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東京都の医療系オープンデータとは? 活用方法を解説

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行政のデジタル化が推進されている中、東京都では2019年に「『未来の東京』戦略ビジョン」を発表し「スマート東京」という概念を示しました。
この「スマート東京」では様々な政策やインフラに、デジタルテクノロジーを活用し、サービスの質を向上させ、都民の生活の質(QOL)を向上させることを目指しています。
スマート東京の一環として、東京都が推進している『オープンデータ徹底活用プロジェクト』があります。今後、オープンデータを活用した民間のサービス創出が盛んになることが予想されています。

この記事では、以下のような悩みをお持ちの方に向けて、実際に医療系オープンデータの解析に携わっている筆者が分かりやすく「医療系オープンデータ」を解説していきます。

この記事は、これらに当てはまる方におすすめの内容です。

  • オープンデータって何?
  • 医療系オープンデータはどんな種類がある?
  • 医療系オープンデータの活用に関心がある

オープンデータとは

近年、世界的に科学データや知見データ、公共機関のデータの利活用が盛んに行われています。

総務省はオープンデータの定義をこのように示しています。
『国、地方公共団体及び事業者が保有する官民データのうち、国民誰もがインターネット等を通じて容易に利用(加工、編集、再配布等)できるよう、次のいずれの項目にも該当する形で公開されたデータをオープンデータと定義する。』

  1. 営利目的、非営利目的を問わず二次利用可能なルールが適用されたもの
  2. 機械判読に適したもの
  3. 無償で利用できるもの

オープンデータは公的利用のみならず、民間企業での活用が大いに期待されています。

医療系オープンデータとは


医療系オープンデータとは、公共機関や民間が無償で公表している医療データのことを指します。
2018年に厚労省より、地域の医療提供体制の可視化のために、15の医療系オープンデータが公表され、公的機関、民間企業で積極的に活用されています。

15の医療系オープンデータ

人口動態統計

日本における人口動態を集計したもので、死因や疾病別の死亡率把握などに活用されています。

国民生活基礎調査

世帯の状況を地域別に集計したもので、疾病別の通院者率の把握などに活用されています。

患者調査

医療施設を利用する患者についての状況等を集計したもので、平均在院日数や受診状況の把握など 
に活用されています。

国民健康・栄養調査

国民の身体・栄養・生活習慣を集計したもので、生活習慣の把握や予防医療推進に活用されています。

衛生行政報告例

各都道府県、中核市における衛生行政の実態を集計したもので、医療職の就業実態の把握などに活用されています。

介護保険事業状況報告調査

介護保険事業の実施状況を集計したもので、介護サービスや地域資源の把握などに活用されています。

病床機能報告

病床を有する病院等を対象とした病院機能について集計したもので、各病院における医療設備や疾病の治療状況の把握などに活用されています。

レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)

レセプト・特定健診等のデータを集計したもので、治療の費用対効果や地域の医療課題の把握などに活用されています。

診断群分類(DPC)データ

DPCの活用実態や影響度を集計したもので、医療機関での具体的治療件数、入退院件数の把握などに活用されています。

医療施設調査・医療施設報告

医療機関の設備や利用状況等を把握したもので、病床利用率や地域別の医療資源の把握などに活用されています。

医師・歯科医師・薬剤師調査

医師、歯科医師および薬剤師について基礎情報や従事場所などを集計したもので、医師等の就業実態の把握などに活用されています。

地域保健・健康増進事業報告

保健所および市町村ごとに地域保健事業の実施状況を集計したもので、地域保健の実態把握などに活用されています。

介護サービス施設・事業所調査

全国の介護サービスの提供体制、提供内容を把握したもので、介護従事者数の把握などに活用されています。

介護給付費実態調査

介護サービスに係る給付費等の状況について集計したもので、居宅や施設サービスの状況の把握などに活用されています。

新型コロナウイルス感染症関連データ

2020年より猛威を振るっていた新型コロナウイルス感染症対策の一環として、国や地方公共団体が以下のようなオープンデータを公表しています。

  • 新型コロナウイルス感染症検査陽性者の状況
  • 発熱等相談件数
  • 新型コロナウイルス感染症検査の陽性率・検査人数
  • 新型コロナウイルス感染症入院患者数
  • 東京都 新型コロナウイルス感染症重症患者数

このような医療系オープンデータを企業が活用した事例も続々と増えています。

医療系オープンデータの詳細

医療系オープンデータの中でも特に民間企業での利活用が期待されている2つのデータセットについて解説します。

NDBデータベース

NDBとは、厚労省が公表しているデータセットの1つで「レセプト(診療報酬明細表)」「特定健診結果」「特定保健指導結果」が格納されています。

このデータには、日本人がどのような医療を受けたのか、どのような健診であったのかなどが記載されています。このようなデータを用い、公的には地域の医療資源の整備等への活用、民間では以下のような利活用が期待されています。

<健康情報>

健診産業:健診データ分析による健康管理サービス
生命保険:保険商品開発
健康増進産業:予防医療サービスの拡充、高齢者リハビリサービス
食品産業:脂質異常症、糖尿病等のニーズ把握と食品開発等

<医療機器>

医療機器メーカー:データから市場動向/ニーズ推計、新医療機器開発

DPCデータ

DPCデータとは、Diagnosis Procedure Combinationの略で、診断報酬を計算する仕組みの一つです。DPCデータを閲覧すれば、病院の経営状況が明らかにとなると言われています。

病院側の立場で考えれば、毎年のDPCデータを比較することで経営改善に役立てることができますし、診療自体の質の向上にもつながります。

東京都でのオープンデータの活用

東京都オープンデータカタログとは

 東京都が公開している、無償で利用できるオープンデータの流通・利活用を推進するプラットフォームです。 https://portal.data.metro.tokyo.lg.jp/

東京都オープンデータカタログでは、以下の目的で利用することができます。

  • 東京都に関する様々な情報を調べる
  • 都政に関する重要なデータを分かりやすく確認する
  • スマートフォンアプリ等の開発に活用する

2023年3月現在、医療・福祉のカテゴリでは334件のデータセットが公開されています。

医療系オープンデータの活用例

 医療系オープンデータを活用したサービスが続々と増えています。その中のいくつかを紹介します。

「東京都発熱外来病院検索サービス」 株式会社メディヴィル

新型コロナウイルス感染症が疑われる場合のオープンデータを利活用した病院検索サービスです。
使用したデータセットは「診療・検査医療機関一覧リスト」です。

「Coaido 119」Coaido株式会社

119 番に通報をすると同時に、周囲に SOS するための緊急情報共有アプリです。
使用したデータセットは「AED 設置施設」です。

東京都の医療系オープンデータの活用に向けたまとめ

今回は医療系オープンデータの概要、東京都のオープンデータの活用を紹介してきました。

国をあげてオープンデータの活用を推進している中、今後ますます民間企業での医療系オープンデータの利活用が期待されています。
オープンデータは1つのみのデータセットだけでなく、分析や情報を掛け合わせることで、より価値のある情報になります。今回紹介したデータセットはオープンデータの世界のほんの一部です。この記事をきっかけにオープンデータに関心をもち、見て、触って、生活やビジネスへ活用してください。

オープンデータを活用したサービスが国民全体の生活の質の向上に繋がることを願っています。

<医療系オープンデータ>
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