Tableauの4象限マトリクス(クアドラントチャート)とは?具体的な作成手順や主な利用シーンを分かりやすく解説
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目次
ビジネスデータを効果的に可視化して分析の質を高めたいと考えたとき、強力な武器となるのが「4象限マトリクス(クアドラントチャート)」です。Tableauを活用すれば、複数の指標を2軸に分けて分類し、パフォーマンスの傾向や戦略的な位置づけを直感的に把握することができます。
特に売上と利益の関係、顧客のアクティビティレベル、製品別の成績など、2つの評価軸で対象を整理したい場面で非常に有効です。
本記事では、Tableauで4象限マトリクス(クアドラントチャート)を作成する具体的な手順から、よくある活用シーンまでをわかりやすく丁寧に解説しています。
これからTableauでの分析をさらに深めていきたい方にとって、役立つ内容となれば幸いです。
4象限マトリクス(クアドラントチャート)とは?
4象限マトリクス(クアドラントチャート)とは、縦軸と横軸にそれぞれ異なる数値指標を設定し、データを4つの象限に分類する可視化手法です。データの相対的な位置関係を一目で把握できるため、ビジネスの意思決定に役立つ分析が可能になります。
Tableauでは、散布図に中央値(または任意の基準値)で分割線を引くことで、簡単に4象限マトリクスを作成できます。
例えば、横軸に売上、縦軸に利益を取ることで、各製品の収益性や売上規模を同時に評価できるでしょう。このようなチャートは、重要顧客の選定や、注力すべき製品・サービスの洗い出し、社員評価のマトリクス化など、あらゆる業種のデータ分析に応用できます。見た目にも分かりやすく、関係者との合意形成をスムーズに進めたい場面でも有効です。
データの分布傾向や偏りを視覚的に確認できる点が、棒グラフや折れ線グラフにはない「4象限マトリクス」の大きな特徴です。
Tableauで4象限マトリクスを作成する手順
それでは実際に、Tableauで4象限マトリクス(クアドラントチャート)を作成する具体的な手順をご紹介します。
なお、今回はTableauに付属している「サンプルスーパーストア」を使用し、売上と利益を軸にした4象限マトリクスを作成していきます。
あらかじめ、Tableauにサンプルスーパーストアの「オーダー(注文)」シートを接続しておきましょう。
Tableauにデータを接続する方法がわからないという方は、以下の記事を参考にしてみてください。
◆Tableauにおけるデータ接続と加工方法を手順付きで解説
【手順1】散布図を作成する
まずは「売上」と「利益」を使った散布図を作成します。
列シェルフに[売上]を、行シェルフに[利益]を、それぞれドラッグ&ドロップしましょう。
また、[利益]については、右クリック>メジャー(合計) から「平均」をクリックし、平均の利益にします。
次に、[顧客ID]をマークカードの「詳細」にドラッグ&ドロップしましょう。これで、1顧客ずつのプロットが表示されます。
なお、散布図の作成方法について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせて読んでみてください。
関連記事もぜひ参考にしてみてください
◆Tableauで散布図を作成する方法を分かりやすく解説
【手順2】パラメーターを作成する
売上と利益それぞれについて、入力した値に応じてマトリクスの境界線が動的に変わるようにします。
データペインにある▼>パラメーターの作成 から、以下2つのパラメーターを作成しましょう。
・名前:売上パラメーター
・データ型:整数
・許容値:すべて
・名前:利益パラメーター
・データ型:整数
・許容値:すべて
作成されたパラメーターを右クリック>パラメーターの表示 から、シート上にパラメーターを表示させておきましょう。
【手順3】リファレンスラインを追加する
ワークシート上にマトリクスの境界線を引くために、リファレンスラインを追加します。
以下の操作を順に行いましょう。
・x軸(売上)を右クリック>リファレンスラインの追加 をクリック
・線の値を「売上パラメーター」に、ラベルを「値」にする
・y軸(利益)を右クリック>リファレンスラインの追加 をクリック
・線の値を「利益パラメーター」に、ラベルを「値」にする
【手順4】色分け用の計算フィールドを作成する
象限ごとに色分けするための計算フィールドを作成します。
以下の計算フィールドを作成しましょう。
・★4象限色分け
IF
SUM([売上]) >= [売上パラメーター] AND SUM(利益) >= [利益パラメーター] THEN "第1象限"
ELSEIF
SUM([売上]) < [売上パラメーター] AND SUM(利益) >= [利益パラメーター] THEN "第2象限"
ELSEIF
SUM([売上]) < [売上パラメーター] AND SUM(利益) < [利益パラメーター] THEN "第3象限"
ELSE "第4象限"
END
次に、作成された[★4象限色分け]をマークカードの「色」にドラッグ&ドロップします。
【手順5】完成(動作検証)
以上で完成です!
試しに、売上パラメーターを1,000,000、利益パラメーター0とすると、下図のような4象限に分けることができました。
Tableauにおける4象限マトリクスの主な利用シーン
4象限マトリクス(クアドラントチャート)は、2つの指標を軸にして、データの位置づけを直感的に把握できる強力な可視化手法です。
ここでは、具体的な利用シーンを3つに分けてご紹介します。
①売上と利益の関係から製品の位置づけを把握したい時
売上が高くても利益が低い製品や、逆に売上は少ないが利益率が高い製品を見極めたい場合に、4象限マトリクスが有効です。
Tableauで[売上]をx軸に、[利益]をy軸に設定すれば、製品ごとの収益性と売上規模の関係が一目で分かります。
例えば、第1象限には、売上・利益ともに高い「主力製品」が表示されます。一方、第3象限は売上も利益も低い「改善が必要な製品」と判断できます。
このように、4象限マトリクスを用いることで、数値だけでは見えにくい戦略的な判断材料を可視化できるでしょう。
②パフォーマンスの高低を基に顧客や製品を分類したい時
顧客や製品の「成績」を基にセグメント分けしたい場合にも、4象限マトリクスは便利です。
例えば、「注文回数」と「購入金額」などの指標を軸に設定することで、ロイヤル顧客とそうでない顧客を分類できます。この視覚化により、戦略的アプローチの優先度が明確になります。上位象限に入る顧客には関係維持の施策を、下位象限には育成や見直しの施策を展開できます。
また、製品の評価にも応用でき、パフォーマンスに応じたリソース配分がしやすくなるでしょう。
③複数の指標を組み合わせてデータの傾向を分析したい時
単一の指標では捉えきれない傾向を明らかにしたいときにも、4象限マトリクスが役立ちます。
例えば、「利益率」と「納期遵守率」のように異なる種類のKPIを軸に設定することで、品質と収益性のバランスを分析できるでしょう。このような複数指標のクロス分析によって、製品やサービスの強み・弱みを具体的に可視化することができます。
分析精度を高めながら、意思決定のスピードも向上させられるでしょう。
まとめ
この記事では、Tableauで4象限マトリクス(クアドラントチャート)を作成する方法や主な活用シーンについて解説しました。
4象限マトリクスは、2軸で構成されたグラフにより、製品や顧客、指標を戦略的に分類・分析できる可視化手法です。Tableauでは「サンプルスーパーストア」のような既存データを活用しながら、パラメーターで設定した任意の基準値を軸に設けることで、簡単に4象限を表現できます。売上と利益のバランスや、顧客分類、KPIの比較など幅広いビジネスシーンで有効に使えるのが大きな魅力といえるでしょう。視覚的かつ直感的にインサイトを得られるため、レポートや経営判断にも役立つ「4象限マトリクス」。Tableau初心者の方も、本記事の手順に沿ってまずは基本形から試してみてください。
この記事が、Tableauを用いた分析の幅を広げたい方にとって実践的な一歩となれば幸いです。
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