オープンデータのライセンスとは?クリエイティブ・コモンズやパブリックドメインなども解説
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目次
経済の活性化、行政の効率化、透明性の向上などの観点からオープンデータに取り組む意義が国から発表されるなど、オープンデータ公開の需要はますます高まっています。
この記事では、以下のような悩みをお持ちの方に向けて、分かりやすく解説していきます。
- オープンデータにおけるライセンスとは何?
- ライセンスを使用することによるメリットは?
- ライセンスの種類が知りたい
- ライセンスを使用する方法が知りたい
オープンデータのライセンスとは
政府や自治体が保有するデータを一般の人が自由に利用できるようにオープンデータとして公開することにより、地域や国が活性化するための大きな足がかりとなります。そんなオープンデータにおけるライセンスについて、オープンデータの定義とそれを満たすために必要となる公開までの流れから、ライセンスの全容を紐解いて解説します。
オープンデータの定義
平成29年に政府により決定された「オープンデータ基本指針」では、国、地方公共団体及び事業者が保有する官民データのうち、国民誰もがインターネット等を通じて容易に利用できるよう、次の全ての項目に該当するデータがオープンデータであと定義されています。
- 営利目的、非営利目的を問わず二次利用可能なルールが適用されたもの
- 機械判読に適したもの※
- 無償で利用できるもの
※機械判読とはコンピュータが自動的に読み込んで処理できるデータ形式のデータを指します。(CSV、JSON、XMLなど)
定義における「二次利用可能なルール」の適用有無がホームページでただ公開しただけのデータとオープンデータとを分ける明確な違いなのです。
二次利用可能なルールの適用
二次利用とは、元々のデータを利用して、編集や再配布をすることにより別の価値を生み出すことを指します。オープンデータの目的は二次利用されることにより、地域や国の発展へと繋げることにあるため、オープンデータを見たできるだけ多くの人に二次利用してもらう必要があります。
日本では、作成した著作物は著作権で保護されるため、オープンデータが自由に二次利用可能なデータなのか明記しなければ、利用者からは判断が付きづらく、オープンデータの二次利用の促進には至りません。そのため、「二次利用可能なルールの適用」がオープンデータには必須となっています。
そこで、適用できる二次利用可能なルールには次の2種類あります。
- 独自に作成したルール
- 利用許諾(ライセンス)を使用する
独自にルールを作成するには、ルールの内容を検討する必要があり、利用者がそのルールを読み込まなければ二次利用可能か判断がつきづらく、推奨できません。
一方、ライセンスを使用することによるメリットとして下記があげられます。
- 日本政府が作成しているため、信頼度が高い
- 二次利用できる意思表示が利用者から分かりやすい
- オープンデータに特化したライセンスもあるため使用しやすい
オープンデータとして公開するまでの流れ
それでは、オープンデータとして公開するまでの流れを見ていきたいと思います。
手順1:データを準備
オープンデータとするデータは次の条件を満たすものが望ましいです。
- コンピュータが自動的に読み込んで処理できる形式
- データ利用者のニーズが高いデータ
- 国や地域の課題解決に役立つデータ
手順2:データを公開
ホームページにデータを公開します。
手順3:ライセンスを明記
使用するライセンスのルールに基づいた方法でホームページに明記します。
具体例として「大阪市立図書館」のWebサイトでは赤枠のようにライセンスが明記されています。使用されているクリエイティブ・コモンズ・ライセンスについては次の章で詳しく解説します。
オープンデータに使用する主なライセンス
オープンデータとして公開するためにはライセンスを使用する必要があることをこれまで解説してきました。実際にどのようなライセンスがあるのかをご紹介していきます。
政府標準利用規約(第2.0版)
2014年に作成された日本政府の府省のホームページのコンテンツのライセンスの雛形です。2015年に改訂版の第2.0版が公表され、次に紹介する「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス 表示 4.0 国際」との互換性が明示されました。この規約を複製し更新することで、オープンデータのためのライセンスを作成することができます。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
著作物の利用に関するライセンスの一つで、CCライセンスとも略されます。このライセンスは、著作物を無償で公開することができ、著作権者が利用者に対して、著作物の使用条件を明示的に許諾することができます。
ライセンスにおける知的財産権の範囲
著作権法には、全ての著作権を所有する「All rights reserved」と、全ての著作権を放棄する「No rights reserved(パブリックドメイン)」の2択のみがあります。知的創作物について著作権をはじめとする知的財産権が発生していない状態を「パブリックドメイン」といいます。
ライセンスはその中間に位置し、著作権の一部を放棄することができ、ライセンスの種類によって許諾の範囲や利用ルールは異なります。
クリエイティブ・コモンズでは、作品を利用する条件を4つのアイコンで表現し、それらを組み合わせた6つのライセンスが規定されています。オープンデータに適しているのは次の3つのライセンスです。
・いかなる権利も保有しない (パブリックドメイン) |
|
・改変を許可する ・商用利用を許可する ・クレジット表記必要 |
|
・改変した場合は元の作品と同じ ライセンスで公開する ・商用利用を許可する ・クレジット表記必要 |
ライセンスを明記する方法
最もメジャーなクリエイティブ・コモンズ・ライセンスを例にとり、実際にライセンスをホームページに表示させる方法を解説します。
クリエイティブ・コモンズのサイトにアクセス
下記のサイトにアクセスするとCCライセンスマークが取得できるページが表示されます。
https://creativecommons.org/choose/
CCライセンスマークの取得
ページ内に設置されている次の2つの質問に回答すると、「選択されたライセンス」画面に質問の回答の組み合わせに該当するライセンスマークが表示されます。
- 改変された作品が共有されることを許諾しますか?
- あなたの作品の商用利用を許しますか?
ページを下にスクロールするとライセンスマークのHTMLコードが自動生成されますので、アイコンサイズ(通常サイズもしくは小型)を選び、HTMLコードをコピーします。
HTMLコードをホームページに設置
コピーしたHTMLコードをオープンデータを載せるページに追加すれば、ライセンスの設置は完了です。実際にCCライセンスマークが設置されたつくば市のページがこちらです。利用規約を作った上で作成したCCライセンスマークが設定されています。
ライセンス使用における注意点
最後に、ライセンスを使用する上での注意点として、一度付けたCCライセンスは後から変更することはできないので注意しましょう。例えば、営利目的での使用を許可していたにも関わらず、後から禁止に変更することはできません。
下の宇土市の例では表示(CC BY)のライセンスが付与されているため、後からオープンデータの営業目的を禁止したり、改変を禁止することはできないということです。
ライセンスについてのまとめ
オープンデータを公開するにあたり、ライセンスを適切に使用することで二次利用が促進され、オープンデータの可能性が広がっていくことが分かりました。
最後に、この記事で解説した内容をまとめます。
- オープンデータには「二次利用可能なルールの適用」が必須
- 二次利用可能なルールには独自ルールとライセンスがある
- ライセンスを使用することにより、二次利用できる意思表示が分かりやすくなる
- ライセンスは全ての著作権の保有とパブリックドメインの中間に位置する
- 一度付けたCCライセンスは後から変更することはできない
オープンデータにライセンスを付与することで、二次利用時に許諾する範囲を自由に設定できますが、制限が強すぎるとオープンデータの二次利用を抑制することに繋がってしまい、逆に緩すぎるとデータの信頼性に欠けてしまったりするため、適切なライセンスをしっかり考えた上で付与することが大切です。
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