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無料で使える!オープンデータ情報まとめ

医療系オープンデータとは?

「ビッグデータ」がビジネスの世界ではマーケティングへの利用が盛んになっており、有用であるということは皆さんお分かりと思います。
近年は医療系のデータも「オープンデータ」として無料で公開されており、さまざまな活用方法が考えられます。

厚生労働省のホームページは、「医療系オープンデータの宝箱」であり、今回は厚生労働省から出ているオープンデータをご紹介します。

人口動態調査

日本は5年ごとに「国勢調査」を行って詳細な情報を収集していますが、各行政は毎月人口動態を報告しており、それをまとめたものが人口動態調査です。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/81-1a.html

調査年の翌年の9月にはこの報告が上記のURLにアップされます。人口動態調査票は、出生票、死亡票、死産票、婚姻票、離婚票の5種であり、それに基づいた各自治体の人口の動きが分かります。
出生数が多く、しかも年々増加している地域であれば小児、教育関係の需要が高いという事になります。

また、母親の年齢も同時にわかりますので母親層に対するマーケティングができます。死亡に関しては死因が特定されていますので、その地域での疾患特性がわかり、後に出てくる患者調査と比較することでその疾患での死亡率を推定することができます。それによってその疾患に対する医療を強化するなどの対策が立てられることになります。

患者調査

「患者調査」とは、医療機関(診療所も病院も含む)を受診した患者のデータであります。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/10-20-kekka_gaiyou.html

調査は都道府県別に層化無作為抽出した医療施設となるので、推定値となるデータもあるのですが、外来・入院共に性別、年齢別、疾患別の数字が公開されているので、各疾患の総数が分かります。
これは3年ごとに実施されますが、そのデータを追う事で各疾患の経時的推移を追うことができます。それによってその地域で増えている疾患、減っている疾患を把握することができ、マーケティングに利用することができます。実際、国でもこれを「医療計画」に利用しています。

病床機能報告


これは、「医療法の義務」として、一般病床・療養病床を有する病院・有床診療所が対象となります。
「回復期病棟」や「地域包括病棟」は一般病床に分類されますので、日本の全ての入院ベッドを把握するデータとなります。令和2年度の報告結果は下記のURLで見ることができます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/open_data_00007.html

多くの医療関係者はこの病床機能報告は地域医療構想調整会議の中で、単に病床のコントロールをするために利用しているとだけ思っていると思いますが、この病床機能報告にはびっくりするようなデータが詰まっています。

医療機関の許可病床・稼働病床や病棟の職員数からはその病院の病棟ごとの機能が分かります。入院患者の状態、救急医療の受け入れ状態などからは、実際に入院している患者の状態が把握できます。さらに、各施設の医療機器の保有数、コメディカルの職員数までデータとして有しています。

これらのデータはまさに病院を丸裸にしています。国はこれを元に医療計画や病床の調整を行おうとしています。
しかし、病院経営者にとってはライバルの病院の姿をみて自院の足りない部分、強みの部分を考察できます。病院もサバイバルの時代です。生き残りをかけて戦い方を検討するには非常に有用なデータです。

多くの病院はこのデータと作って送信している部署と、経営企画をする部署が異なっているため、うまく連携していないとこの「宝の山」を有効に使えていないかもしれません。一度見直してみてはいかがでしょうか?

DPC公開データ

「DPC/PDPS」(Diagnosis Procedure Combination/Per-Diem Payment System)制度は、「急性期入院医療の診断群分類に基づく1日当たりの包括評価制度」として作られました。いわゆる「まるめ」と医療業界では呼ばれるもので、とある疾患にかける医療費(値段)が決められているものです。「その影響を検証するため」、「DPC導入の影響評価に係る調査」として各DPC対象病院からデータを集め、公開しています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/database/dpc.html

このデータには各疾患の入院患者数や、疾患ごとに行われた処置、施された内服薬などが含まれています。また、疾患ごとの在院日数も把握することができます。
DPCデータは6種の様式で提出されますが、ここでは医療費に関するファイルを解説します。

Dファイルというものは、DPCで計算された医療費のデータです。これが、一般的に保険として基金や国保に請求されているDPC
分の医療費です。診療科別にデータを分けることもできます。

EFファイルというものは、いわゆる「出来高データ」であり、DPCで「まるめ」になっている処置や投薬の詳細をみることができます。厚生労働省はこの二つのデータを見比べることにより、どれだけ「手厚く」処置をしたかを検証するデータとしています。
ただ、「若く経験のない医師が多くの医療資源を使用する」ということは結構あるでしょう。ベテランが聴診器一本と触診だけで診断する疾患をCT、超音波検査などを多用してしまうことがあるという事です。それらも加味してこのデータの比較はしなければなりません。

しかしこれらのデータは、地域における各疾患の自院のシェアがどのくらいかを把握する事にも役立ちます。
また、DPCの中での入院診療で余計な検査や処置・投薬をしていないか、またはあまりにも手をかけていないかを自院においても、他院との比較でも検証することができます。

このデータも、実際にDPCデータを作っている部署と経営戦略を立てる部署が違っていることが多々あると思います。よく連携してこのデータ処理を行う事によって、経営戦略をさらに充実させることができるのです。

NDB

NDBとは、National Database of Health Insurance Claims and Specific Health Checkups of Japanの略称で、厚生労働省がオープンデータとして2009年から公開しています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177182.html

これは、レセプト(医療機関から提出される請求書のようなもの)データ及び特定健康診査の特定保健指導のデータが集められており、レセプトが電子データで提出されるようになり、急速にデータ処理が進んだおかげとも言えます。

これには、日本の人たちがどのような医療を受け、健診ではどのような疾患を指摘されているかのデータが収載されています。匿名化されていますが、それを連結できるデータも実はあります。この連結データは使用に様々な制限がありますが、それ以外はオープンデータとして公開されています。

都市別、二次医療圏別にデータがまとめられているので、地域での特定の疾患の増減などを把握することができます。また、特定健診データをみるとその地域での異常が指摘されている状態や頻度を把握することができ、その疾患に対する体制を整えることで今後の病院経営などに役立てることができます。

オープンデータの効果的な利用方法


さまざまな医療系オープンデータをご紹介してきました。これを経営戦略企画部門が整理をして、経営層にプレゼンしたり、経営戦略を提示したりするというのが理想の形でしょう。
しかし、多くの病院では大病院であれ、人員不足や上手くデータをまとめられる人がいないなどの問題もあるでしょう。
その時はデータのまとめをアウトソーシングすることも、素早くデータを集めて解析するには必要な事だと思います。

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