Tableau Nextとは?利用できる主な機能や従来の製品との違いを分かりやすく解説
目次
ビジネスにおけるデータ活用は、単なる可視化から「行動につながるインサイトの獲得」へと進化しています。その実現を後押しするのが、次世代のBIプラットフォームである「Tableau Next」です。
Tableauはこれまで、柔軟なダッシュボード設計やセルフサービス型の可視化ツールとして多くの企業に導入されてきました。その進化形であるTableau Nextは、AIや自動化機能、データ統合レイヤーなどを標準搭載し、分析から意思決定・アクションまでを一貫してサポートする構造となっています。
本記事では、Tableau Nextの概要から、従来のTableau製品との違い、そして注目すべき主な機能を初心者にも分かりやすく解説します。
特にこれからTableauを導入・利活用しようと考えている方にとって、本記事がその第一歩となれば幸いです。
【概要】Tableau Nextとは?

出典:Tableau公式『Tableau Nextとは』
Tableau Nextとは、あらゆるユーザーに対して柔軟で統合的な分析サービスを提供する新しいプラットフォームです。Tableau DesktopやTableau Cloudといった製品ごとの分断を超え、企業全体のデータ活用をよりスムーズに実現することを目的としています。
背景には、近年の「データを見て終わり」ではなく「意思決定とアクションにつなげる分析」が求められる流れがあります。
Tableau Nextはその潮流に対応するために、AI・自動化・統合管理・セキュリティ強化などといった領域に重点を置いた設計となっているのです。
例えば、従来のTableauでは部門単位で可視化が完結していたのに対し、Tableau Nextではデータの一元管理やセマンティックレイヤー(意味づけ)によって全社的な共通指標の浸透が可能になります。
また、AIを活用した自動インサイトやガイド付き分析など、ノーコードで扱える機能が強化されているのも特徴の一つです。
Tableau Nextは、単なる新サービスではなく、よりアクション指向・エンタープライズ指向に最適化された次世代のTableauとして位置付けられています。
Tableau Nextで利用できる主な機能5選

Tableau Nextは、従来の可視化ツールの枠を超え、より高度なデータ連携・分析・自動化を実現できるプラットフォームです。
ここでは、Tableau Nextで利用できる代表的な機能を5つご紹介します。
①統合データレイヤーとセマンティックレイヤー
Tableau Nextでは、複数データソースを統合管理する「統合データレイヤー(Salesforce Data Cloud)」と、ビジネス視点でデータを整理する「セマンティックレイヤー(Tableau Semantics)」が標準で提供されています。
これにより、部門ごとに異なっていたデータ定義や指標名を統一し、「売上」「顧客数」などのKPIを組織全体で同じ意味として扱えるようになります。
データ定義がバラバラだった従来の環境に比べて、レポートの信頼性はぐっと高まるでしょう。
②インサイトからアクションへつなげるワークフロー
Tableau Nextでは、データの可視化にとどまらず、分析結果を即アクションにつなげるワークフロー構築が可能です。
例えば、「売上が急落した店舗にアラートを飛ばす」「特定条件を満たした顧客に自動でキャンペーンを提案する」など、ダッシュボード上からの直接アクションが設計できます。
これは、SlackやSalesforceなど他ツールとの連携を前提とした構成になっているためです。
インサイトを得るだけで終わらず、次の一手をその場で実行できる設計思想が、Tableau Nextの強みといえます。
③AIエージェントとプレビルド分析スキル
Tableau Nextでは、AIエージェント(Agentforce)による分析サポート機能が充実しています。ユーザーの質問に自然言語で答える機能や、異常値やトレンドを自動で検知する機能など、分析のハードルを下げる仕組みが導入されています。
具体的には、以下3つの分析スキルが備わっており、データ分析の知識が浅い担当者でも短時間で高度な分析が実行可能です。
- Data Pro(データプロ):データの準備から可視化までをサポートしてくれる
- Concierge(コンシェルジュ):Q&Aエージェントが自然言語での質問に答えてくれる
- Inspector(インスペクター):常時データをモニタリングし、異常値やトレンドの変化を検知してくれる
単なる可視化ツールから「意思決定支援システム」へと進化していることが実感できるスキルといえるでしょう。
④APIファーストな設計
Tableau Nextは、柔軟性の高い API ファーストの分析体験を提供し、外部システムとの連携拡張やカスタマイズがしやすいプラットフォームです。
これにより、既存の業務システムやアプリケーションとのスムーズな連携が実現できます。
- データソース
- 準備フロー
- セマンティックモデル
- ダッシュボード
- AIエージェント
などといった分析機能のあらゆる要素がモジュール化されており、それらを組み合わせることで新たな分析アプリケーションを構築可能です。
例えば、CRMシステムからリアルタイムで顧客データを取得し、ERPシステムの売上データと組み合わせて自動分析を行い、結果をSlackやTeamsに通知するといった複合的なワークフローを容易に構築できます。
自社のニーズに合わせた独自の分析エージェントやUIを開発して組み込むこともできます。
⑤エンタープライズ級の性能・セキュリティ
Tableau Nextは、「Hyperforce」を活用してエンタープライズ級のセキュリティとコンプライアンスを実現しています。
Hyperforceとは、Salesforceが提供するクラウドインフラストラクチャの名称で、世界最高水準のセキュリティ機能を備えた基盤です。
具体的には、
- 行レベルセキュリティ
- ユーザーごとのアクセス制御
- 監査ログの記録機能
- ゼロトラスト環境への対応
といった機能が含まれています。
Tableauを「現場の分析ツール」から「全社レベルの分析インフラ」へと格上げするための基盤がTableau Nextに集約されているのです。
【徹底比較】従来のTableauライセンスとの違い

Tableau Nextは、従来のTableauと比べて、AIエージェントによる分析の自動化と統合性の強化が特徴です。特に、大量のデータを効率的に分析してインサイトから直接アクションにつなげたい企業にとっては大きなメリットがあります。
下記の比較表では、従来のTableauとTableau Nextとの具体的な違いを整理しました。
| 項目 | 従来のライセンス (Tableau) |
Tableau Next |
|
分析アプローチ |
人間主体のセルフサービス | 分析AIエージェント支援のエージェンティック分析 |
|
データ統合 |
個別データソース接続 | 統合データレイヤーでシームレス統合 |
|
セマンティクス |
手動でのメタデータ管理 | AI搭載セマンティックレイヤーで自動化 |
|
ワークフロー |
分析結果の可視化まで | インサイトから実際のアクションまで一気通貫 |
|
AI機能 |
限定的なAI支援機能 | 全面的なAIエージェント統合 |
|
API連携 |
従来型のAPI提供 | APIファースト設計でモジュール化 |
|
プラットフォーム |
独立したBIツール | Salesforceエコシステム統合プラットフォーム |
従来のTableauで十分なケースもありますが、複数のデータソースをSalesforce(Data Cloud)で一元管理して分析したい場合や、分析結果をもとに即座にアクションを実行したい企業には、Tableau Nextが最適です。
業務課題や将来像にあわせて、Tableau Nextの導入を検討しましょう。
なお、Tableauには
- Tableau(通常ライセンス)
- Tableau Enterprise
- Tableau+(Tableau Plus)
という3つのライセンス(エディション)があり、Tableau NextはTableau+でのみ利用可能です。
Tableau+については、以下の記事で詳しく解説しています。
◆Tableau Plus(Tableau+)とは?利用できる主な機能や従来のライセンスとの違いを分かりやすく解説
まとめ
この記事では、Tableau Nextの概要や主な機能、そして従来のTableauライセンスとの違いについて、初心者にも分かりやすく解説しました。
Tableau Nextは、従来のTableau製品と比べてデータ連携・分析支援・自動化の各領域で大幅な進化を遂げており、組織全体のデータ活用レベルを底上げするための強力な基盤となります。Tableau Nextの概要を理解し、活用方法を知ることで、これまで以上に柔軟かつ高度なデータ分析ができるようになるでしょう。
この記事が、Tableau Nextの導入を検討している方にとって有益な判断材料となれば幸いです。
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