【保存版】Slackワークフローの実践活用ガイド – 設定手順から運用のコツまで徹底解説
目次
近年、ビジネスチャットツールとして定着したSlackですが、単なるコミュニケーションツール以上の可能性を秘めています。特に注目したいのが「ワークフロー機能」です。申請・承認プロセスの自動化や、定型業務の効率化など、チームの生産性を大きく向上させる機能として、多くの企業で活用が進んでいます。
しかし、せっかくの機能も適切な設定や運用方法を知らなければ、その真価を発揮することはできません。「機能は知っているけれど、具体的な活用方法がわからない」「設定方法が複雑で手が出せない」という声も少なくありません。
本記事では、Slackワークフローの基本的な機能から具体的な設定手順、実践的な活用例まで、段階的に解説していきます。チーム運営の効率化を目指す管理者の方々に向けて、すぐに実践できる情報をお届けします。
Slackワークフローの基本と特徴
Slackワークフローは、チーム内の定型的な業務プロセスを自動化できる機能です。従来は個別に処理していた申請作業や情報共有、タスク管理などを、あらかじめ設定したフローに従って自動的に処理することができます。
特筆すべきは、プログラミングの知識がなくても、視覚的な操作で業務フローを構築できる点です。これにより、技術部門以外のチームでも、必要に応じて柔軟にワークフローを作成・運用することが可能になっています。
ワークフローの主要機能と活用メリット
ワークフローの中核となるのが「ワークフロービルダー」です。これは2023年9月にアップデートされた新しいインターフェースで、より直感的な操作が可能になりました。
主な特徴として、テンプレートの活用による素早い導入、外部ツールとの連携、柔軟なカスタマイズ性が挙げられます。例えば、Google WorkspaceやMicrosoft 365との連携により、ドキュメント管理や承認プロセスをSlack上で完結させることができます。
活用のメリットは以下の点があげられます。
まず、定型業務の自動化による工数削減です。従来は手作業で行っていた申請・承認フローや情報収集がシステム化され、担当者の負担が大きく軽減されます。また、プロセスの標準化により、業務品質の均一化も実現します。
ワークフロービルダーの基本機能
ワークフロービルダーでは、「トリガー」と「ステップ」という2つの要素を組み合わせてフローを構築します。トリガーは特定の条件や行動をきっかけにワークフローを開始する機能で、チャンネルへの投稿や絵文字リアクション、スケジュール設定などが利用できます。
ステップは具体的なアクション定義で、メッセージの送信やフォームの作成、外部アプリとの連携などを設定できます。これらを組み合わせることで、例えば「特定の絵文字が付いた投稿を自動的に承認フローに乗せる」といった複雑な処理も可能です。
なお、2023年9月以前に作成した古いワークフローは「レガシーワークフロー」として扱われ、新しいビルダーでは動作しない点に注意が必要です。これらは新しいワークフロービルダーで再作成する必要があります。
ワークフロー作成の実践手順
ワークフローの作成は、Slackの管理画面から簡単に開始できます。ここでは、実際の設定手順を具体的に解説していきます。特に初めてワークフローを作成する方でも理解できるよう、基本的な手順から応用的な設定まで、段階的に説明していきます。
なお、ワークフロー機能を利用するには、Slackの有料プランへの加入が必要となります。まずはこの点を確認したうえで、実際の設定手順に進みましょう。
基本的な設定手順
ワークフロー作成の第一歩は、ワークフロービルダーへのアクセスです。Slackの左端にある縦メニューバー下部の「その他」(三点リーダー)から「自動化」を選択し、「ワークフロービルダー」をクリックします。
新規ワークフローの作成は、以下の手順で進めます。
- ワークフロービルダー右上の「作成」ボタンをクリック
- ワークフロー名を入力(後から変更可能)
- ワークフローの開始方法を5つの選択肢から選択
・ショートカット(最も一般的)
・チャンネルの新しいメンバー
・絵文字リアクション
・スケジュールされた日付と時間
・Webhook(高度な設定)
開始方法の選択後、具体的なアクションを設定していきます。各ステップでは、メッセージの送信やフォームの作成、外部サービスとの連携など、必要な処理を追加できます。
テンプレートの効果的な活用
一から作成するのではなく、Slackが提供する既存のテンプレートを活用することで、効率的にワークフローを構築できます。特に以下のような基本的なテンプレートが用意されています。
- ステータス通知フォーム:チーム全体の状況把握に
- リクエストの承認:経費や休暇申請などの処理に
- 進捗状況共有リマインダー:定期的な状況確認に
- フィードバック依頼:チーム内の評価収集に
テンプレートを選択後、自社の業務フローに合わせてカスタマイズすることで、より実用的なワークフローを作成できます。
カスタマイズと運用のポイント
ワークフローのカスタマイズは、組織の成長や変化に合わせて業務プロセスを最適化するための重要な要素です。適切なカスタマイズにより、以下のような価値を創出できます:
業務効率の最大化
標準的なワークフローをベースに、組織固有のニーズに合わせた調整を行うことで、より効率的な業務遂行が可能になります。例えば、承認ルートの最適化や、通知タイミングの調整により、処理時間を大幅に削減できます。
柔軟な対応力の向上
特に変数の設定は重要です。ユーザー情報、時刻、回答内容などの変数を適切に設定することで、状況に応じた柔軟な対応が可能になります。これにより、例えば、部署ごとの異なる承認フローや、季節による申請期限の変更などに対応できます。
運用コストの削減
カスタマイズにより自動化の範囲を広げることで、手動作業を減らし、運用コストを削減できます。また、エラー発生のリスクも軽減され、より安定した業務運営が可能となります。
実践的なワークフロー活用例
ここまでワークフローの基本と設定方法を見てきましたが、本章では具体的な活用例を紹介します。実際の業務シーンに即した例を通じて、ワークフローがどのように業務効率化に貢献できるのかを解説します。また、各例について想定される効果と注意点もあわせて説明します。
経費申請・承認フロー
最も一般的な活用例の一つが経費申請・承認プロセスです。
抱えている課題
- 経費精算の承認プロセスに時間がかかっている
- 紙やメールベースでの申請により書類紛失や処理遅延が発生している
- 経費申請状況の可視化ができていない
- 経理部門の業務負荷が高い
設定例
トリガー:ショートカットで申請フォームを起動
申請フォームの項目:
- 金額
- 用途
- 添付ファイル(領収書)
- 部門
- 予算コード
承認フロー:
- 上長への自動通知
- 承認/却下の選択ボタン表示
- 未処理案件の自動リマインド(24時間経過後)
- 経理部門への自動転送
- 申請者への結果通知
- 処理状況の自動記録とダッシュボード更新
期待される効果
- 申請から承認までの時間短縮
- 承認状況の可視化
・申請者が現在どの承認ステップにあるかリアルタイムで確認可能
・管理者が全体の承認状況をダッシュボードで一覧確認可能
・ボトルネックとなっている工程の特定が容易 - データの一元管理
・従来2-3日かかっていた承認プロセスが当日中に完了
・自動リマインド機能により承認プロセスの滞留を防止
・ワンクリックでの承認操作により処理時間を短縮
・経費データをCSV出力し、会計システムへの連携が容易に
・部門別・費目別の集計作業が自動化され、月次決算業務が効率化
・過去の申請履歴の検索・参照が容易に
日次業務報告の自動化
チーム内での情報共有を効率化する例です。
抱えている課題
- 日報作成・確認に多くの時間を費やしている
- リモートワークで情報共有が不十分
- 業務報告フォーマットが統一されていない
- 報告内容の分析や傾向把握ができていない
設定例
トリガー:毎日指定時刻に自動実行
実行内容:
- チーム全員への入力フォーム送信
- 未回答者への自動リマインド(設定時刻から3時間後)
- 回答内容の自動集計
- サマリーレポートの作成
- 管理チャンネルへの投稿
期待される効果
- 報告業務の標準化
- 情報収集時間の削減
- データの蓄積と分析効率化
・全メンバーが同一フォーマットで報告することで情報の一貫性を確保
・リマインド機能により報告漏れを最小限に抑制
・報告プロセスの透明性向上
・手作業での集計作業が不要となり、管理者の工数を50%削減
・自動集計により、即座に全体状況を把握可能
・リアルタイムでの進捗確認が可能
・業務内容や進捗状況を時系列で自動記録し、トレンド分析が容易に
・キーワード検索により過去の報告内容を即座に参照可能
・データの一元管理による分析精度の向上
メンバーから提出された報告内容を予め設定したカテゴリーごとに分類し、数値データの合計や平均を自動的に算出します。例えば、業務進捗率や工数、対応件数などの定量的なデータを瞬時に集計できます。
サマリーレポートとは、
集計されたデータを基に、グラフや表を自動生成し、直観的に理解しやすい形式で提供します。日次のデータだけでなく、週間や月間の推移も自動的に可視化されるため、中長期的な傾向分析にも活用できます。
新規メンバー歓迎プロセス
新メンバーの受け入れプロセスを自動化する例です。
抱えている課題
- オンボーディングプロセスが属人化している
- 新入社員への説明漏れや対応にばらつきがある
- 管理者の受け入れ準備の負担が大きい
- リモートワーク環境下での新人教育に課題がある
設定例
トリガー:チャンネルへの新規メンバー参加
実行内容:
- 歓迎メッセージの自動送信
- 事前準備された業務マニュアル・各種規定へのリンク共有
- チーム紹介資料の共有
- 初期タスクリストの送信
- メンターへの自動通知
期待される効果
- オンボーディングの品質均一化
- 管理者の作業負担軽減
- 新メンバーの早期適応支援
すべての新規メンバーに対して同質の情報提供が可能
チェックリストにより必要事項の漏れを防止
手動での資料送付や説明が自動化され、管理工数が70%削減
複数の新規メンバーの同時受け入れにも対応可能
必要な情報への即時アクセスにより、業務開始までの準備時間を短縮
システマティックな情報提供により、新メンバーの不安軽減に寄与
インシデント管理フロー
システムトラブルなどの緊急対応を効率化する例です。
抱えている課題
- インシデント発生時の対応が属人化している
- 問題報告から解決までの進捗管理が不十分
- インシデント情報の共有が遅れがち
- 過去の対応履歴が活用できていない
設定例
トリガー:インシデント報告フォームの送信
実行内容:
- 緊急度に応じた担当者への通知
- インシデント管理台帳への自動記録
- 対応状況の定期的なステータス確認
- 関係者への進捗報告
- 解決報告の自動配信
期待される効果
- 対応プロセスの標準化
- 情報共有の迅速化
- 分析・改善の促進
定型的な初動対応が自動化され、対応開始までの時間を60%短縮
チェックリストによる漏れのない対応フローを実現
リアルタイムでの進捗状況の共有により、関係者間の認識統一が容易に
過去の類似事例の即時検索により、解決時間を40%短縮
インシデントデータの自動蓄積により、傾向分析が容易に
定期的なレポート生成により、再発防止策の立案を支援
まとめ:効果的なワークフロー活用に向けて
これまでSlackワークフローの基本概念から具体的な活用例まで見てきました。ここでは、効果的なワークフロー活用のためのベストプラクティスと今後の展望についてまとめます。
ワークフロー活用の成功のポイント
- 段階的な導入
- 適切な運用管理
- チーム内での共有
・まずは単純な業務フローから始める
・利用者からのフィードバックを収集
・徐々に複雑な処理を追加
・定期的な効果測定の実施
・ワークフローの更新・メンテナンス
・利用状況のモニタリング
・使用方法の明確な文書化
・活用事例の共有
・改善提案の受付体制整備
注意すべき点とリスク管理
セキュリティ管理の徹底
情報セキュリティは、ワークフロー運用において最も重要な要素の一つです。特に個人情報や機密情報を扱う場合は、細心の注意が必要となります。
アクセス権限の管理では、必要最小限の権限付与を原則とし、定期的な権限の見直しを行うことが推奨されます。また、外部サービスとの連携時には、APIキーの管理やデータの暗号化などの対策が不可欠です。
変更管理とドキュメント整備
ワークフローの変更や更新時には、影響範囲の事前評価と適切な記録が重要です。また、運用手順書やトラブルシューティングガイドなどのドキュメント整備も欠かせません。
今後の展望と発展可能性
Slackワークフローの進化
- AIを活用した自然言語処理による業務指示の自動解釈
- 機械学習による承認フローの最適化提案
- より柔軟なワークフロー構築のためのカスタマイズ機能拡充
連携機能の拡大
- 社内既存システム(勤怠・人事・会計等)とのシームレスな連携
- 他のビジネスコミュニケーションツールとのデータ連携強化
- クラウドストレージサービスとの統合による文書管理の効率化
活用シーンの発展
- 部門特有の業務プロセスへのカスタマイズ対応
- 複数チーム間でのワークフロー共有と標準化
- リモート・ハイブリッドワークに適応した新機能の実装
期待される効果
- 業務プロセスの可視化とボトルネックの自動検出
- チーム間コミュニケーションの効率化
- データドリブンな業務改善の実現
以上のような発展により、より効率的で柔軟な業務環境の実現が期待されます。
Slackワークフローは、単なる自動化ツールではなく、組織のコミュニケーションと業務プロセスを変革する可能性を秘めています。本書で解説した内容を基に、各組織の特性に合わせた活用を進めることで、より効率的で生産性の高い業務環境の構築が可能となるでしょう。
ワークフローの活用は、始めることよりも、継続的な改善と発展が重要です。日々の業務の中で気づいた改善点を積極的に取り入れ、より良いワークフローの構築を目指していくことをお勧めします。
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