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Tableauで移動平均グラフを作成する方法を分かりやすく解説

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データ分析において、蓄積されたデータから傾向を分析し、将来の予想を立てることは非常に重要です。中でも移動平均は膨大な時系列データを任意の期間で切り出して、傾向を分かりやすく分析することができるため、時系列データの分析ではよく使われる分析手法になります。

この記事では、移動分析の意味から、Tableauの設定方法や具体的な利用方法まで解説していきます。

移動平均とは何か


Tableauで移動平均の分析を始める前に、「移動平均」がどのようなものなのかを確認します。
例えば企業における売上データのように、「日付(時間などでもよい)」と「その日付の売上金額」からなるデータがあります。このように時間の経過に沿って記録されたデータのことを「時系列データ」と呼びます。

また、時系列データを使って、時間の経過による数値の変化を分析することを「時系列分析」と呼びます。時系列に並んだデータを使って、経過による変動要因を、「長期的なもの」、「周期的なもの」、「不規則的なもの」などの要素に分類し、その傾向から出てきた結果をもとに、将来の数値の予測を行うことが来ます。また、データ内にある他の様々な要素を加えることで、その傾向が出た要因を具体的に探し当てることができるようになります。データの例としては売上のほかに、株価や気候の変化、Webサイトのアクセス履歴など様々な分野でこの時系列データが利用されています。

細かく変化するような時系列データの場合、全体の傾向を掴むことが難しくなります。そのような場合に、「移動平均」を用いることで、データを平滑化することができるため、長期的な傾向を把握しやすくなるというメリットがあります。

移動平均では、時間の経過によって変わっていくデータについて、一定の範囲ごとの平均値を算出し、平滑化することで傾向を把握しやすくします。

移動平均を使った分析例

Tableauでレポートを作成する前に、移動平均を使ってどのような分析を行うのかを整理してみます。利用するデータはTableauが提供している「サンプルスーパーストア」のデータを利用してみることにします。今回は利益が下がっている要因を分析してみます。

売上データに対して要因分析をかける際、大きく分けると以下のパラメーターが存在することが多くあります。

  • 製品(商品)軸
  • 顧客軸
  • 自社の組織軸

つまり「どこに、何を、誰が売ったのか」という内容を分析していくことになります。
利益が下がっている傾向が見えた場合、パラメーターを掛け合わせることによって、具体的にどこに要因があるのか見つけていくような分析をしていきます。

Tableauを使った分析

実際に入っているデータを確認する

以下は、利益の変化を日ごとに表示した場合の折れ線グラフになります。実際のデータを細かい粒度で表現すると、実際にどのような傾向なのかを確認するのが困難になります。分析の目的や仮説が無く、いきなりTableauを使って分析を始めてしまうと、時間だけを消費してしまい、成果に繋がらないことになってしまいます。分析する前に目的や仮説を明確にするように心掛けるようにします。

 

月ごとの経過を確認する

日ごとに利益額の変化を表現すると傾向がつかめないため、もう少し集計の単位を伸ばして年月ごとに利益額の変化を確認するようにします。日ごとに集計するよりは、幾分すっきりとしました。ただし、年月が経過していくごとに、利益額が増え続けたり、減り続けたりしているわけではないので、実際の利益額を表示しただけでは、まだ傾向がつかみにくいままです。

 

移動平均を計算する

Tableau上で移動平均の計算を使ってみます。実際の利益額と比較しやすいように、先ほどの棒グラフをコピーして上下に並べてみます。

 
移動平均の求め方ですが、行シェルフにある[利益]のメニューから、[簡易表計算] > [移動平均]を選択します。

 
下側の棒グラフの値が少し変わりましたが、分かりにくいので、表示形式を[線]に変更しておきます。

 

 
次に、再度行シェルフの[利益]のメニューから、[表計算の編集]を選択します。

 
今回は直近の12カ月の平均を計算したものを移動平均として計算するようにします。
計算は以下のように設定します。
[前の値]に”11”と指定することで直近12か月の平均値を表します。
[値が不十分な場合はNULL」]にもチェックを入れるようにします。この項目をチェックしないと、急に数字が伸びているように見える場合があるので、注意してください。

 
実際の利益額と移動平均を並べてみると、両者の違いがよく分かります。毎月の利益額は上下していますが、傾向としては右肩上がりとなります。

 

様々な要素を使って分析してみる

移動平均を使って利益額の全体の傾向を確認することができました。全体の利益額は右肩上がりであることが確認できましたが、ここで満足してしまうとこれ以上の企業の成長に繋がらなくなってしまうかもしれません。データにある様々な要素を使って、改善できることが無いか確認していきます。
今回は、「製品(商品)軸」、「顧客軸」、「自社の組織軸」を使って、深堀を実施していきます。

顧客区分ごとに移動平均の利益額を確認すると、顧客区分が”消費者”の利益額が最近になって下がっている傾向にあることが確認できます。このことから、顧客区分が”消費者”のデータに絞って、他の要素の値を掛け合わせると、もっと具体的なことが分かりそうな可能性があることが分かります。

 
次に、製品軸の要素を追加します。先ほどの顧客区分が”消費者”のフィルターを保持したまま、
製品カテゴリの利益額の傾向を確認します。すると、製品カテゴリが”家具”の利益額が下がり続けていることが確認できました。

 
最後に、自社の組織軸も確認します。地域を調べるとどの地域も、『顧客区分が”消費者”』、『製品カテゴリが”家具”』の利益額は下がっている傾向が確認できますので、地域差による要素はあまり関係ないようです。このように、データ分析においては、あまり関係のない要因を見つけることも重要です。分析対象となるデータは多いので、データ分析をする要素を省く作業も大切な工程になります。

 
実際に作成したグラフを連動させるためのダッシュボードを作成してみました。ここからさらに顧客軸の詳細を分析する、製品軸の詳細を分析する、利益額だけではなく売上金額や値引きといった別のメジャー項目も併せて確認するなどすることで、利益額を下げている要因を特定することができます。
ここまで分析できれば、これを改善するための方針を関係者と立てる場合も、説得力のある情報をもとに協議ができるため、参加者の納得も得られやすいですし、具体的な改善活動につながる可能性が高まります。

 

最後に

移動平均の内容と、具体的なデータと分析例を使って、Tableauで分析を進める方法を解説しました。移動平均を実際のビジネスで利用するイメージが持っていただけたと思います。この分析は、どの企業でも共通して活用できるものですので、是非お持ちのデータを使って分析してみてください。

仮説を持って分析を行うことで、データを持って裏付けることができ、さらに深堀を行うことで、具体的な要因を見つけることができます。ここまでが分析ではなく、ここからが分析がビジネスに与える影響を発揮することができるところです。分析によって見つけた要因から、将来の行動を変え、ビジネス上の課題の解決や現状のプロセスを改善できるところまで繋げてみてください。

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