Tableau Enterpriseライセンスとは?利用できる主な機能や従来のライセンスとの違いを分かりやすく解説
目次
企業全体でのデータ活用が求められる今、BIツールをどう運用するかは組織の成長に直結します。中でもTableauは、ビジネス現場で広く使われているデータ可視化ツールであり、その導入形態にもさまざまな選択肢があります。
本記事で取り上げる「Tableau Enterpriseライセンス」は、大規模な運用や管理に適したエディションです。
標準ライセンスとの違いや、組織的な活用を前提とした追加機能、導入における注意点などを丁寧に解説していきます。
Tableauをこれから導入しようと考えている方や、既存の環境からステップアップを検討している方にとって、選択肢の幅を広げるためのヒントが得られる内容です。初心者にも分かりやすく、導入判断の助けになるよう構成していますので、ぜひ最後までご覧ください。
Tableau Enterpriseライセンス(エディション)とは?
Tableau Enterpriseライセンス(エディション)とは、全社規模でのデータ活用を目指す企業向けに設計されたライセンス形態です。従来の個別ユーザー向けライセンスと異なり、大規模な導入や一元管理、セキュリティ強化など、エンタープライズ環境に特化した構成が大きな特徴となっています。
その理由は、社員数が多い組織や業務部門が多岐にわたる企業では、Tableauの利用を効率的に拡張してガバナンスを維持しながら運用する必要があるためです。
個別ライセンスでは対応が難しい領域にまで配慮されたのがEnterpriseライセンスです。
例えば、
- ユーザー管理やアクセス制御を統一的に行いたい
- 導入後の活用促進を全社で進めたい
といったケースに、このライセンスが役立ちます。
大規模導入の課題に対応できる体制を整えたい企業にとって、非常に有効な選択肢と言えるでしょう。Tableauの利用を「部門単位」から「全社横断」へと広げたいと考えている方は、通常ライセンスではなくEnterpriseライセンスの導入を検討する価値があります。
Tableau Enterpriseライセンスで利用できる主な機能
出典:Tableau公式『Tableauを購入する』
Tableau Enterpriseライセンスは、企業全体でデータ活用を推進するための強化版パッケージです。一般的なCreator/Explorer/Viewerライセンスに加えて、スキル定着・データ管理・運用統制といったエンタープライズに必要な強力な機能が含まれています。
組織規模が大きくなるほど、
- データの質をどう担保するか?
- ユーザー育成をどう進めるか?
- 運用が属人化しないか?
などといった課題が生じやすくなりますが、Enterpriseライセンスはそうした悩みに対応できる機能群を一括で提供します。
Enterpriseライセンスに含まれる主な機能について、以下で1つずつ詳しく見ていきましょう。
① eラーニング(Tableau eLearning)
Enterpriseライセンスには、Tableau公式のeラーニング教材が標準で含まれています。これは、Tableau DesktopやTableau Cloudの基本操作からデータ可視化のベストプラクティスまで、体系的に学べるオンライン学習コンテンツです。
社員研修やリスキリングの場面でも活用されており、学習進捗の確認や修了証の発行にも対応しています。
また、定期的にコンテンツが更新されるため、製品アップデートにも柔軟に対応できる点も魅力です。チーム全体のスキルを底上げしたい企業にとっては、大きなメリットとなるでしょう。
② Data Management Add-on(データ管理機能)
Data Management Add-onは、Tableauにおけるデータの流通経路や管理体制を整備するための機能群です。
具体的には、以下のようなツールが含まれます。
Prep Conductor:Tableau Prepで作成したデータフローを定期実行し、常に最新の整形済データを提供
仮想接続(Virtual Connections):データベース接続情報を一元管理し、接続先の統制を効率化
これらを活用することで、現場の分析者は安心して信頼性の高いデータにアクセスでき、IT部門はガバナンスを維持しつつ運用負荷を軽減できます。
③ Advanced Management Add-on(高度な管理機能)
Advanced Management Add-onは、Tableau Cloud/Server環境の運用・保守を効率化するためのオプションです。大規模な組織でよく課題となる「管理負荷の増大」や「パフォーマンス監視」「ログ取得と分析」といった点に対応できます。
主な機能は以下の通りです。
管理者インサイトのデータ保持:管理者インサイトのデータを最大365日間保持(通常ライセンスは90日間)
Resource Monitoring Tool(RMT):CPU・メモリ・同時接続数などを可視化し、パフォーマンス劣化の予兆を検知
Content Migration Tool(CMT):開発環境→本番環境へのワークブック移行をGUI操作で簡略化
こうした機能により、Tableauの全社展開を行う際に必要な「運用の属人化回避」や「品質担保」が可能になります。
④ Tableau Cloud Manager
Tableau Cloud Managerは、Tableau Cloud環境を企業全体で使う際の統合管理機能です。
例えば、マルチサイト環境におけるライセンスやコンテンツの一元管理、アクセスログの可視化、API連携による自動化などが可能です。
セキュリティ対策の面でも、SSO(シングルサインオン)やIP制限、暗号化設定などが整っており、ゼロトラストの視点からも安心して使える構成となっています。これにより、エンジニアではないIT管理者や情シス担当者でも、ガバナンスを保ちながら柔軟に分析環境を展開することができます。
【徹底比較】従来のTableauライセンスとの違いは?
Tableau Enterpriseライセンスは、従来ライセンスと比べて、分析の高度化と管理性の強化が特徴です。特にデータ量やセキュリティ要件の高い企業には、大きなメリットがあります。
下記の比較表では、従来のライセンスとTableau Enterpriseライセンスとの具体的な違いを整理しました。
項目 | 従来のライセンス (Tableau) |
Tableau Enterprise |
特徴 |
学習リソース | ✕ | ◯ | eLearningが標準付帯 |
データ管理機能 | △ | ◯ | Data Managementが標準装備 |
セキュリティとガバナンス | △ | ◯ | 権限設定・ログ監査に対応 |
Data Connect機能 | ✕ | △ | 外部システム連携がより強化(※有料) |
Premier Success Plan | △ | △ | 専門スタッフによる導入・運用支援(※有料) |
導入コスト | ◯ | △ | 高機能ゆえにコスト増 |
従来ライセンスで十分なケースもありますが、複数部門のデータを統合・分析したい場合や、情報漏洩リスクを最小限に抑えたい企業には、Enterpriseライセンスが最適です。
業務課題や将来像にあわせて、Tableau Enterpriseライセンスの導入を検討しましょう。
なお、Tableauには
- Tableau(通常ライセンス)
- Tableau Enterprise
- Tableau+(Tableau Plus)
という3つのライセンス(エディション)があります。
Tableau+については、以下の記事で詳しく解説しています。
◆Tableau Plus(Tableau+)とは?利用できる主な機能や従来のライセンスとの違いを分かりやすく解説
まとめ
この記事を通して、Tableau Enterpriseライセンス(エディション)の概要や利用できる主な機能、そして従来のTableauライセンスとの違いについて詳しく解説しました。
Enterpriseライセンスは、データ管理機能や拡張的なガバナンス、学習支援までを網羅しており、より高度でスケーラブルなデータ活用を実現したい企業にとって非常に有効な選択肢です。特に、Data Management Add-onやAdvanced Management Add-onなど、データ品質や運用効率を高める機能が標準で利用できる点は、大きなアドバンテージといえるでしょう。
Tableauを全社的に活用していくにあたり、管理・分析・教育の3つを同時に強化したい企業には、Enterpriseライセンスの導入が非常に効果的です。
Tableau導入を検討する担当者の方にとって、本記事が最適なライセンス選定の一助となれば幸いです。
<Tableau>
弊社ではSalesforceをはじめとするさまざまな無料オンラインセミナーを実施しています!
>>セミナー一覧はこちら
また、弊社ではTableauの導入支援のサポートも行っています。こちらもぜひお気軽にお問い合わせください。
>>Tableauについての詳細はこちら