測となります。

NPSの計測は、対象の顧客へ質問をして「サービスに対しての印象」や「サービスを周囲に勧めるかどうか」からサービスの推奨者の割合です。サービスの推奨者を指標とするには、顧客への質問を段階にわけて回答してもらう必要があります。

NPSの計測では、顧客の状態を3つに分類するために、最も不満足な状態を「0」とし、最も満足している状態を「10」として段階による回答が指標となるのです。「0」~「10」までの段階を「不満足」「どちらでもない」「満足」と3つに分けて、顧客の状態を判断します。

NPSの単純な計測となる点が、ARPUと連携して評価できる経営指標となるでしょう。単純にNPSが高ければ、対象の顧客が好意的であるため、アップセルやクロスセルを展開しやすくなります。結果的に、NPSが高ければARPUも向上していくのです。

通信業界での課題を改善した事例


通信業界では、ARPUやARPAをKPIとして、既存顧客の売上を向上させる重要性について解説してきました。売上を向上させるためには、NPSを計測して顧客の満足度を知ることが、もっとも重要な部分になるでしょう。

では実際に通信業界の現場では、顧客満足度を上げるためにNPSを実行しているのでしょうか? 通信業界の現場では、日々の顧客対応に追われているケースも見うけられます。

通信業界は、カスタマーサービス担当者の業務負担が多く、顧客対応の面でNPSの評価を下げる要因になるでしょう。具体的なカスタマーサービス担当者の業務負担を高くする課題をあげてみました。

顧客からの問い合わせにタイムリーに答えられない(人員不足・業務負担過多)
手動によるインシデント管理のためメール回答に労力がかかる
顧客への回答に対して、ミスをなくすためのチェックが手動であり負担がかかる
顧客アンケートを実施しても、結果レポート作成が手動

通信業界のカスタマーサービスでは、このような状況により顧客満足度向上につながらない体制になっていました。

このような状況を打開するために、このカスタマーサービスでは次のような改善策を導入して問題を克服したのです。

メール経由の問い合わせを自動的に件名とメール内容により分類され登録
承認プロセスの簡略化により、ムダな対応がなくなった
手動のチェック作業をクラウド上で処理して半分以下の労力となった

顧客のロイヤリティ向上のため、関係性を維持していくためにはメールなどを活用したコミュニケーションは重要です。しかし、1人の顧客にカスタマーサービス担当者が取られてしまうことは、担当者の業務負担とコストを増やしてしまう要因になります。通信業界では、この問題点に対して、自動化できる部分に注目した取り組みをしているのです。

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