Tableauの数値関数とは?概要と主な数値関数の使い方を分かりやすく解説
目次
データを正しく扱って精度の高い分析を行うためには、単なる可視化操作だけでなく「数値をどう処理するか」という視点が欠かせません。
その中心的な役割を果たすのがTableauの数値関数であり、数値を加工・変換・丸めることで、より意味のある指標を作り出せます。
数値関数を使うことで、
- 売上の最大値や最小値を把握したり
- 欠損値(NULL)をゼロとして補正したり
- 桁数を揃えて見やすいレポートを作成したり
できるようになります。
ExcelやSQLで煩雑に行っていた処理がTableauの計算フィールド内で完結できるようになることで、分析作業の効率化にもつながるでしょう。
この記事では、Tableauの数値関数の概要や代表的な数値関数の使い方、そして実務でつまずきやすい注意点についてわかりやすく解説していきます。
これからTableauを本格的に業務で活用したい方にとって、本記事が数値関数を学ぶための有益な出発点となれば幸いです。
【概要】Tableauの数値関数とは?
Tableauの数値関数とは、数値データを加工・変換・計算するために用意されている関数群のことです。
数値関数を活用することで、単純な四則演算だけでなく統計的な集計や条件付き計算まで幅広く対応でき、分析の精度と柔軟性が大きく向上します。
視覚的なダッシュボードを作るだけでなく、関数を使うことで必要な数値変換を可視化の直前に行えるため、データソースを直接修正しなくても高度な分析が可能になります。数値関数を理解することは、Tableauを単なる可視化ツールから「データ分析基盤」として使いこなすための第一歩です。
はじめて利用する方も、まずは本記事でご紹介する代表的な数値関数の役割を知ることで、効率的かつ正確なデータ分析を進められるようになるでしょう。
Tableauでよく使う数値関数と使い方
Tableauの数値関数を理解して使い分けることは、売上分析や利益率の計算など日常業務に欠かせないスキルです。Tableauには多くの数値関数が用意されており、数値関数を活用することでデータ分析の柔軟性が大きく向上します。
ここでは、主な数値関数の使い方を具体的な手順とともに解説していきます。
MIN関数/MAX関数(最小値・最大値)
★MIN関数の書き方:MIN(式)/MIN(式1,式2)
★MAX関数の書き方:MAX(式)/MAX(式1,式2)
MIN関数(MAX関数)は、指定した数値型フィールドの最小値(最大値)を返す関数です。
例えば、[サブカテゴリ]別に売上の最大値を確認したい時は、MAX関数を使って下記の計算フィールドを新しく作成しましょう。
“`
★売上_最大値
MAX([売上])
“`
このフィールドをビューに追加することで、[サブカテゴリ]別に最も売上が大きかった注文を確認できます。(下図)
シンプルですが、異常値検出やランキング分析に役立つ基本的な関数です。
ZN関数(NULLをゼロに変換)
★ZN関数の書き方:ZN(式)
ZN関数は、NULL値(データが存在しない状態)を「0」(ゼロ)に変換する関数です。
例えば、NULL値を含むサンプルデータをもとに売上が入っていない注文を「0」に置き換えたい時は、ZN関数を使って下記の計算フィールドを新しく作成しましょう。
“`
★売上_NULLを0に
ZN([売上])
“`
このフィールドをビューに追加すると、売上が入っていない注文の行を「空白(NULL)」から「0」に置きかえることができます。(下図)
CEILING関数/FLOOR関数(切り上げ・切り捨て)
★CEILING関数の書き方:CEILING(数値)
★FLOOR関数の書き方:FLOOR(数値)
CEILING関数は指定した数値を切り上げ、FLOOR関数は指定した数値を切り捨てる関数です。
例えば、[サブカテゴリ]別の平均売上の値を切り上げ(切り捨て)したい時は、CEILING関数(FLOOR関数)を使って下記の計算フィールドを新しく作成しましょう。
“`
★平均売上_切り上げ
CEILING(AVG([売上]))
“`
“`
★平均売上_切り捨て
FLOOR(AVG([売上]))
“`
作成した2つのフィールドをビューに追加することで、[サブカテゴリ]別の平均売上における「切り上げ」と「切り捨て」の値を確認できます。(下図)
こうした丸め処理は、予算比較やレポートで「ざっくりとした傾向」を示したいときに効果的です。
ROUND関数(四捨五入・桁数指定)
★ROUND関数の書き方:ROUND(数値, [小数点以下桁数])
ROUND関数は、数値を指定した桁数で四捨五入する関数です。
例えば、単価(SUM([売上])/SUM([数量]))を小数点1桁で表示したい時、すなわち小数点2桁目を四捨五入したい時は、ROUND関数を使って下記の計算フィールドを新しく作成しましょう。
“`
★単価_小数点1桁
ROUND([★単価],1)
“`
作成したフィールドをビューに追加することで、[サブカテゴリ]別の単価を小数点1桁で表示できます。(下図)
Tableauで数値関数を使う際の注意点
Tableauの数値関数はデータ分析を効率化する便利な仕組みですが、使い方を誤ると意図しない結果につながることがあります。事前に注意点を知っておくことで、Tableauの数値関数をより正確に行え、思い通りの可視化に近づけるでしょう。
ここではTableauで数値関数を使う際の主な注意点を3つご紹介します。
①数値型以外のフィールドでは利用できない場合がある
数値関数は基本的に数値型のフィールドにしか適用できません。文字列型や日付型を対象にするとエラーや空白が返ることがあります。
例えば、「顧客名」にMIN関数を適用しても期待通りの結果は得られません。そのため、事前にデータ型を確認し、INT関数などの型変換関数を使って数値型に変更しておく必要があります。
特にExcelやcsvから取り込んだデータでは、意図せず文字列型になっているケースが多いため注意が必要です。
なお、Tableauの日付関数や文字列関数については以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事もぜひ参考にしてみてください
◆Tableauの日付関数とは?概要と主な日付関数の使い方を分かりやすく解説
◆Tableauの文字列関数とは?概要と主な文字列関数の使い方を分かりやすく解説
②データソースによって利用可能な関数が異なる
Tableauの計算フィールドは内部的にSQLに変換されるため、接続先のデータソースによって使える関数が異なる場合があります。
例えば、同じROUND関数でもRedshiftやOracleでは動作仕様が微妙に異なることがあります。
抽出(hyperファイル)を使えば多くの関数を統一的に利用できますが、ライブ接続の際は公式ドキュメントやデータベース仕様を確認しておくことが安心です。
実務でエラーが出る原因の多くは、この仕様差にあります。
③NULL値や集計方法によって想定外の結果になることがある
数値関数を扱う際に特に注意が必要なのはNULL値です。
NULLは「ゼロ」ではなく「値がない」を意味するため、単純な計算に混ぜると結果がNULLになってしまいます。
この問題を防ぐためには、ZN関数でNULLをゼロに変換するか、IFNULL関数で代替値を指定するのが一般的です。
また、行レベルの計算と集計レベルの計算が混在すると意図しない結果になることもあるため、集計の粒度を意識することが欠かせません。
まとめ
この記事では、Tableauにおける数値関数の基本と、その活用方法や注意点について詳しく解説しました。
数値関数は単なる四則演算にとどまらず、最小値や最大値の取得、NULL値の処理、数値の丸めや桁数指定など、日常業務で欠かせない操作を効率的に実現してくれます。
特に、
- MIN・MAX関数を使った極値の把握
- ZN関数による欠損値のゼロ変換
- CEILINGやFLOORを用いた丸め処理
- ROUNDによる小数点の整形
といった処理は、売上や利益などを分析する場面で頻繁に使われます。
こうした関数を正しく使い分けることでレポートの精度と見やすさが向上し、分析結果に対する信頼性も高まるでしょう。
数値関数を自在に使えると、可視化だけでなく前処理まで含めた一連の分析プロセスを自分でコントロールできるようになり、データ活用を推進する上で大きな武器になります。
今回の記事が、数値関数を理解して日々の業務に役立てるための実践的な一歩になれば幸いです。
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