TableauのUpSet Plotとは?具体的な作成手順や主な利用シーンを分かりやすく解説
#Tableau #作成手順 #利用シーン #UpSet Plot
目次
- 1. UpSet Plot(アップセット・プロット)とは?
- 2. UpSet Plotの完成イメージ
- 3. TableauでUpSet Plotを作成する手順
- 3.1 【手順1】顧客別・カテゴリ別にデータの有無を確認する
- 3.2 【手順2】区分用の計算フィールドを作成する
- 3.3 【手順3】カテゴリに番号を付与する
- 3.4 【手順4】Vizを作成する(①左下)
- 3.5 【手順5】Vizを作成する(②左上)
- 3.6 【手順6】Vizを作成する(③右下)
- 3.7 【手順7】ダッシュボードに配置する
- 4. TableauにおけるUpSet Plotの主な利用シーン3選
- 4.1 ①複数のカテゴリ間の重複関係を詳しく分析したい時
- 4.2 ②ベン図では難しい複雑なデータを視覚化したい時
- 4.3 ③カテゴリの組み合わせからユーザー行動を把握したい時
データの関係性を視覚的に捉えて多角的な分析を行うことは、ビジネスにおける意思決定を支える重要な要素です。その分析をより深める手助けとなるのがTableauで、視覚化ツールとしての高い柔軟性が特徴のBIツールです。その中でも「UpSet Plot」(アップセット・プロット)と呼ばれるグラフは、複数カテゴリの重複関係を直感的に可視化できる強力な表現方法です。
本記事では、TableauでUpSet Plotを作成する具体的な手順や主な活用シーンを、初心者の方にもわかりやすく解説しています。
複雑なデータ構造をどう視覚化すべきかお悩みの方にとって、有益なヒントとなれば幸いです。
UpSet Plot(アップセット・プロット)とは?
UpSet Plot(アップセット・プロット)とは、複数のカテゴリの重複関係を視覚的に分かりやすく表現するグラフです。特に、ベン図では対応が難しい複雑な組み合わせパターンを、「バー」と「マトリクス形式」で整理して見せる点が特徴です。
カテゴリの交差関係を明確に把握したい場合に非常に有効で、マーケティング分析やユーザー属性の分析などで活用されています。
例えば、「A商品とB商品はどの顧客層に共通して購入されているか?」といったことを明確に可視化できます。
Tableauでの高度なデータ探索には、このような手法を理解しておくことで分析の幅が広がります。
複数軸のデータ関係を深く掘り下げたい方には、非常に有用なチャートです。
UpSet Plotの完成イメージ
UpSet Plotの完成イメージは上図のとおりです。
3つのカテゴリについて、それぞれの下記7通りに場合分けをしています。
②:テクノロジー&家具
③:家具&事務用品
④:テクノロジー&事務用品
⑤:テクノロジーのみ
⑥:家具のみ
⑦:事務用品のみ
以下の作成手順では、ここで定めた①〜⑦をもとにUpSet Plotを作成していきます。
TableauでUpSet Plotを作成する手順
それでは実際に、Tableauを使ってUpSet Plotを作成する具体的な手順をご紹介します。
今回はTableauに付属している「サンプルスーパーストア」を使用し、「最も顧客数が多いのは、どのカテゴリの組み合わせか?」を可視化していきます。
あらかじめ、Tableauにサンプルスーパーストアの「オーダー(注文)」シートを接続しておきましょう。
Tableauにデータを接続する方法がわからないという方は、以下の記事を参考にしてみてください。
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◆Tableauにおけるデータ接続と加工方法を手順付きで解説
【手順1】顧客別・カテゴリ別にデータの有無を確認する
顧客ごとに、各カテゴリにデータが存在するか(=数量が0より大きいか)を確認します。
以下3つのフィールドを新しく作成しましょう。
★テクノロジー購入数_顧客別
{ FIXED [顧客 Id]:SUM(IF [カテゴリ] = 'テクノロジー' THEN [数量] ELSE NULL END)}
★顧客別の家具購入数
{ FIXED [顧客 Id]:SUM(IF [カテゴリ] = '家具' THEN [数量] ELSE NULL END)}
★顧客別の事務用品購入数
{ FIXED [顧客 Id]:SUM(IF [カテゴリ] = '事務用品' THEN [数量] ELSE NULL END)}
【手順2】区分用の計算フィールドを作成する
手順1で作成した計算フィールドをもとに、7区分を判別するための計算フィールドを作成します。
「データが存在する(=数量が0より大きい)」「データが存在しない(=NULL)」の2つの視点で考えていきます。
以下の計算フィールドを作成しましょう。
★7区分
IF
[★テクノロジー購入数_顧客別]>0 AND [★顧客別の家具購入数]>0 AND [★顧客別の事務用品購入数]>0 THEN '①すべて'
ELSEIF
[★テクノロジー購入数_顧客別]>0 AND [★顧客別の家具購入数]>0 AND ISΝULL([★顧客別の事務用品購入数]) THEN '②テクノロジー&家具'
ELSEIF
ISΝULL([★テクノロジー購入数_顧客別]) AND [★顧客別の家具購入数]>0 AND [★顧客別の事務用品購入数]>0 THEN '③家具&事務用品'
ELSEIF
[★テクノロジー購入数_顧客別]>0 AND ISΝULL([★顧客別の家具購入数]) AND [★顧客別の事務用品購入数]>0 THEN '④テクノロジー&事務用品'
ELSEIF
[★テクノロジー購入数_顧客別]>0 AND ISΝULL([★顧客別の家具購入数]) AND ISΝULL([★顧客別の事務用品購入数]) THEN '⑤テクノロジーのみ'
ELSEIF
ISΝULL([★テクノロジー購入数_顧客別]) AND [★顧客別の家具購入数]>0 AND ISΝULL([★顧客別の事務用品購入数]) THEN '⑥家具のみ'
ELSEIF
ISΝULL([★テクノロジー購入数_顧客別]) AND ISΝULL([★顧客別の家具購入数]) AND [★顧客別の事務用品購入数]>0 THEN '⑦事務用品のみ'
END
【手順3】カテゴリに番号を付与する
index関数を使って、3つのカテゴリに番号を付与します。
以下の計算フィールドを新しく作成しましょう。
★index
IF
[カテゴリ]='テクノロジー' THEN 1
ELSEIF
[カテゴリ]='家具' THEN 2
ELSE 3
END
【手順4】Vizを作成する(①左下)
今まで作成した計算フィールドをもとに、全体Vizの「左下部分」を作成していきます。
以下の操作を順に行いましょう。
・[★7区分]を行シェルフにドラッグ&ドロップする
・[★index]を列シェルフにドラッグ&ドロップし、メジャー→ディメンションに変更する
・グラフタイプを自動→円に変更する
・列シェルフにある[★index]を右隣に複製し、グラフタイプを円→線に変更する
・マークカードの「パス」に[カテゴリ]をドラッグ&ドロップする
・列シェルフにある右側の[★index]を右クリック>二重軸 をクリックする
・画面サイズを標準→ビュー全体 に変更する
【手順5】Vizを作成する(②左上)
全体Vizの「左上部分」を作成していきます。
新しいシートを開き、以下の操作を順に行いましょう。
・[カテゴリ]に行シェルフにドラッグ&ドロップする
・[顧客id]を右クリック(Macの場合は⌥)しながら列シェルフにドラッグ&ドロップし、「個別のカウント(顧客id)」を選択する
・列シェルフにある[個別のカウント(顧客id)]を、マークカードの「ラベル」に複製する
・画面サイズを標準→ビュー全体 に変更する
【手順6】Vizを作成する(③右下)
全体Vizの「右下部分」を作成していきます。
以下の操作を順に行いましょう。
・手順5のシート(シート2)を複製する
・複製したシート(シート2(2))で、行シェルフにある[カテゴリ]を[★7区分]に置き換える
【手順7】ダッシュボードに配置する
最後に、手順5〜手順7で作成した3つのグラフをダッシュボードに配置して完成です。
以下の操作を順に行いましょう。
・水平コンテナをダッシュボードにドラッグ&ドロップする
・水平コンテナの中に、左上部分(シート2)と空白オブジェクトをドラッグ&ドロップする
・再度、水平コンテナをダッシュボードにドラッグ&ドロップする
・水平コンテナの中に、左下部分(シート1)と右下部分(シート2(2))をドラッグ&ドロップする
・左下(シート2)を選択し、「行と列の交換」をクリックする
・体裁を整える(タイトルの非表示、軸の非表示、幅の調整など)
以上でUpSet Plotの完成です!
TableauにおけるUpSet Plotの主な利用シーン3選
UpSet Plotは、複数のカテゴリがどのように重なっているかを視覚的に把握できる強力な分析手法です。
ここでは、TableauにおけるUpSet Plotの主な活用シーンを3つご紹介します。
①複数のカテゴリ間の重複関係を詳しく分析したい時
カテゴリ間の重複を定量的に分析したい時、UpSet Plotは非常に有効です。
例えば製品カテゴリ別の購入データを見た際に、どのカテゴリ同士が重複して購入されているかを明確に可視化できます。
これは、従来のクロス集計やフィルターだけでは把握しづらい、複数カテゴリの交差関係を一目で確認できるメリットがあります。
棒グラフとマトリクスを組み合わせた構成により、視覚的にも理解しやすくなるでしょう。
こうした分析はクロスセル戦略や新商品のパッケージ販売企画にも活かせるため、マーケティング業務でも重宝されます。
②ベン図では難しい複雑なデータを視覚化したい時
UpSet Plotは、ベン図では対応が難しい3カテゴリ以上の複雑な重複関係にも強いです。
ベン図は視覚的に限界があり、カテゴリ数が増えると構造が複雑になり、逆に見づらくなる欠点があります。
一方、UpSet Plotはカテゴリの組み合わせを行単位で表示し、それぞれの重複データの大きさをバーで表現するため、視認性が高くなります。
分析対象が増えても見やすさを保てるのが大きな特徴です。
③カテゴリの組み合わせからユーザー行動を把握したい時
ユーザーの行動パターンを分析したい時、UpSet Plotを使うことで「どの組み合わせで行動しているか」が見えてきます。
例えば、複数の商品カテゴリを同時に購入している顧客層を把握することで、ニーズの傾向や関連商品の導線を明確にできます。
また、利用サービスの組み合わせからユーザーの興味関心を推測し、セグメント分けにも活用可能です。
単一カテゴリだけでなく組み合わせに注目することが、データ分析の質を一段階高めるポイントとなります。
まとめ
この記事では、TableauでUpSet Plotを作成する具体的な手順や主な利用シーンについて詳しく解説しました。
UpSet Plotは、複数のカテゴリ間の重複関係を視覚的に捉えるための有効な手法であり、通常のグラフでは見えにくい複雑なデータ構造を明確に把握することができます。
UpSet Plotを使いこなすことで分析の視点が広がり、データから得られるインサイトが一段と深まるでしょう、
Tableauを活用する皆さまが、より高度な分析スキルを身につけるための一歩となれば幸いです。
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