Tableauで重回帰分析を行う方法とは?注意点やポイントとともに分かりやすく解説
目次
データ分析において複数の変数間の関係性を明らかにすることは、ビジネスの意思決定をより確実なものにするために非常に重要です。
そのために役立つのが「重回帰分析」という手法です。Tableauは、直感的な操作で重回帰分析を行うことができ、データに基づいたインサイト(洞察)を迅速に得られます。
そこで本記事では、Tableauを用いて重回帰分析を行う具体的な手順を、初めての方でも理解しやすいように解説します。
重回帰分析は、売上や利益、顧客データなど、ビジネスの重要な指標を多角的に分析し、隠れたパターンやトレンドを見つけるのに最適な方法です。
初心者の方でも安心して取り組めるように丁寧に解説していますので、この記事を通じて重回帰分析の基礎を学び、Tableauを使ったデータ分析のスキルを向上させてください。
重回帰分析とは?
重回帰分析とは、複数の説明変数を使用して目的変数の値を予測する統計手法です。この分析は、特定の結果に対する複数の因子がどのように影響しているかを明らかにし、未来の出来事を予測するのに役立ちます。
重回帰分析は、単回帰分析と異なり、複数の説明変数を同時に考慮します。これにより、より複雑で現実に即したシナリオを分析することが可能です。
例えば、売上だけでなく、顧客の満足度や商品の返品率など複数の結果に対する予測もできるようになります。
Tableauを使用して重回帰分析を行う場合、データを視覚化しやすく、分析プロセスを追いやすいため、ビジネスの意思決定を迅速かつ効果的にサポートしてくれます。
Tableauを利用することで分析の設定や結果の解釈が容易になり、より戦略的なビジネス運営が可能になるでしょう。
Tableauで重回帰分析を行う手順
それでは実際に、Tableauを使って重回帰分析を行う具体的な手順を解説します。
初心者の方でもわかりやすいように、具体的な手順を画像とともに説明しますので、安心して進めてください。
なお、今回はTableauに付属している「サンプルスーパーストア」を使用し、「売上」「利益」「数量」を変数にして重回帰分析を行いたいと思います。
あらかじめ、Tableauにサンプルスーパーストアの「注文」シートを接続しておきましょう。
Tableauにデータを接続する方法がわからないという方は、以下の記事を参考にしてみてください。
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◆Tableauにおけるデータ接続
【手順1】メジャーを列シェルフに追加する
重回帰分析を行うためには、複数の独立変数が必要になります。
[売上][利益][数量]の3つのメジャーを、列シェルフへ順にドラッグ&ドロップしましょう。
また、今回は「合計」だけでなく「平均」の値も変数にしたいので、もう一度3つのメジャーを列シェルフにドラッグ&ドロップします。
そして、この3つのピルを右クリック>メジャー から、合計→平均に変更しましょう。
【手順2】メジャーを行シェルフに追加する
手順1で列シェルフに追加した6つのメジャー項目を、行シェルフにも追加します。これにより、選択したメジャーが縦軸に並びます。
Tableauでは、列と行にメジャーを配置することで、グラフの2次元的な比較が可能になります。
手順1と同じ操作を行っても実現できますが、列シェルフに入っているピルを複製する方がおすすめです。
列シェルフにある6つのメジャーをCtrl(Macの場合は⌘)を押しながら選択します。その後、Ctrl(Macの場合は⌘)を押しながら行シェルフにドラッグ&ドロップしましょう。
【手順3】ディメンションを詳細に追加する
「すべて」のマークカードを開き、[顧客ID]を「詳細」に追加します。これにより、各データポイントが顧客ごとに分割され、より詳細な分析が可能になります。
詳細に追加すると、各メジャーの動きを顧客単位で見ることができ、精緻な分析が可能になります。
【手順4】グラフタイプを円に変更する
グラフタイプを円に変更します。
「すべて」のマークカードにあるグラフタイプを、自動→円に変更しましょう。
【手順5】傾向線を表示する
傾向線を表示することで、データの傾向やパターンを視覚化しやすくします。
データペインからアナリティクスペインに変更し、「傾向線」をドラッグしながらビュー上に持っていき、「線形」のところでドロップします。
なお、メジャーごとに傾向線を付けるかを選ぶこともできますが、今回はすべてのグラフに対して適用させたいため、一番上の「線形」と書いてある箇所にドラッグ&ドロップしました。
【手順6】フィルターやマークカードにディメンションを追加する
フィルターやマークカードにディメンションを追加します。これにより、特定の条件下でのデータ分析が可能になります。
今回は、[カテゴリ]をマークカード(すべて)の「色」に、[オーダー日](年)をフィルターに追加しました。
なお、[年(オーダー日)]のフィルターを「単一値(スライダー)」で表示させると、クリックしていくだけで年ごとの重回帰分析が行えるようになります。
【手順7】分析結果を評価する
グラフの作成自体は手順6で完成ですが、最後に分析結果の評価を行いましょう。
傾向線をマウスオーバーすると、R²(決定係数)やP値を確認できます。
一般的に、R²の値が0.5以上で「相関関係がある」と判断されるため、例えば下図のような「家電における、合計売上と合計数量」は「(正の)相関がある」といえるでしょう。
Tableauで重回帰分析を行う際の注意点(ポイント)
Tableauを使って重回帰分析を行う際には、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。
それぞれのポイントについて、詳しく説明します。
①変数の選定
重回帰分析では、分析に使用する変数の選定が非常に重要です。選定する際には、独立変数間の相関関係に注意を払う必要があります。
もし複数の変数が高い相関を持っている場合、それらを同時にモデルに組み込むと「多重共線性」という問題が発生し、分析結果が不安定になる可能性があります。
例えば、売上と広告費、顧客数などを分析に含める場合、それぞれの変数が独立していることを確認することが重要です。
変数の選定には、事前に散布図などを用いて相関を確認し、不必要な変数を除外することが効果的でしょう。
②モデルの評価
重回帰分析の結果を正確に評価することは、次の意思決定にとって不可欠です。
モデルが適切にフィットしているかを確認するためには、R²(決定係数)などの指標を確認することが推奨されます。
R²が高いほどモデルの説明力が高いとされますが、それだけで評価を行うのは危険ですので、複数の評価指標を用いてモデルを総合的に判断しましょう。
③データの前処理
重回帰分析を行う前にデータの前処理を適切に行うことが、分析結果の精度を大きく左右します。
前処理には、欠損値の補完や外れ値の処理が含まれます。これらの問題を放置すると、モデルが誤った結果を導き出す可能性があります。
欠損値がある場合は適切な補完方法を選び、外れ値については、影響を与えないように適切な処理を施します。例えば、外れ値の除外や補正を行うことで、モデルの精度が向上することが期待できるでしょう。
まとめ
この記事では、Tableauを使った重回帰分析の方法について、手順ごとに詳しく解説しました。
重回帰分析は、複数の変数間の関係性を探るために非常に有効な手法であり、ビジネスの意思決定に大きな影響を与えることができます。
本記事では、重回帰分析の基本的な概念から始まり、実際のTableauでの操作手順、そして注意すべきポイントまで、初心者でも理解しやすいように説明しました。
これらのステップを踏むことで、より精度の高い分析結果が得られ、ビジネスの課題解決に直結するインサイトの発見に繋がるでしょう。
この記事を通じて、Tableauでの重回帰分析に対する理解が深まり、業務におけるデータ活用の一助となれば幸いです。
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