無料で使える医療系オープンデータ5選!ビジネスや病院経営に役立つ理由とは
目次
「公共機関が集計しているビッグデータをビジネスに活用したい」
「地域に住む患者の医療需要に合わせた医療サービスを提供したい」
このようなお悩みをお持ちの企業・病院の担当者は多いのではないでしょうか。国や地方自治体が公開するオープンデータは、誰でも無料で二次利用できる公共データです。特に医療系オープンデータには、全国の患者や医療施設に関する膨大なデータが収録されています。
本記事では、無料で使えるおすすめの医療系オープンデータを紹介します。ビジネスや病院経営に役立てたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
医療系オープンデータとは
オープンデータとは、以下の定義を満たしたデータを指します(※1)。
- 二次利用が可能な利用ルールが適用されている
- 機械判読に適している
- 無償で利用できる
インターネット等を通じて、誰もが気軽に活用できるのが特徴です。2016年12月に政府は「官民データ活用推進基本法」を策定し、国や地方公共団体に対してオープンデータ事業の促進を義務付けました。政府は、オープンデータが民間企業に広く活用されることによって、日本経済の発展や先端技術の促進などを期待しています。
オープンデータの中でも、国や地方自治体が公開する医療分野に関するデータを医療系オープンデータと呼びます。
※1参考:オープンデータ基本指針
医療系オープンデータを活用する魅力
全国の患者や医療施設の情報が集約された医療系オープンデータ。新たな価値を創出したり、市場価値のある戦略を考案したりするのに役立ちます。医療系オープンデータを活用する主な魅力は、以下のとおりです。
- 膨大な情報が手に入る
- 情報収集にコストがかからない
- 目当ての情報にアクセスしやすい
医療オープンデータは公共機関が調査を行い、集計したデータです。医療オープンデータと同じ規模の調査を民間団体が行うのは、不可能に近いでしょう。調査対象が全国の医療施設や国民のため、データ量が膨大です。そのため、国民の実態を捉えた精度の高い分析が可能です。
また、医療系オープンデータは無料で入手できるので、調査にかかる人員コストや時間を削減できます。余った時間は分析に費やせるので、より具体的な戦略が考案できるでしょう。
さらに、都道府県別や性・年齢階級別などの詳細な集計表も用意されているため、使用用途に合わせてデータを選びやすいです。CSVやEXCELなどの機械判読に適した形で公開されているので、データの加工も容易です。
無料で使える!おすすめの医療系オープンデータ5選
それでは、企業や病院の活用に最適な医療系オープンデータを紹介します。
患者・疾患・医療施設・医療費・診療内容など、医療系オープンデータの内容は多岐にわたるので、必要なデータを選定してみてください。
人口動態調査
日本における人口動態事象に関する医療系オープンデータが、人口動態調査です。市区町村に届出のあった出生、死亡、婚姻、離婚及び死産の全数を対象としています。
以下の集計項目を利用してできることを見ていきましょう。
- 合計特殊出生率
- 死因別死亡数
- 婚姻及び離婚件数
出生数が年々増加傾向にある地域では、教育関係のサービスの需要が高いと言えます。また、出生数が多い母親の年齢層を参考に、商品の考案もできます。
死因別の死亡数からは、医療体制を充実させるべき疾患を特定できます。死亡数の多い疾患に特化した検査事業や治療設備を求めている方は、多く存在するでしょう。
オープンデータ名 | 人口動態調査 |
調査対象 | 市区町村に届出のあった出生、死亡、婚姻、離婚及び死産の全数 |
調査期間 | 調査該当年の1月1日から同年12月31日まで |
調査事項 | 以下の5種類の調査票による ・出生票:出生届に基づく事項 ・死亡票:死亡届に基づく事項 ・死産票:死産届に基づく事項 ・婚姻票:婚姻届に基づく事項 ・離婚票:離婚届に基づく事項 |
公開頻度 | 確定数:年に1回 概数:月に1回 |
公開ページ | 人口動態調査|厚生労働省 |
患者調査
全国の病院・診療所を利用する患者の入院・来院時の状況に関する医療系オープンデータが、患者調査です。性・年齢階級別や傷病分類、都道府県別に推計患者数・受療率・平均在院日数などが集計されています。
傷病分類別の受療率や推計患者数を活用すれば、高い導入効果が期待できる治療薬や医療機器を特定できます。都道府県(患者住所地)別の受療率からは、営業利益が見込める地域を選定できるでしょう。
オープンデータ名 | 患者調査 |
調査対象 | 全国の医療施設(病院・診療所)を利用する患者 病院(入院):二次医療圏別に層化無作為抽出 病院(外来)・診療所:都道府県別に層化無作為抽出 |
調査期間 | 入院・外来患者:10月の3日間のうち医療施設ごとに定める1日 退院患者:9月1日~30日までの1か月間 |
調査事項 | 性別、出生年月日、患者の住所、入院年月日、退院年月日、主傷病名、副傷病名、診療費等支払方法、病床の種別等 |
公開頻度 | 3年に1回 |
公開ページ | 患者調査|厚生労働省 |
病床機能報告
地域ごとに医療機関が担っている医療機能に関する医療系オープンデータが、病床機能報告です。一般病床または療養病床を有する病院および診療所において、病棟が備えている設備やスタッフの配置、医療行為などが集計されています。
ベッドや医療器具などの医療商材を扱うメーカーは、地域において多くの医療機関が担っている機能を特定することで、需要の高い商材を導き出せます。また、患者が適切な医療を受けられるように、医療機能をマップに表示するサービスを展開できるでしょう。
オープンデータ名 | 病床機能報告 |
調査対象 | 一般病床・療養病床を有する病院・有床診療所 |
調査期間 | 調査年度の4月1日から翌年3月31日 |
調査事項 | ・各病棟の病床が担う医療機能 ・その他の具体的な項⽬ ・構造設備・⼈員配置等に関する項⽬等 ・算定する⼊院基本料・特定⼊院料等の状況 ・有床診療所の多様な機能の状況等 |
公開頻度 | 年度単位 |
公開ページ | 病床機能報告|厚生労働省 |
DPCデータ
入院患者に対する診断群分類に基づく1日当たりの包括払い方式を指すDPC制度(DPC/PDPS)。DPCデータは、包括払い方式によって算定された患者情報が集約された医療系オープンデータです。
全国のDPC制度参加病院は、計8つのファイル群から成るDPCデータの提出が義務付けられています。厚生労働省は、全国の医療機関から集まったDPCデータを独自に集計し、ホームページでオープンデータ「DPCデータ」として公開しているのです。
DPCデータには、在院日数の状況、在院日数の平均の差、救急車による搬送の有無、救急医療入院、MDC構成比、診断群分類別在院日数などが集計されています。
主要診断群ごとの患者数を活用すれば、医療サービスの需要が高い都道府県を列挙した営業リストが作成できます。また、各医療機関の紹介患者数を見れば、近隣病院と自院における患者からの評価の比較が可能です。
オープンデータ名 | DPCデータ |
調査対象 | DPC対象病院にて退院又は転棟した患者 |
調査期間 | 調査年4月から翌年3月 |
調査事項 | DPCレセプト・出来高レセプトの診療行為や診療日、保険診療以外の診療情報、施設情報、簡易版カルテ等 |
公開頻度 | 年度単位 |
公開ページ | DPC導入の影響評価に係る調査 |厚生労働省 |
NDBオープンデータ
厚生労働省が蓄積してきたレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を、国民が利用しやすい形に抽出・加工されたデータが、NDBオープンデータです。
「レセプト情報」と「特定健診・特定保健指導等の情報」が集約されたNDBから個人が特定される情報を省き、基礎的な集計表を作成しています。NDBオープンデータで公開されている主な内容は、以下のとおりです。
- 診療行為や調剤行為の算定回数
- 歯科傷病のレセプト件数
- 薬効分類3桁毎に処方数量の多い薬剤
- 特定保険医療材料の数量
- 特定健診の検査値階層別件数
- 特定健診の標準的な質問票の回答件数
健診事業に取り組む企業であれば、早期発見が遅れている疾患に関する、多くの顧客獲得が見込める検査項目を特定できます。また、算定回数が多い診療行為に紐づく傷病名から、患者が抱える健康課題を分析し、患者の需要が高い医療商材を選定できるでしょう。
オープンデータ名 | NDBオープンデータ |
調査対象 | 全国で治療や特定健診を受けた患者 |
調査期間 | レセプト:4月~翌年3月診療分 特定健診情報:前年度 |
調査事項 | 医科診療報酬点数表項目、歯科診療報酬点数表項目、調剤報酬点数表項目、歯科傷病、薬剤データ、特定保険医療材料、特定健診検査項目、特定健診質問票項目 |
公開頻度 | 年度単位 |
公開ページ | 【NDB】NDBオープンデータ|厚生労働省 |
まとめ
オープンデータは、二次利用が可能で機械判読に適している無料の公共データです。その中でも医療系オープンデータとは、全国の患者や医療施設に関する医療分野のオープンデータを指します。
情報収集にコストがかからず、民間団体では調査が難しい膨大なデータ数を誇るので、企業や病院が活用するのに最適なデータと言えるでしょう。
この記事で紹介した無料の医療系オープンデータを活用し、ビジネスの発展や病院経営の改善にぜひ役立ててみてください。
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