PowerBIドリルダウンの方法を知っていますか?具体例を元にご紹介
目次
「エクセルなどのマトリックスでデータの分析をしても、どこに問題があるかわかりにくい」
「視覚的なデータにできても、細かいデータまで見にくくて課題の解決に繋がらない」
と感じることがあるかもしれません。
Power BIには「ドリルダウン」というデータのレベルを掘り下げて表示する機能があります。
この記事ではPower BIのドリルダウン機能について設定方法や使い方、分析例を解説します。
Power BIのドリルダウンとは?
ドリルダウンは階層構造になったデータをより粒度の細かい階層に掘り下げて表示する機能です。
例えば、複数店舗を運営する企業なら以下のように掘り下げることができます。
逆に1つ上の階層に戻ることをドリルアップといいます。
この機能で経営上の課題の発見などに役立ちます。
上記のように階層構造になっているデータであることがドリルダウン機能を使う条件になっています。
Power BIのドリルダウンの設定方法
今回はPower BIの公式サンプルを使用して、解説します。
左の「+」を押すとこの画面になります。
「これらのオプション」を押すと次の画面になります。
左下にある「サンプル」を選ぶと数種類のサンプルが表示されます。
ちなみに、右側の「新しいコンテンツの作成」にあるファイルから手元にあるエクセルファイルなどをアップロードして、Power BIを使用することができます。
今回は「小売の分析のサンプル」を使います。
選択して「接続」をクリック、するとマイワークスペースの画面に「Retail Analysis Sample」が表示されます。
この他にも人事や収益性に関するサンプルがあり、データの構造を理解するための参考にできますので、ご覧ください。
型が「データセット」のコンテンツを選択すると、次の画面になるので、「レポートの作成」で「最初から始める」を選択します。
すると、まっさらなキャンバスが表示され、右端の「フィールド」にサンプルデータが入った状態になります。
今回は「視覚化」の中にある、「集合縦棒グラフ」を使用します。
売上と店舗データをグラフにしたいので、
X軸にはStore内の「City」と「Name」を設定し、
Y軸にはSales内の「Total Sales Last Year」と「Total Sales This Year」の2つを設定します。
グラフのサイズを調整します。
現在はCityの表示になっていますが、X軸にNameのデータを重ねたことでドリルダウンが使える状態になっています。
X軸に重ねるデータは2つでなく、もっと多い数でも重ねることができます。
Microsoftから公式情報として上限数は公開されていませんでしたが、少なくとも20個はデータを重ねる事ができました。
また、もう一つの方法として階層化されたデータを設定する方法があります。
OpenDateというお店の開店日のデータはYear、Quarter、Month、Dayと元々階層構造になっているため、OpenDateを軸に設定すると自動的にドリルダウン機能が使えるようになります。
カレンダーや地方データのように1度作成しておくと何度でも使えるようなデータは分析を行う前に準備しておくと、今後の分析がしやすくなります
Power BIのドリルダウンの使い方
ドリルダウン表示にする方法は2つあります。
まず1つ目を紹介します。
ドリルダウンできる状態になったらグラフの右上にある「↓↓」ボタンを押すと全体のデータがドリルダウンされます。
クリックすると次の画面になります。
Name表示になりました。
また、「↓」をクリックした状態で参照したいCityの一つをクリックすると、そのCityの中のデータにドリルダウンします。
特徴として「↓↓(階層内の次のレベルに移動)」を押した際には現在表示されているデータの情報のすべてで下階層表示に切り替えます。
そのため、表示されているすべての情報の詳細を見比べたい場合に役に立ちます。
例えば、店舗売上の分析をする時に、関東全体のお店の総売上ではなく、コーナー売上を表示したい場合などには適しています。
また、「↓」を押した状態でのクリックでドリルダウンした場合は1つのデータを掘り下げる動作になります。
そのため、余計な情報は表示せず、1つの情報の深掘りをしたいと思った場合に役に立ちます。
ドリルダウンを使用した分析例
より理解を深めるため、日本のデータでの分析例を紹介します。
今回は厚生労働省の賃金構造基本統計調査、総務省の小売物価統計調査(構造編)をグラフにします。
年齢と職種ごとの賃金の分析
厚生労働省の賃金構造基本統計調査のデータを、Power BIでグラフ化します。
分析に不要な番号などはトリミングしています。
今回は解説をわかりやすくするため、「産業計」、「鉱業,採石業,砂利採取業」、「建設業」の分類で紹介します。
次の画面が年齢ごとの給与所得に関するグラフです。
「25~29歳」をドリルダウンすると次のグラフになります。
建設業や鉱業等は全職種に対して平均よりも多く所得があることがわかります。
地域ごとの物価の分析
総務省の小売物価統計調査(構造編)のデータを、Power BIでグラフ化します。
分析に不要な番号などはトリミングしています。
こちらは地域ごとの食料品の価格のグラフです。
ドリルダウンすると各県ごとの内容が表示されます。
なお、関東地方のみをドリルダウンすると次の表示になります。
関東地方では東京都が食品の価格が最も高いことがわかります。
このように情報を視覚的に理解しやすくして、俯瞰しながら詳細に分析をすることができるドリルダウン機能ですが、インポートするデータが階層構造にない場合、ドリルダウンを使用するためにはひと手間必要になります。
例として小売物価統計調査(構造編)では「〇〇地方」という情報は「〇〇県」と同じ階層で作られているため、そのままではドリルダウンはできませんでした。
そのため、〇〇県が何地方に属するかを新しい列を追加して入力しました。
また、賃金構造基本統計調査では元々年齢ごとのデータが職種別のシートに分かれているファイルになっています。
「産業計>各職種」という構造ではあるものの階層化はされておらず、すべてのシートが独立している状態です。
そのため、まずは一つのシートに産業計と各職種のデータをまとめ、階層構造にするためすべてのデータに産業計という列を作成しました。
この作業によってドリルダウン機能の実現に至りました。
なお、Power BIにエクセルファイルを取り込むためにはテーブル化する必要があります。
エクセルの画面でCtrl+Tを実行するとテーブルになります。
まとめ
Power BIの「ドリルダウン」はデータのレベルを掘り下げて表示して、分析を詳細に行う機能でした。
すでに階層化したデータを持っていたり、データの関係がはっきりしていたりという状況であればドリルダウン機能は分析に役に立つものとなるでしょう。
ドリルダウンとドリルアップを適切に使用して、全体的な視点と細かな視点を使い分けて課題の解決に役立ててみてはいかがでしょうか。
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