Marketing CloudのSAP設定とは?実際の申請画面や注意点を分かりやすく解説
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目次
Marketing Cloudにおける「SAP (Sender Authentication Package)」は、メール配信元の信頼性を高めるために重要な設定です。
本記事では、SAPの概要から設定方法まで、実際の画面を交えながら詳しく解説します。
Marketing CloudのSAP設定とは?
SAPの概要
SAPは、Marketing Cloudで送信するメールを認証し、ブランド保護を強化する設定です。
SAPには以下が含まれます。
- アカウントのブランド設定:メールの表示形式、リンクトラッキング、画像トラッキングアドレスで、共有されている Marketing Cloud Engagement ドメインではなく、SAP ドメインが使用されます。Marketing Cloud Engagement へのすべての参照はブランド設定に置き換えられます。
- 送信元ドメイン認証:このドメインは、メール送信の送信者アドレスとして機能します。Marketing Cloud Engagement は、送信者ポリシーフレームワーク (SPF)、送信者 ID、DomainKeys Identified Mail (DKIM) 認証を使用してメール送信を認証します。
- 返信メール管理(RMM):購読者から受信する返信を制御します。不在メッセージやマニュアル購読取り消しの要求に、フィルターを割り当てることができます。
- LandingPageURLやメール内画像・リンクURLのドメイン:アカウントに関連付けられている CloudPages が非公開ドメインでホストされます。
- プライベートIPアドレス:アカウントから送信されたすべてのメールメッセージは、専用 IP アドレスを使用して送信されます。
なぜSAPが必要なのか
送信元ドメイン、送信元名、返信管理を設定し、Marketing Cloudから指定ドメインを利用してメールを送るために、SAP設定が必要です。
SAPを設定することで、メールの送信者ドメインが認証され自社ドメインからメール配信できるため、受信者側のメールサーバーに「このメールは正当な送信者から送信されたものである」と認識させることができます。これにより、メールの到達率や開封率が向上し、迷惑メールに入るリスクを軽減できます。
SAP設定は、主にDNS(Domain Name System)レコードの追加や変更を通じて行われます。これにより、送信ドメインが正当であることを証明し、メールの配信品質を向上させることが目的です。
このアプローチでは、Googleにて2024年2月に施行されたBulk Sender Guidelinesや、YahooのEnhanced Authentication Requirementsに対応するために設計されています。
SAP設定に必要な準備
サブドメインとは?
サブドメインは、メインドメイン(例: example.com)の一部として作成されるドメイン名で、独自のドメインとして運用可能です。例:
– メインドメイン: example.com
– サブドメイン: marketing.example.com
SAPでは、この専用サブドメインをメール送信に使用します。
サブドメインとSAPの関係性
SAP設定では、サブドメインを使用してメール送信者のドメインを認証します。サブドメインを使用することで、メール送信者のドメインがメインドメインとは独立して認証されるため、メールの配信品質を向上させることができます。
また、専用サブドメインを使うことで、メインドメインとメール配信ドメインを分離し、配信トラブルによるブランドへの悪影響を防ぎます。
事前に確認しておくべき事項
必要なアカウント情報
SAP設定を行うためには、以下のアカウント・権限が必要です。
- Marketing Cloud管理権限:SAP設定を行うための管理者権限が必要です。
- ドメイン管理権限:DNSレコードを追加または変更するためのドメイン管理権限が必要です。
また、設定中に問題が発生した場合に備え、Salesforceサポートに問い合わせるためのアクセス権も用意しておくと良いでしょう。
設定前のチェックリスト
SAP設定をスムーズに行うために、前述の権限があるかどうかを含め、以下のチェックリストを確認してください。
- メール送信に使うのは新規サブドメインか既存ドメインか:必要な設定が変わるため確認。
- Salesforceへの権限移譲可否:会社の情報セキュリティ的に、SalesforceへSAP設定が可能な権限を移譲できるかを確認。
- DNS設定:MX・Aレコードが既に設定・使用されているドメインは利用不可なため、事前にdigコマンドなどで確認。
- 既存ドメインの評価:既存ドメインを再利用する場合、SNDS(Smart Network Data Services)やGoogle Postmaster Toolsで過去のブロック率を確認。新規サブドメイン作成が評価リセットに有効なケースが7割以上な状況
Marketing CloudでのSAP設定の流れ
ステップ1:SAP設定の申請方法
SAPを契約すると、すぐに申請フォームの案内メールが届きます。
フォームURL:https://senderauth.marketingcloud.com/
フォームの各項目を入力し、Salesforceへ提出します。
- 氏名:SAP設定を担当する方の氏名を入力
- 企業名:会社名を入力
- メールアドレス:勤務先のメールアドレスを入力
- アカウントID:SAPを適用するMarketing CloudビジネスユニットのMIDを入力。Marketing Cloudにログインし、画面右上のビジネスユニット名にマウスオーバーすると確認できます。
- 今回メール返信管理(RMM)を利用しますか?:RMMを有効にする場合は「はい」を選択します。
- 返信メールの転送先となる有効メールアドレスまたは受信ボックス:返信されたメールの転送先となる有効なメールアドレスまたは受信ボックスを入力します。
- 送信者認証プライベートドメイン:SAPでのブランディングに利用するドメインまたはサブドメインを入力します(例:mail.example.com)。このドメインはMarketing Cloudのメール送信以外には使用しないことが推奨されています。
- 送信者認証を適用するアカウント:下記から一つ選択
- 必要な DNS エントリーをセルフホストしますか?:必要なDNSエントリーを自社でホストするかを選択
- IPアドレスの選択:下記から一つ選択
①このアカウントのみに割り当て:このフォームに記載されているアカウントIDにのみSAPを割り当てます。
②このアカウントとサブアカウントのみに割り当て:このフォームに記載されているアカウントID配下のすべてのMIDにSAPを割り当てます。
③このアカウントとサブアカウントに割り当て:このフォームに記載されているアカウントID配下のすべてのアカウントIDにSAPを割り当てます。
「いいえ」:ドメインまたはサブドメインをSalesforceに委任することになり、DNSに4つのNSエントリを設定する必要があります。
「はい」:Salesforceから提供されるテキストゾーンファイルをもとに、自社でMarketing Cloudが機能するためのすべてのDNS設定を行います。ただし、DNSが正しく設定されているかはSalesforceのサポート外となるため、「いいえ」が推奨されています。
①新しく専用IPを割り当て:1ヵ月あたり25万件以上のメールを送信する場合。
②Salesforceの共有IPスペースを使用:1ヵ月あたり25万件未満のメールを送信する場合。
③既存の専用IPを割り当て:既存の専用IPを使用する場合は、コメントセクションに要求された専用IPをリストします。
ステップ2:DNS設定の詳細
Salesforceに権限移譲して良い場合、NSエントリを設定し、情報を渡します。
移譲が難しい場合は、設定内容のゾーンファイルを提供してもらい、自社で設定することになります。
ステップ3:Salesforceサポートとのやり取り
フォーム申請後、ケースが作成されます。設定完了の連絡などは、起票されたケースにて届きます。
また。申請後の変更や、同ドメインを別アカウントにSAP設定したい場合などは、イレギュラー対応となるため、サポートに追加でケース起票して依頼する必要があります。
よくある問題と解決策
DNS設定エラーの解決方法
DNS設定の反映には最大72時間かかることがあります。反映状況を再確認してください。
DKIM署名の設定ミス等の可能性もあるため、設定した時間を連携しつつ、待つのと並行してSalesforceサポートに起票しておくのが、解決への最短ルートとなるでしょう。
配信テストで問題が発生した場合の対応方法
まずはSalesforceサポートに起票しましょう。
設定の誤り、または、ドメイン/IPアドレスのレピュテーションの問題などの可能性もあるため、テストはまずは少人数から徐々に期間あたりの配信数を下記のスケジュールで増やす形でウォームアップ配信を実施してみるのが良いでしょう。
2週目:15,000件/日
3週目:50,000件/日
サポートに問い合わせる際のポイント
SAPにかかわらず、サポートに問い合わせる際は、事実と推測を分けて記載することを意識しましょう。
まとめ
Marketing CloudでのSAP設定は、メール配信の信頼性と成功率を高める上で不可欠なステップです。この記事で紹介した手順を参考に、適切な準備と設定を進めてください。設定後は必ずテストを行い、正常に動作していることを確認しましょう。
SAPはあくまで最低限実施すべきアクションであり、よりマーケティング効果を高めるためには、AIをはじめとした最新テクノロジーを活用しながら、顧客の目に入りやすいところのPDCAをまわして改善していくことが大事です。
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