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薬局機能情報提供制度とは オープンデータの特徴や活用方法を解説

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薬局は全国各地にありますが、どの薬局に行くか迷われた経験がある方は多いのではないでしょうか。そのような方でも、各薬局が持つ機能を理解した上で適切な選択が取れるよう支援する目的で策定されたのが「薬局機能情報提供制度」です。

当制度により各都道府県に報告された薬局機能に関する情報は、住民が自由に参照できるよう一般公開されています。さらに、令和6年からは全国統一システムにて、全国の薬局の情報が公開される予定です。

この記事では、薬局機能情報提供制度におけるオープンデータの特徴や活用方法を解説します。最後まで読むことで、薬局機能情報提供制度におけるオープンデータがあなたの企業のサービスにどのように活用できるかが検討できるようになるでしょう。

薬局機能情報提供制度とは


薬局機能情報提供制度とは、医療を受ける患者が適切に薬局を選択できるように支援するために作られた制度です。医療を受ける患者に対して薬局の機能に関する情報を提供することによって、薬局開設者から患者に対して正しい情報提供がなされるようにサポートします。

薬局機能情報提供制度の主な内容は以下の通りです。

  • 薬局は自己の責任において薬局機能情報を県に報告し、通常、県は受け取った薬局機能情報をそのまま公表する
  • 県は、薬局から報告された薬局機能情報をインターネットを通じて公表する
  • 公表されるウェブサイトには、一定の検索機能が整備され、県民などが薬局を選択する際に役立つ情報を提供する
  • 薬局は、県へ報告した情報を、自身の薬局内でも閲覧できるようにしなければならない
  • 薬局は、県民などからの相談や要望に適切に応じるよう努めなければならない
  • 県は、県民などからの薬局機能情報に関する質問や相談に対応する窓口を設置し、適切な案内体制を整備する
  • 薬局機能情報提供制度におけるオープンデータの内容


    薬局機能情報提供制度で公表されるデータは、厚生労働省が法令で定めています。主な公表内容は次の通りです。また、下記以外にも都道府県独自で収集したデータは、併せて公表することが許可されています。

    管理や運営、サービス等に関する事項

    基本情報として以下の内容を含みます。

    (1)薬局名称
    (2)薬局開設者
    (3)薬局管理者
    (4)薬局所在地
    (5)電話番号及びファクシミリ番号
    (6)営業日
    (7)開店時間
    (8)開店時間外で相談可能な時間
    (9)地域連携薬局認定の有無
    (10)専門医療機関連携薬局認定の有無

    薬局へのアクセス

    (1)薬局までの主な利用交通手段
    (2)薬局の駐車場(駐車場の有無/駐車台数/有料又は無料か)
    (3)ホームページアドレス
    (4)電子メールアドレス

    薬局サービス等

    (1)健康サポート薬局である旨の表示の有無
    (2)相談対応の可否
    (3)薬剤師不在時間の有無
    (4)対応可能な外国語の種類
    (5)障害者への配慮
    (6)車椅子の利用者への配慮

    費用負担

    (1)医療保険及び公費負担等の取扱い
    (2)クレジットカードによる支払いの可否

    提供サービスや地域連携体制に関する事項

    (1)認定薬剤師の種類及び人数
    (2)健康サポート薬局に関係する研修を修了した薬剤師の人数
    (3)薬局の業務内容(※1)
    ※1 具体的には以下の内容を含みます。

    • ​​無菌製剤処理に関係する調剤実施の可否
    • ​​一包化薬に関係する調剤実施の可否
    • ​​麻薬に関係する調剤の実施の可否
    • ​​浸煎薬及び湯薬に関係する調剤実施の可否
    • ​​薬局製剤実施の可否
    • ​​医療を受ける者の居宅等において実施する調剤業務の実施の可否
    • ​​オンライン服薬指導の可否
    • ​​電磁的記録をもって作成された処方箋受付の可否
    • ​​薬剤服用歴管理の実施
    • ​​薬剤服用歴管理の実施
      (薬剤服用歴管理の実施の有無/電磁的記録による薬剤服用歴管理の実施の有無)
    • ​​電磁的記録による薬剤服用歴管理の有無
    • ​​患者の薬剤服用歴その他の情報を一元的かつ経時的に管理可能な手帳の交付
    • (患者の薬剤服用歴その他の情報を一元的かつ経時的に管理可能な手帳の交付の可否/患者の薬剤服用歴その他の情報を電磁的記録によって一元的かつ経時的に管理可能な手帳所持者の対応の可否)

    地域医療連携体制

    (1)医療連携の有無
    (2)地域医療情報連携ネットワークへの参加の有無
    (3)入院時の情報共有する体制の有無
    (4)退院時の情報共有する体制の有無
    (5)受診勧奨に関係する情報等を医療機関に提供する体制の有無
    (6)地域住民への啓発活動への参加の有無

    実績、結果等に関する事項

    (1)薬局の薬剤師数
    (2)医療安全対策の実施
      (副作用等に関係する報告の実施件数/医療安全対策に関係する事業への参加の有無)
    (3)感染防止対策実施の有無
    (4)情報開示の体制
    (5)症例を検討するための会議等の開催の有無
    (6)処方箋の応需者の数
    (7)医療を受ける者の居宅等における調剤業務の実施件数
    (8)健康サポート薬局に関係する研修を修了した薬剤師が地域ケア会議、その他の地域包括ケアシステムの構築のための会議に参加した回数
    (9)患者の服薬状況等を医療機関に提供した回数
    (10)患者満足度の調査(患者満足度調査実施の有無/患者満足度調査結果の提供の有無)

    地域連携薬局等に関する事項

    (1)地域連携薬局(※2)

    ※2 具体的には以下の内容を含みます。

    • 地域包括ケアシステムに関する研修を修了した薬剤師の人数
    • 第十条の二第二号に基づき、医療機関に情報を共有した回数
    • 休日又は夜間に調剤の求めがあった場合に地域における他の薬局開設者と連携して対応した回数
    • 在庫として保管する医薬品を必要な場合に地域における他の薬局開設者に提供した回数、麻薬に関係する調剤を行った回数
    • 無菌製剤処理に関係する調剤を実施した回数
    • 地域における他の医療提供施設に対し医薬品の適正使用に関する情報を提供した回数
    • 居宅等における調剤並びに情報の提供及び薬学的知見に基づく指導を実施した回数

    (2)専門医療機関連携薬局(※3)

    ※3 具体的には以下の内容を含みます。

    • 第十条の三第一項に規定する傷病区分ごとの専門性の認定を受けた薬剤師の人数
    • 第十条の三第三項第二号に基づき、同項第一号の医療機関に情報を共有した回数
    • 休日又は夜間に調剤を求めがあった場合に地域における他の薬局開設者と連携して対応した回数
    • 在庫として保管する第十条の三第一項に規定する傷病の区分に関係する医薬品を必要な場合に地域における他の薬局開設者に提供した回数
    • 麻薬に関係する調剤を行った回数
    • 地域における他の薬局開設者に対して第十条の三第一項に規定する傷病の区分ごとの専門的な薬学的知見に基づく調剤及び指導に関する研修を行った回数
    • 地域における他の医療提供施設に対して第十条の三第一項に規定する傷病の区分ごとの医薬品の適正使用に関する情報を提供した回数

    薬局機能情報提供制度の活用方法


    薬局に関する情報が集約された薬局機能情報提供制度のオープンデータは、開業医・患者に向けたサービスや、営業リストの作成などに活用できます。

    薬局機能情報提供制度の主な活用方法は、下記のとおりです。

    開業医に対して地域連携薬局リストを提供する

    薬局機能情報提供制度のオープンデータを用いることで、医療機関と密に連携している地域連携薬局の実績をリスト化し、開業医の薬局選びに貢献できます。

    病院やクリニックを開設する上で、薬局選びは重要です。医療機関側がいくら患者の満足度を高められたとしても、近隣薬局の体制が希薄だと、総合的な評価は下がってしまいます。

    2019年に新設された改正薬機法における認定制度によって、入退院や在宅医療への対応時に他の医療機関と連携して対応できる薬局は「地域連携薬局」に認定されるようになりました。地域連携薬局を開業医院のかかりつけ薬局候補に選ぶことで、相互の連携が可能になり、医療機関と薬局が一体となって患者の満足度を高められます。

    薬局機能情報提供制度のオープンデータでは、地域連携薬局の認定条件にもなっている、薬局が医療機関に情報共有した回数が入院・退院・外来別に可視化されています。さらに、休日や夜間であっても調剤の求めに対して、他の薬局と連携して応じた回数も示されているので、開業医が求める薬局を選定する上で有力な情報源となるでしょう。

    障害者や高齢者向けの薬局検索サービスを提供する

    薬局機能情報提供制度のオープンデータにおける「障害者への配慮」「車椅子の利用者への配慮」項目を抽出することで、障害者又は高齢者がかかりつけ薬局を選ぶ上で参考になるサービスを提供できます。

    当データから得られる、障害者や高齢者に需要のある薬局の情報は以下のとおりです。

    高齢者/障害者 薬局機能情報提供制度の報告データから得られる情報
    聴覚障害者 ・画面表示
    ・文書または筆談での服薬指導
    ・手話通訳での服薬指導
    視覚障害者 ・薬袋・薬剤への点字表示
    ・服薬指導に用いる文書の点字による作成
    ・音声案内
    身体障害者
    高齢者
    バリアフリー構造(※4)であること

    ※4 「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」に適合する

    また、薬局の公式HPには上記内容よりもさらに詳細な、手すりやスロープの設置といった情報が記載されている場合があります。

    薬局機能情報提供制度のオープンデータの「障害者への配慮」「車椅子の利用者への配慮」項目から高齢者又は障害者が利用しやすい薬局を抜粋し、対象薬局の公式HPの情報も付加してサービスに落とし込むことで、より価値の高いかかりつけ薬局検索のプラットフォームを作成できるでしょう。

    開業するクリニック・病院の商談立ち上げ時に提案する

    薬局情報を収集することで、新規開業クリニックや病院の情報を収集することに繋がります。往々にして新規開業時の立ち上げの際には薬局の選定から入るケースがあり、薬局自体が新規開業施設の情報を持っている場合があります。
    そのような場合、薬局の情報を収集し、いち早く対象の薬局にアプローチを行っておくと、新規開業するクリニックや病院の商談立ち上げ時に先行して自社サービスの提案が行えます。その後の商談進行時に優位にもなります。

    顧客心理として、商談立ち上げから関わった人とはなかなか縁が切りづらいですから、その意味で先行して序盤から顧客を囲い込むことは非常に有用です。

    まとめ

    高齢化社会がどんどん加速し、薬の受給者が増加していく中で、薬局機能情報提供制度のオープンデータは、手軽に手に入る有益な情報のデータベースです。1人でも多くの人々がこのオープンデータを有効活用できれば、薬の受給者の生活がより豊かになっていくことでしょう。

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