Tableauのデシル分析とは?分析方法や活用目的を分かりやすく解説
目次
データを分割して顧客の価値をグループごとに把握することは、効果的なマーケティング戦略を立てる上で非常に重要ですが、その手法として注目されているのが「デシル分析」です。
Tableauを活用することで、デシル分析を効率よく行い、ビジュアライゼーションをとおして視覚的に顧客データを理解できるようになります。
本記事では、デシル分析の概要からTableauでの具体的な作成手順、さらにデシル分析の活用目的について詳しく解説します。
Tableauを使ってデシル分析を行うと、より深いデータインサイトを得ることができ、データドリブンな意思決定をサポートする強力なツールとなるでしょう。
この記事がTableauでデシル分析を活用した顧客理解の一助となり、ビジネス成長の一翼を担う参考になれば幸いです。
デシル分析とは?
デシル分析とは、顧客の購買データをもとに上位から10等分し、ランクごとに顧客をグループ分けする手法です。
この手法を用いることで、売上貢献度の高い顧客層を特定したり、マーケティング施策のターゲット設定を行ったりできるようになります。
具体的には、
といった形で分類します。
デシル分析を使うメリットは、顧客の価値をグループごとに可視化しやすくなる点です。これにより、売上の大部分を占める上位の優良顧客と貢献度の低い顧客を一目で判断でき、限られたリソースを効率的に活用できるようになるでしょう。
また、デシル分析はRFM分析などの他の分析手法と組み合わせることで、より深い顧客理解や戦略立案が可能になります。
なお、TableauでRFM分析を行う方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
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◆TableauでRFM分析をする方法を分かりやすく解説
デシル分析は、特にマーケティングや営業部門で重要視される顧客分析手法であり、限られたリソースを最大限に活用するために役立ちます。
他の分析手法と組み合わせて使用することで、より効果的な施策の検討が可能となるため、ぜひ活用してみてください。
Tableauでデシル分析を行う手順
それでは実際に、Tableauを使ってデシル分析を行う具体的な手順をご紹介します。
なお、今回はTableauに付属している「サンプルスーパーストア」を使用し、全顧客の合計売上に対して高い順に顧客を10等分していきます。
あらかじめ、Tableauにサンプルスーパーストアの「注文」シートを接続しておきましょう。
Tableauにデータを接続する方法がわからないという方は、以下の記事を参考にしてみてください。
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◆Tableauにおけるデータ接続と加工方法を手順付きで解説
手順1:顧客ごとの合計売上を計算する
デシル分析を行う前提として、顧客ごとの合計売上を計算する必要があります。
新しい計算フィールドの作成から、以下の式を作成しましょう。
★顧客ごとの合計売上
{ FIXED [顧客 Id] :SUM([売上])}
この式は、顧客IDごとに売上を集計し、顧客ごとの合計売上(購買金額)を算出します。この合計売上をもとに、次のステップで顧客のランク付けを行います。
手順2:合計売上に応じてランク付けをする
手順1で計算した顧客ごとの売上を10等分し、各グループにランク付けを行います。
Tableauでは「PERCENTILE」という関数を使用してランクを振り分けることが可能なため、以下の計算フィールドを作成しましょう。
★デシル
IF[★顧客ごとの合計売上]
PERCENTILE(計算フィールド,数値)は、「計算フィールド」の上位「数値」を取得する関数です。
そのため、例えばPERCENTILE([★顧客ごとの合計売上], 0.1)は、[★顧客ごとの合計売上]のうち、上位0.1(=10%)を取得することができます。
手順3:ランクに応じて区分する
必須ではありませんが、手順2でランク付けされた顧客を「優良顧客」「一般顧客」などのカテゴリーに区分すると、より経営戦略に活かしやすくなるでしょう。
今回は、デシル1と2を「優良顧客」、それ以外を「一般顧客」として分類します。
新しい計算フィールドを作成し、以下のように設定しましょう。
★優良/一般顧客区分
IF [★デシル] = "デシル1" OR [★デシル] = "デシル2"
THEN "優良顧客"
ELSE "一般顧客"
END
手順4:グラフを作成する
作成したフィールドを用いて、実際にグラフを作成していきましょう。
列シェルフに[★デシル]を、行シェルフに[★顧客ごとの合計売上]を、それぞれドラッグ&ドロップします。
手順5:顧客区分で色分けする
マークカードの「色」に、[★優良/一般顧客区分]を追加します。
以上でデシル分析は完成です!
なお、ラベルを付けることで、全体に占める優良顧客(=売上上位20%の顧客)の合計売上の割合を簡単に可視化することもできます。
行シェルフにある[合計(★優良/一般顧客区分)]を右クリック>簡易表計算>合計に対する割合 をクリックします。
また、行シェルフにある[合計(★優良/一般顧客区分)]をCtrl(Macの場合は⌘)を押しながらマークカードの「ラベル」にドラッグ&ドロップしましょう。
これにより、「優良顧客」が全体に占める売上の割合は約42%(25.48%+17.12%)ということがわかりました。
Tableauにおけるデシル分析の主な活用目的
デシル分析は、顧客を購買金額に基づいて10のグループに分け、各グループの売上貢献度を可視化する手法です。
これにより、企業は売上に貢献する顧客層を特定し、適切なマーケティング施策を実施できます。
ここでは、Tableauにおけるデシル分析の主な活用目的を2つご紹介します。
売上貢献度の高い顧客層の特定
デシル分析を行うと、売上の大部分を占める優良顧客層を特定できます。
売上の上位10%を占める「デシル1」にあたる顧客は、企業の利益に大きな影響を与えることが多いため、特別な施策を用意することが効果的です。
例えば、デシル1の顧客に限定したクーポンの配布や特別なサポートサービスを提供することで、顧客の満足度を向上させてリピート率を高められるでしょう。
このように、企業はデシル分析を用いることで限られたリソースを最も効果的に活用し、売上の最大化を図ることができます。
マーケティング施策のターゲット設定
デシル分析を用いることで、顧客層ごとの特徴を把握し、それぞれのセグメントに適した施策を計画できるようになります。
例えば、売上貢献度が高いデシル1やデシル2の顧客には、購入意欲をさらに高めるアップセル(追加購入)やクロスセル(関連商品販売)を提案し、売上増加を図る施策が有効です。
一方で、貢献度が低いデシル10の顧客には、リピート購入を促進するためのメルマガ配信や割引キャンペーンを実施することで、購入頻度の増加につながるでしょう。
デシル分析を使って適切なターゲット設定を行うと、費用対効果の高いマーケティング戦略の立案が可能になります。
まとめ
この記事をとおして、Tableauにおけるデシル分析の作成方法と主な活用目的について詳しく解説しました。
デシル分析は、顧客を購買金額などのデータをもとに10グループに分け、売上貢献度の高い顧客層を特定したり、マーケティング施策のターゲットを設定したりする際に非常に有効な分析手法です。
Tableauを活用したデシル分析のノウハウを身につけることで、より高度なデータ分析を行い、ビジネス戦略の立案に役立ててください。
この記事が、データ分析を活用した顧客理解の一助となり、さらなるビジネス成長を促進するための参考になれば幸いです。
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