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医療業界におけるGPOとは 日本と米国における医療機器価格決定の違いとGPOの可能性

#GPO

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私は会社(フロッグウェル)設立前は、外資系の医療機器メーカーのシステム部門に数年勤務していました。その際、グロ―バル展開するERP(業務基幹システムのパッケージソフト、独SAP、米Oracle等)の導入や保守に責任を持っており、日本と海外との間の違いに直面する機会が何度もありました。その中でも価格決定方法には大きな違いがあることが海外本社への説明での重要なポイントでした。日本は、ディーラー(卸・販売代理店)との取引が主となるため、価格は病院・ディーラー毎の組み合わせで決まります。その中で、価格が注文を受けた時点で決まる場合と、ディーラーとの建値(たてね)を用い後から病院毎の調整を行う場合とに分かれます。

一方、米国では日本のようなディーラー会社がないため(一部、流通業者的なものはありますが)、病院との直接価格か、GPOというバイインググループの価格決定サービスにより、価格が決定されます。病院はGPOサービスを提供する会社と複数の契約をして、同じ医療機器Aについても、GPOサービスを提供する会社の中で、一番安い価格が販売価格として決定されます。米国は、日本のようなディーラーの仕組みがない環境で、発展した仕組みですので、全てが日本に当てはまることではないと思います。しかしながら、最近、日本でも価格交渉を代替するサービスが幾つか出てきており、今後、より変動するだろう医療機器業界でも、一つのサービスとして発展・拡大していく可能性があります。

GPOとは


GPOはGroup Purchasing Organizationの略で、医薬・医療機器に限らず価格決定のサービスを言うようですが、特に米国の医薬・医療機器の価格決定に大きなサービスとなっています。    定義を調べてみると、医療経済研究機構 岡部氏が国際医療福祉大学大学院の講義資料をネット上に上手くまとめて内容で公開しています。その中から幾つか、説明を抜粋させてもらいます。

  • GPOは病院、ナーシング・ホームなどのヘルスケア事業者が、医薬 品、医療器具、事務用品などを購入するにあたって、メーカー・卸 売業者との価格交渉を有利に進めるために設立される共同購買組織である
  • 個々の病院などが会員(メンバー)として参加し、GPOが構成メンバーを代表してメーカーなどと価格その他の条件を交渉し、購買契約を締結する
  • GPOが売買の当事者となって値幅をとったり、在庫を抱えたりする ことは一切ない。あくまで、会員である病院に代わって、ベンダー と交渉をする機能を果たす組織である(商品の売買契約・輸送業務 などは“Distributer(卸)”が行なう)
  • GPOは供給側メーカーとの価格交渉力を強化する目的で組成され、 個々の病院の資源である購買力を統合した「プーリング・アライア ンス」である。共同購買を行うことにより、規模の利益を追求し、コストの軽減を図っている

出典:岡部陽二氏ホームページ

http://www.y-okabe.org/pdf/456_01.pdf

1970年代から始まったメディケア、メディケイド等の米国の医療改革の中で、増大する医療費を抑えるために医療費の包括払い方式を普及します。 その病院側の対策として、GPOは広がったようです。別の話になりますが、米国の私的健康保険サービスの普及を考えても、米国は政治によって決まった方向性の中でサービスが起こり、大きく拡がることが多いようです。新サービスの開発という点では素晴らしいのですが、あとで政治的に力を持ってしまうところが難点です。

GPOは、会員である病院から徴収する会費と、メーカーへの発注取引が成立した段階でメーカーから支払われる管理手数料(発注額の約3%)が主な収入源となります。病院は、GPOを上手く利用することで、10%ぐらいの削減効果があるといわれています。

現在、拡がったGPOは今や大手4社で市場の多くの売上を占め、大手の独占が進んでいます。社員も、MBAを取得した高学歴・高収入の社員が、各医療機器メーカーと調整し、価格をリードしているようです。
出典:Healthcare Purchasing News

https://www.vizientinc.com/

https://www.premierinc.com/

日本のGPOについて


米国ほど、大きくGPOサービスが発展するかどうかは解りませんが、仕組みとしてはかなり面白いのではないでしょうか?
日本でも、病院グル―プや価格決定をサービスで行う会社・団体もこの数年大きくなっていますし、最近、医療機器卸大手のメディアス社を中心に日本GPO協会が創られました。本格活動はこれからと思いますが、医療機器コンサルティングサービスと合わせると拡大する可能性があります。卸会社とGPOのようなバイインググループの違いは、卸会社は在庫や物流にも責任をもちますが、GPOの場合は契約はあくまで病院とメーカーにあるため会社規模やリスクの点で進んだ組織と言えます。アメリカでは、医薬や医療機器だけでなく、清掃等他も組わせて豊富なサービスを提供しています。近い将来、日本も1つの病院が複数のバイインググループに参加して、医薬、医療機器単位で最安値で発注される時代が来るかもしれません。

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