健康・医療ビッグデータの未来
「健康・医療分野でビッグデータの活用が大幅に進んでいくのでは」という期待の声を方々で聞く機会が増えました。
そして、このように健康・医療分野のビッグデータの価値が認知されている中で、様々な試みがなされてきております。
それらの試みを大きく二分すると「健康に関するデータに対する試み」と「病気に関するデータに対する試み」に分けられると思います。
今回はこれらのデータがいかなるものであるか、それからそれぞれの問題点に関しても書いていきます。
健康に関するデータに対する試みと問題点
日本では「健康に関するデータ」を様々な形で蓄積しています。その範囲も、生後から高齢期までと人の一生をカバーしており、とても有益なデータとなっております。
例えば、「母子健康情報」や「学校検診情報」、「特定健診」や「要介護認定情報」等があり、それぞれとても貴重な健康情報だと思います。
ただし、これらのデータは、根底にある法律・制度、それから所轄官庁等が異なるために、一元管理することができておらず、せっかく「線となる情報」にも関わらず、「点の情報」で各々存在していることになります。
それに加え、これらのデータはいまだ紙ベースの記録としてしか管理されてないものも多く、データベース化されていないのです。
もちろん一部に関しては、自治体の保管しているデータをスキャンし、データベース化する試みを行っているものもありますが、いまだ遅れているといってよいでしょう。
病気に関するデータに対する試みと問題点
「病気に関するデータ」は、医療現場である病院やクリニック等での記録が主だったものです。
こちらも健康に関してのデータに対する試みの問題点に近く、電子カルテの導入を行っていない病院が多々あること、カルテの保存期間が5年間になっているため、せっかくの貴重な情報がデータベース化する前に消えていってしまう可能性があること等が挙げられます。
それから「医療機関相互のデータ共有」等が進展していないことも問題と言えるでしょう。
データ共有の促進化を図るためにも、患者一人ひとりに対して一意となるIDを整備し、クラウドの様な技術を用いたりすること等が必要に思われます。
そうすれば、受信した場所や時間に限定されず、データを記録・確認することが可能になります。
健康・医療ビッグデータの未来
一元管理、データベース化、相互データ共有等の問題点を解消し、医療データの管理・活用ができるようになれば、想像もできない程の価値のあるビッグデータができあがると考えられます。
弊社もその一助となれる様、邁進していきたいと思っております。
ところで、一人ひとりの生涯における健康・医療データのことを「ライフコースデータ」と呼ぶそうですが、気になるこのデータ量がどれぐらいなのかイメージできますでしょうか…?
なんと一人あたり数テラバイトと予想されるそうです。
これほどの膨大なデータをどう管理・活用していくのか、常日頃データと対峙している弊社も考え続けていかなければいけない課題だと感じております。