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Power BIの売上分析を事例を使ってご紹介

ビジネスの業績を分析するときに一般的な昨年対比や売上目標に対する実績の比較などは数字としてすぐ理解しやすい部類です。
ただ、予算に対する実績が数字として見えたとして、その数字の根拠がどこにあるかはすぐにはわからないこともあるでしょう。

そのため、業績を測る指標としては多角的に分析する必要が出てきます。
この記事ではMicrosoft社のPower BIを用いた売上分析を公式サンプルを用いて紹介します。

Power BIでできる売上分析

まずはPower BIで分析できるものを紹介します。
あくまで主要なものを解説しているまでで、これ以外にも多くの分析が可能です。

昨年対比

「昨年対比」は昨年の実績に対して、今年の実績がどれくらいギャップがあるかを表す指標です。「昨対比」という場合もあります。

一般的には割合(パーセント)で表すことが多く、(今年の数字÷前年の数字)×100で計算されます。競合他社や業界平均と比較するわけではなく自社の前年度の実績との比較であるため、自社の売上が昨年と比較してどの程度良くなった・悪くなったをシンプルに表します。

具体的には

  • 売上
  • 利益
  • 単価
  • 受注件数
  • 客数
  • 販売数

などの比較に使われます。

地域分析

営業所や営業先、店舗などの地域ごとに売上を比較する売上分析です。
商圏を分けて分析することで、地域性やイベントがあった際の影響などが見えてきます。
特定の地域の売上が高い、低いといった実績が出てくれば、その地域に対する施策を出すことができるでしょう。

また、Power BIを用いれば、商圏の大きさごとに大きさの違う円で表すグラフで可視化できるため、複数人での分析もスムーズです。

また、売上だけでなく年代ごとの人口数を分析するときにも地域データと組み合わせることで、別角度の分析が可能です。

取引先ごとの売上比率

自社の売上構成を取引先ごとに分析する際には、取引先ごとの売上比率の分析が役に立ちます。
仕入先、販売先どちらの場合でも、特定の大口取引先に依存する経営はリスクがあります。
もちろん、リソースを一極集中したほうが効率良く、利益が上がりやすいかもしれません。

しかしながら、長期的に考えるとリスクが大きいといえます。
理由はリソースを集中投資した取引先が倒産したり、取引が終了してしまうと自社の経営は一気に崩れてしまうからです。

そのため、自社の取引バランスを可視化して、依存体質から脱却、緩和していく必要があります。

予実分析

予実分析は設定した売上目標や各種予算に対して、実績とのギャップを分析するものです。
経費や原価、売上金額との差異を可視化することで問題点の整理、明確化や対策方法の選定がスムーズになります。

予実分析の優れている点は、自社の状況をはっきりした数字で分析できるところです。
天気が悪かったから、客足が伸びなかったからなど定性的な理解ではなく、定量的に具体性をもった分析になりやすいです。

在庫分析

在庫分析は取り扱っている在庫が適切な状態になっているかを把握して分析することです。
使用期限のある商品を取り扱っている場合は期限の管理も含まれます。

BtoCの店舗ビジネスであれば、仕入れた商品が売れるまでの時間を分析してその店舗に適した在庫数の把握にも役立ち、原価の管理を行って利益の上がる体質にしていくことができます。
また、商品の傾向を可視化できるため、売れ筋やトレンドを把握した販売計画に活かすこともできます。

ABC分析

ABC分析は在庫分析の中の一つの方法です。
売れ筋の商品と見なすかどうかを分類する方法で、売れ筋と判断した商品に注力して計画、実行します。
限られた時間や人材を効率的に活用するために考えられた技法です。

ABC分析では3種類に在庫を分類します。

A:売れ筋の商品。優先度を高めに管理してプロモーションも行う。
B:中程度に売れる商品で現状維持。
C:売れにくい商品。管理へのリソースを抑え、セールなどの取り扱い方を考える。

Microsoftのサンプルを使って売上分析を可視化

ここからは実際にPower BIを用いて売上分析をしていきます。
今回はMicrosoft社の公式サンプルである「小売りの分析のサンプル」を使用します。

公式ページには

  • サンプルの入手方法
  • レポートの開き方
  • タイルやレポートの読み方

が記載されていますので、ご確認ください。

サンプルのページが開けた状態を前提に進めます。

昨年対比

まずは昨年対比のグラフを参照します。
「District Monthly Sales」ページを開きます。

開いた際に上部にあるグラフが店舗ごとの1ヶ月の売上状況です。
任意の1店舗を選択すると左下の今年の売上と昨年の売上のグラフが選択した店舗のデータに変化します。

例として「North Canton Fashions Direct」を選択しました。
この店舗では今年の売上は3月がピークでその後は売上が減少しています。
しかし、昨年の売上は8月がピークで、次点で4月の売上が高い状態にあります。

昨対比がプラスになっている月は2月、3月、4月、6月の4つです。
また、可視化できているからこその分析として、昨年よりも今年の売上グラフの形が全体的に1ヶ月早めに推移しているように見受けられます。

このことから、「North Canton Fashions Direct」では冬物や春物の販売は1ヶ月前倒しで展開していくと効果がありそうだと言うことがわかります。

また、これらの推測が全体にも当てはまるかを分析することで、全体施策にするか個店レベルの施策にするかが変わります。

全体のグラフでも「North Canton Fashions Direct」と類似した形になっているため、全体施策としてもいいと考えられます。

なお、このサンプルからは読み取れませんが、今年は暖かくなるのが早く人の外出が活発になるのが早かった、全社をあげたセールを行った、寒くなるのが早かったなどの要因からも売上傾向の分析に繋がります。

これらのデータもあればPower BIの同じ画面上でまとめてグラフにすることもできると考えられます。

店舗マネージャーごとの売上分析

次にOverviewページを参照します。

右上には店舗マネージャーごとの担当店舗が色分けされています。
さらに右下にはマネージャーごとの担当店舗での売上偏差が出ています。

このグラフでは右下のグラフからどのマネージャーの担当している店舗の実績が良いか、悪いかが一目でわかります。
このグラフが活用できる場面は2つあります。

1つ目はマネージャーの評価です。
来期の昇給やボーナスの査定などに活かす素材となりえます。

2つ目は成績の良いマネージャーのやっていることを他のマネージャーに共有して全体の底上げに繋げられることです。
地域性などの外的要因があるとしても、成績の良いマネージャーがやっている施策を別地域でも実施することで少なからず良い影響があると考えられます。

さらにこのグラフは特定の一人を選ぶとドリルダウンされます。

今回はAndrew Maの担当店舗を選択しました。
円の下にある数字は店舗Noです。

このグラフは横軸が利益率、縦軸が1フィートの売り場あたりの売上です。
より右側にある店舗が利益率が高い店舗、より上にある店舗が売り場あたり売上が高い店舗になります。

分析項目としては次の4つに分けられます。

  • 利益率が高いが、売り場あたり売上が低い店舗
  • 利益率が低いが、売り場あたり売上が高い店舗
  • どちらも低い店舗
  • どちらも高い店舗

これらの店舗ごとの課題に対して、マネージャーごとに行っている施策の共有を行うことで改善されるかもしれません。

まとめ

今回はPower BIでの売上分析を解説しました。
様々な分析方法に合わせて、Power BIのグラフを設定することで数字だけでは見つからない問題点や課題が見つかることがあります。

自社の売上改善のために導入してみてはいかがでしょうか?

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