Tableauの集計・非集計を理解する:効果的なデータ分析のために
目次
日々のデータ分析で、思うような結果が得られずに悩んだ経験はないでしょうか。「なぜか数値が合わない」「グラフの表示がおかしい」という場面で、その原因が集計・非集計の設定にある可能性があります。
Tableauでデータを分析する際、集計と非集計の違いを理解することは、正確な分析を行う上で重要な基礎となります。しかし、この設定の意味や使い分けについて、十分に理解できていない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、Tableauにおける集計・非集計の基本的な概念から、実践的な活用方法まで、具体例を交えながら解説していきます。
Tableauにおける集計と非集計の基本的な違い
データ分析を始める際、まず理解しておきたいのが集計と非集計の違いです。Tableauで新しいワークシートを開くと、初期設定では集計が有効になっています。この設定が、私たちの分析結果にどのような影響を与えるのでしょうか。
集計が有効な場合、Tableauは自動的にデータをまとめて表示します。たとえば、営業部門の売上データを見る際、集計設定では「部門別の合計売上」として表示されます。一方、非集計の場合は、一つひとつの取引データがそのまま表示されることになります。
<データ元:サンプルスーパーストア>
この違いは、特にビジュアライゼーションを作成する際に大きな影響を与えます。集計データを使用した場合、折れ線グラフは月次の推移をなめらかに表現します。これに対し、非集計データでは、個々の取引がポイントとして表示され、より詳細なパターンや外れ値を確認することができます。
データの粒度も、集計と非集計では大きく異なります。集計データでは、設定した単位(月次、部門別など)でデータがまとめられるため、全体的な傾向を把握しやすくなります。一方、非集計データでは、個々の取引や記録をそのまま見ることができ、詳細な分析や異常値の検出に役立ちます。
集計データ、非集計データの活用シーン
それぞれのデータ表示方法には、特に効果を発揮する場面があります。実際の業務でどのように使い分けると良いのか、具体的な例を見ていきましょう。
集計データが効果的な場面
経営層向けのレポートを作成する場合、集計データの活用が有効です。たとえば、四半期ごとの売上推移を示すダッシュボードを作る際、個々の取引データをそのまま表示するより、月次や四半期での集計値を示す方が、全体像の把握がしやすくなります。
また、地域別の販売状況を分析する際も、集計データの活用が適しています。地図ビジュアライゼーションで各地域の売上合計を色の濃淡で表現することで、地域間の差異が一目で分かります。
非集計データが威力を発揮するとき
一方、販売パターンの詳細分析や異常値の検出には、非集計データの活用が欠かせません。例えば、ある商品の時間帯別売上を分析する際、非集計データを使用することで、個々の取引の発生タイミングまで確認できます。
特に品質管理の現場では、非集計データの活用が重要です。製造ラインの温度変化や製品の重量変動など、詳細なデータポイントを確認することで、わずかな異常の予兆を見逃さず、早期対応することができます。
経理部門での残高照合や在庫管理においても、非集計データの活用は重要です。取引ごとの詳細を確認できることで、差異の原因特定や在庫の動きの把握が容易になります。
実装のポイントとベストプラクティス
集計・非集計の効果的な使い分けは、分析の質を大きく左右します。ここでは、実務で活用できる具体的な判断基準とテクニックをお伝えします。
データ量に応じた適切な選択
大規模なデータセットを扱う場合、まずは集計表示から分析を始めることをお勧めします。たとえば、数百万件の販売データを分析する際、最初から非集計で表示すると、Tableauの処理速度が低下し、効率的な分析の妨げとなることがあります。
このような場合、まず月次や週次で集計表示し、注目すべき期間が見つかった時点で、その期間のみ非集計表示に切り替えるという段階的なアプローチが効果的です。
分析の目的に応じた設定変更
同じデータでも、分析の目的によって適切な設定は変わってきます。例えば、売上分析では以下のような使い分けが考えられます。
トレンド分析や予測を行う場合は、集計表示が適しています。日々の変動をならした集計値を使うことで、より正確な予測が可能になります。一方、売上の急激な変化の原因を調査する場合は、非集計表示に切り替えることで、個々の取引まで遡って詳細を確認できます。
よくある失敗とその対処法
集計・非集計の設定に関して、よく見られる課題とその解決方法も押さえておきましょう。例えば、計算フィールドを作成する際、集計・非集計の設定が予期せぬ結果を招くことがあります。特に平均値を計算する場合は注意が必要です。集計表示では、すでにまとめられたデータの平均を計算することになるため、非集計データから計算した場合と結果が異なることがあります。
平均値を算出する際には、特に注意が必要です。集計済みのデータを用いて平均を計算する場合、元の個々のデータから計算した場合とは結果が異なることがあります。これは、集計の過程で情報が失われるためです。
例えば、顧客の年齢の平均を求める際、個々の顧客の年齢を足し合わせて顧客数で割る方法と、年齢層別の顧客数の平均年齢を用いて計算する方法では、結果が異なる場合があります。
このような場合は、計算の基となるデータの粒度を意識し、必要に応じてLOD式(Level of Detail式)を活用することで、正確な結果を得ることができます。
まとめ
Tableauにおける集計・非集計の使い分けは、データ分析の基礎となる重要なスキルです。分析の目的や対象となるデータの特性を見極め、適切な設定を選択することで、より質の高い分析が可能になります。日々の分析業務では、まず集計表示で全体像を把握し、必要に応じて非集計表示に切り替えて詳細を確認する。このような段階的なアプローチを心がけることで、効率的かつ効果的な分析を実現できます。
最後に、設定を変更する際は、計算フィールドや既存のビジュアライゼーションへの影響も考慮に入れることを忘れないようにしましょう。
<Tableau>
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