Tableauのモーションチャートとは?具体的な作成手順や主な利用シーンを分かりやすく解説
目次
動的に変化するデータを視覚的に把握することは、ビジネスの現場で重要な意思決定を行うための鍵となります。
Tableauはこうしたニーズに応えるための強力な可視化ツールを提供しており、その中でも「モーションチャート」は、時間とともにデータがどのように変化するかを直感的に捉えるのに非常に有効です。
この記事では、Tableauでモーションチャートを作成する手順や、実業務での具体的な活用シーンを丁寧に解説します。
データに“動き”を与えることで、分析の幅と説得力が大きく広げていきましょう。
モーションチャートとは?
モーションチャートとは、「時間の経過によって変化するデータを視覚的に表現できる動きのあるチャート(グラフ)」のことです。
特にTableauでは、散布図などのVizと「ページ」機能を組み合わせてモーションチャートを再現することで、時系列のデータ変化を直感的に把握できます。
このチャートの最大の特徴は、複数の変数を同時に表現できる点です。
ビジネスの現場では、製品別の業績推移や市場ごとの成長率の比較などで活用されます。
モーションチャートは、データに「動き」を加えることで変化のパターンや傾向をつかみやすくします。
静的なグラフでは見落としがちなポイントも、アニメーション表示によってインサイト(洞察)の発見に繋がりやすくなるのが強みの一つと言えるでしょう。
Tableauでモーションチャートを作成する手順
それでは実際に、Tableauでモーションチャートを作成する具体的な手順をご紹介します。
今回は、Tableauに付属している「サンプルスーパーストア」を使用して、「地域別の売上と利益」を散布図にし、時系列で動きのあるモーションチャートを作成していきます。
Excelのようにアニメーション用のグラフテンプレートは用意されていませんが、工夫次第で動きのある視覚化が実現可能です。
あらかじめ、Tableauにサンプルスーパーストアの「オーダー(注文)」シートを接続しておきましょう。
Tableauにデータを接続する方法がわからないという方は、以下の記事を参考にしてみてください。
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◆Tableauにおけるデータ接続と加工方法を手順付きで解説
【手順1】散布図を作成する
まずはモーションチャートのベースとなる散布図を作成します。
以下の操作を順に行いましょう。
・[売上]を列シェルフに、[利益]を行シェルフに、それぞれドラッグ&ドロップ
・行シェルフにある[合計(利益)]を右クリック>メジャー(合計)>平均 をクリック
・[地域]をマークカードの「詳細」にドラッグ&ドロップ
・マークカードで、グラフタイプを自動→円 に変更
これで、地域別の売上(合計)と利益(平均)の分布がわかる散布図が完成しました。
なお、Tableauで散布図を作成する方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
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◆Tableauで散布図を作成する方法を分かりやすく解説
【手順2】オーダー日をページに追加する
モーションチャート(動きのあるグラフ)を作成するために、フィルターシェルフの上にある「ページシェルフ」を使用します。
以下の操作を順に行いましょう。
・[オーダー日]を右クリック(Macの場合は⌥)しながらページシェルフにドラッグ&ドロップ>月/年(オーダー日)をクリック
・右側に表示されたページカードを、ドラッグ&ドロップでマークカードの下に配置(操作性向上の為)
【手順3】マークカードを設定する
年月の動きがわかりやすくなるように、マークカードを適切に設定します。
以下の操作を順に行いましょう。
・[数量]をマークカードの「サイズ」にドラッグ&ドロップし、任意のサイズまで拡大
・[地域]をマークカードの「色」にドラッグ&ドロップ
これにより、時間ごとに変化する売上・利益だけでなく、数量や地域の違いも一目で把握できるようになりました。
【手順4】アニメーション再生で変化を確認する
最後に、ページシェルフの右側にある再生ボタン(▶)を押すと、年ごとの変化がアニメーションで再生されます。
一時停止やプレイ速度の調整も可能です。変化のスピードをゆっくりにすれば、微妙な傾向の違いにも気づきやすくなるでしょう。
【手順5】特定の項目の動きの変化を確認する
特定の項目(例:関東地方)の時系列の動きを確認したい場合は、以下の操作で実現可能です。
・「履歴の表示」に✓を入れる
・「履歴の表示」の▼>「次の履歴を表示するマーク」を「ハイライト済み」にし、「表示」を「両方」に変更
・地域のカードで関東地方をクリック(ハイライト状態)
・再生ボタン(▶)をクリック
以上で完成です!
実際に関東地方の年月の動きを見てみることで、
- 最初(2021年〜2022年頃)は平均利益が0円付近となっている月が多かった
- 2022年1月には、平均利益で-20K(約2万円)もの赤字を記録した
- 2024年の下旬から一気に売上が拡大し、平均利益も黒字が多くなった
といったインサイトが得られました。
Tableauにおけるモーションチャートの主な利用シーン
モーションチャートは、Tableauで「時間の変化を視覚的に伝える」ために非常に便利な表現方法です。
特に散布図とページ機能を組み合わせて作成することで、静的なグラフでは読み取れない動的な変化を把握できるでしょう。
このような表現は、マーケティングや営業分析、経営レポートなど、幅広い業務で活用されています。
ここでは、Tableauにおけるモーションチャートの具体的な活用シーンを3つに分けてご紹介します。
①時間経過の推移を散布図で見たい時
モーションチャートは、数年間にわたる指標の推移を「動き」で表現したい時に最適です。
例えば、売上や利益など2軸の指標を使った散布図に対し、「年」や「月」のデータをページシェルフに設定することで、時系列の変化がアニメーションで確認できます。
これにより、年度ごとの成長パターンや変動の傾向を目で追える形で分析できるようになるでしょう。
複数のデータポイントが時間と共にどう動くかを見ることで、長期的な成長や停滞を直感的に把握できます。
②特定カテゴリの変動を追いたい時
カテゴリごとの動向を可視化したい場面でも、モーションチャートは有効です。
例えば、「地域別の売上」「カテゴリごとの利益率」など複数カテゴリの推移をグラフ化し、それぞれの動きを時系列で再生すれば、どのカテゴリがどのタイミングで伸びたのかがひと目でわかります。
色やサイズで視覚的な強調を加えれば、注目すべき変化も見落としにくくなるでしょう。
カテゴリ別に傾向を比較したい業務担当者にとって、モーションチャートは強力な分析ツールになります。
③施策の効果を時系列で見たい時
マーケティング施策や新商品の投入など、何らかのアクションを行った後の影響を視覚的に確認したいときにもモーションチャートが活躍します。
例えば、キャンペーン実施前後の売上推移をバブル(円)で表示して時系列で再生すれば、効果が出始めたタイミングや影響が続いた期間を正確に把握できるでしょう。
「施策Aの時は即時効果が見られたが、施策Bは徐々に反映された」など、定量的な判断が可能になります。
施策効果を可視化することで、次の意思決定にも大きく貢献できます。
まとめ
この記事では、Tableauにおけるモーションチャートの基本から作成手順、そして活用シーンまでを分かりやすく解説しました。
モーションチャートは、散布図などのVizにTableauの「ページ」機能を用いて時間軸を加えることで、データの変化を動きとして直感的に把握できる強力な可視化手法です。
本記事では、ページ機能を使った具体的な作成方法に加え、「時間の推移を見たい時」や「カテゴリの変動を追いたい時」など、実際のビジネスシーンで役立つ活用例をご紹介しました。
これにより、単なるグラフでは見落としがちな変化の兆しを視覚的に捉えることが可能になるでしょう。
モーションチャートの活用を通じて、動的な視点でデータを分析する力が身につきます。
時間とともに移り変わるデータの流れを視覚的に追うことで、より深いインサイトを得られるようになるはずです。
Tableauの効果的な活用を目指す方にとって、本記事が実践的な一歩となれば幸いです。
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