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Power BIのセマンティックモデルとは 概要や使い方、設計方法を分かりやすく解説

#Power BI #レポート #セマンティックモデル

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Power BIでレポートが増えてくると、「レポートごとに売上定義が違う」「部署ごとに似たレポートが乱立する」「どの数字が正なのか分からない」といった問題が起きやすくなります。
こうした混乱を防ぐ土台となるのが「セマンティックモデル(Semantic Model)」です。セマンティック(semantic)は「意味的な」という意味で、セマンティックモデルは「業務上の意味を整理したデータモデル」と捉えるとイメージしやすいです。

この記事では、Power BIにおけるセマンティックモデルの概要、構造、作成・共有手順、メリット、設計のポイントをコンパクトに整理します。複数レポートを一元管理したい担当者向けに、専門用語もできるだけかみ砕いて解説します。

セマンティックモデルとは?

意味と背景(“意味的に整理されたデータモデル”)

セマンティックモデルは、単にデータを格納するだけでなく、ビジネス上の意味やルールをまとめて定義したモデルです。個々のレポートが好き勝手に計算式や関係を持つのではなく、「このモデルの定義に合わせる」ことで全体の整合性を保ちます。

たとえば、次のような情報をひとまとめに管理します。

  • テーブル同士の関係(どのテーブルがどの軸でつながるか)
  • 売上や利益などのメジャー定義
  • フィルターやロール(役割)による見せ方の違い

「数字の定義書」と「データ構造」をセットで持っているイメージだと理解しやすいです。

Power BIにおけるセマンティックモデルの位置づけ

Power BIでは、レポートやダッシュボードの一段下にセマンティックモデルが存在します。レポートはこのモデルに接続し、そこで定義されたテーブルやメジャーを使って可視化を行います。

構造を簡単に整理すると、次の三層構造です。

レポートは「UI」、セマンティックモデルは「頭脳」、データソースは「素材」と考えるとイメージしやすいです。

旧称「データセット」との関係

Power BI Serviceでは、以前は「データセット(Dataset)」という名称で表示されていました。現在は同じ概念が「セマンティックモデル」として扱われています。
名称が変わったことで、「単なるデータの塊」ではなく「意味とルールを持つモデル」であることが意識しやすくなりました。過去の資料や画面で「データセット」と書かれている場合も、基本的には同じ層を指すと考えて問題ありません。

セマンティックモデルの構造を理解する

データソース/テーブル/メジャーの関係

セマンティックモデルは、次のような要素の組み合わせで成り立っています。

  • データソース:SQL Database、Data Warehouse、ファイルなど、元データの置き場所
  • テーブル:ファクトテーブル(売上明細など)、ディメンションテーブル(顧客・商品・店舗など)
  • カラム:キー、属性、数値項目など、テーブルの列
  • メジャー:売上合計、利益率など、集計ロジックを定義した指標

これらを「業務でそのまま使える形」に整理し直したものがセマンティックモデルです。レポート作成者は、テーブルやメジャーを選ぶだけでビジネスの数字を扱えるようになります。

リレーションとコンテキストの概念

テーブル間のリレーション(関係)は、集計結果やフィルターの効き方を決める重要な要素です。どのテーブル同士をどのキーで結ぶか、どちら向きのフィルターを許可するかによって、スライサー操作時の“コンテキスト”が変わります。

よくある構成は次のようなものです。

  • 日付テーブル→売上テーブル
  • 顧客テーブル → 売上テーブル
  • 店舗テーブル → 売上テーブル

「日付スライサーを動かすと売上明細がどう絞られるか」といった挙動は、すべてリレーション設計に依存します。セマンティックモデルの段階で正しく設計しておくことで、レポート側では余計な調整をせずに済みます。

Power BI Service上での構成(Fabric連携を含む)

Power BI Service や Microsoft Fabric 環境では、セマンティックモデルはワークスペース内の1つのリソースとして管理されます。1つのワークスペースに共通モデルを置き、複数レポートやExcelから参照する構成が一般的です。

Fabric を利用している場合は、OneLake 上の Lakehouse/Warehouse とセマンティックモデルを組み合わせて、下記のような三層構造で設計します。

  • 下層:OneLake+Lakehouse/Warehouse(ストレージ・計算基盤)
  • 中層:セマンティックモデル(意味とロジックの層)
  • 上層:レポートやExcel、外部ツール(可視化・利用の層)

このように層を分けることで、データ基盤とBIを一体として運用しやすくなります。

セマンティックモデルの作成・共有手順

Power BI Desktopでモデルを構築する

セマンティックモデルは、まず Power BI Desktop 上で作成します。基本的な流れは次のとおりです。

  1. データソースに接続する
  2. Power Query で不要な列の削除や型変換などの整形を行う
  3. モデルビューでテーブルのリレーションを定義する
  4. DAXでメジャー(売上合計、利益率など)を定義する

※上記は通常のPowerBI desktopの作業手順と変わりません。

この段階で「どのテーブルが軸か」「どのメジャーを共通指標にするか」を整理しておくと、後からの運用がぐっと楽になります。

Power BI Serviceへ発行(=セマンティックモデル化)

Desktopで作成したレポートを Power BI Service に発行すると、ワークスペース内に

  • レポート
  • セマンティックモデル

の2つが作成されます。Service側では、セマンティックモデル単体を選択して更新スケジュールや行レベルセキュリティ(RLS)、権限設定などを行います。

「レポートを発行すると同時に、セマンティックモデルもクラウド上に配置される」と認識しておくと分かりやすいです。

別レポートから再利用する手順

既存のセマンティックモデルは、別レポートから再利用できます。
手順は以下の通りです。

  1. Power BI Desktop から「Power BI のセマンティックモデル」を選ぶ。
  2. 対象のセマンティックモデルを指定すると、そのモデルをベースに新しいレポートを作成できます。

構成イメージを簡単な表にすると次のようになります。

共通モデルを軸に、目的別のレポートをいくつも増やしていく、という考え方です。

セマンティックモデルを使うメリット

モデルの再利用による開発効率向上

1つのセマンティックモデルを複数レポートで共有できるため、毎回同じモデルを作り直す必要がなくなります。新しいレポートを作る際も「既存モデルに接続してグラフを作る」だけで済むため、初期設計の手間を大きく減らせます。

また、共通メジャーを修正すれば、それを参照しているすべてのレポートに自動的に反映されます。修正漏れを防ぎやすくなる点も、再利用の大きなメリットです。

データ定義の一貫性確保

売上、利益、利益率、会員数などの指標定義がレポートごとに異なると、「どの数字が正しいのか」という議論が増えてしまいます。セマンティックモデル側でメジャー定義を一元管理することで、全レポートで同じ定義を使い回せるようになります。

数字合わせではなく、中身の議論に集中しやすくなる点が大きな価値です。

セキュリティ・アクセス権の集中管理

行レベルセキュリティ(RLS)などのアクセス制御も、セマンティックモデル側で設定できます。店舗ごと・エリアごとの閲覧範囲をモデル側で定義しておけば、レポートはそのルールを自動的に継承します。

権限設定をレポート単位で重複管理しなくてよくなるため、統制と運用の両面で負荷を下げることができます。

設計時のベストプラクティス

モデル名・テーブル名の命名規則を統一する

セマンティックモデルは長期運用が前提なので、命名を整えるだけでも後々の混乱を防げます。モデル名は「目的+対象」(例:売上分析セマンティックモデル_国内)のようにし、テーブル名も業務用語に寄せておくと、利用者が意味を把握しやすくなります。

カラム・メジャーの命名とコメント設定

カラム名やメジャー名も、利用者目線で分かりやすくすることが大切です。「~合計」「~率」など接尾辞を揃え、日本語/業務用語で統一し、重要なメジャーには簡単な説明コメントを付けておくと、現場での迷いを減らせます。

データ更新スケジュールと依存関係の管理

セマンティックモデルは複数レポートに影響するため、どのデータソースやデータフローに依存しているか、いつリフレッシュが走るかを整理しておくことが重要です。上流のデータフローやDWHの一覧と、各モデルのリフレッシュ時間帯だけでも簡単にまとめておくと、障害時の原因特定がしやすくなります。

セマンティックモデルと他機能との違い

データフローとの違い

Power BI の「データフロー」と「セマンティックモデル」は混同されがちですが、
実際には、データ処理のどの段階を担当するかが大きく異なります。

全体の流れ

外部データ

データフロー(前処理・整形)

セマンティックモデル(意味づけ・統一ロジック)

レポート/ダッシュボード

 
このように、「データフローで共通の整形ロジックを作り、その結果をセマンティックモデルが参照する」という分担で設計するのが一般的です。

データセット共有との違い

従来の Power BI では「データセット共有」が一般的な運用でしたが、
現在は Fabric の登場もあり、これらは “セマンティックモデル”として整理される方向 に統合されています。
本質的な違いは名称よりも 運用思想 にあります。

セマンティックモデル運用で重要なポイント

  • レポートごとにDAXやロジックをばらばらに書かない
  • KPI・指標定義を“モデル側”に寄せて統一する
  • すべてのレポートが同じモデル=同じ定義を参照する状態を作る

つまり、「どこにロジックを置くか」という問題であり、セマンティックモデルを中心に据えることで 分析の整合性・再利用性・保守性が飛躍的に向上します。

Fabricとの連携ポイント

Microsoft Fabric を導入している場合、セマンティックモデルは OneLake 上のデータ基盤と密接に統合される存在 になります。

Fabricと組み合わせるメリット

連携設計の基本スタンス

  • 下層のデータ基盤(Fabric)にデータ管理・更新処理を集約
  • 上層(セマンティックモデル)で指標定義・ロジック・アクセス制御を統一
  • すべてのレポートはセマンティックモデルを参照する構造にする

このことで、「データ基盤 × BI」の一体運用 が可能になり、組織全体でのデータ活用レベルが大きく向上します。

まとめ:Power BIの“共通言語”としてのセマンティックモデル


セマンティックモデルは、Power BIにおける「共通の意味を持つデータモデル」です。1つのモデルを複数レポートで共有することで、定義の一貫性を保ちながら、開発と運用の効率を高められます。

  • モデルを再利用して開発工数を削減できる
  • 指標定義を一元管理し、数字の“ブレ”を防げる
  • セキュリティや権限もモデル側で集中管理できる

といったメリットは、レポート数や利用者が増えるほど大きくなります。

Power BIやFabricを本格的に活用していくうえで、セマンティックモデルは欠かせない基盤です。

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